始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年12月23日金曜日

ライン・プリンターの全て - 第22回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-8

2. 用紙ジャムが起きたら
本来起きてはいけないエラーですが、用紙ジャムが発生することがあります。
用紙ジャムが発生すると、ブザーが鳴り、プリンターの操作パネルの液晶表示部に、"用紙詰まり 用紙を直してください"というメッセージが表示されます。
Telnet5250E を使った AS/400 との直接接続の場合には、5250 端末画面上でも、メッセージ・ウェイト状態となり、用紙ジャムが発生している旨のメッセージが表示されます。

対応方法として先ず行なうことは、
- 5400-F10/L10 モデルや、5400-L06/006 モデルでは、プリンター内部の右側にある"プラテン開閉レバー
- 5400-F06 モデルや、5400-F02/L02 モデルでは、左側にある"FTレバー"(用紙厚設定レバー)
これを全開にして、印字ヘッドと用紙の間隔を広げ、詰まった用紙を取り除くことです。

その後は、新たに用紙をセットしたら、開いたプラテン開閉レバーを閉じて(用紙厚設定レバーは、用紙の厚さに応じた値にセットして)印刷を再開します。
ライン・プリンターでは、プリンターの持っているデータ受信用のバッファー・メモリーのサイズが小さいため、用紙ジャムが発生した時点で印刷終了したデータは、既にプリンターには残っていません。
従って、印刷を再開するページを確認した上で、そのページからの印刷データを送信する必要があります。特に、Telnet5250E を使った AS/400 との直接接続の場合には、エラー・メッセージに対する応答処理として、開始ページを指定して印刷再開させることができます。

ちなみに、レーザー・プリンターでは、印刷された用紙が排紙されるまでは、メモリーに印刷イメージを保管しています。そのため、詰まった用紙を取り除いて、プリンターが印刷可能状態となったら、自動的に用紙ジャムとなったページから印刷再開します。ただ、電源を切ってしまうと、メモリーの内容が消えてしまいますので、電源を切らないことが重要です。
その観点からは、ライン・プリンターの場合は、電源を切っても影響が無いと言えます。

以上は、その場の対応方法でしかありません。もし用紙ジャムが頻発するようであれば、根本的な対策が必要です。
私の経験から、次の点をチェックすることをお勧めします。

1. トラクターの左右の間隔
用紙の幅に合わせてトラクターの左右の間隔をセットするのですが、これが広めだったりすると、用紙ジャムの原因になります。通常、狭めにセットされることは無く、広め、つまり用紙を左右に張った状態でセットしてしまうことがあります。目安としては、用紙の送り穴の左右中央にトラクターのピンが出ていること、送り穴がピンに押されて歪んだ状態になっていないことが上げられます。
トラクター左右位置調整の目安

2. 印字ヘッドと用紙の間隔
特にラベル紙を使用している場合、用紙厚設定レバーの設定が狭いと、台紙の上のラベルが引っ掛かって印刷中にラベルが剥がれることがあります。ラベルが剥がれると糊が付いているので、プリンターの内部にくっついて、剥がすのに苦労することになります。
("5400-F06" モデルは、"5400-L06/006" モデルに比べて、プラテンと印字ヘッドの間を広げた時の間隔が狭くなって、プリンター内部につまったラベルが、剥がし辛くなったというご指摘をいただいたことがあります。)
当たり前のことですが、台紙の厚さとラベルの厚さの両方を加味した厚さに合わせてレバーの値を設定するように注意してください。

3. 用紙のミシン目の品質
プリンターのマニュアルには、次のような用紙のミシン目に対する注意事項が書かれています。
- 横ミシン目と縦ミシン目の交差部分は、アンカット部(紙が繋がっている部分)同士で交差すること。
- 用紙の紙端部分はアンカット部とすること。
これらは、ミシン目での用紙の破れやすさに影響する要素です。
ライン・プリンターで多く使用される、事前印刷された複写用紙は、印刷会社で製造されてくるものですが、用紙の品質も製造ロットの違いで異なることがあります。
また、ミシン目はカッターで切って作りますが、同じカッターを使い続けていると、刃の切れが悪くなって、ミシン目の品質に影響するという話を聞いたことがります。

4. 紙ホチキスの向きと出っ張り
複写用紙の 1 枚 1 枚は、印刷中は簡単に剥がれないように、しかし、印刷後はなるべく剥がしやすいような強さで付いていることが理想的です。
プリンターのマニュアルでは、"点のり"と言って、点の状態で糊付けする方式のみ認めていますが、実際には、紙ホチキスも併用使用しているケースが多いように思います。
紙ホチキスとは、紙を櫛の歯状態に打ち抜いて止める方法です。この場合、打ち抜いて折り返した部分が紙の表面に盛り上がるような状態になります。
プリンター内部を用紙が送られていく時に、上向きに折り返された紙ホチキスの端が、リボン・シールドに並んだ、印字ヘッドのピンの通り穴に引っ掛かってリボン・シールドを損傷し、それが用紙を破いて用紙ジャムを引き起こすという現象があります。(リボン・シールドは、非常に薄いステンレスの板ですから)
用紙の幅が、例えば 15 インチあるのであれば、紙ホチキスはリボン・シールドの穴よりも外側を通りますので、リボン・シールドを損傷することはありません。しかし、幅の狭い、例えば宅配便の用紙の場合は、リボン・シールドの穴に紙ホチキスが掛かることを防ぐことができません。
このような用紙の場合には、紙ホチキスの折り返しの向きを下側にするという、用紙側の対応が必要と思います。
用紙ジャムが多発する場合には、プリンターの設定のみではなく、用紙にも注意を向ける必要があります。
紙ホチキスと折り返しの向き




2016年12月11日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第21回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-7

今回は、エラーが発生した場合の対応方法について、お話します。
最も身近なエラーは、用紙切れと用紙ジャムです。

1. 用紙切れの対応方法
用紙切れの発生をプリンタ-が検知するために、用紙の走行経路の途中に、接触式か非接触式のセンサーが付いています。このセンサーが用紙の存在を検知しなくなった時に、"用紙切れ"の情報が操作パネルに表示されます。
ライン・プリンターのモデルによって、用紙切れを検知する方法や箇所は異なります。
"5400-F10/L10"モデルでは、一旦、"用紙がありません"というメッセージが表示されて印刷が止まった後も、再度"印刷"スイッチを押すことにより、完全に用紙の下端まで続けて印刷させます。
同様に、稼動する台数が、今も最も多い"5400-L06/006"モデルでも、用紙切れで一旦印刷が止まった時点で、"印刷"スイッチを押すことで、用紙の最後まで1ページ以上続けて印刷できます。

下の図は、"5400-L06/006"モデルのものですが、用紙切れセンサーがプリンター内部の前の方にあるため、印字ヘッドとの間隔が長めだったことが分かります。つまり、用紙切れセンサーの下を用紙の終端が通過して、"用紙切れ"を検知し、エラー表示する時点では、まだ、印字ヘッドと用紙終端までは、まだ十分印刷可能な用紙が残っていることになります。
そこで、再度"印刷"スイッチを押すことで、用紙の終端まで印刷させます。
2 度目の用紙終端の検知のために、もう 1 つのセンサーがトラクターの近傍にあるのか、それとも、印刷データに含まれる用紙長の情報を元に、プリンターが、1 回目に用紙終端を検知した時に残りの用紙長を計算するのかは、残念ながら私も知りません。そもそも、印字ヘッド近傍に用紙切れセンサーがあって、用紙終端まで印刷して止まるようにできていれば、1 回印刷が止まってから、改めて"印刷"スイッチを押す手間は不要と思うのですが。
5400-L06/006の用紙切れセンサーの位置
また、"印刷"スイッチを押した後は、かなりゆっくりと用紙を送りながら印刷するのですが、それは、用紙切れセンサーが用紙を上から押さえることなく、トラクターだけで用紙を引き上げているので、印字品質を低下させないためという説明を聞いた覚えがあるのですが、そうなのでしょうか ?

