始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年1月29日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第25回 - たまにいただくお問合せ-2

Q4. 新たに導入して使用開始した"5400-F10"プリンターにおいて、不可解な問題が発生することがある。

A4. "5400-F10/L10" プリンターの電源スイッチを入れた後、順調に起動しない、一定しないタイミングで、余分に改行したり改ページしたりするという不可解な現象が発生している時は、初めに電源をチェックしてください。
ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7 の回でお話したように、"5400-F10/L10" は、高速印刷を実現するために、印字ヘッドを 2 組使っています。そして、その結果、消費電流も大きくなっています。電源の規格は、通常のものと同じく、100V/15Aとなっていますが、実際には、他の機器と同じ電源コンセントを使用していると、電圧低下の影響を受けて、初めに記したような不可解な現象を起こすことがあります。
私自身の経験として、当時本社だった六本木のオフィスにいた頃に導入、設置したばかりの "5400-L10" プリンターが、電源スイッチを入れた後、初期診断テストを繰り返すばかりで、"印刷中断"状態にならなかったことを覚えています。
初めは初期不良を懸念したのですが、最終的には、電源を壁のコンセントから直接取ることに変えて解決しました。

Q5. 5400-L02/F02/006/S06/L06/F06用インク・リボンには 3 種類あるが、それぞれどのように違うのか。

A5. ライン・プリンター用のサプライ品のホーム・ページ を見ると、次の 3 種類のインク・リボンがあることが分かります。
  • 高品質ストレート・リボン
  • リボン・スキップ機構対応リボン
  • リボン
ライン・プリンターの全て - 第20回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-6 の回でお話したように、中速ライン・プリンター"5400-006/S06"では、インク・リボンの繋ぎ目が印字ヘッドのピンに叩かれ、毛羽立ちが起きると、その面が反転して用紙側に来た時に、用紙の表面を擦ってインクによる汚れを付けるという問題が発生したことがあります。
当時は、お客様が、お客様のお客様に提出する請求書の印刷において発生したため、早急の対策が必要でした。
そこで、印字ヘッドのピンで叩かれる面が用紙側に来ないように、リボンの繋ぎ目で反転させずに接着したリボンの作成しました。それが 1 番目の「高品質ストレート・リボン」です。
インク・リボンの片面しか叩かないようにしましたので、汚れが発生しない代わりに、寿命は標準のものの半分程度になります。
この後の "5400-L06" 以降のモデルでは、繋ぎ目を叩かない機構を組み込んでいますので、このリボンを使用する対象となるプリンターは、"5400-006/S06" のみとなります。

逆に、"リボン・スキップ機構対応リボン"を使用する対象のプリンターは、リボン・スキップ機構を持つ "5400-L06/F06" ということになります。もちろん、低速機である "5400-F02/L02" に使用しても、何も問題はありませんので、例えば、それらと "5400-F06" の両方を使用しているお客様には、在庫管理が簡単になりますので、こちらのリボンを選択することをお勧めします。

Q6. 用紙の長さの仕様は、8 インチから 12 インチとなっているが、もっと短い長さ、あるいは長い長さの用紙は、しようできないのか。

A6. ライン・プリンターは、元々"連続用紙"用のプリンターです。"連続用紙"に印刷するのですから、用紙の長さに制約のあること自体が、おかしなことと言えます。
プリンターの仕様となっている用紙の長さとは、何を意味しているのでしょうか。それは、ミシン目とミシン目の感覚ではなく、用紙の折りたたみのミシン目の間隔と理解して良いと思います。
通常は、印刷データの観点からは、1 ページの長さは、ミシン目の間隔と等しくなります。
しかし、例えば、1 ページの長さが 3 インチの場合、実物の用紙としては、4 ページ毎に折りたたまれるようにできていれば、プリンターの仕様の観点では、3 x 4 = 12 インチの長さの用紙と見なされます。
ページ長3インチ->用紙長12インチ
別の言い方で言えば、印刷された用紙が、プリンターの背面に折りたたまれて溜まっていく際に、折りたたまれる用紙の長さの単位が、8 インチから 12 インチまでなら、プリンターの内部にきれいに折りたたまれていくということを、仕様は謳っているということです。
従って、もし 12 インチ以上の長さの用紙に印刷する場合には、後ろのドアーを解放状態にして、更に、印刷された用紙が初めの折りたたまれた状態のとおり、また折りたたまれて溜まっていくように注意していれば、印刷は可能と言えるわけです。
もちろん、きれいに折りたたまれていなくても、後で人手でたたみ直すということであれば、後ろのドアを開けたままで印刷中は放置しておけます。

