始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。
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2017年8月12日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第3回

2002年のアンケート調査と、2010年のそれとを単純に比較はできませんが、それでも 8 年が経過したことによる変化は窺えます。

1. 帳票設計は、2002年では、90% 以上の会社では、APW も含めたコマンドのコーディングで行なっていました。
しかし、2010年では、その比率は 80% に下がって、新たに、帳票ソリューションを使う会社が出てきて、その比率が 16% となっています。

2. 今後の予想では、増強やプリンターの LAN 接続化も含めた現状維持派が、2002年では 50% 以上ありましたが、2010年では、44% に減っています。

3. 電子化や Web 対応等の手段によって印刷量を削減(廃止)する派は、2002年の 44% ですが、2010年では 47% と大きくは変化していません。

業務で使用しているアプリケーション・プログラムに大きく手を入れないで、帳票の電子化や、レーザー・プリンターへの移行(カット紙化)を実現するには、何らかの帳票ソリューションが必要になります。
つまり、罫線や固定文字が事前印刷された複写伝票への印刷を、電子帳票やレーザー・プリンターによるカット紙への印刷に移行するには、アプリケーション・プログラムから吐き出されるスプール・データに含まれていない、罫線やタイトル等の固定文字も印刷データに含める必要があり、それを実現するのが、帳票ソリューションの役割と言えます。
6P複写伝票のカット紙化例

逆に、白紙の応用用紙に、罫線や固定文字も含めた全ての印刷データをインパクト・プリンターで印刷しているのが現状であるならば、プリンター・セッション経由の印刷、もしくは HPT 機能を使った LAN 直接接続された PAGES レーザー・プリンターで、縮小印刷や両面印刷指定に移行すれば済んでしまいます。
連続用紙への印刷をそのままカット紙に縮小印刷

では、その帳票ソリューションを選択するたに当たって、何を選択基準とするかを、2010年にお聞きしています。

4. 最優先は価格であると約半分の方が回答しているのは、もっともと思いますが、次に重視するのは、OS/400 上で稼動するのか、WindowsServer の 上で稼動するかと言う点です。
約 20% が、稼動 OS を重視すると回答している割に、OS/400 上が良いか、WindowsServer 上が良いかをお聞きすると、"どちらでも良い"という回答が、44% にもなっています。
私自身は、統合サーバーである AS/400 の強みや、WindowsServer を立てた場合の管理コストを考えると、"OS/400" が 33% という数字は、意外に小さいと感じました。

ともあれ、2010年になると、ユーザーへのアンケートでも、私自身の日々の活動の中の実感としても、帳票ソリューションの存在が大きくなってきていたことは、確かと言えます。
そして、その背景には、明らかに、電子化や、メーカーに拘らないレーザー・プリンター化による"コスト削減"という、お客様の課題があることも確かと言えます。

初めてアンケートを取った 2002年から、2度目にとった 2010年までの間には、私にとって大きな変化がありました。それは、2007年6月の、インフォプリント・ソリューションズ社の設立です。
IBM は、PC 事業に続いて、プリンティング・システム事業を売却し、2007年から 3年間は株式会社リコーとの合弁会社として、インフォプリント・ソリューションズ社を設立したのでした。

発足当初、日本の社長が挙げた 3つの課題の1つが、「オープン環境の印刷において、何をご提案していくか」というものでした。それに対して、正にこの"帳票ソリューションの提供"が回答になっていくわけです。
背景として、ライン・プリンターやドット・プリンターが大きな比率を占めていたビジネス・モデルが通用しなくなっていく時代の変化に対応するために、印刷量を減らしたい、あるいは、メーカー縛りから脱却したいお客様に受け入れていただける、従来とは異なる新しいご提案ができないとならないという差し迫った状況にあるという認識がありました。
そして、自社製プリンターを選択していただける何の保証も無いオープン環境においては、独自の帳票ソリューションをご採用いただくことによって、お客様の印刷データの大元を押さえるという考え方にたどり着きました。
その切っ掛けは、新会社発足当初に行なわれたイベントでの製品デモでした。

2017年8月6日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第2回 - 2010年のお客様状況 -

前回ご紹介した 2002年のアンケート結果では、ライン・プリンターもまだ Twinax 接続で使用されているお客様が半数以上でした。
2002年の頃を振り返って見ると、AS/400 が Twinax 接続標準から LAN 接続標準に移行していく中で、対応するプリンターも、LAN 接続でも双方向通信が可能で、Twinax 接続からの移行の受け皿となる Telnet5250E に対応するものとして、連続用紙用レーザー・プリンターのInfoPrint250(5300-025) と、ライン・プリンターの標準モデルである 5400-006 の LAN カード付きモデルが発表されたのが、2000年でした。
InfoPrint250(5300-025)
Telnet5050E 対応のライン・プリンターの高速、中速、低速モデルのライン・アップとして、5400-L10、5400-S06、5400-L02が揃ったのが、2002年です。
また、ドット・プリンターを Telnet5250E に対応させるためのオプション、5400エミュレーターが翌年、2003年に発表されていますから、この頃のプリンターは、Twinax 接続から LAN 接続に徐々に切り替わっていく時代と言えるかと思います。

しかし、同時に、半数近くのお客様は電子化やレーザー・プリンターへの移行を指向していたことが分かります。私自身にも、古くなって保守も終了したライン・プリンターを、LAN 接続の新しいライン・プリンターに置き換えるお客様の比率が減っているという実感がありました。レーザー・プリンターへの移行と言っても、AFP だけでなく、PAGES モードを持つ小型の IBM レーザー・プリンターですら、お客様には"高い"と言われ、十分に受け皿になっていないという実感もありました。

今にして見れば、その頃から、メーカー縛りが無く、価格の安いレーザー・プリンター(消耗品コストは、インパクト・プリンターに比べて高くなりますが)に印刷できるようにするために、所謂"帳票ソリューション"を導入されるお客様が増えてきたのではないかと考えています。それらのソリューションのほとんどが、次のような処理を行いますので、Windowsのプリンター・ドライバーさえ持っているプリンターであれば、制約は無かったのです。
- AS/400 上のスプール・データを、例えば csv 形式のファイルに変換します。
 -> それを、Windowsサーバーに送信します。
  -> Windowsサーバー上で帳票イメージを作成して、プリンター・ドライバーを使って印刷します。

そこで、その後のお客様の変化を知るために、2010年4月に同様なアンケートを実施しました。その結果は、次のとおりです。

- 調査時期 : 2010年4月
- 有効回答社数 : 70社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. ライン・プリンター    Yes : 58%    No : 36%    不明 : 6%
1-2. レーザー・プリンター    Yes : 66%    No : 24%    不明 : 10%
1-3. ドット・プリンター    Yes 74%    No : 20%    不明 : 6%
使用しているプリンターの種類

2. 帳票設計
2-1. RPG/COBOL, DDS でコーディングしている : 64%
2-2. APW も使用している : 16%
2-3. OS/400 上で稼動する帳票ソフトを使用している : 12%
2-4. Windowsサーバー上で稼動する帳票ソフトを使用している : 4%
2-5. 印刷しない : 4%
2-6. 不明 : 4%
帳票設計

3. 5年後の予想
3-1. 現行のまま継続する : 33%
3-2. 電子化により印刷量を削減する : 31%
3-3. 複写帳票を廃止してレーザー・プリンターへ移行する : 16%
3-4. 既存帳票は継続し、新規帳票は帳票ソリューションを使用する : 7%
3-5. AS/400 を廃止して Windowsサーバーへ移行する : 6%
3-6. 現行方式を維持し、増強する : 4%
3-7. その他、不明 : 3%
5年後の予想

4. 帳票ソリューション
4-1. 使用中のものへの満足度    満足 : 40%    不満足 : 23%    不明 : 37%
4-2. 選択のために重視する    価格 : 48%    稼動 OS 種類 : 20%    設計機能 : 13%    導入実績 : 9%    不明 : 10%
4-3. 稼動 OS : どちらでも良い : 44%    OS/400 : 33%    Windowsサーバー : 17%    不明 : 6%
帳票ソリューションについて


2017年7月23日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第19回- "PAGES"-13

話しが前後しますが、ここで、"Infoprint40" や、"Infoprint20" の PAGES モード用に追加されたコマンドをご紹介しておきます。最早、それらのプリンターが使用されていることもないと思いますが、記録として残しておきたいと考えたからです。
ちなみに、PAGES のコマンド解説書は、こちらのサイトからダウンロード可能です。ここでお話しするのは、このマニュアルに記載されていないコマンドということになります。

1. 用紙トレイ選択コマンド
プリンターの機構として、付属する用紙トレイ(給紙トレイ)が増えたため、コマンド自体は変わっていませんが、パラメーターが増えています。