ちなみに、"5400-F10"では、用紙切れセンサーは非接触式(光センサー)のタイプになっています。そのため、プリンターの前カバーを外して使用しているお客様において、プリンターの設置場所と向き、窓から差し込んだ太陽光の角度の組み合わせによって、用紙があるのにも関わらず用紙切れ状態と誤検知を起こしたことがあります。

"5400-F06"モデルや"5400-F02"モデルでは、"用紙がありません"というメッセージが表示された時点で、既に用紙下端まで印刷完了しているようですが、どのモデルでも、"印刷"スイッチを押して、用紙下端まで印刷完了させることを習慣付けておくことをお勧めします。

そうしないと、用紙切れが発生したページの最後の何行かのデータが印刷されずに残っているため、新しい用紙をセットして印刷開始させた時に、残った行のデータから印刷が始まり、行ずれが発生することになるからです。

プリンターで発生した"用紙切れ"エラーは、Telnet5250E 接続の場合には、OS/400 側のOUTQの画面で、メッセージ・ウェイト状態として通知されます。それに対して、プリンター・セッション経由の印刷や、PC からの印刷の場合には、印刷データが送信中でない限り、OS/400 側の画面にも、PC 側の画面にもエラー表示はされません。従って、用紙切れになったことを知るには、プリンターがエラー発生時に鳴らすアラーム音が頼りになります。アラーム音は初期設定で、"連続音"、"間欠音"、もしくは"鳴らない"が選択できるだけです。音の大きさは一定です。

注意していただきたい点は他には、"電源を切らない"ということです。"用紙切れ"の場合は、用紙の下端まで印刷した後は、新しい用紙をセットするだけで済みますが、途中で、プリンターの電源を切ってしまうと、メモリーに残っているデータがあった時に、そのデータが消えてしまいます。その結果、新しい用紙をセットして電源を入れ、印刷再開した時に、行ずれを起こすことになります。それを避けるためには、AS/400 や PC から印刷再開するページを指定して、印刷指示しないとならなくなります。

2016年12月4日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第20回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-6

一見、単純に見えるインク・リボンですが、実は、なるべく永く使えるようにするための工夫が施されています。

1. リボンの生地の表も裏も使う
インク・リボンは、印字ヘッドのピンに叩かれ続けていますので、徐々に生地が弱くなっていきます。ピンがインク・リボンの両面を叩く構造とすることで、より長時間使用することができるようになります。
"メビウスの輪"という言葉を聞いたことがないでしょうか ? メビウスという数学者が発見したため、この名前が付いたとのことですが、身近なところでは、リサイクルのマークに使われています。
リサイクル・マーク
リボンの端を繋げて輪の状態にする際に、片方の端を表裏逆にして、もう片方の端と繋げるとできるものです。
できた輪の上にペンで線を書いていくと、いつの間にか表と裏の両方に線が書かれた状態となって、書き始めのところと繋がることが分かります。

インク・リボンもこの原理を使って、非常に長いリボンの端を繋げる時に、片方の端を裏返すことで、印字ヘッドのピンは、リボンの表裏、両面を叩くことになります。
ただし、インク・リボンが正しく送られるために、インク・リボンはプリンターの中で、直立した状態でいますので、途中のどこかで、表裏が逆になる部分が必要になります。
それが、インク・リボンの途中に付属する黒いプラスチック製の、次のような部品です。
インク・リボンのメビウス

マニュアルの中では、図のように"メビウス"と呼んでいますが、メビウスの部分をサポートする部品という意味です。

2. リボンつなぎ目スキップ
インク・リボンのつなぎ目部分は、次のように斜めに切られた端を接着しています。運が良ければ、詰め替えリボンを交換する時に、その部分が表に出ているのを目にすることができます。生地を溶かして接着したように見えます。
インク・リボンつなぎ目

印刷する時には、この部分も印字ヘッドのピンが叩くことになりますが、何故か"5400-006"モデルにおいてだけ、叩かれたつなぎ目が用紙面側に来た時に、叩かれてできたリボンの毛羽が、用紙の表面を汚すという問題が発生しました。
(高速の"5400-L10"や、逆に低速の"5400-L02"では発生しませんでした。)
そこで、対策として、つなぎ目をメビウスにしないインク・リボンを用意し、今でも"高品質ストレート・リボン"と称して販売継続していますが、当然、寿命はメビウスのものより短くなります。
根本的な対策は、後継機である"5400-L06"モデルで実現しています。
それは、上の図のように、インク・リボンのつなぎ目の部分の隣にマークを付け、そしてプリンター本体に、そのマークを読み取るセンサーを取り付けることによって、つなぎ目が来たことをプリンターが検知し、その部分は印字ヘッドのピンが叩かないような仕組みを取り入れたということです。
"リボン・スキップ機構対応"というインク・リボンが、これです。この仕組みは、"5400-L06"の後継機である"5400-F06"でも採用されています。

以上のような経緯から、5400 用のインク・リボンには複数の種類がありますが、中速機である"5400-F06/L06"だけでなく、低速機の"5400-F02/L02"にも、この"リボン・スキップ機構対応"のインク・リボンを使うことが、印字品質の面でも、在庫の管理の面でもメリットがあると言えます。

3. インク・リボンは斜めにセットされる。
5400 プリンターを正面から良く見ると、インク・リボンは、プリンターに対して水平ではなく、右上がりに斜めにセットされていることが分かります。
プリンターに対して斜めにセットされたインク・リボン

これも、インク・リボンを永く使う、つまりインク・リボンに沁みこんでるインクをなるべく有効に使うための工夫です。
印字ヘッドがインク・リボンを叩いて印刷した文字の高さは、"5400-F10"では、180DPI(ドット/インチ)で 24 ドットですから、1 ドットの直径を 0.3mm とすると、
23 x 25.4 / 180 + 0.3 = 3.5mm
になります。
もし、インク・リボンが水平にセットされていたら、インク・リボンの幅の内、約 3.5mm の幅しか印刷に使用しないことになります。
インク・リボンが斜めにセットされることによって、次の図のように、インク・リボンの幅の大部分を印刷に使用することができるわけです。印刷に使用する幅を広くすることによって、インク・リボンの生地の痛みを分散させ、印刷に使用してインクが減った部分に、周囲からインクが滲んで補給される効率が向上します。
インク・リボンが水平の場合vs斜めの場合

2016年11月27日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第19回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-5

ライン・プリンターだけに限らず、インパクト方式のプリンターでは、"インク・リボン"を使用しますが、"インク・リボン"には、大きく分けて 2 つの種類があります。

1 つは、ラベル・プリンターや家庭用の FAX で使用される、"熱転写方式"のプリンター用のものです。
このタイプでは、フィルムの上に塗られたインクを、印字ヘッドの素子が熱で溶かし、紙に付着させます。通電され、熱を持った素子 1 つが 1 ドットに相当するわけです。
インクが溶かされて紙に付着した後の部分は、インク・リボン上にはインクは残りませんので、このタイプのインク・リボンは繰り返し使用することはできません。その分、ランニング・コストは高くなりますが、一方で、印刷後のインク・リボンを見ると、印刷した内容を白黒反転状態で確認することができるというメリット(?)があります。

もう 1 種類がインパクト・プリンターで使用される、布にインクを沁みこませたタイプのものです。印字ヘッドのピンで押された部分からインクが滲み出て、紙に付着します。インクの滲み出た後には、毛細管現象によって、周囲にあるインクが徐々に沁みこんでくるため、インク・リボンがプリンター内で 1 周して再び印字ヘッドのピンに押される頃には、既に、元のようにインクが存在する状態となっています。そのため、このタイプのインク・リボンは、繰り返し使うことができるという大きな特徴を持っています。

