1. リボンの生地の表も裏も使う
インク・リボンは、印字ヘッドのピンに叩かれ続けていますので、徐々に生地が弱くなっていきます。ピンがインク・リボンの両面を叩く構造とすることで、より長時間使用することができるようになります。
"メビウスの輪"という言葉を聞いたことがないでしょうか ? メビウスという数学者が発見したため、この名前が付いたとのことですが、身近なところでは、リサイクルのマークに使われています。
リサイクル・マーク |
できた輪の上にペンで線を書いていくと、いつの間にか表と裏の両方に線が書かれた状態となって、書き始めのところと繋がることが分かります。
インク・リボンもこの原理を使って、非常に長いリボンの端を繋げる時に、片方の端を裏返すことで、印字ヘッドのピンは、リボンの表裏、両面を叩くことになります。
ただし、インク・リボンが正しく送られるために、インク・リボンはプリンターの中で、直立した状態でいますので、途中のどこかで、表裏が逆になる部分が必要になります。
それが、インク・リボンの途中に付属する黒いプラスチック製の、次のような部品です。
インク・リボンのメビウス |
マニュアルの中では、図のように"メビウス"と呼んでいますが、メビウスの部分をサポートする部品という意味です。
2. リボンつなぎ目スキップ
インク・リボンのつなぎ目部分は、次のように斜めに切られた端を接着しています。運が良ければ、詰め替えリボンを交換する時に、その部分が表に出ているのを目にすることができます。生地を溶かして接着したように見えます。
インク・リボンつなぎ目 |
印刷する時には、この部分も印字ヘッドのピンが叩くことになりますが、何故か"5400-006"モデルにおいてだけ、叩かれたつなぎ目が用紙面側に来た時に、叩かれてできたリボンの毛羽が、用紙の表面を汚すという問題が発生しました。
(高速の"5400-L10"や、逆に低速の"5400-L02"では発生しませんでした。)
そこで、対策として、つなぎ目をメビウスにしないインク・リボンを用意し、今でも"高品質ストレート・リボン"と称して販売継続していますが、当然、寿命はメビウスのものより短くなります。
根本的な対策は、後継機である"5400-L06"モデルで実現しています。
それは、上の図のように、インク・リボンのつなぎ目の部分の隣にマークを付け、そしてプリンター本体に、そのマークを読み取るセンサーを取り付けることによって、つなぎ目が来たことをプリンターが検知し、その部分は印字ヘッドのピンが叩かないような仕組みを取り入れたということです。
"リボン・スキップ機構対応"というインク・リボンが、これです。この仕組みは、"5400-L06"の後継機である"5400-F06"でも採用されています。
以上のような経緯から、5400 用のインク・リボンには複数の種類がありますが、中速機である"5400-F06/L06"だけでなく、低速機の"5400-F02/L02"にも、この"リボン・スキップ機構対応"のインク・リボンを使うことが、印字品質の面でも、在庫の管理の面でもメリットがあると言えます。
3. インク・リボンは斜めにセットされる。
5400 プリンターを正面から良く見ると、インク・リボンは、プリンターに対して水平ではなく、右上がりに斜めにセットされていることが分かります。
プリンターに対して斜めにセットされたインク・リボン |
これも、インク・リボンを永く使う、つまりインク・リボンに沁みこんでるインクをなるべく有効に使うための工夫です。
印字ヘッドがインク・リボンを叩いて印刷した文字の高さは、"5400-F10"では、180DPI(ドット/インチ)で 24 ドットですから、1 ドットの直径を 0.3mm とすると、
23 x 25.4 / 180 + 0.3 = 3.5mm
になります。
もし、インク・リボンが水平にセットされていたら、インク・リボンの幅の内、約 3.5mm の幅しか印刷に使用しないことになります。
インク・リボンが斜めにセットされることによって、次の図のように、インク・リボンの幅の大部分を印刷に使用することができるわけです。印刷に使用する幅を広くすることによって、インク・リボンの生地の痛みを分散させ、印刷に使用してインクが減った部分に、周囲からインクが滲んで補給される効率が向上します。
インク・リボンが水平の場合vs斜めの場合 |
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