書式 : 1B 7E 46 00 05 00 00 N 00 00
パラメーター N : 00 トレイ1
                      01 全面給紙トレイ
                      02, ... 05 トレイ2... 5
                      11, ... 1B(用紙のサイズに応じた用紙トレイを指定します。)
                      11 = A3, 12 = B4, 13 = A4, 14 = B5, 15 = A5, 16 = B5, 18 = レター・サイズ,
                      19 = リーガル・サイズ
                      1A = はがき, 1B = エグゼクティブ

2. 排紙トレイ選択コマンド
これは、新設のコマンドです。前回もお話したように、後処理オプションを取り付けることにより、容量の異なる排紙トレイを選択し、更に印刷面をフェイス・アップ(上向き)か、フェイス・ダウン(下向き)にするかの指定も同時にできるようにするために、追加されたコマンドです。

書式 : 1B 7E 47 LEN 00 00 BIN FACE [DEST1 ... DESTN] 00 00
パラメーター
  LEN : 以降に続くパラメーターのバイト数
  BIN : 排紙トレイを指定
         00 = メインの排紙トレイ
         01 = フェイス・アップ・トレイ
         02 = フィニッシャー・トレイ1
         03 = フィニッシャー・トレイ2
         04 = フィニッシャー・トレイ3
         FA = フィニッシャー・トレイ自動切換え。フィニッシャー・トレイ1から排紙し始めて、一杯になるとフィニッシャー・トレイ2、次にフィニッシャー・トレイ3と自動的に排紙先を切り替えます。
         FC = DESTnに従って、複数の排紙トレイを切り替えます。
  FACE : 印刷面を上(フェイス・アップ)か、下(フェイス・ダウン)を指定しますが、あくまでもフェイス・アップ / ダウンの切り換えが可能な排紙トレイが対象です。
         00 = フェイス・アップ
         01 = フェイス・ダウン
  DEST : ページ単位で排紙トレイを切り替える場合に使用します。ページ単位で排紙トレイが、DEST1 から始まって、DESTN まで切り替わり、次は DEST1 に戻って繰り返します。BIN に FC を指定した場合に有効です。

3. コピー・コントロール・コマンド
両面印刷、マルチ・アップ(N-Up)印刷、2面印刷を指定するコマンドです。
マルチ・アップ(N-Up)印刷は、複数のページを縮小して 1 ページにまとめて印刷するものです。
2面印刷は、A3 サイズ用紙に、A4 サイズのページを縮小しないで 2 ページ並べて印刷する、あるいは、B4 サイズ用紙に、B5 サイズのページを縮小しないで 2 ページ並べて印刷するものです。

書式 : 1B 7E 3B LEN 00 00 DPLX MLTI SCALE LINE N CTRL1 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 CTRL3 00 00 00 00
パラメーター
 LEN : 以降に続くパラメーターのバイト数(00 04 か 00 1D のどちらかです。)
 DPLX : 両面印刷を指定
            00 = 片面印刷
            01 = 両面印刷(長辺綴じ)
            02 = 両面印刷(短辺綴じ)
 MLTI : マルチ・アップ(N-Up)印刷を指定
            01 = 1ページを1枚の用紙に印刷します。
            02 = 2ページを1枚の用紙に印刷します。
            04 = 4ページを1枚の用紙に印刷します。
            06 = 6ページを1枚の用紙に印刷します。
            08 = 8ページを1枚の用紙に印刷します。
            09 = 9ページを1枚の用紙に印刷します。
            10 = 16ページを1枚の用紙に印刷します。
 SCALE : マルチ・アップ印刷のための縮小指定
            00 = マルチ・アップ印刷のために縮小します。
            01 = 縮小しません。
 LINE : マルチ・アップ印刷されたページの境界に印刷する線を指定
            00, 07 = 実線
            01 = 点線
            02 = 短破線
            03 = 一点鎖線
            04 = 二重点線
            05 = 長破線
            06 = 二点鎖線
            08 = 透明線
 N : コピー部数を指定(1 バイト)。コピーする対象は、印刷される用紙で、1 部から 999 部まで指定できます。
 CTRL1 : マルチ・アップ印刷する際のページの配列の原点を指定
            00 = 左上を原点にして、ページを配列します。
            01 = 右上を原点にして、ページを配列します。
            02 = 右下を原点にして、ページを配列します。
            03 = 左下を原点にして、ページを配列します。
 CTRL3 : マルチ・アップ印刷する際のページの配列の方向を指定
            00 = 横方向にページを並べます。
            01 = 縦方向にページを並べます。
MLTI=04, LINE=00, CTRL1=00, CTRL3=01を指定した場合
MLTI=04, LINE=00, CTRL1=00, CTRL3=00を指定した場合

4. ジョブ識別コマンド
印刷ジョブ単位でオフセット排紙(印刷結果を仕訳し易くするために、左右にずらして排紙すること)を指定するコマンドです。

書式 : 1B 7E 3C LEN 00 00 ID CTRL FLAG 00 00
パラメーター :
 LEN : 以降に続くパラメーターのバイト数(00 05 か 00 08 のどちらかです。)
 ID : 印刷ジョブの識別番号を 2 バイトで指定。00 00 から FF FF までが使用可能。
 CTRL : 印刷ジョブの開始と終了を指定
           00 = 印刷ジョブ終了
           01 = 印刷ジョブ開始
 FLAG : オフセット排紙を指定
           00 = オフセット排紙しない
           01 = オフセット排紙する

5. コピー枚数指定コマンド
コピー部数を指定するコマンドです。

書式 : 1B 7E 33 LEN FLAG N
パラメーター :
 LEN : 以降に続くパラメーターのバイト数(00 03 か 00 04 のどちらかです。)
 FLAG : コピー部数を 1 バイトで指定するか、2 バイトで指定するかを指定
           01 = 1 バイトで指定
           02 = 2 バイトで指定
 N : コピー部数を指定。FLAG = 01 の場合は、01 から FF。(1 部から 255 部) FLAG = 02 の場合は、00 01 から 03 E7。(1 部から 999 部)

6. メディア・サイズ設定コマンド
補助給紙トレイにセットされた用紙のサイズを設定するためのコマンドです。非定型サイズの用紙を使用する場合、通常は操作パネル上の初期設定で、縦横の長さを設定しますが、このコマンドを使うと、このコマンドで設定された用紙サイズが優先されます。その結果、サイズの異なる非定型サイズ用紙を何種類か使用する場合には便利なコマンドです。

書式 : 1B 7E 2F 00 07 00 38 40 Xm_EXT Ym_EXT
パラメーター :
 Xm_EXT : 用紙の幅(n/1440 インチに換算した時の n の値。13 80 から 49 20 まで有効。)
 Ym_EXT : 用紙の長さ(n/1440 インチに換算した時の n の値。21 30 から 70 80 まで有効。)

2017年7月16日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第18回- "PAGES"-12

前回、最後の PAGE 搭載モデルになるのではとお話しした "Infoprint SP8200 N50" は、オプションで後処理機構を持っています。それによって、印刷した用紙を溜めておける枚数が大きくなるだけでなく、ステープル止めするとか、パンチ穴を開けるといった、後処理ができるようになっています。
印刷速度も近いことから、"Inforpint40" の後継機とも考えられますが、PAGES モードのマイクロコードの開発部門が異なっていることもあり、558x シリーズの PAGES モードに近いレベルの機能となっています。
両者の PAGES モードの代表的な機能を比較すると、次のようになります。(もちろん、それぞれのハードウェアが持っている機能の違いも、大きく影響しています。)

1. ステープル止め     
   - SP8200 N50 : 左/右/上に対して、1箇所、2箇所綴じ、左/右においては斜め綴じ指定可能
   - Infoprint40 : 1箇所、2箇所綴じ指定可能
2. パンチ穴あけ
   - SP8200 N50 : 左/右/上に対して、3箇所指定可能
   - Infoprint40 : 対応していない
3. 排紙トレイの自動切換え
   - SP8200 N50 : 排紙トレイが一杯になったら印刷を止める。
                         空いている排紙トレイへは自動切換えしない。
   - Infoprint40 : 排紙トレイが一杯になったら、自動的に空いている排紙トレイに排紙を続ける。

Infoprint40 の PAGES モードでは、558x プリンター系の持っていた PAGES コマンドに対して、例えば、"N-Up 印刷"(複数ページを1ページに集約して印刷する、縮小印刷の方式)機能に対応するコマンド等を追加していました。
その結果、プリンター・セッション経由の印刷においては、PDF ファイルの中にそれらのコマンドを追加指定することによって、それまで実現できなかった印刷が可能になっていたのです。