では、インパクト・プリンターで使用されるインク・リボンが使えなくなる、つまり寿命と判断されるのは、どのような状態になった時でしょうか ?
それには、2 つの要素があります。
1 つ目は、インク・リボンの中のインクをほぼ使いきった時です。毛細管現象で、印字に使用した部分の周囲のインクが沁みこんでくると言っても、何度か繰り返して使用しているうちに、周囲のインクも無くなってきます。つまり、最大限でも、初めにリボンに沁みこませたインクの量までしか使うことはできません。その頃のインク・リボンをプリンターから取り出して見てみると、初めは黒かったものが、灰色になっていますし、印字結果の文字も薄くなっています。
あるいは、プリンターに取り付けたまましばらく使用しないでいると、インクが乾いてきてしまい、インクとして使えなくなるということも起こり得ます。

5400 プリンターのインク・リボン・カセット
もう 1 つの要素は、リボンそのものです。リボンの生地は印字ヘッドのピンによって叩かれ続けますので、永く使っていると弱くなって、平面ではなくなり歪んできます。この頃になると、インク自体も使い切ってしまって、灰色のリボンになっているはずです。

ところで、インク・リボンの寿命はどの位ですか? というお問い合わせをいただくことがありますが、実際には、ユーザーの方が、どの程度の印字の濃さまでを良しと判断するかで変わってきますので、公開されている文字数は、目安でしかありません。

5400 プリンターでは、印刷した行数をカウントしていて、それがある数字になった時に、リボンの交換を促すメッセージを表示するようになっているのですが、その基準となる数字に対しても、50% から 200% まで、10% 刻みで変更できるようになっています。
特に、インク・リボンを使って印刷する 1 枚目にバーコードがあるような帳票の場合には、バーコードの読み取り精度を、リボン交換次期の考慮に入れる必要があります。

更にインク・リボンを納めているカセットに注目すると、カセット自体にも寿命があります。カセットの寿命を決める大きな要素は、リボン送りローラーです。5400 ライン・プリンターの"F10"、"F06"モデルでは、カセット右側に 1 組のリボン送りローラーがあります。プリンターがこのローラーを回転させることによって、インク・リボンが送られています。("F02"モデルでは、カセットは無く、送りローラーはプリンターの一部となっています。)
リボン・カセットのリボン送りローラー
プリンターを使っているとお分かりと思いますが、プリンターの内部では、印刷用紙から発生する非常に微細な紙の埃が舞っていて、プリンター内部に蓄積されていきます。その埃は、インク・リボンの表面にも付着しますので、インク・リボンと常に接しているリボン送りローラーにも付着していきます。それが徐々に積み重なっていくことや、ローラーの材料である樹脂自体の劣化によって、インク・リボンを正しく送ることができなくなってきます。
そこで、5400 プリンターでは、詰め替えリボンを 10 回、交換したらカセットも新しいものに交換するようにガイドされています。

2016年11月19日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第18回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-4

前回は、印字ヘッドと用紙表面の間隔は、適切な印刷結果を得るために、非常に重要な要素となっていることをお話しました。
もう少し細かい注意を追加しておきたいと思います。
  • 用紙厚(印字圧)調整レバーの横の目盛りに書かれている数値は、用紙の複写枚数ではありません。
5400-F06マニュアルより用紙厚(印字圧)設定レバー
用紙厚調整レバーの横に目盛が付いています。"1"から始まる数値が書かれていますが、これを複写枚数と誤解されて、2 枚複写の時には "2" に合わせたため、印字結果が薄くなってしまったというケースを聞いたことがあります。このレバーは、印字ヘッドとプラテンの間隔を調節するものですから、用紙の複写枚数も重要な要素ですが、最も大きな決め手は用紙全体の"厚さ"です。

同じ 2 枚複写の用紙でも、薄い用紙と厚い用紙では、全体の厚さが異なりますから、当然、レバーの値も変わります。この目盛は、あくまでも"目安"であることにご注意ください。


5400-F06マニュアルより複写枚数とレバーの値









  • 5400-F06 プリンターでは、用紙厚設定レバーを、"1+1/3"よりも大きな値に設定すると、自動的にコピー強化モードになります。
5400 ライン・プリンターのシリーズ 3 モデルの中で、"F06"モデルと"F02"モデルには、新しい機能の一つとして、印刷速度をほぼ変えずにコピーの濃さを濃くする"コピー強化モード"があります。ドット・プリンターも含めて、印字結果の濃さを濃くするための"コピー強化モード"と言うと、通常は同じ行を 2 回繰り返して印刷する方式になりますが、それでは印刷に要する時間は 2 倍になってしまいます。つまり、印刷速度が 1/2 になったのと同じことです。

"F06"モデルは、コピー強化に 3 つの方式があり、それらを組み合わせて 5 種類のコピー強化のレベルを選択できます。3 つの方式とは、次のとおりです。

1. 印字力のみを強くする。
印字ヘッドのピンが押す力をより強くする方式です。この場合、印刷速度は、ほぼ変わりません。標準では、用紙厚設定レバーが"1+1/3"よりも大きな値のセットされた時に、複写用紙が使用されるとして、自動的にこのコピー強化モードになります。そして、操作パネルの"コピー強化"ランプが点灯します。
なお、自動的にコピー強化モードにする必要が無い場合には、初期設定メニューの中の”複写紙濃度優先"を"しない"に変更します。
逆に、この方式では印字の濃さが不十分な場合には、初期設定メニューの中の"コピー強化"のレベルを"1"以外のレベルにセットします。

2. 同じ行を繰り返し 2 回印刷する。
同じ行を 2 回印刷しますので、印字の濃さは上記の "1" よりも濃くなりますが、印刷所要時間は 2 倍掛かります。

3. 印字ヘッドのピンのストロークを伸ばす。
印字ヘッドのピンが用紙を押す時の距離を長くする、つまり、ピンが用紙を押す時間を、標準よりも長くする方式です。これによって、幅が異なる用紙を含む複写用紙への印刷でも、均一な濃さが得られることも期待できます。
ただ、印刷速度は少し遅くなります。例えば、通常速モード、410 行/分は、328 行/分になります。

5 種類のコピー強化のレベルは、数値が大きくなるほど、印字濃度は濃くなりますが、その時の印刷速度との関係は、"通常速(410 行/分)"においては、次のとおりです。

・レベル1(印字力強化)                410行/分
・レベル2(二重印刷)                   205 行/分
・レベル3(印字力強化+二重印刷) 205 行/分
・レベル4(長ストローク印刷)         328 行/分
・レベル5(長ストローク+二重印刷) 164 行/分

レベル1で必要な印字濃度が得られることが望ましいのですが、それでは不十分な場合には、なるべく印刷速度を落とさずに、必要な印字濃度が得られるコピー強化レベルを選択する必要が出てきます。

ちなみに、他のモデルはどのようなコピー強化モードがあるでしょうか ?

"F02"モデル(通常速(150 行/分)"の場合)

・レベル1(印字力強化)                150 行/分(用紙厚設定レバーの値が、1.5以上の場合)
・レベル2(二重印刷)                     75 行/分
・レベル3(印字力強化+二重印刷)   75 行/分

"F10"モデル(通常速(600 行/分)"の場合)

・二重印刷                                300 行/分・段差紙                                   480 行/分
・二重印刷 + 段差紙                   240行/分

次回は、インク・リボンのお話です。

2016年11月13日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第17回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-3

4. 用紙厚(印字圧)設定レバーの設定

ライン・プリンターに限らず、インパクト・方式のプリンターを使用する上で、印字ヘッドと用紙の間隔を正しくセットすることは、非常に重要です。
操作員側から見て、印字ヘッド、インク・リボン、リボン・シールド、用紙、プラテンという順で並んでいます。
プリンター右側面から見た配置
"リボン・シールド"は、インク・リボン全体が用紙に接触して用紙をインクで汚すことが無いように、印字ヘッドのピンが通る箇所のみ、穴が開いています。
"プラテン"は、タイプ・ライターの時代から使われていた言葉のようですが、印字ヘッドが用紙を叩く時の受けの役割を持つものです。ドット・プリンターでは、硬質ゴムを使った円筒形のものもありましたが、ライン・プリンターでは金属のバーになっています。


