始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年10月30日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第15回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-1

事前準備が完了しましたので、実際にライン・プリンターを使って印刷してみます。
初期設定の完了したプリンターに対して、先ず必要なことは、用紙とインク・リボンのセットです。付属のマニュアルを良く読んでいただくことが重要ですが、ここでは、ポイントを絞ってお話したいと思います。

印刷用紙のセット

印刷用紙をセットする際に、基本として理解しておいていただきたい点がいくつかあります。

1. 印刷用紙の1枚目には、印刷できません。
ライン・プリンターでは、図のように、用紙送りを行なう"トラクター"は、印刷を行なう印字ヘッドよりも後ろにあって、用紙を引っ張るようにして送っています。そのため、用紙の1枚目には、どうしても印刷できません。それは、ライン・プリンターを使用するほど、同じ用紙を使った印刷量の多いお客様では、多くの場合、受け入れていただいているようです。
5400-F06 用紙と印字ヘッドの位置関係
しかし、用紙を架け替えながら印刷することの多い場合には、印字ヘッドよりも手前にトラクターがある、5577 シリーズのようなドット・プリンターの方が、1枚目から印刷できる点では、お勧めと言えます。ライン・プリンターでもドット・プリンターと同様に、印字ヘッドの前にトラクターがあって、用紙を送り込む機構にすれば良いのではと思いますが、残念ながら、これは実現していません。

2. 印刷可能な 1 桁目の位置は固定です。
Windows のアプリケーションからレーザ・プリンターに印刷する場合、用紙は用紙トレイにセットするだけで、全体の印刷位置、つまり上余白と左余白の調整は、アプリケーション上で行ないます。
それに対して、ライン・プリンターの場合は、アプリケーション側での調整と、用紙をセットする際の用紙の先端と左トラクターの位置の組み合わせによって、初めて用紙に対する印刷位置が決まります。
5400 プリンターの印字ヘッドの上にあって、インク・リボンを着脱する際に手間に開く、"スケール・カバー"の上に"印字位置スケール"があります。これには、" 1 桁目"から、" 136 桁目"までの目盛が付いていますが、正にこの" 1 桁目"が、プリンターが印刷できる最も左寄りの位置を表わしています。
5400-F06 印字位置スケールのある場所
それは、用紙が左右方向のどの位置にセットされていても、プリンターはこの位置よりも左からは印刷できないことを表わしています。そのため、プリンターが印刷する位置に合わせて、用紙をセットする位置を調整しないとならないということになります。
例えば、金額欄の中に、3 桁毎の区切りの縦罫線が入っている事前印刷用紙を使用する場合、用紙の横方向のセットには、微妙な調整が必要です。そのような場合には、トラクターの位置で大よその位置を決めた後、トラクターのシャフトの左右の端にある、青色で丸型の微調整用のダイヤルを回すと、更に細かい微調整ができて、ぴったりの位置に印刷できます。
用紙左右微調整用ノブの位置

あるお客様の事例では、幅の広い事前印刷のある用紙に印刷しようとして用紙をセットしたところ、用紙を右端を可能な限り右に寄せてセットしても、まだ左余白が大きい、つまり、1 桁目の印字位置をもっと左に寄せなくては、事前印刷の罫線と合わないということが明らかになりました。
印刷するデータとしては、プリンターの 1 桁目から印刷するようにできていましたので、解決策としては、用紙の右側を 0.5 インチ削ることで、用紙を更に 0.5 インチ右に寄せてセットできるようにしました。
用紙に対する印字開始位置



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