"Infoprint SP8200 N50" では、同じ PAGES 拡張コマンドをサポートしていませんでしたが、同様の印刷を行なえるようにするために、"PJL コマンド" と PAGES コマンドを組み合わせて活用することで対応できます。

"PJL コマンド"は、元々、HP 社が規定したレーザー・プリンター用の制御コードですが、他の様々なプリンター制御コード(PCL, PAGES, LIPS等々)と大きく異なる点は、それらよりも基礎の階層のレベルのもので、多くのプリンター・メーカーが共通でサポートしているという点です。
機能面では、"印刷部数指定"、"両面印刷"、"N-Up印刷"、"縮小印刷"等の指定ができますが、例えば、両面印刷を指定するコマンドは共通でも、長辺綴じか短辺綴じかを指定するパラメーターは、プリンター・メーカー間で、微妙に異なっています。
そこで、自分の使用しているプリンターの、PJL コマンドを知る必要が出てきますが、その方法は、以前、連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第13回 PDFダイレクト印刷における印刷制御- の回でご紹介しています。

PAGES カード使用解説書抜粋 用紙セット方向とステープル位置の関係

PAGES カード使用解説書抜粋 用紙セット方向とパンチ穴位置の関係
この PJL コマンドを PDF ファイルの中で指定する方法は、"Infoprint SP8200 N50" 付属のPAGES カード使用解説書の中で記載されていますが、ここで一部をご紹介します。この考え方をご理解いただくと、プリンター・セッション経由の印刷でのプリンター制御の理解が深まると思います。

ポイントは次のとおりです。
1. "BEGIN MACROS" の中に、PJL コマンド開始を表わすコマンドを "PJS" として定義する。
PJS EQU 1B % - 1 2 3 4 5 X @ P J L 20 0D 0A @ P J L 20 J O B 20 0D 0A
(%、-、1、@ 等は、1バイトの文字として送信される必要があるので、1文字の前後にブランクが入ることにご注目ください。)

2. 同様に PJL コマンド終了を表わすコマンドを "PJE" として定義する。
PJE EQU 1B % - 1 2 3 4 5 X @ P J L 20 0D 0A @ P J L 20 E O J 20 0D 0A @ P J L 20 R E S E T 20 0D 0A 1B % - 1 2 3 4 5 X

3. PAGES モード指定したい PJL コマンドを定義する。ここでは、用紙の左上角をステープル止めするコマンドを "SLV" という名前で定義する。 
SLV EQU @ P J L 20 S E T 20 S T A P L E 20 = 20 L E F T T O P 0D 0A



4. プリンターが、データの先頭で PJL コマンドを処理した後、PAGES モードに切り替えるために、PAGES モードへの切り換えコマンド("CDS" と名付けていますが)を送信するのですが、このコマンド自体が、PAGES コマンドであるという、鶏と卵のような関係があるため、PAGES モードへ切り換えるための、PJL コマンドを "PGS" として次のように定義します。
PGS EQU @ P J L 20 E N T E R 20 L A N G U A G E 20 = 20 P A G E S 20 0D 0A

5. 以上で定義されたコマンドを、次の順番で "START_JOB=" と "END_JOB" の後ろに並べます。この順番が重要です。これによって、先ずプリンターに PJL コマンドが送信され、次に、PAGES モードに切り替えてから印刷データが送信されます。最後に、PJL コマンドの終了コマンドが送られることによって、PJL コマンドが、PAGES の印刷データを挟む形となることが重要です。

START_JOB=PJS SLV PGS CDS INZ FNS
........
END_JOB=INZ PJE


なお、ここでは、"START_JOB=" の中の "FNS" があります。これは、排紙トレイを後処理オプションの排紙トレイに指定するための PAGES コマンドの定義です。ステープル止めを指定する以上、後処理オプションの排紙トレイに排紙するのは当然のことですが、コマンドで指定しておく必要があるということです。
FNS EQU 1B 7E 47 00 06 00 00 03 00 00 00

2017年7月1日土曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第17回- "PAGES"-11

5400エミュレーターIIによって、PAGES モードを持った小型レーザー・プリンターも、AS/400 と LAN 直結できるシステム・プリンターとしての使い方ができるようになりました。
その後、2005年に、A4 サイズまでの用紙に対応した、小型の "Infoprint 1522J"(5584-5M2/5P2)が追加されました。
A3 サイズまでの用紙に対応する "Infoprint 13x6J" シリーズと比較して、用紙サイズを A4 までとすることで小型化したモデルで、PAGES モードは単独のオプションではなく、初めから組み込まれたキッティング・モデルのみであることも同じです。
オプションを付けると両面印刷にも対応する業務用プリンターとして十分な機能を持っていますが、A4 サイズまでのプリンターは、期待するほどは売れません。
Infoprint 1522J 外観

そして、2007年には、"Infoprint 13x6J" 後継モデルとして、"Infoprint1756J/1736J" という 2 つのモデルが発表されました。
2007年は、IBM がプリンティング事業をリコーに売却したという、私にとっては大変ショッキングな発表で始まった年です。
その 1月の発表の後、6月のインフォプリント・ソリューションズ・ジャパン株式会社の設立に合わせて、6月にこれらのプリンターも発表されました。
"Infoprint 1756J" の印刷速度は、35枚/分で、給紙カセットは、150枚用と250枚用の 2 つを標準で持っています。
一方、"Infoprint 1736J" の印刷速度は、28枚/分で、給紙カセットは、250枚用 1つのみです。
PAGES モードを持つモデルは、キッティング・モデルである点も変わりません。

5400エミュレーターII の時にお話したように、これらのモデルはパラレル・インターフェイスを持ってはいますが、コネクターの形状がハーフ・ピッチといって小型になっています。そのため、フル・ピッチの大きさのコネクターを持つ、古くからのケーブルに接続できるように、変換アダプターが標準で付属しています。
2007年の発表以来、2017年の今年で10年になります。まだ販売中ですが、流石に終わりが近いと思います。
Infoprint1756J 外観
Infoprint1736J 外観

PAGES モードを持つプリンターとして最後(?)、最新のモデルが、"Infoprint SP8200 N50" です。
このモデルは、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン社の株式の一部をまだ IBM が持ってた2009年に発表されたため、IBM から発表されています。
このモデルは、それまで国内で発表されたモデルと異なり、同じ型式(4345)で、全く異なる 2つのモデル(4345-N50 と 4345-DN1)を持っています。
外観上は、全く同じなのですが、前者は PAGES モードを標準で持つ、PC からの印刷用であることに対して、後者は AFP (日本語高機能印刷)に対応したシステム・プリンターとなっています。

モデル "N50" の方は、印刷速度が 50枚/分となった PAGES モードを持つプリンターの中の最高速モデルになります。
ただ、繰り返しになりますが、パラレル・インターフェイスが無かったため、5400エミュレーターII を付けられなかった点は、非常に残念でした。

Infoprint SP8200 基本構成

一方、モデル "DN1" の方は、"Infoprint45" という 45ページ/分の印刷速度を持つ AFP プリンターの後継機となっています。
Infoprint SP8200 フル構成

余談ですが、"Infoprint45" では、AFP 印刷のみに対応していたのですが、Windowsからの印刷もできると思われたお客様から、ドライバーはどこにあるかというお問い合わせを何度もいただいて、対応に苦労したことを覚えています。AFP 対応プリンターとして高価なモデルであったため、Windows からの印刷もできて当然と期待されたのは、私も自然なことと思いました。
その点で、この "DN1" は、Windowsからの印刷にも対応したので、安心しました。ただし、AFP の印刷を行なった後は、AS/400 等のホスト・システムとの間のセッションを切る設定にしておかないと、Windows からの印刷データを受信できないという点に注意が必要でした。

2017年6月25日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第16回- "PAGES"-10

ここで、少し脇道に逸れますが、PAGES モードのプリンターにとって外せない話題が、5400エミュレーターII です。
5400エミュレーターII は、前々回の IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第14回- "PAGES"-8 でご紹介した "Infoprint 13x6J" シリーズ 3モデルを発表した後の、2006年10月に発表されました。
5400エミュレーターII 外観

5400エミュレーターIIについては、既に LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第5回 - でご紹介していますので、ここでは簡単な概要のみお話ししたいと思います。