用紙厚設定レバーは、この印字ヘッドとプラテンの間隔を調整するもので、5400-F06 と 5400-F02 では、プリンター内部の左側にあり、5400-F10 では、右側にあります。この間隔を広げすぎると、印字が薄くなってしまいます。


5400-F06印字圧(用紙厚)設定レバー
5400-F10印字圧(用紙厚)設定レバー
















複写用紙の場合は、1枚目はインク・リボンのインクを使って印刷されますが、複写される2枚目以降の用紙には、紙に付いているカーボンが押されて印字されます。どちらも、印字ヘッドのピンに押される力が小さいと、印字が薄くなってしまいます。

ちなみに、複写用紙には2種類あって、1つ目は"ノン・カーボン紙"、または"自己発色紙"と呼ばれるもの、もう1つは、"裏カーボン紙"です。
前者は、中にインクが入った、目には見えない大きさのカプセルが用紙の表面にコーティングされていて、圧力を受けるとカプセルが壊れて、中のインクが紙の表面に付着するという仕組みです。見た目は、普通の用紙と変わりませんが、爪などで引っかいてみると、インクの色(青色のものが多いようです。)が現れます。少し高価ですが、レーザー・プリンターでも使用できるカット紙も販売されています。
後者は、用紙の裏に、多くの場合、黒色のカーボン・インクが塗られているものです。"ノン・カーボン紙"に比べて、複写の濃さが濃くなるため、宅配便の伝票のように複写枚数の多いものに使用されています。プリンターで対応できる複写枚数と全体の厚さには限りがあるので、複写枚数の多い用紙では、1枚1枚の用紙の厚さが薄めになっています。そのため、裏カーボンの塗られている箇所は、表から見ても黒っぽく見えます。

一般的には、操作員のかたは、少しでも印字を濃くするために、どうしても間隔を狭くセットする傾向が強いのですが、では、狭すぎるとどのような問題が発生するでしょうか?
印字ヘッドと用紙の間隔が狭くなって印字ヘッドが用紙を圧迫するようになれば、
  • インク・リボンが動けない
  • 正しく用紙送りができない
  • 紙ホチキスを使っている用紙の場合、リボン・シールドを傷めやすい
ことになります。
先ず、インク・リボンが動けなくなるとどのような現象になるでしょうか?
印字ヘッドは、インク・リボンの同じ部分のみを使って印刷することになりますので、印字が急速に薄くなります。そして、それに気づかずに印刷を続けると、しまいにはインク・リボンが破れてしまいます。実際には、その前にプリンターがエラーを検知して止まりますが、しばらくは複写用紙の1枚目のみ、印字が薄くなった(2枚目以降は、圧力で印刷しますから、インク・リボンの薄さの影響は受けません。)状態が続くことになります。

次に、用紙送りが正しくできないことは、どのような問題を起こすでしょうか?
ライン・プリンターは、1行印刷したら、1行分用紙を送って次の1行を印刷するという動作を続けていますから、印字ヘッドが用紙を押さえつけていると、印刷後の1行分の用紙送りができないため、同じ箇所に2行を重ねて印刷したり、縦方向の印字位置ずれを起こしたりすることになります。

複写用紙では、用紙がバラバラにならないにし、かつ、後で分けやすくするため、紙ホチキスを使って止めているものが多くあります。
幅が 15 インチよりも狭い複写用紙では、紙ホチキスの折り返し部分が、リボン・シールドの印字ピンが通る穴に引っかかって、しまいにリボン・シールドを破いてしまい、その破れた部分が用紙を破って用紙ジャムを引き起こすという現象も、実際に起きています。

では、正しい設定はどのようにしたら良いでしょうか?
印字の濃さが読める範囲で、なるべく印字ヘッドと用紙の間隔を広くするということになりますが、言うは易く行なうは難しです。そこで、このような考え方で設定するのは、如何でしょうか?
所謂、"応用用紙"とか"コンピューター用紙"と呼ばれる、1枚もので、15 x 11 インチ・サイズの連続用紙は、どこのお客様でもお持ちと思います。この用紙は、通常"55kg"と呼ばれる厚さですが、この用紙を 5400 プリンターにセットして、用紙厚設定レバーを"1"にセットします。
トラクターから用紙を外して、プリンターの紙送りの速さと同じ位の速さで、用紙を手で引っ張ってみると、抵抗を感じるはずです。
用紙引き上げ力によるギャップ調整
この時の抵抗(重さ)を覚えておいて、実際に使用する複写用紙をセットした際に、同じ位の抵抗(重さ)で用紙を引き上げられるように、用紙厚設定レバーの値をセットします。
後は、この値を中心に、上下に少し変えて印刷してみた上で、最終的な値を決めるという方法です。
逆に、一旦セットした後で、用紙をトラクターから外して、手で引き上げて抵抗をチェックすることで、間隔が狭すぎていないかをチェックすることもできます。

2016年11月6日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第16回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-2

3. 用紙先端の位置合わせと用紙長さの関係
前回お話したように、用紙の上下方向の印刷位置は、印刷するアプリケーション側での上余白の設定と、用紙をセットする時の先端位置によって決まります。
5400-F06 モデルや、5400-F10 モデルでは、用紙の先端の位置を決めるための"基準"として、用紙送り用のトラクターの上にあるステンレスのガイド板に、"ライン・スケール"という白いラベルが貼ってあって、目盛が付いています。
5400-F06 のガイド板とその上のライン・スケール
目盛には、"8"、"9"、"10"、"11"、"12"があって、それぞれ用紙 1 ページの長さ(インチ単位)に合わせるようになっています。つまり、1 ページの長さが 11 インチの連続用紙の先端を"11"に合わせてセットすると、用紙の 2 枚目から上下方向に正しい位置に印刷を開始するということです。

なお、5400-F02 の場合は、ステンレスのガイド版にライン・スケールのラベルがありません。トラクターに付いている三角マークに、用紙の初めのミシン目を合わせてセットしてから、"先頭行/入力"スイッチを押すと、印刷データに含まれる用紙長の値を元に、プリンターが自動的に、用紙を必要な分送ってから印刷開始するという方式になっています。

ただ、実際には、どのモデルでも、それだけでは上下方向に、多少のずれが発生する場合があるので、一旦セットしてから、操作パネルの上下"微調"スイッチを押して用紙の先端の位置を調整します。
用紙をセットする時に、毎回、上下に調整するのが面倒なお客様は、ライン・スケールの上に先端位置を手書きで書き込んでいらっしゃいます。(その場合は、左右の調整用の目盛りも書きこんでいます。)
5400-F02 でも同様に、ステンレスのガイドにシールを貼って、用紙の位置合わせ用のマークを付けて使用しているお客様もあります。

ここで、"用紙の長さ"についてお話ししたいと思います。
5400 シリーズのプリンターの仕様として、用紙の長さは、8 インチから 12 インチとなっています。しかし、連続用紙用のプリンターですから、用紙の長さに制限があるのは、おかしいという考え方もできます。
用紙の長さの制限はどこから来るかと考えた時に、最も大きな要素は、印刷後の用紙の"スタッキング"であると思います。
ライン・プリンターでは、印刷後の用紙は、プリンターの背面に折りたたまれてスタッキングされていきますが、印刷される前の状態でのミシン目の山と谷と同じに合わせて折りたたまれていかないと、ミシン目で折りたたまれず、印刷終了後にたたみ直さないとならないという面倒な状態になります。
それを防ぐには、印刷開始後の数ページは、操作員がプリンターの背面に移動して、正しくたたんでおくことが必要です。
そして、その後も、用紙が正しくたたまれ続けるのに大きな役割を果たしているのが、プリンターの背面のカバーと、内部にセットした"リア・フェンス"と呼ぶ、太い針金のガイドです。背面のカバーとリア・フェンスに用紙がぶつかって、用紙が折りたたまれていくわけです。
印刷後の用紙のスタッキング
ところが、12 インチ以上の長い用紙を使おうとすると、背面のカバーを開けないとならなくなりますので、正しくスタッキングされません。逆に、8 インチより短い用紙を使おうとすると、リア・フェンスの位置を背面のカバーにどんなに近づけても、間隔が 8 インチよりも長くなってしまい、やはり正しくスタッキングされません。

