始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年10月24日月曜日

ライン・プリンターの全て - 第14回- 日本語ライン・プリンターのドライバー-3

事前準備や注意点の続きです。

2. ポートの設定変更

前々回のドライバーの設定の中で、ポートには"標準 TCP/IP プリンター ポート"を選択しましたが、実際には、2015年6月22日の"繰り返し印刷とポートの設定"の回でお話したように、繰り返し印刷が発生する可能性があります。特に、サイズの大きなデータを印刷する場合や、印刷中に発生した用紙切れや用紙ジャムに対して、操作員が気づくまで時間が掛かって、すぐに対処できないことが多いような場合には、発生する可能性が高くなります。
そのため、対策としては、2015年7月1日の"繰り返し印刷の対策"でお話した方法で、LPR ポートへ変更した上で、レジストリーを編集して、ポートのタイムアウト値を大きくする、ポートの使用数の制限を外すことが必要です。タイムアウト値をどの程度の値に変更すれば良いかは、プリンターの使用環境によって異なりますが、例えば、用紙切れに気づいて新しい用紙に架け替えるまでの時間を考えると、30分程度が、一つの目安になるかと思います。大きな値にしても悪影響は無いので、大き目の値にしておけば安心と言えます。

3. 印刷速度の設定

5400 プリンターの印刷速度には、通常速モードや高速モード等があり、操作パネルや Web ページで設定できます。また、初期設定メニューで選択しておくと、電源を入れて起動した時の印刷速度を決められます。AS/400 から Telnet5250 を使った印刷では、この印刷速度が有効ですが、Windows からの印刷では、ドライバーのプロパティで指定した印刷速度が優先されます。これは、ドライバーが印刷データの前に、印刷速度を指定するコマンドを付けてプリンターに送信するからです。
その原理を理解すると、例えば、Windows から印刷指示を行なって、プリンターが印刷を始めた直後に、操作パネルで印刷速度の設定を変更すると、その後は変更後の印刷速度で印刷されるという使い方ができてしまうことが、分かると思います。つまり、ドライバーから送信される印刷速度設定コマンドは、初めの1回だけなので、その後、操作パネルから変更されたら、そちらが有効になるという意味です。
5400 ドライバーで印刷速度を設定するには、プロパティの中の"拡張設定"画面の中で選択します。
5400 ドライバー拡張設定画面

4. 印刷の取り消し

例えば、間違った用紙を掛けて印刷指示したことに印刷中に気づいた場合など、印刷を取り消したい場合があります。そのような場合に、操作パネルに"印刷取消"スイッチがあるので、"印刷中断"スイッチを押して印刷を止めてから、"印刷取消"スイッチを押すのですが、"印刷"スイッチを押すとそのまま印刷は続いてしまうので、どうしたら途中で印刷を取り消せるかというお問い合わせをいただくことがあります。
実は、"印刷取消"スイッチは、Telnet5250E や Twinax で AS/400 と接続されている場合に、AS/400 に対して"印刷取消要求を行なう"というためのものです。Windows からの印刷では、このスイッチが有効になることはありません。
Windows からの印刷を取り消すのは、次の手順になります。
1. 操作パネルの"印刷中断"スイッチを押して、印刷を止めます。これによって、プリンターは、Windowsからのデータの受信を受け付けなくなります。
2. Windows の"デバイスとプリンター"画面の中のドライバーを選択して、ダブル・クリックします。または、右クリックして表示されるメニューの中の"印刷ジョブの表示"を指定します。
3. 次のような画面が表示されるます。"ドキュメント名"には、アプリケーションやファイルの名前が表示されます。複数の印刷ジョブを送った時には、複数の名前が縦に並びます。(下の画面は、Windows 標準のテスト印刷を、3 回行なった時の表示)
ドライバー 印刷ジョブの表示画面
4. 印刷中のジョブは、"状態"欄に"印刷中"と表示されますので、それのみを取り消す場合には、その印刷ジョブを指定して、右クリックします。または、"ドキュメント"メニューを選択します。表示されたメニューの中から"キャンセル"を指定すると、その印刷ジョブのみを取り消しできます。ただ、この場合は、プリンターの"印刷"スイッチを押して印刷再開すると、次のジョブの印刷を始めますので、用紙の種類や先頭の位置の調整に注意が必要です。
特定の印刷ジョブの取り消し
5. そこで、確実に取り消せるのは、全ての印刷ジョブを取り消しすることです。そのためには、この"印刷ジョブの表示"画面の"プリンター"メニューをクリックして、表示されるメニューの中の"すべてのドキュメントの取り消し"をクリックします。しばらく待っても画面から印刷ジョブが消えない時には、プリンターの電源を切ります。
すべてのドキュメントの取り消しを指定
印刷の取り消しにこのような操作が必要な理由は、プリンター側の持っているデータ受信用のメモリーのサイズが小さく、2行分のデータを保存する程度の容量しかないことにあります。つまり、印刷中のデータは、ほとんどが Windows のスプーラー内にあるので、それを取り消す、つまり削除しない限りは、プリンターが印刷可能状態になった途端に、残りの印刷が始まってしまうということになります。AS/400 からの印刷でも、OUTQ の画面で、取り消す対象のスプールに対して、取り消し処理を行うのと同じことです。

次回からは、プリンターの使い方についてお話します。


0 件のコメント:

コメントを投稿