初代 5400 エミュレーターは、 5400 シリーズ・ライン・プリンターと同様に、5577 系のドット・プリンターをTelnet5250E を使って、AS/400 と直接 LAN 接続して使用したいというお客様のご要望に基づいて製品化されたものです。その後、ドット・プリンターでできるのなら、PAGES のレーザー・プリンターでも、Telnet5250E 接続にできるはずというお客様の声に押されて、初期設定によって、レーザー・プリンターも選択できるようになった 5400 エミュレーターII ができました。
技術的な要素の他には営業政策的な意味もあったと思いますが、初代 5400エミュレーターからの移行(改造)はできず、5400エミュレーターII は、別製品として発表されました。
5400エミュレーターII の開発に当たって、一つの山は、プリンターと接続するパラレル・インターフェイスの規格が、ドット・プリンターとレーザー・プリンターでは異なる点にありました。
5400エミュレーターでは、ドット・プリンターに AS/400 からの印刷データを送信するだけでなく、逆に、プリンターから、印刷中とか、用紙切れや用紙ジャムといったエラー状態、といった情報を把握して AS/400 に送信するために、パラレル・インターフェイスの規格の中でも、コンバージド・モードという、正にこの目的にぴったりのインターフェイスの規格を使用していました。(ちょうど、ドット・プリンターをダム端末、即ち、端末専用機に接続する場合と同じです。)
ところが、当時のレーザー・プリンターには既にコンバージド・モードはありません。そのため、5400エミュレーターII では、パラレル・インターフェイスとして標準の IEEE1284 規格に合わせたインターフェイスで分かる範囲で、プリンターの状態を把握することになりました。
その結果、5400エミュレーターII の初期設定を行なう Web ページの画面では、初めにドット・プリンターに接続するのか、レーザー・プリンターに接続するのかを選択するようになっていました。それによって、インターフェイスの規格が変わり、内部で処理するマイクロコードが全く異なってくるからです。
5400エミュレーターII の機能

お客様のご要望に合わせて機能を拡張し、対応機種を増やしてきた 5400エミュレーターII ですが、いくつかの制約はありました。

- "Infoprint13x6J" の後継シリーズである "Infoprint17x6J"シリーズでは、パラレル・インターフェイスがハーフ・ピッチ・サイズで小型であったため、5400エミュレーターII を取り付けるためには、付属の変換アダプターが必要でした。その結果、取り付けると 5400エミュレーターII 自体の重さで下に傾いてしまい、接続が不安定になるという現象が発生しました。

- 更にその後に発表された "InfoPrint SP 8200 モデルN50" は、50ページ/分という PAGES モードを持ったレーザー・プリンターでは最高速のモデルでしたが、パラレル・インターフェイスが無かったため、5400エミュレーターII を使用できませんでした。

- レーザー・プリンターは受信バッファーのメモリー・サイズが大きいため、プリンター側では印刷データをたくさん溜められます。受信済みの印刷データを印刷するのは、プリンターの責任という考え方でできていますので、プリンターの電源を切られない限り、用紙ジャムや用紙切れ等のエラーが発生しても、印刷完了するまでは、メモリーから印刷データが消されることはありません。その結果、5400エミュレーターII 経由の印刷では、ページ数が少ないスプールの場合、印刷データは、一瞬でプリンター側に溜められますので、5250 端末の OUTQ の画面での、スプールの取り消しや保留が効かないということが発生します。また、取り消しできたとしても、想定以上の多くのページ数を印刷した後になってしまうということになります。この点は、受信バッファーの小さいドット・プリンターと異なる点で、如何ともしがたい点です。

- 5400エミュレーターII の価格が、レーザー・プリンター本体並みと揶揄されるくらいになってしまいました。これは開発費用の影響もありますが、一方ではレーザー・プリンターの低価格化がかなり進んだという面もあるかと思います。(初代の 5587-G01 の価格や速度と、Infoprint1000J シリーズのそれを比較すると 20年という歳月を考えさせられます。)



2017年6月18日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第15回- "PAGES"-9

プリンターを PAGES モードに切り替えるためのコマンドが、PAGES のコマンドの中にあります。それだけでは、PAGES モードに切り変わるためには、PAGES モードのコマンドを正しく処理して PAGES モードになる必要があるといった、ちょうど、鶏と卵の関係のようになってしまいます。
実際には、プリンターの処理機能の基礎となるレベルのマイクロコード(ファームウェア)が、プリンターがどのモードであっても、このコマンドを処理できるようにできているのだと思います。

コマンド自体は、Web 上で公開されている PCOMM や CA の 用の PDF ファイルをメモ帳で開くと、次のように記述されていることで、分かります。

/* エミュレーションモード設定  */
CDS EQU 1B 7E 12 00 01 11                       /* PAGES 選択     */

START_JOB=CDS INZ SEL SA4 FA4 SRO P10 LL6

CDS は、Change Data Stream を略して付けた名称と考えられます。
コマンドとしては、"1B 7E 12 00 01 11" であって、これは "5577 モード" への切り換えにもそのまま使用できます。
"START_JOB=" の直後にこのコマンドが記述されていることによって、プリンター・セッションから送信される印刷データの先頭で、プリンターを "PAGES モード"、若しくは "5577 モード" に切り替えて、その後の PAGES コマンドを正しく処理できるようにしている訳です。

Infoprint 1000J シリーズの基本モードである "RPCS モード" のプリンター・ドライバーでは、プロパティ画面のメニューの中で、"基本設定" -> "その他" と選択した次のような画面に "印刷後のエミュレーション" という設定項目があります。
RPCS モードのドライバーで元のエミュレーションに戻す設定

これを、上の画面のように"直前のエミュレーション"と設定しておくと、PAGES モードで印刷後、このドライバーを使って RPCS モードを使って印刷した場合には、プリンターを元のモード、つまり "PAGES モード"に戻すコマンドを、発行すると考えられます。
従って、"PAGES モード"での印刷から始まった場合には、この設定のみで問題無いかもしれませんが、必ずしもそうではないので、"PAGES モード"を使用するプリンター・セッション経由の印刷では、先頭で切り換え用のコマンドを発行する必要があるということです。

プリンター・セッション経由の印刷以外で、PAGES モードを使う印刷としては、OS/400 の HPT 機能を使った、LAN 直結印刷があります。
プリンター・セッション経由の印刷において、PAGES モード 設定のコマンドを使用することは、Infoprint 1000J シリーズの "PAGES 使用解説書"に記載されていることですが、HPT 機能を使った LAN 直結印刷についての記述はありませんでした。
ところが、実際には、1 台の Infoprint 1000J に対して、RPCS モードのドライバーを使った WindowsXP からの印刷と、HPT 機能を使った AS/400 からの LAN 直結印刷を行なっている中で、AS/400 からの印刷が、文字化けしてしまうという問題が発生したお客様がありました。

"RPCS モード"のドライバーで、"直前のエミュレーションに戻す"設定は行なったものの、問題は解決しません。プリンターが、OS/400 から送信されてくる "PAGES モード" の印刷データを正しく識別できず、"RPCS モード"の状態のまま処理してしまうため、文字化けとなってしまうのです。

PDF ファイルと同様に、印刷データの先頭に、"PAGES モード"への切り替えコマンドを埋め込むには、"WSCST ファイル"を編集します。
"WSCST ファイル"を変更する方法は、Web で公開されています。リンク先の 7 ページ目以降をご覧ください。
また、"PAGES モード" 用の"WSCST ファイル"のサンプルも、同じように公開されています。リンク先のテキスト・ファイルを開いてみると、その中に次のような箇所があることが、分かります。

    :INITPRT
      DATA ='1B7E010000'X                   /*初期化設定*/
            '1B7E0300013C'X                 /*行ピッチ設定6LPI */
            '1B7E02000132'X                 /*文字ピッチ設定10CPI */
            '1B7E5A000403AE0000'X.          /*コードページ変更942 */
 
ここが、プリンター・セッション用の PDF ファイルの中の "START_JOB=" 以降に該当します。
そこで、DATA = の次に、"PAGES モード"への切り替えコマンドを、次のように追加します。
 
    :INITPRT
      DATA ='1B7E12000111'X                 /* PAGES 選択*/
            '1B7E010000'X                   /*初期化設定*/ 
 
このお客様では、この "WSCST ファイル" を指定したリモート OUTQ を通して印刷データを送信することによって、プリンターが、先ず "PAGES モード" に切り替わってから、後続のデータを処理するようになり、その結果、文字化けは解消されました。

2017年6月11日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第14回- "PAGES"-8

2003年は、WindowsXP がリリースされた年です。この年、IBM は、小型レーザー・プリンターのシリーズとして、"Infoprint 1000 シリーズ"を発表しました。
Infoprint 1332
MFPオプション付き Infoprint 1352
これらの製品は、Lexmark 社製品から OEM 提供を受けたものと思われます。社内開発を断念し OEM 製品による製品シリーズの拡充に切り替えたと考えられ、個人的には残念だったことを覚えています。
国内向け製品も同じ方針に合わせて、日本版という意味で、"Infoprint 1000J シリーズ"と銘打って、A3 サイズ対応で、印刷速度の異なる 3 モデルを、同じ年に発表しています。
この時から、それまでの 4 桁のマシン・タイプと 3 桁のモデル名の他に、各モデルに対応する "Infoprint 1316J" とか "Infoprint 1356J"といった名前が付くようになりました。その結果、この 3 モデルの概要は、次のようになります。