ご注意いただきたいのは、ここで言っている"用紙の長さ"とは、"山と谷のミシン目の間隔"、つまり、"折り目の間隔"を指しているということなのですが、お分かりでしょうか?
例えば、1 ページの長さが 4 インチの場合でも、2 ページ分、つまり 8 インチ単位で折り目が付いているのであれば、8 インチの長さの用紙として、セットすれば良いわけです。印刷データは、1 ページの長さが 4 インチとして設計してあれば、"改ページ"スイッチを押した時には、4 インチ分、用紙が送られます。
ただし、用紙の先端を"8"に合わせることになりますから、初めの 2 ページ分は、印刷できないことになります。

2016年10月30日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第15回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-1

事前準備が完了しましたので、実際にライン・プリンターを使って印刷してみます。
初期設定の完了したプリンターに対して、先ず必要なことは、用紙とインク・リボンのセットです。付属のマニュアルを良く読んでいただくことが重要ですが、ここでは、ポイントを絞ってお話したいと思います。

印刷用紙のセット

印刷用紙をセットする際に、基本として理解しておいていただきたい点がいくつかあります。

1. 印刷用紙の1枚目には、印刷できません。
ライン・プリンターでは、図のように、用紙送りを行なう"トラクター"は、印刷を行なう印字ヘッドよりも後ろにあって、用紙を引っ張るようにして送っています。そのため、用紙の1枚目には、どうしても印刷できません。それは、ライン・プリンターを使用するほど、同じ用紙を使った印刷量の多いお客様では、多くの場合、受け入れていただいているようです。
5400-F06 用紙と印字ヘッドの位置関係
しかし、用紙を架け替えながら印刷することの多い場合には、印字ヘッドよりも手前にトラクターがある、5577 シリーズのようなドット・プリンターの方が、1枚目から印刷できる点では、お勧めと言えます。ライン・プリンターでもドット・プリンターと同様に、印字ヘッドの前にトラクターがあって、用紙を送り込む機構にすれば良いのではと思いますが、残念ながら、これは実現していません。

2. 印刷可能な 1 桁目の位置は固定です。
Windows のアプリケーションからレーザ・プリンターに印刷する場合、用紙は用紙トレイにセットするだけで、全体の印刷位置、つまり上余白と左余白の調整は、アプリケーション上で行ないます。
それに対して、ライン・プリンターの場合は、アプリケーション側での調整と、用紙をセットする際の用紙の先端と左トラクターの位置の組み合わせによって、初めて用紙に対する印刷位置が決まります。
5400 プリンターの印字ヘッドの上にあって、インク・リボンを着脱する際に手間に開く、"スケール・カバー"の上に"印字位置スケール"があります。これには、" 1 桁目"から、" 136 桁目"までの目盛が付いていますが、正にこの" 1 桁目"が、プリンターが印刷できる最も左寄りの位置を表わしています。
5400-F06 印字位置スケールのある場所
それは、用紙が左右方向のどの位置にセットされていても、プリンターはこの位置よりも左からは印刷できないことを表わしています。そのため、プリンターが印刷する位置に合わせて、用紙をセットする位置を調整しないとならないということになります。
例えば、金額欄の中に、3 桁毎の区切りの縦罫線が入っている事前印刷用紙を使用する場合、用紙の横方向のセットには、微妙な調整が必要です。そのような場合には、トラクターの位置で大よその位置を決めた後、トラクターのシャフトの左右の端にある、青色で丸型の微調整用のダイヤルを回すと、更に細かい微調整ができて、ぴったりの位置に印刷できます。
用紙左右微調整用ノブの位置

あるお客様の事例では、幅の広い事前印刷のある用紙に印刷しようとして用紙をセットしたところ、用紙を右端を可能な限り右に寄せてセットしても、まだ左余白が大きい、つまり、1 桁目の印字位置をもっと左に寄せなくては、事前印刷の罫線と合わないということが明らかになりました。
印刷するデータとしては、プリンターの 1 桁目から印刷するようにできていましたので、解決策としては、用紙の右側を 0.5 インチ削ることで、用紙を更に 0.5 インチ右に寄せてセットできるようにしました。
用紙に対する印字開始位置



2016年10月24日月曜日

ライン・プリンターの全て - 第14回- 日本語ライン・プリンターのドライバー-3

事前準備や注意点の続きです。

2. ポートの設定変更

前々回のドライバーの設定の中で、ポートには"標準 TCP/IP プリンター ポート"を選択しましたが、実際には、2015年6月22日の"繰り返し印刷とポートの設定"の回でお話したように、繰り返し印刷が発生する可能性があります。特に、サイズの大きなデータを印刷する場合や、印刷中に発生した用紙切れや用紙ジャムに対して、操作員が気づくまで時間が掛かって、すぐに対処できないことが多いような場合には、発生する可能性が高くなります。
そのため、対策としては、2015年7月1日の"繰り返し印刷の対策"でお話した方法で、LPR ポートへ変更した上で、レジストリーを編集して、ポートのタイムアウト値を大きくする、ポートの使用数の制限を外すことが必要です。タイムアウト値をどの程度の値に変更すれば良いかは、プリンターの使用環境によって異なりますが、例えば、用紙切れに気づいて新しい用紙に架け替えるまでの時間を考えると、30分程度が、一つの目安になるかと思います。大きな値にしても悪影響は無いので、大き目の値にしておけば安心と言えます。

3. 印刷速度の設定

5400 プリンターの印刷速度には、通常速モードや高速モード等があり、操作パネルや Web ページで設定できます。また、初期設定メニューで選択しておくと、電源を入れて起動した時の印刷速度を決められます。AS/400 から Telnet5250 を使った印刷では、この印刷速度が有効ですが、Windows からの印刷では、ドライバーのプロパティで指定した印刷速度が優先されます。これは、ドライバーが印刷データの前に、印刷速度を指定するコマンドを付けてプリンターに送信するからです。
その原理を理解すると、例えば、Windows から印刷指示を行なって、プリンターが印刷を始めた直後に、操作パネルで印刷速度の設定を変更すると、その後は変更後の印刷速度で印刷されるという使い方ができてしまうことが、分かると思います。つまり、ドライバーから送信される印刷速度設定コマンドは、初めの1回だけなので、その後、操作パネルから変更されたら、そちらが有効になるという意味です。
5400 ドライバーで印刷速度を設定するには、プロパティの中の"拡張設定"画面の中で選択します。
5400 ドライバー拡張設定画面

