4. 用紙厚(印字圧)設定レバーの設定
ライン・プリンターに限らず、インパクト・方式のプリンターを使用する上で、印字ヘッドと用紙の間隔を正しくセットすることは、非常に重要です。操作員側から見て、印字ヘッド、インク・リボン、リボン・シールド、用紙、プラテンという順で並んでいます。
プリンター右側面から見た配置 |
"プラテン"は、タイプ・ライターの時代から使われていた言葉のようですが、印字ヘッドが用紙を叩く時の受けの役割を持つものです。ドット・プリンターでは、硬質ゴムを使った円筒形のものもありましたが、ライン・プリンターでは金属のバーになっています。
用紙厚設定レバーは、この印字ヘッドとプラテンの間隔を調整するもので、5400-F06 と 5400-F02 では、プリンター内部の左側にあり、5400-F10 では、右側にあります。この間隔を広げすぎると、印字が薄くなってしまいます。
5400-F06印字圧(用紙厚)設定レバー |
5400-F10印字圧(用紙厚)設定レバー |
複写用紙の場合は、1枚目はインク・リボンのインクを使って印刷されますが、複写される2枚目以降の用紙には、紙に付いているカーボンが押されて印字されます。どちらも、印字ヘッドのピンに押される力が小さいと、印字が薄くなってしまいます。
ちなみに、複写用紙には2種類あって、1つ目は"ノン・カーボン紙"、または"自己発色紙"と呼ばれるもの、もう1つは、"裏カーボン紙"です。
前者は、中にインクが入った、目には見えない大きさのカプセルが用紙の表面にコーティングされていて、圧力を受けるとカプセルが壊れて、中のインクが紙の表面に付着するという仕組みです。見た目は、普通の用紙と変わりませんが、爪などで引っかいてみると、インクの色(青色のものが多いようです。)が現れます。少し高価ですが、レーザー・プリンターでも使用できるカット紙も販売されています。
後者は、用紙の裏に、多くの場合、黒色のカーボン・インクが塗られているものです。"ノン・カーボン紙"に比べて、複写の濃さが濃くなるため、宅配便の伝票のように複写枚数の多いものに使用されています。プリンターで対応できる複写枚数と全体の厚さには限りがあるので、複写枚数の多い用紙では、1枚1枚の用紙の厚さが薄めになっています。そのため、裏カーボンの塗られている箇所は、表から見ても黒っぽく見えます。
一般的には、操作員のかたは、少しでも印字を濃くするために、どうしても間隔を狭くセットする傾向が強いのですが、では、狭すぎるとどのような問題が発生するでしょうか?
印字ヘッドと用紙の間隔が狭くなって印字ヘッドが用紙を圧迫するようになれば、
- インク・リボンが動けない
- 正しく用紙送りができない
- 紙ホチキスを使っている用紙の場合、リボン・シールドを傷めやすい
先ず、インク・リボンが動けなくなるとどのような現象になるでしょうか?
印字ヘッドは、インク・リボンの同じ部分のみを使って印刷することになりますので、印字が急速に薄くなります。そして、それに気づかずに印刷を続けると、しまいにはインク・リボンが破れてしまいます。実際には、その前にプリンターがエラーを検知して止まりますが、しばらくは複写用紙の1枚目のみ、印字が薄くなった(2枚目以降は、圧力で印刷しますから、インク・リボンの薄さの影響は受けません。)状態が続くことになります。
次に、用紙送りが正しくできないことは、どのような問題を起こすでしょうか?
ライン・プリンターは、1行印刷したら、1行分用紙を送って次の1行を印刷するという動作を続けていますから、印字ヘッドが用紙を押さえつけていると、印刷後の1行分の用紙送りができないため、同じ箇所に2行を重ねて印刷したり、縦方向の印字位置ずれを起こしたりすることになります。
複写用紙では、用紙がバラバラにならないにし、かつ、後で分けやすくするため、紙ホチキスを使って止めているものが多くあります。
幅が 15 インチよりも狭い複写用紙では、紙ホチキスの折り返し部分が、リボン・シールドの印字ピンが通る穴に引っかかって、しまいにリボン・シールドを破いてしまい、その破れた部分が用紙を破って用紙ジャムを引き起こすという現象も、実際に起きています。
では、正しい設定はどのようにしたら良いでしょうか?
印字の濃さが読める範囲で、なるべく印字ヘッドと用紙の間隔を広くするということになりますが、言うは易く行なうは難しです。そこで、このような考え方で設定するのは、如何でしょうか?
所謂、"応用用紙"とか"コンピューター用紙"と呼ばれる、1枚もので、15 x 11 インチ・サイズの連続用紙は、どこのお客様でもお持ちと思います。この用紙は、通常"55kg"と呼ばれる厚さですが、この用紙を 5400 プリンターにセットして、用紙厚設定レバーを"1"にセットします。
トラクターから用紙を外して、プリンターの紙送りの速さと同じ位の速さで、用紙を手で引っ張ってみると、抵抗を感じるはずです。
用紙引き上げ力によるギャップ調整 |
後は、この値を中心に、上下に少し変えて印刷してみた上で、最終的な値を決めるという方法です。
逆に、一旦セットした後で、用紙をトラクターから外して、手で引き上げて抵抗をチェックすることで、間隔が狭すぎていないかをチェックすることもできます。
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