2017年1月22日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第24回 - たまにいただくお問合せ-1

今回は、今までいただいたお問合せの中から、思い出した順にお話したいと思います。

Q1. 購入したばかりの 5400 プリンターを、Telnet5250E を使って AS/400 と接続するために初期設定を行なっているが、装置記述も OUTQ も自動構成できず、接続できない。

A1. IPアドレスの指定ミスといった単純な理由以外には、次の原因と対策が考えられます。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成が OFF になっている。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成は ON だが、接続した装置の数が既に、設定した最大値になっている。
-> これらの場合は、OS/400 の設定を変更する必要があります。

- 既存の装置記述や OUTQ と同じ名前を指定しようとしている。
-> それまで、プリンター・セッション経由の接続で使用していたプリンターを置き換えるに当たって、同じ OUTQ 名をそのまま使用したい場合に、このような現象が起こり得ます。この場合は、既存の装置記述や OUTQ は一旦削除する必要があります。

Q2. プリンター・セッション経由の印刷の時には、プリンターの電源を投入した後は"印刷可能"状態となったが、Telnet5250E による LAN 直結印刷に変更したら、電源投入後は"印刷中断"状態になる。そのため、"印刷"スイッチを押して、"印刷可能"状態に変えないと印刷開始できない。

A2. Twinax ケーブルによる接続の時代もそうだったのですが、AS/400 と直接接続の場合には、プリンターの起動時には"印刷中断"状態となるように決めているようです。
"印刷可能"状態で起動すると、印刷データを送信済みの場合に、プリンターにセットされた用紙が正しいかを確認する間も無く、印刷が始まってしまうことを避けたいと考えられていたのが理由かもしれません。
しかし、通常の PC 用のプリンターの起動時は"印刷可能"状態になりますし、それで不都合はありませんから、私も「印刷可能」状態で起動する方が良いと思っています。

Q3. AS/400 が英語環境の場合でも、5400 プリンターで印刷したい。

A3. 2次言語に"日本語"が導入されていれば、Telnet5250E を使った直接印刷は可能です。しかし、"日本語"環境が全く導入されていないと、直接接続での印刷はできません。
これは、5400 のような日本語プリンターは、OS/400 上では"5553"という名前の"日本語プリンター"として認知されるのですが、日本語環境が無いと、OS/400 上には"5553"が選択肢として存在しないからです。
ちなみに、"5553"という型式は、"マルチステーション5550"の中のプリンターとして発表された、16 ドット漢字用の"5553-A01"、24 ドット漢字用の"5553-B01"というドット・プリンターのものです。
マルチステーション5550 向かって左端が5553

そこで、日本語環境が無くても 5400 プリンターに印刷する方法は、プリンター・セッション経由の接続とすることです。この場合は、OS/400 から見てプリンター・セッションがプリンターの役割を担うことになりますので、実際のプリンターが日本語プリンターであっても関係ないからです。
IBM 6500 シリーズ
IBM 6400 シリーズ
このご質問の背景には、英数文字専用のライン・プリンターの置き換えがあります。
IBM では従来、6400 シリーズ、6500 シリーズという、英数文字専用のライン・プリンターを販売していました。
英数文字専用のプリンターと日本語プリンターの最大の違いは、解像度です。日本語ライン・プリンターは、ドット・プリンターと同じく、漢字を省略無く印刷するために 24 x 24 ドットで印刷します。そのために、180 ドット/インチの解像度、直径 0.2mm の印刷用のピンを使用します。
しかし、アルファベットや数字の印刷にはそこまでの解像度やピンの細さは必要ありません。
その結果、英数文字専用のライン・プリンターは、メリットとして高速印刷と高い耐久性を持っています。
また、接続先のサーバーの種類や、接続インターフェイスの種類も非常に多いという特徴もありました。
ただ、それらのプリンターも販売が終了し、今は OEM 元のプリントロニクス社の P シリーズが販売されているのが現状です。
参考情報