4. 印刷の取り消し

例えば、間違った用紙を掛けて印刷指示したことに印刷中に気づいた場合など、印刷を取り消したい場合があります。そのような場合に、操作パネルに"印刷取消"スイッチがあるので、"印刷中断"スイッチを押して印刷を止めてから、"印刷取消"スイッチを押すのですが、"印刷"スイッチを押すとそのまま印刷は続いてしまうので、どうしたら途中で印刷を取り消せるかというお問い合わせをいただくことがあります。
実は、"印刷取消"スイッチは、Telnet5250E や Twinax で AS/400 と接続されている場合に、AS/400 に対して"印刷取消要求を行なう"というためのものです。Windows からの印刷では、このスイッチが有効になることはありません。
Windows からの印刷を取り消すのは、次の手順になります。
1. 操作パネルの"印刷中断"スイッチを押して、印刷を止めます。これによって、プリンターは、Windowsからのデータの受信を受け付けなくなります。
2. Windows の"デバイスとプリンター"画面の中のドライバーを選択して、ダブル・クリックします。または、右クリックして表示されるメニューの中の"印刷ジョブの表示"を指定します。
3. 次のような画面が表示されるます。"ドキュメント名"には、アプリケーションやファイルの名前が表示されます。複数の印刷ジョブを送った時には、複数の名前が縦に並びます。(下の画面は、Windows 標準のテスト印刷を、3 回行なった時の表示)
ドライバー 印刷ジョブの表示画面
4. 印刷中のジョブは、"状態"欄に"印刷中"と表示されますので、それのみを取り消す場合には、その印刷ジョブを指定して、右クリックします。または、"ドキュメント"メニューを選択します。表示されたメニューの中から"キャンセル"を指定すると、その印刷ジョブのみを取り消しできます。ただ、この場合は、プリンターの"印刷"スイッチを押して印刷再開すると、次のジョブの印刷を始めますので、用紙の種類や先頭の位置の調整に注意が必要です。
特定の印刷ジョブの取り消し
5. そこで、確実に取り消せるのは、全ての印刷ジョブを取り消しすることです。そのためには、この"印刷ジョブの表示"画面の"プリンター"メニューをクリックして、表示されるメニューの中の"すべてのドキュメントの取り消し"をクリックします。しばらく待っても画面から印刷ジョブが消えない時には、プリンターの電源を切ります。
すべてのドキュメントの取り消しを指定
印刷の取り消しにこのような操作が必要な理由は、プリンター側の持っているデータ受信用のメモリーのサイズが小さく、2行分のデータを保存する程度の容量しかないことにあります。つまり、印刷中のデータは、ほとんどが Windows のスプーラー内にあるので、それを取り消す、つまり削除しない限りは、プリンターが印刷可能状態になった途端に、残りの印刷が始まってしまうということになります。AS/400 からの印刷でも、OUTQ の画面で、取り消す対象のスプールに対して、取り消し処理を行うのと同じことです。

次回からは、プリンターの使い方についてお話します。


2016年10月16日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第13回- 日本語ライン・プリンターのドライバー-2

Windows からの印刷を行なう場合に、事前準備や注意点がいくつかありますので、ここでまとめてお話したいと思います。

1. 用紙(サイズ)の登録

Windows では、初めから登録されている用紙(サイズ)がありますが、5400 用のドライバーや、5577 用のドライバーをインストールすると、連続用紙のサイズがいくつか追加されます。それでも、使用する用紙のサイズが、それらに含まれていない場合には、自分で定義して登録しておいて、印刷するアプリケーションからそれを指定できるようにしておく必要があります。
先ず、どのような用紙サイズが登録済みなのかを確認するには、次の手順で行ないます。
  1.  Windows のスタート・ボタン -> "デバイスとプリンター"を選択して、表示された画面で、プリンターのアイコンをどれか選択します。
    デバイスとプリンターの画面
  2. そうすると、上に表示されるメニューに"プリント サーバー プロパティ"が現れますので、それをクリックします。そうすると、次のような画面が表示されます。
    プリント サーバーのプロパティ画面
  3. この画面では、"用紙"の他に"ポート"や"ドライバー"等のタブが表示され、この PC が持っている印刷関係の様々な情報を管理していることが、分かります。つまり、"用紙"は、個々のプリンター・ドライバー毎に管理しているものではなく、PC 上で一括で管理しているということです。登録されている用紙は、上半分にあるリストで確認できます。例えば、"15x11インチ帳票(13.2")"と表示された用紙を選択すると、下の図のように、画面の下半分に、用紙の"幅"、"高さ(長さ)"と、上下左右の各余白の値が表示されます。表示する値は、センチ・メートル単位の値か、インチ単位の値かを選択できます。なお、"15x11インチ帳票(13.2インチ)"は、用紙の横の長さが 15インチ、縦の長さが 11インチで、1行の長さ(幅)が 13.2インチという意味です。
    15x11インチ帳票(13.2インチ)用紙の設定値
  4. 登録されていない用紙を追加するには、この画面の中ほどにある"新しい用紙を作成する"にチェックを入れます。例えば、"9x10インチ"の用紙を登録する場合には、"用紙名"欄に"9x10インチ"(他の用紙名と重ならない任意の名前)と入力し、用紙の縦、横、上下左右の余白の値を指定します。連続用紙の場合は、通常、サイズをインチ単位で表わしますので、サイズの指定には"ヤードポンド法"を選択します。設定後は、必ず"用紙の保存"ボタンを押してから、"閉じる"ボタンを押します。
用紙の登録は、以上で完了ですが、ライン・プリンターやドット・プリンターで連続用紙を使用する際には、次の注意が必要です。
  • 用紙名の中の同じサイズの用紙に対して、"余白なし可能"と付いているものと付いていないものがあります。"余白なし可能"と付いているものを選択して、用紙サイズの値を見ると、左と上下の余白は、"0"となっています。それに対して"余白なし可能"と付いていないものの方は、左と上下の余白は"0.25インチ"となっています。これは、連続用紙の各ページの境界(ミシン目)は、特に複写枚数の多い用紙の場合、ゴワゴワと硬くなっているため、印刷品質が悪化することが多いことから、プリンターとしてはその部分への印刷を推奨していないことに起因しています。しかし、実際には、そのような部分まで印刷する必要がある帳票は多く、印刷データが存在します。その場合、"余白なし可能"の用紙を選択しておかないと、ドライバー側でミシン目の上下、各 0.25インチの幅で印刷データが生成されず、文字が抜ける、欠けるといった現象につながります。もし、印刷結果にそのような現象が現れていたら、どの用紙を指定したかを、先ず、チェックしてください。
  •  同様に、15インチ幅の用紙では、同じ用紙サイズでも、"(13.2")"と付いたものと、"(13.6")"と付いたものの 2種類があります。これは印刷可能な横幅の最大値の違いを表わしています。"(13.6")"の場合は、横幅最大 13.6インチの幅まで印刷可能という意味で、13.2インチ幅以上に印刷する必要がある場合に選択します。ここで、注意しないとならないのは、プリンター側の初期設定値も、最大印刷幅を"13.6インチ"に変更しておく必要があるという点です。コンピューター・システムの創世記から、標準の最大印刷幅は、13.2インチとなっているため、プリンターのデフォルトの設定は、13.2インチです。そのままでは、Windows上の用紙サイズで(13.6")を選択して印刷させても、13.2インチのところで、印刷イメージは切られたように印刷されてしまいます。(通常の Windows アプリケーションからのドライバー印刷では、印刷データはイメージになりますので、13.2インチからはみ出た部分は、削除されます。) 右端が切り取られたような印刷結果になってしまった場合には、Windows 側で選択した用紙が、(13.6")付きになっているか、プリンターの初期設定の最大印刷幅が、13.6に設定されているかをご確認ください。

2016年10月10日月曜日

ライン・プリンターの全て - 第12回- 日本語ライン・プリンターのドライバー-1

前回までの初期設定で、プリンターは、Windows から LAN 経由の印刷もできるように準備できましたので、今回は、Windows 側のドライバーの導入と、設定に関してお話します。
5400 プリンターにおいて、Telnet5250E を使った直結印刷と共存できる LPR 印刷は、印刷データ形式として "5577 形式"が前提になっています。"5577 形式"の印刷データを生成できるWindows のプリンター・ドライバーには、次の2種類があります。
  • 5577 シリーズ用のドライバー
  • 5400 シリーズ用のドライバー
両者の違いは、主に次のようになります。
  1. 対象となるプリンターの仕様の違い、例えば、給紙方法の種類、印刷速度のモードの種類に対応して、ドライバーで選択できるメニューが異なります。
  2. 前者は、マイクロソフト社が用意している"ミニ・ドライバー"を元に作られていて、プリンター製造元の JBAT 社で保守されています。一方、後者は、IBM 時代にオリジナルに開発されたもので、現在ではリコージャパン社で保守されています。
大きく見れば、どちらも 5577 モードの印刷データを生成することに違いはありませんので、5400 プリンターにどちらのドライバーを使用しても、基本的には同じ印刷結果が得られるはずです。

余談ですが、5577 シリーズのドライバーには、5577 シリーズのモデル名(例えば、W02、D05 など)が付いているので、5400 プリンターには、どのモデル名のものを選択するのが良いかというお問い合わせをいただきますが、モデル名によって接続先のプリンターのチェックを行なうわけではありませんし、生成される印刷データの内容が変わるわけではありませんので、モデル名は全く気にする必要はありません。