モデル名 型式         印刷速度  最大用紙サイズ
1356J     5596-3M6  32 枚/分  A3
1336J     5596-3M4  28 枚/分  A3
1316J     5596-3M2  22 枚/分  A3

標準モデルでは、PAGES に対応していません。標準で対応しているのは、"RPCS" モードとあることから、リコー社からの OEM 製品であることが分かります。
付属のプリンター管理ツールにも、"Infoprint Navigator" とか "Infoprint Administrator" というように、"Infoprint" の名前が付けられています。
標準では、リコー社独自のプリンター制御言語 "RPDL" にも対応していますが、Windows からの印刷では、"RPCS" モードがお勧めとなっています。"RPCS" モードは、主にイメージ・データとして印刷データを生成し、解像度も 1,200DPI と高くなっている点では、"5589-L36" の時の専用モードと類似の位置づけ、考え方の印刷データ形式と言えると思います。
Infoprint13X6J 標準とフル・オプション付き

では、PAGES はどうなったのでしょうか ? PAGES モードは、遅れてオプションとして発表され、PAGES オプション付きのキッティング・モデルとしてのみ、提供されることになりました。
キッティング・モデルには、発注用に "M" の代わりに "P"が付いた型式(例えば、5596-3P6)が付けられましたが、このことにより、次のような制約が発生しました。

- 標準モデルを購入後、PAGES オプションが必要になっても後付けができない。
- 購入した製品に、PAGES オプションが付いているかは、プリンターの構成情報を印刷しないと分からない。つまり、"5596-3M6" というプリンターに、PAGES オプションが"キッティング"されているので、プリンターに貼られているシールには、"5596-3M6" としか記載されていないということです。

その結果、特約店やお客様では混乱が発生したことがあることは、否めません。

また、標準モデルでは、オプションも含めると、次のようなに多くの種類の印刷データ形式に対応していて、受信した印刷データを自動認識することもできました。
- RPCS
- RPDL
- PostScript3
- ESC/P
- PR201H
しかし、PAGES に対しては少し冷たく、自動認識できないことがありました。そのため、Windows からの "RPCS" モードを使った印刷と、PCOMM プリンター・セッションからの "PAGES" モードでの PDT 印刷が、1 台のプリンターに対して混在する場合、問題が発生することが、少なくありませんでした。その対策に関しては、次回、お話します。
 

2017年6月4日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第13回- "PAGES"-7

PC の OS の主流が、まだ、J-DOS や DOS/V だった頃には、ワープロや表計算、オンライン端末といったアプリケーションが、それ自身で印刷データを生成して、プリンターに送信してくるという仕組みでした。
一方、インパクト・プリンターと比べて、レーザー・プリンターは、縮小指定、用紙トレイ指定、用紙方向縦/横指定、4 辺の余白の指定等々、制御コマンドの種類が多いのですが、メーカー間で統一されたコマンドは、ありませんでした。
そうなると、各レーザー・プリンター・メーカーは、標準のプリンター制御コマンドを独自の規格で決めて、多くのアプリケーション・メーカーに対応していただくことで、競争力になると判断したわけです。そして、更に、他社が真似して同じコマンドに対応してきたとしても、その時には、自社が先行してコマンドを拡張しておくことで、自社の優位性が保たれるとも考えました。

その際に、インパクト・プリンターの実績のあった、IBM と EPSON 社は、インパクト・プリンターのコマンドを独自に拡張する方式で、それぞれ、PAGES、ESC/Page というレーザー・プリンター向けの規格を作りました。それ以外のレーザー・プリンター・メーカー、例えば、CANON 社は、LIPS という全くレーザー・プリンター独自の自社規格を決めて、多くのアプリケーション・メーカーのサポートを得ていました。
その中で、多くのプリンター・メーカーがターゲットにしたのが、IBM の AS/400 やメイン・フレームのシステム・ユーザーです。この市場は大きいと判断したのだと思います。
それらのシステムからの印刷を行なうためのアプリケーションは、3270PC であったり、5250PC ですが、それらは、5577 形式か、ESC/P 形式のコマンドしか送信しません。そこで、5577 のマニュアルに記載されているコマンドの説明や、それらアプリケーションからの印刷データを調べて、5577 互換 + 各社独自のレーザー・プリンター制御コマンドという組み合わせの、所謂「5577 エミュレーション・コマンド」(エミュレーションとは、真似という意味)を、レーザー・プリンターのオプションとして販売しました。
5577 コマンドに対する各社の拡張

しかし、その後、Windows の登場によって、印刷データの流れは大きく変化し、アプリケーションは印刷データの生成という作業から解放され、その分の仕事は、自社プリンター用のドライバーの開発として、プリンター・メーカーに移ったわけです。自社の規格を業界標準として競争力を維持するという戦略の下に、独自規格でコマンドを決めてきたことが、Windows の登場によって、自社の負担になってしまったという、皮肉な結果になっています。

そのような時代の変化の下で、AS/400 も含めたホスト・システムから、端末アプリケーションを介して、(PAGES も含めた)5577 互換のレーザー・プリンターへの印刷という図式も、いつの間にか崩れてきたようです。
つまり、一般の Windows アプリケーションと同様に、PCOMM プリンター・セッション経由の印刷も、最早、PDT 印刷ではなく、PDT を指定しないドライバー印刷で対応可能になってきているようです。
これは、PCOMM 側の改良や、プリンター・メーカーによるドライバーの改良の両方が寄与していると思います。

さて、そうなってくると、PAGES の必要性は、どこかに残っているのでしょうか ?
それは、次の 3 つのケースに絞られるかと思います。
1. OS/400 のHPT 機能を使った、AS/400 からの LAN 直結印刷の場合
2. AS/400 上のアプリケーションとして、PAGES コマンドをキャラクター・モードを使って送信する場合
3. AIX 等の UNIX 系のシステムからの文字印刷の場合

Windows のドライバー印刷では、印刷データは、アプリケーションとプリンター・ドライバーが、MS 明朝や、MS ゴシック等々の Windows に付属のフォントのイメージを使って、文字もイメージ・データと各ページのイメージをプリンターに送信してきます。
それに対して、"1" と "3" は、途中にWIndows を介しませんから、文字は文字コードとしてプリンターに送られ、プリンターが内蔵フォントを使って印刷イメージを生成します。
次の画面は、OS/400 V7R1 において、リモートOUTQの設定の画面ですが、コマンド変換するための選択肢である "MFRTYPMDL" にも、例えば "*IBMPAGES300" が準備されています。これは、前回までお話した、300DPI の解像度を持つ、ネットワーク・プリンター・シリーズの PAGES オプション用のものです。
MFRTYPMDL *IBMPAGES300

"2" は、文字通り、キャラクター = 文字としてプリンターを制御する PAGES コマンドをプリンターに届けないとなりませんから、プリンター・セッションでは、印刷データはイメージではなく、文字コードや制御コマンドとしてプリンターに送信する必要があります。
例えば、スプール・データの 1 ページ目は、A3 サイズの用紙に印刷するが、2 ページ目以降は、A4 サイズ用紙に印刷するといった業務の場合、データの先頭で、A3 サイズの用紙がセットされた用紙トレイを指定し、2 ページ目の先頭では、A4 サイズの用紙がセットされた用紙トレイを指定するコマンドを、印刷データの中に埋め込むことになり、このような場合に、キャラクター・モードが使用されます。
この業務を継続するために、PAGES モードを持ったプリンターを使い続けるという方法以外に、PAGES という一種の制約を外すことを検討するのであれば、Mapping Suite のようなソリューションの導入を検討されるのが良いと思います。

2017年5月28日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第12回- "PAGES"-6

ボルダー発の製品群としては、他にシリーズ初のカラー・レーザー・プリンターとして、A4 サイズ用紙対応、8 枚/分の速度を持つ、"InfoPrint Color 8" が、2000 年に発表されました。
"InfoPrint Color 8" は、PAGES には対応しなかった(PAGES は元々カラーを想定していない)ため、国内の開発部隊は全く関与しませんでした。その結果、国内の事業部の製品企画を担当された方が、操作パネルの液晶ディスプレイに表示されるメッセージの翻訳を行なっていたことを覚えています。
InfoPrint Color 8

