始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年3月19日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第3回- 5577互換からの拡張

コンピューターの世界では、"アーキテクチャー"という言葉が良く出てきます。それだけ、"アーキテクチャー"を重要視していると言えるかと思います。
周辺機器であるプリンターでも、IBM では、システムからのデータを印刷するためには、システムとの整合性を持つために、"アーキテクチャー"に則っている必要があると、当然のように考えられていました。
プリンターの場合、"アーキテクチャー"を言い換えれば、そのプリンターが持っている制御コマンドのセットとなると思います。
例えば、24x24 ドットの漢字を印刷できるインパクト・プリンターにおいては、初めは、"マルチステーション5550(24 ドット・モデル)" から送信されて来る、縦 24 ドットのイメージをそのまま印刷する"5553-B01"モデルと、16 ドットのモデルから送られて来る、縦 16 ドットのイメージをそのまま印刷"5553-A01"モデルが持っている制御コマンドのセットが全てでした。
5550シリーズ用5553プリンター

しかし、その後、縦 16 ドットのシステムも、24 x 24 ドットの文字で印刷できるようにせよという神の一声の下、文字イメージの代わりに文字コードで印刷データを送り、プリンターは、内部の ROM (読み取り用メモリー)に記録されている 24x24 ドットの文字の中から、その文字コードに該当する文字を印刷するという方式が機能追加されました。
そのモデルが、"5553-B02"(末尾の "2" は、内蔵フォントを持っているという意味)だったのですが、実際には、その後シリーズ化された代表モデル "5577シリーズ" の名前から "5577" コマンド(モード)と、いつか呼ばれるようになりました。
このコマンドのセットを持つ 24 ドットインパクト・プリンターは、"5577シリーズ"の他に、"5573シリーズ"、"5557シリーズ"、"5579" などがありますが、どれも"同じアーキテクチャーのプリンター"ということになります。

レーザー・プリンターになると、インパクト・プリンターと比べて、解像度が異なるだけでなく、ページ単位の処理を行うためのメモリーを持っているため
- 用紙方向を縦長、横長の切り替える
- 縮小や拡大して印刷する
- 両面印刷する
- 用紙に対する上下左右の余白の値を設定する
- 用紙ジャムが発生した場合、そのページから再印刷する
- プリンターに保管した罫線や固定文字(所謂オーバーレイ)と受信データを重ね合わせて印刷する
ことができます。
また、用紙送り機構の違いから
- 複数ある用紙トレイや、排紙トレイを選択する
といった点も、インパクト・プリンターと異なります。
これらの機能を使えるようにするには、対応する制御コマンドを定義して、プリンターに持たせる必要があります。
PS/55 用の標準プリンター製品の一つとしてのレーザー・プリンターを開発するに当たって、開発チーム内部では、当時、"3222"と読んでいたアーキテクチャーは先に決まっていたのですが、それを実装するコントローラー基盤と、プリンターの機構(エンジン)部分の OEM 元製品の選択や、その後の開発において、様々な課題が発生したため、計画以上の時間が掛かることになってしまったのです。
PS/55の元になったPS/2

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