ただ、ドライバーを使った印刷の場合、印刷速度のモードを指定するコマンドが初めに送信されますので、5400 プリンターの操作パネルの印刷速度の表示と同じ名前のモードをドライバーで指定するには、5400 用のドライバーの方が適していると言えます。

そこで、ここでは、5400 用のドライバーをインストールして、設定する手順をお話します。
  1. 5400 用のドライバーの最新版を、こちらからダウンロードします。(表では、Windows のバージョンや、5400 のモデル名によって分かれていますが、ダウンロードするファイルは同じです。)
  2. ダウンロードしたファイルは zip 形式になっていますので、2回続けてクリックすると次のようなフォルダーとファイルが現れます。
    5400ドライバーのダウンロード・ファイル
  3. この中の"README.TXT"にインストール手順が詳しく記載されていますので、そちらを読んでいただくのが良いのですが、ここではその中の"インストール・プログラムを使ってインストールする"を行います。なお、どのドライバーでもそうですが、管理者グループ(Administrators)に属するユーザーとして、Windows にログオンして、行なってください。
  4. 上記ファイルの中の"SETUP.EXE"をダブル・クリックして、そのまま実行します。次のような画面が現れますので、"次へ"ボタンを押します。
    SETUP.EXEを実行した後の画面
  5. 次に、インストールするプリンターのモデル名を指定する画面が表示されます。併せて、PC 上に表示するプリンターの名前(任意)や、"通常使うプリンター"にするかどうかも、指定できます。
    モデル名、プリンターの名前を指定する画面
  6. 次に、プリンターが使用するポートを選択する画面が表示されます。ここでは、"新しいポートを作成する"を指定した上で、"Standard TCP/IP Port"を選択して、"次へ"ボタンを押します。
    Standard TCP/IP Portを選択する画面
  7. 次のような「標準 TCP/IP プリンター ポートの追加ウィザード」という画面が表示されますので、そのまま"次へ"ボタンを押します。
    ポートの追加ウィザードの開始画面
  8. 次のような画面が表示されますので、"プリンター名またはIP アドレス"欄に、5400 プリンターに設定した IPアドレスを入力します。なお、"ポート名"は自動的に入力されます。
    IPアドレスの入力画面
  9. 次のような"ポート情報の追加"画面が表示されますので、"デバイスの種類"に"カスタム"を選択して、"設定"ボタンを押します。
    ポート情報の追加画面
  10. 次の"ポート・モニター構成"画面で、先ず"プロトコル"を"LPR"に切り替えてから、"LPR 設定"欄の"キュー名"に"lp1"(半角小文字で、エル・ピー・いち)を入力し、"LPR バイトカウントを有効にする"にチェックを入れて、"OK"ボタンを押します。ここで、"lp1"は、5400 プリンター内の LAN カードに固有の値です。また、"LPR バイトカウントを有効にする"にチェックを入れることにより、Windows が印刷データをプリンターに送信する際に、Data File に正しいデータ・サイズを付加するようになりますので、これらの設定は重要です。(繰り返し印刷とポートの設定をご参照ください。)
    ポート・モニター構成画面
  11. 上記"9"の画面に戻りますので、"次へ"ボタンを押します。次の画面が表示されますので、"完了"ボタンを押します。
    ポートの追加ウィザード完了画面
  12. 以上で必要な情報が設定されると、それまで指定した"ドライバー名(モデル名)"、"プリンター名(任意)"、"ポート"が表示された、次の画面が表示されますので、"完了"ボタンを押します。ドライバーのインストールが開始され、途中、"正しくインストールされなかった"というメッセージが表示されますが、"正しくインストールされました"を選択すれば、インストールは完了します。
    ドライバー・インストール開始画面

2016年10月1日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第11回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-3

前回までの設定で、5400 ライン・プリンターを 1 台の AS/400、若しくは 1 つの LPAR にTelnet5250E で接続することはできましたが、例えば、それだけでは印刷量が少ないため、プリンターを有効活用するために、他の AS/400 や LPAR からの印刷にも使用したいというご要望は多くあります。1 台の 5400 ライン・プリンターに、複数の AS/400 から印刷させるために最も簡単な方法は、PC 上に接続先の AS/400 や LPAR に対応した複数のプリンター・セッションを立てて、プリンター・セッション経由の印刷とする方法です。しかし、プリンター・セッション経由の印刷では、かつてお話したように
  • PC に電源が入っていないと印刷できない。
  • APW のバーコード・パラメーターや大きな倍率の文字拡大は、コマンド変換されないため無効になる。
といった制約があります。
そこで、 1 台の AS/400(LPAR) からの印刷が多く、他の AS/400(LPAR) からの印刷は少ないようでしたら、1 台の AS/400(LPAR) からの印刷は Telnet5250E で接続した直結印刷とし、他の AS/400(LPAR) からの接続は、プリンター・セッション経由とするという接続方法が考えられます。
Telnet5250E と LPR5577を使った接続

その時には、どちらの AS/400(LPAR) から印刷操作を行なっても、そのまま印刷してほしいものですが、5400 ライン・プリンターの初期設定では、インターフェイスに Telnet5250E を選択すると、PC から LAN 経由で印刷させるための LPR ポートは同時に使用できません。(PC とパラレル・インターフェイスも接続できません。)
そこで、5400-F10/F06/F02 では、Telnet5250E 接続と LPR 印刷が、自動切換え(共存)できるようになりました。
初期設定を Telnet5250E と LPR の自動切換えにするのは、プリンターの操作パネルからはできません。前回までお話した Web ページを使った設定になります。
Telnet5250/LPR5577使用不可の状態
  1. Web ページにアクセスして、管理者モードに変更したら、左サイドのメニューの中の"プリンター設定"、そしてその子供メニューの"インターフェース・ポート"を選択します。
  2. 上のイメージの画面が表示されますので、"Telnet5250/lLPR5577 インターフェース"を、"使用可"に変更します。
  3. その結果、次のように"インターフェース・ポート"のメニューに"Telnet5250/LPR5577"が追加されますので、それを選択したら、"送信" -> "再起動"です。
Telnet5250/LPR5577使用可の状態

なお、"Telnet5250/LPR5577"の下に"Telnet5250/LPR5577 切り換えタイムアウト"として"5秒"が設定されています。これは、Telnet5250E 接続された AS/400(LPAR) からの印刷が終了した後、同じ AS/400(LPAR) から5秒間、印刷データが送信されなければ、LPR ポートからの印刷も受け付ける、あるいはその逆の順という意味です。このようなタイムアウト値があるということは、Telnet5250E 接続で印刷している途中で、LPR ポートを通した印刷データが送信されてきても、Telnet5250E 接続の印刷の途中に割り込まれることが無いようにできていることを、意味しています。同時に、Telnet5250E 接続の印刷が完了してから、LPR ポート経由の印刷が始めるまでには、5秒間待つ必要があるということも意味しています。
タイムアウト値を小さくすれば、切り換えの待ち時間を短くすることができますが、その時には、印刷データの送信完了まで、印刷データ送信が途中で途切れることが無いという条件が厳しくなります。
Telnet5250E とLPR の自動切換えで注意が必要な点は、他に、次のようなものがあります。
  • LPR ポート経由の印刷は、5577 モードのみで、ESC/P モードには対応していません。
  • Telnet5250E 接続の場合、外字は、予めプリンターにダウンロードした文字が使用されますが、LPR ポートを通したプリンター・セッション経由の印刷では、PC の持つ Windows 外字を使用します。
  • Telnet5250E 接続で AS/400 と接続された状態になっていないと、LPR ポート経由の印刷もできません。

2016年9月22日木曜日

ライン・プリンターの全て - 第10回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-2

プリンターがネットワークに接続できたら、同じネットワークに繋がっている PC でブラウザーを起動します。(ブラウザーの種類は何でも構いません。)