しかし、このボルダー発の製品シリーズを継続するほどの営業成績が上げられなかった(日本も含めて)ためか、2000 年に発表した、"InfoPrint40" や "InfoPrint21"が最後の製品となってしまいました。
私としては、日本語対応に不十分な面がありますが、他社のレーザー・プリンターと比べて競争力のある価格と、同等以上の機能、特に多くの種類のシステムに接続できる機能を持ったこのシリーズが終わってしまうことは、非常に残念でした。
このクラスのレーザー・プリンターは、IBM の小型プリンターを担当していたレキシントンの部隊が起源となった "Lexmark International社"(1991 年創立)の製品群でカバーすると判断されたのではないかと思います。
その結果、PAGES モードを持ったプリンターは、元の "558xシリーズ" のみに戻りました。

"558xシリーズ" のその後の展開を見ると、1999 年に、
- InfoPrint20 と同じ印刷機構を使った "5589-K20"(A3 サイズ用紙対応、印刷速度 20 枚/分)
5589-K20

と、
- A4 サイズ用紙対応、印刷速度 14枚/分の "5584-K14"
5584-K14

を発表しています。解像度は、どちらも同じ 360DPI です。
当時、同じ外観の "InfoPrint20" と "5589-K20" の違い、つまり、どのような場合にどちらを選んだら良いかについて、お客様や特約店の方から聞かれることが多く、苦労したことを覚えています。

2000 年には、1996 年に発表した "5587-K02"(16 枚/分)を同じ筐体で、印刷速度を高速化した "5587-L20"(20枚/分)を発表しました。その結果、A3 サイズ用紙対応で 20 枚/分の印刷速度を持つ "558x" プリンターが、"5589-K20" と併せて 2 製品となってしまいましたが、"5589-K02" の方が大量印刷向けとなっていました。
その後、2002 年に、より高速の 36枚/分の印刷速度を持つ "5589-L36" が発表されたことにより、"5589-K20" は置き換えられました。
5589-L36
5589-L36 2,000枚給紙ユニット付き
この "5589-L36" が、それまでの "558x" シリーズと異なる点は、PAGES の他に独自のイメージ処理モードを持っていて、その解像度は "600DPI" だったことです。1996 年の "5587-WIN" と同様に、Windows のプリンター・ドライバーからの印刷専用で、そのドライバーからは、解像度 600DPI のイメージ・データが送信されてくるという仕組みです。文字もイメージとして送信されてきますので、内蔵フォントを使用しません。Windows の印刷プレビューの画面イメージそのままに印刷します。
日常、オフィスで使用するワープロやメール、表計算は既に Windows 上のアプリケーションに置き換わった時代ですから、レーザー・プリンターもプリンター・ドライバーを使った印刷ができれば十分になります。そういった観点で、時宜に適った製品と言えますが、その反面、他社製品と正面から競争することになり、価格性能比が厳しく問われることとなりました。
また、Windows Server をプリント・サーバーとして使用するネットワーク経由の共有印刷も普及してきましたので、様々なネットワーク構成の下での使用方法など、営業をサポートする立場の私も勉強することが多くなりました。

では、そのような環境の中で、PAGES はどのような印刷において、まだ必要なのでしょうか ?
次回は、そのお話をしたいと思います。

2017年5月20日土曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第11回- "PAGES"-5

Network Printer シリーズ 3 モデルを一気に発表した翌年である 1998 年 には、A3 サイズ対応で中速(20 ページ/分)のモデル "4320-003" を、更に翌年 1999 年には、同じ A3 サイズ対応の高速(40 ページ/分)のモデル "4332-006" を、2000 年には、A4 サイズ対応で 20 ページ/分の速度を持つ "4322-003" を相次いで発表しています。
これらの主な特徴は、次のとおりでした。

- InfoPrint 20 (4320-003)
ブランド名が、"Network Printer" から "InfoPrint" に初めて変わりました。
また、ネットワークに接続して複数のユーザーで共有することを追求した結果、Windows PC からのドライバー印刷だけでなく、Mac や AIX からの 日本語 PostScript3 形式の印刷の場合にも、自動的に印刷データ形式を判断して切り換えて、印刷することができます。
その他、PAGES や、ドット・プリンター用として DOS/V の標準規格となった ESC/P にもオプションで対応します。
更に、大型システムや、AS/400 との直接接続印刷用として、AFP にも日本語対応するといった多彩振りです。
共有する以上、高い耐久性も必要で、月平均 7,500 枚、最高 75,000枚 の使用を想定した作りとなっていました。

印刷速度 : 20ページ/分(A4)
解像度 : 600DPI、1200DPI
印刷データ形式 : PCL5、日本語 PostScript3、IPDS(漢字)、PAGES、ESC/P、SCS(英数文字)
(IPDS、PAGES、ESC/P、SCS はオプション。)
InfoPrint 20
- InfoPrint 40 (4332-006)
既に気が付かれたと思いますが、4 桁の型式は、初め 2 桁は"43"で固定、後ろ 2 桁が印刷速度を表わすという仕組みになっています。しかし、この "InfoPrint 40" は、印刷速度が 40 ページ/分であるのに対して、型式は "32" となっています。これは、初めに海外で発表された時には、32 ページ/分の速度だったのですが、日本で発表する時点では、速度が少し高速化されて、40 ページ/分になったという経緯があったからです。
InfoPrint 40 は、InfoPrint 20 の 2 倍の印刷速度であるばかりでなく、給紙オプションや、排紙オプションによって、最高 3,550 枚の連続給紙や、最高 2,500 枚 の排紙容量を持った、最上位モデルでした。
サポートする印刷データ形式は、InfoPrint 20 と同じで、様々な形式の印刷データを自動判別して印刷することができました。
印刷速度が速いだけに、耐久性も月平均 50,000 枚となっていました。

印刷速度 : 40ページ/分(A4)
解像度 : 600DPI、1200DPI
印刷データ形式 : PCL5、日本語 PostScript3、IPDS(漢字)、PAGES、ESC/P、SCS(英数文字)
(IPDS、PAGES、ESC/P、SCS はオプション。)
InfoPrint 40
InfoPrint 40 フル・オプション構成
- InfoPrint 21 (4322-003)
これは、A4 サイズ対応のプリンターです。国内では A4 サイズ対応のプリンターは、A3 サイズ対応のものに比べてなかなか受け入れていただけませんでした。特に、このモデルだけは、PAGES と ESC/P オプションが用意されなかったので、従来製品との互換性の観点で、制約がありました。
それ以外は、意欲的な仕様を持っていた製品ですが、今となっては、その特徴を生かしきれなかったと思います。
印刷データ解像度 : 1200DPI
印刷速度 : 20ページ/分(A4)
耐久性 : 最高 100,000 枚/月
連続給紙容量 : 最高 1,750 枚
連続排紙容量 : 最高 1,100 枚
初めての Web ページ対応(ブラウザーを使って、プリンターの状況を表示したり、設定を変更する機能)
初めての IPP(Internet Printing Protocol) 対応
InfoPrint 21




2017年5月14日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第10回- "PAGES"-4

IBM の Boulder(ボルダー)事業所にあるプリンティング・システムズ事業部は、永年、大型のメイン・フレームや AS/400 といったシステムと直接接続して印刷する、大型のシステム・プリンターを開発してきました。それが、1997年に、"Network Printer"というブランド名で、カット紙用の小型レーザー・プリンターを 3 モデルも一気に発表したということは、私にとって驚きでした。
さすがに、プリンターの機構部(エンジンと呼びますが)は、日本のメーカーからの OEM 提供になっていますが、コントローラーと呼ばれる制御基盤や、ネットワークに接続するためのオプション・カードは、独自の設計のものでした。
世界共通仕様の製品になりますから、安価な低速モデルと、その上の中速モデルは、A4 サイズまでの対応となっています。A3 サイズに対応するのは、最上位モデルになりますので、速度が最も速く、給紙ユニットや排紙機構のオプションも、豊富に用意されていました。

各モデルの主な仕様は、次のとおりです。
- Network Printer12(4312-001)
印刷速度 : 12 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、11 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Netwrok Printer 12

- Network Printer17(4317-001)
印刷速度 : 17 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、16 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Network Printer 17 給紙カセット2段と10ビン・メール・ボックス付き

- Network Printer24(4324-001)
印刷速度 : 24 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、23 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A3
解像度 : 600DPI
Network Printer 24

"Network Printer"と名付けたくらいですから、その特徴は様々な接続方式を選択できるところにありました。

1. 通常のLAN(イーサネットもトークン・リングも)接続の他に、メイン・フレームと接続するための "COAX" 接続用のカードや、AS/400 と接続するための "Twinax" 接続カードを選択できました。