IBM 6500 シリーズ発表レター
IBM 6400 シリーズカタログ

2017年1月3日火曜日

ライン・プリンターの全て - 第23回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-9

3. インク・リボン・ジャム
印刷中に、インク・リボンが正しく送られない状態が発生すると、操作パネルの液晶表示部に、"リボン ジャム リボンを直してください"というメッセージが表示されて、印刷が止まります。

インク・リボンのジャムで最も多い現象は、用紙厚設定レバーの値が小さ過ぎるため、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎて、インク・リボンが圧迫された状態、つまり、インク・リボンの走行にブレーキが掛かった状態となってしまっているケースです。
プリンターの印刷中は、プリンターがリボン送りローラーを回転させて、操作員から見て左から右へ一定の速度で、インク・リボンを送っています。しかし、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎると、プリンターがどんなにリボン送りローラーを回転させても、インク・リボンを送ることができなくなってしまいます。
エラーとして検知されれば、操作員はすぐに気が付きますが、検知されないで印刷を続けていると、インク・リボンの同じ箇所を印字ヘッドが叩き続けることになります。その結果、印字がすぐに薄くなったり、極端な場合はインク・リボンが破れたりすることに、後で気が付くということも起き得ます。繰り返しになりますが、用紙厚設定レバーの設定には、くれぐれも細心の注意を払ってください。
5400-F10/L10のインク・リボン・カートリッジ

他の原因としては、同じインク・リボン・カートリッジに対して、詰め替えリボンの交換を10回以上繰り返しているケースがあります。
ライン・プリンターは印刷量が多いため、印刷用紙から大量の紙粉が発生して、プリンターの中や周囲を舞っています。
これは余談ですが、"5400-L10"を 10 台以上並べて印刷業務を行なっているお客様先で、私が作業していた時に、使用していたノート PC の画面に紙粉が積もってきたことに気づいたことがあります。その時は、それだけの紙粉を自分自身も吸い込んでいることに気づき、愕然としたことを覚えています。
この紙粉は、インク・リボンの表面にも付着し、それがリボン送りローラーの表面にも移って付着していきます。それと、リボン送りローラーの材質であるゴムの劣化の両方が原因となって、同じリボン送りローラーを使い続ける、即ちインク・リボン・カートリッジを使い続けると、リボン送りローラーの表面でインク・リボンがスリップし、正しく送れなくなるという現象が発生します。
そのため、経験的には、詰め替えリボンの交換は、1 つのインク・リボン・カートリッジに対して、10 回までとすることが、お勧めです。

稀に、カートリッジの中で、インク・リボンが倒れたような状態となり、それが原因となってカートリッジの中でインク・リボンが正しく折りたたまれずにジャムとなるという現象があります。
インク・リボン・カートリッジの蓋を開けて、リボン送りローラーを手で回してみると分かりますが、インク・リボンはカートリッジの内側で、自動的にきれいに折りたたまれていくものです。
それが何らかの阻害要因があると、きれいに折りたたまれなくなり、その結果、リボン送りに支障が出ることがあります。
5400-F06/L06のインク・リボン・カートリッジ
そうなったら、そのリボンの使用は諦めて、新しい詰め替えリボンに交換することになります。しかし、カートリッジ内部に収納されるべきインク・リボンを、カートリッジの外に出した状態で、カートリッジをプリンターにセットして印刷することで、最終的にカートリッジ内部にインク・リボンが正しく畳まれた状態を作るという荒業を聞いたことがあります。