1. 起動したら、アドレス欄に、5400 プリンターに設定した IPアドレスを入力して、読み込みを行ないます。次の画面が表示されますが、この画面は、5400 プリンターが持っている、所謂ホームページで、操作パネルの液晶ディスプレイに表示されているメッセージや、各種のランプの点灯状態を表わしています。(ここでは、接続先の AS/400 の設定前であるため、"ホストシステム ト セツゾクサレテイマセン"というメッセージが表示されていることが分かります。)
そのため、プリンターの設置場所に行かなくても、PC から、操作パネルの状態を確認したり、設定を変更することができます。しかし、ホームページですから、次のような限界はあります。

5400 Web ページ

  • 画面のスイッチを押すことはできません。つまり、遠隔操作は行なえません。
  • 最新の状態を表示させるには、PC のキーボードの F5 キーを押すなどして、再読み込みを行なう必要があります。
2. 左サイドのメニューの中の"アクセス・モード"の"管理者"をクリックすると、管理者としてアクセスするための、ユーザー ID とパスワードの入力を求められます。それらの工場出荷値は、プリンターのマニュアルに記載されています。入力すると、"アクセス・モード"は"ユーザー"に変わり、初期設定の変更を行うことができるようになります。(表示と権限が逆のように見えますので、ご注意ください。)
ユーザーIDとパスワードの入力画面
3. 左サイドのメニューの中の"プリンター設定"をクリックすると、その子供のメニューが表示されますので、その中の"-Telnet5250"をクリックします。
プリンター設定->Telnet5250を選択
4. 表示される"Telnet5250設定"の画面の上半分では、操作パネルではスイッチを使って設定する設定の内、SCS コマンドの処理に関するメニューと同じものが、表示されます。
SCS 設定メニュー









 5. 同じ画面の下半分に、これから設定を行なう"Telnet5250"設定のメニューが表示されます。注意点は次のとおりです。
  • 接続先の AS/400 は 2 台登録できます。しかし、実際に使用するには、どちらか 1 台を選択します。
  • 接続先の AS/400 を登録するには、ホスト名か IPアドレスで指定します。ホスト名で指定するには、DNS(ドメイン・ネーム・サーバー)の IPアドレスも併せて登録します。
  • "デバイス名"には、AS/400 上に自動構成される印刷装置の装置記述名(そのまま OUTQ 名になります)を指定します。
  • 他の設定値は、そのままとし、変更しないでください。
設定値を入力したら、画面下にある"送信"ボタンを押します。

Telnet5250 設定メニュー
6. "送信"ボタンを押すと、"プリンター・リセット"画面が表示されます。"プリンターを再起動する"が選択された状態のまま、"送信"ボタンを押すと、その PC から、設定情報がプリンターに送信されて書き込まれ、それを有効にするために、プリンターを再起動します。
プリンター・リセット画面





7. 再起動すると、IPアドレスやホスト名で指定した AS/400 に接続に行き、設定したデバイス名の装置記述ができます。その結果、プリンターの操作パネルの液晶ディスプレイには、"ホストシステム ト セツゾクサレテイマセン"ではなく、"インサツチュウダン"が表示されるはずです。
操作パネルの"印刷"スイッチを押せば、いつでも印刷可能です。




2016年9月11日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第9回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-1

新しく購入したライン・プリンターを使える状態にするのは、次の手順で行ないます。
先ず、運送用に貼られた各部の固定テープを剥がした後、インク・リボンや用紙をセットし、電源ケーブルを取り付けます。
この時、高速モデルの"5400-F10"の場合は、電源に注意が必要です。電源スイッチを入れると、プリンターは自己診断テストを行いますが、それに合わせて、操作パネルの液晶表示部に表示される数字が、カウント・アップされていきます。しかし、途中で"マシンチェック"というエラー・メッセージが表示されたら、電源に原因がある可能性が非常に高いと思ってください。
5400_L10の電源条件(マニュアル抜粋)
"5400-F10"や"5400-L10"は、ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7 でお話したように、高速で印刷するために、印字ヘッドを 2 組持っています。電源は、通常の 100V 電源で、電源プラグもアース付きの 3 ピンのもので良く、他のモデルと同じなのですが、電流は 15A ぎりぎりまで使用することがあります。そのため、電源が蛸足配線になっていて、他の電気機器と共有していると、電圧が低下して正しく稼動できなくなるというわけです。
同じ原因で、初めの起動は完了しても、印刷中に不可解な現象が現れることもあります。

その次に、プリンターの初期設定を行ないます。
自己診断テストが完了すると、しばらくして液晶表示部に"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージが表示されます。これは、プリンターのIPアドレス等、AS/400 と接続するために必要な設定が行なわれていないことと、LAN ケーブルが接続されていないことが原因です。
そこで、LAN ケーブルの接続は後回しにして、先に必要な初期設定を開始します。AS/400 とTelnet5250E で接続するために最低限必要な設定は、次のとおりです。
  • プリンター自身のIPアドレス
  • デフォルト・ゲートウェイ・アドレス
  • サブネット・マスク
  • 接続先の AS/400 の IPアドレス
  • デバイス名(AS/400 上のプリンターの装置記述名、OUTQ 名にもなります。)
操作パネルのスイッチと液晶表示部のメッセージ例
これらの値を全て操作パネルのスイッチを使って設定するようにマニュアルに書かれていますが、もう少し簡単な方法があります。
それは、次の方法です。上の 3 点の値を設定したら、LAN ケーブルを接続します。そして、同じネットワークに繋がっている PC のブラウザーからプリンターの Web ページにアクセスして、PC から設定します。
具体的には、次の手順でネットワーク接続用の設定を操作パネルで行ないます。
  1. 初期設定スイッチを押します。->液晶表示部に"初期設定 初期設定キーでスタート"というメッセージが表示されます。(実際の表示はカタカナです。)
  2. "TCP/IP 入力キーでスタート"というメッセージが表示されるまで、初期設定スイッチを繰り返し押し、表示されたら入力スイッチを押します。(間違えて行き過ぎた場合には、"改行"スイッチを押すと、前のメニューに戻ります。)
  3. 通常、プリンターのIPアドレスは固定アドレスと思いますので、"IPアドレス 入力キーで設定"というメッセージが表示されるまで、初期設定キーを繰り返し押します。表示されたら、入力キーを押します。
  4. 工場出荷値の IPアドレス"192.168.1.4"が液晶表示部の 1 行目に表示されます。そこで、微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押して、2行目に"CLEAR"か、"BACKSPACE"を表示させます。前者を指定して入力スイッチを押すと、1 行目の IPアドレスはクリアされてブランクになります。後者は入力スイッチを押す度に、右から1 桁ずつ値が消えます。
  5. 微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押していくと、"1"から"0"までの数字と、ピリオド"."が順番に表示されますので、必要な値が表示されたら入力スイッチを押して、値を確定します。数字を 3 桁確定すると、自動的にピリオド"."が表示されますので、入力スイッチを押すだけで済みます。
  6. 最後の桁の数字まで確定できたら、"RETURN"を選択して入力スイッチを押すと、"IPアドレス 入力キーで設定"というメニューに戻ります。そこで、初期設定スイッチを押して、次のメニュー"サブネット・マスク 入力キーで設定"というメニューを表示させます。
  7. 入力スイッチを押して、後は、4 から 6 の手順を行ないます。その次のメニューは、"デフォルト ゲートウェイ 入力キーで設定"ですから、これも同じ手順で設定します。
  8. 以上の 3 点が設定されればプリンターは、LAN に接続できますので、最後に印刷取消スイッチを押します。これによって設定値がプリンター内部の不揮発性のメモリーに書き込まれ、プリンターは自動的に再起動状態になります。
再起動後もまだ、"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージは表示されますが、同じ LAN に接続された PC からはアクセス可能になりますので、この後は、PC を使って初期設定を続けます。次回は、PC からプリンターの Webページにアクセスして初期設定を行なう方法をお話します。