2. "COAX" 接続や "Twinax" 接続のために、"SCS" 形式と、"IPDS"(AFP)形式のコマンドをサポートしていました。


3. 通常のLAN接続やパラレル・インターフェイス用には、"PCL"形式と"PostScript"形式、そして"PAGES"形式のコマンドをサポートしていました。

4. 複数のユーザーがネットワークを介して共有する場を想定して、Network Printer17 モデルには"10ビン・メール・ボックス"と呼ぶ、10 段の引き出しになった排紙オプションがありました。この引き出しは、それぞれにパスコードを設定して、プリンターの操作パネルから自分用のパスコードを入力しないと開かないように設定することができました。

5. ネットワークを使って、プリンターがユーザーから離れた場所に設置された場合でも、プリンターの状態を把握できるようにするため、ユーザーの PC にインストールする "Network Printer Manager Utility" という、無償の管理ツールが提供されていました。

また、Network Printer 独自のエピソードとしては、1998年に開催された長野オリンピックで、IBM がスポンサーとなったこともあって、大量の Network Printer 17 が使用されたことが挙げられます。そして、それらは、オリンピック終了後、日本IBM 社内に配布され、オフィス用のプリンターとして使用されたものです。

ただ、COAX接続や、Twinax接続を使ったホスト・システムからの直接印刷は、残念ながら日本語対応されていませんでした。日本語のデータの印刷に対応できたのは、Windows3.1、95、NT4.0 や、OS/2 からの PCL モード用のプリンター・ドライバーと、PAGESを使った印刷でした。

Network Printer 用の PAGES コマンドは、それまでの 558x プリンターのものと次のような違いがあります。
- 対象となるプリンターの解像度が、600DPIであるため、300DPI、600DPI のイメージ・データを扱えること
- n-up 印刷や、排紙トレイの指定等、プリンターの機能に合わせたコマンドが拡張されていること
- APTi 社ではなく、大和研究所のプリンター開発チームによる開発であること

その後、"Network Printer" は、"InfoPrint" にブランド名を変えて、新たにモデルが発表されていきます。





2017年4月22日土曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第8回- "PAGES"-2

1988年に発表された初代の "5587-G01" や、翌年 1989年の "4216-510"のコマンドは、"5577互換"レベルか、その拡張の "3222" レベルまででした。
"PAGES" に初めて対応したのは、1990年に発表された、"5587-G01"と同じ筐体の "5587-H01" プリンターでした。
そしてその翌年、1991年には、より小型で安価な "5585-H05" プリンターを発表しています。
"5587" プリンターは、A3 サイズの用紙までに対応していましたが、その結果、次のような課題がありました。
- プリンター全体が大きくなった。
- 高めの価格となった。
- 当時、A3 サイズのプリンターの需要は小さかった。
そこで、B4 サイズまでの用紙に対応し、小型化も実現した、別のプリンター・メーカー製の機構を採用して、"5585-H01" プリンターが企画されました。
私は、プリンターの製品企画の担当者として、営業部門のマネージャーの方から、PAGES コマンドに対応したソフトウェアを揃えない限り、お客様はレーザー・プリンターの良さが使えないのだから発表できないと発破を掛けられたことを、良く覚えています。
OS である J-DOS や、OS/2 を始めとして、IBM 製ワード・プロセッサープロである"DOS文書プログラム"、OS/2 用の IBM 製アプリケーション"Smartシリーズ" などのサポートを得ることができました。
ソフトウェア製品を開発する側から見れば、PAGES コマンドに対応すれば、そのソフトウェアがどれだけ多く売れるかという見方になるのは当然です。そのような目で見れば、開発の手間に見合うだけの成果を、プリンター部門から保証することは非常に困難です。それでもサポートを得られたのは、私に発破を掛けてきた営業部門のマネージャーの方からの支援によるものだったと、今でも深く感謝しています。

5585-H01 レーザー・プリンター
ただ、1991年は私にとっては大きな変革の年でした。世界中の IBMに「分社化」の嵐が吹きまくり、日本の開発部門の中では、真っ先にプリンター開発部門が、TEC 社(今の東芝テック社) との合弁会社に切り出されてしまったのです。
"5585-H01"プリンターは、秋の発表の直前に分社化という大きな荒波を受けました。私自身はその新会社に異動しなかったことによって、発表のための最終的な作業を行なえず、どうなることか心配しましたが、何とか発表に漕ぎ着けることができました。(新会社発足直後に、その社長に対して、このプリンターの発表の意義を説明に行ったことを、良く覚えています。)

アプティと名付けられた新会社からは、その後、PAGES 対応のレーザー・プリンターが次々と発表されていきました。
1992年には、最大 A3 サイズ対応の"5589-H01"、
1993年には、最大 A4 サイズ対応の"5584-H02"、"5584-G02" プリンターが発表されています。

この "5584-H02/G02" プリンターで、それまでの "PAGES" 対応のプリンターと大きく変わったことがあります。それは、解像度です。"PAGES" 以前の "5587-G01" から "5589-H01" までの解像度は、240DPI という日本のレーザー・プリンターに共通の値でしたが、"5584-H02/G02" では、360DPI という値に変わったのです。何故、わざわざインパクト・プリンターの2倍の解像度に変更したのかは、その場にいなかった私には不明ですが、プリンター機構部を製造する OEM メーカーから見れば、特殊な解像度のモデルを製造しないとなりませんから、製造コストには影響があったのではないかという疑問は残ります。
5589-H01 プリンター
5584-H02 プリンター


2017年4月16日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第7回- "PAGES"-1

PC(Personal Computer) の OS(Operating System) が、Windows と、iOS となった今から見れば、苦笑するようなことでしょうが、個人用のコンピューターという意味での PC が、IBM では "PS/55" だった時代には、レーザー・プリンターのメーカーが他社に比べて優位に立つには、自社独自仕様のコマンドの機能を、いかに多くのアプリケーション・ソフトウェアに対応してもらって、「業界標準」の地位を獲得するかにかかっていると考えられていたものです。
しかし、この考え方は、何もプリンターに限った話ではなく、当時は画期的だった OS、"OS/2" であれ、PC 自体であれ、あるいはゲーム機であれ、使えるアプリケーションの種類が多くないと、生き残ることができないという点では、共通のものではないでしょうか ?

IBM のプリンター開発の本部である Boulder(コロラド州) では、ちょうど、メイン・フレームや AS/400 から、直接プリンターにグラフィカルな印刷を行なうための "AFP(Advanced Function Printing -> 後に Presentation)"というアーキテクチャーを実現するための "IPDS" というコマンド体系を定義していました。
そこで、日本でもこれを元に "PAGES" という PC 向けのレーザー・プリンターのコマンド体系を定義しました。
"PAGES" を定義するに当たっては、先行して複数のアプリケーション・ソフトウェアが対応していた "5577" コマンドと互換であることは、当然の前提です。
これは、別の表現で言うと、"5587-G01" プリンターのオプションで対応した "3222" コマンド体系の拡張ということになります。

実際に、"PAGESコマンド解説書"の概要を見てみると、このコマンドは、次のように分類できることが分かります。

(1) 基本制御コマンド
"5577" コマンドと同じか、その拡張コマンド

(2)拡張制御コマンド
"PAGES" で追加されたコマンドで、"ESXコマンド" と "グラフィックス・コマンド" に分かれます。
"PAGES"コマンド体系
 しかし、現在でも使用されるコマンドは、PDT ファイルを使ったプリンター・セッション経由の印刷や、HPT(ホスト印刷変換)機能を使った、OS/400 からの直接印刷で使用されるコマンドに限られると言って良いのではないでしょうか ?
それらは、その使用目的から自然と、ページ全体に対する制御を行なうコマンドとなります。

1. PAGESモード設定
1B 7E 12 00 01 11

2. メディア座標原点(用紙回転)
1B 7E 50 00 01 00 => 用紙縦長
1B 7E 50 00 01 03 => 用紙横長

3. 用紙トレイ選択
1B 7E 46 00 05 00 00 nn 00 00
nn = 11 => A3 トレイ指定自動選択
nn = 13 => A4 トレイ指定自動選択
nn = 00 => 第 1 給紙カセット指定
nn = 01 => 前面トレイ指定
等々

4. 両面印刷指定
1B 7E 3B 00 04 00 00 nn 01
nn = 00 =>片面印刷指定
nn = 01 => 両面:長辺綴じ
nn = 02 => 両面:短辺綴じ

5. 縮小指定
1B 7E 51 00 01 nn
nn = 03 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> A4
nn = 02 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> B4
nn = 01 =.> 縦横 75%
等々

6. 余白設定
1B 7E 53 00 0A 00 X座標オフセット 00 Y座標オフセット 00 00

つまり、これらのコマンド以外のもの、例えば次のようなコマンドは、プリンター側に機能としては持たせたものの、アプリケーション・プログラムから使われることはほとんど無しに、Windows のプリンター・ドライバーを使った印刷の時代に変わってしまったということです。
- フォーム・オーバーレイ
- 32 x 32 ドットの外字のダウンロード
- 内蔵アウトライン・フォントの使用
- ベクトル座標を使った図形の記述
- グラフィックの記述



2017年4月8日土曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第6回- "PAGES"まで

"5587-G01" レーザー・プリンターが発表された頃は、日本独自の製品であった"マルチステーション 5550 シリーズ" から、World Wide 標準製品である "PS/2" シリーズの日本語対応版である "PS/55"シリーズに切り替わっていく時代でした。
その移行に対応するために、プリンター側としては、"コンバージド・インターフェイス"と"3バイトECC"に対応しています。
"コンバージド・インターフェイス"と"3バイトECC"については、"プリンターへのデータの流れ - レベルE機能と双方向通信 -"の回をご参照ください。

コンバージド・インターフェイスに対応したプリンターとしては、ドット・プリンターである"5577-G01"が先に発表されています。
ちなみに、"PS/55"では、"PS/2"に対して、日本語フォントをメモリーに内蔵したディスプレイ用のカードを搭載していました。
そして、OS である"J-DOS"は、文字を文字コードとして処理し、画面にはディスプレイ・カードに内蔵した日本語フォントのイメージを表示するという方式を使っています。
ちなみに、"5550 シリーズ"では、"K-DOS"( 漢字 DOS の意味)でしたし、"PS/55" の後の "PC/AT" 互換機では、"DOS/V" となって、共にソフト・フォント(メモリーではなく、ソフトウェアとしてのフォント) となっている点が、大きく異なります。
これは、ちょうどプリンターによる印刷も同じ原理で、J-DOS からは文字コードがプリンターに送られ、プリンターは内蔵しているフォントのイメージを印刷します。
例えば、"5587-G01" プリンターは、240DPI(ドット/インチ)の解像度で、32 x 32 ドット構成の文字を内蔵していましたから、文字コードが送られてくると、32 x 32 ドット構成の文字イメージを印刷します。
この文字が、解像度 180DPI のドット・プリンターが内蔵する 24 x 24 ドット構成の文字と同じ大きさになることは、比例計算すればお分かりになると思います。
"5587-G01" プリンターは、24 x 24 ドット構成の文字、つまりドット・プリンターと同じ文字も内蔵していました。こちらの文字を使うと、ちょうど 3/4 に縮小された文字を印刷することができました。

この当時、"PS/2" から "PS/55" が開発されたように、プリンターの世界でも World Wide 製品を元に日本語対応した製品を開発するという方式が、流行りました。そのレーザー・プリンター版が、"4216-510" プリンターです。
4216 プリンター本体(本来は右に給紙トレイが付く)

"4216" プリンターは、"5587-G01" のプリンター OEM 製造元の会社が開発した、小型のレーザー・プリンターで、接続先のシステムによって、いくかのモデルに分かれます。
それに対して、日本で、"5577互換" の機能(コマンド対応、日本語フォント内蔵)追加を行なったのが、"4216-510" になります。
開発期間の短縮化も求められていたため、"5587-G01" と同じ "3222"互換ではなく、"5577" 互換レベルとしたことは、今から思えば一つの見識だったと思います。
プリンターの機構自体は、小型化を追求した設計となっていて、良いプリンターでしたが、残念ながら対応する用紙サイズが "A4" まででは、国内ではあまり受け入れられませんでした。

一方、その間に、国内の他のレーザー・プリンター・メーカーは、各社独自のコマンド体系を拡充し、それを様々なアプリケーション開発会社に持ち込んで、サポートしてもらってその数を競っていました。そこで、当時のプリンター開発グループでも、各社のコマンドを調査したり、IBM World Wide では標準規格として定義されてきたばかりの "IPDS(Intellient Printer Data Stream)" に習って、"PAGES"(Page printer Advanced Graphics Escape Set)を定義しました。
そして、他社に習って、コマンド解説書を本として準備し、社内のソフトウェア・グループはもちろん、社外のソフトウェア開発会社やユーザーにも情報提供始めました。
"PAGES" のコマンド解説書は、Web でも公開しています。
そして、"PAGES" を装備したプリンターとして始めて発表されたのが、"5587-H01" プリンターです。

2016年7月2日土曜日

QRコードの印刷方法 - 第1回 プリンターの持っているコマンドを使う -

2015年10月から連載した"バーコードの印刷方法"では、文字通り"バーコード"、つまり、バーを組み合わせた 1 次元コードを対象としたものでした。1 次元コードは、ほとんどが APW で指定できるという大きなメリットがありましたが、2 次元コード、国内で使用されている"QRコード"は、APW では対応されていません。そのため、AS/400上のアプリケーションから、"QRコード"付きの帳票を印刷するには、工夫が必要です。
QRコード印刷サンプル
"QRコード"は、製造業だけに限らず、様々な業種において、様々なアプリケーションに使用されています。最も大きな特徴は、格納できる文字数の多さと、文字に漢字などの2バイト文字にも対応していることと言えます。では、QRコードをプリンターで印刷するには、どうしたら良いでしょうか?

先ず、1 次元バーコードの時と同様に、プリンターの持っているコマンドをプリンターに送信し、プリンター内部で QRコードを作製して印刷する方式が考えられます。それには、どのような点に注意して、どのようにすれば良いでしょうか?
QRコードの"コマンド"と言いましたが、実は、QRコードを印刷するための"SCSコマンド"はありません。それが、APW で対応していないことの大きな理由となっています。逆に言うと、インパクト・プリンターなら、"5577モード"、レーザー・プリンターなら"PAGESモード"の中に、QRコードのコマンドがあるということです。

コマンドそのもののは、1次元コードのコマンドと同様に、
- 1B 7E 40(バーコード印字形式設定)コマンド
  によって、QRコードであること、QRコードの大きさを指定し、次に
- 1B 7E 42(バーコード印字)コマンド
  によって、印刷位置と格納するデータを指定するという構成です。
なお、QRコードの中に格納するデータの文字コードは、英数文字ならUS-ASCII、漢字ならShift-JISになります。
これらのコマンドやデータを、AS/400 上のアプリケーションからプリンターに送信できる接続方法と対応プリンターの組み合わせを整理すると、次のようになります。

1. PCOMM プリンター・セッション経由のPDT印刷
キャラクター・モードを使って、バーコード・コマンドをアプリケーション内に組み込みます。
インパクト・プリンターなら、5577系、レーザー・プリンターなら、PAGES系のプリンターは、キャラクター・モードにも、QRコードのコマンドにも対応していますので、使用可能です。
サンプル・コードをこちら(5577系, PAGES系)で公開していますので、ご参照ください。
しかし、5400系のライン・プリンターは、キャラクター・モードに対応していません。

2. HPT(ホスト印刷変換機能)を使った LAN 直結印刷
プリンター・セッション経由のPDT印刷と同様です。キャラクター・モードを使って、QRコード用のバーコード・コマンドをアプリケーションから発行するようにします。

3. Telnet5250Eを使った LAN 直結印刷
5400系のライン・プリンターでも、5577モードでは、QRコードを印刷するコマンドを持っていますが、5577系と異なり、キャラクター・モードに対応していませんから、同じ方法は使用できません。
しかし、Telnet5250E 接続の機能の中で、透過モードをサポートしていますので、これを使ってコマンドを送信するようにアプリケーションを組めば、通常の接続方法の下で、QRコードを印刷することができます。

ただ、以上のご説明でお分かりのように、プリンターにコマンドを送信してQRコードを印刷させるには、アプリケーションのプログラミングに大きな手間が掛かります。
そこで、次回は、プログラミングの手間の掛からない方法をご紹介します。

2016年4月3日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第4回 MappingSuiteを使った縮小印刷-

今までは、PAGES モードを持ったプリンターを前提に、縮小印刷するための方法をお話してきました。今回は、プリンターを限定しない方法として、以前、バーコード印刷の方法でご紹介した、MappingSuite(以降、Mapping)を使用する方法をご紹介します。
基本的な考え方は、先ず、縮小印刷の対象となるスプールに対して、Mapping が OS/400 上で縮小印刷結果そのものの PDF ファイルを生成します。
次に、それを PDF ダイレクト印刷可能なプリンターに、OUTQを通して直接印刷する、若しくは、PC 上の MVP(Mapping Virtual Printer) に送信すると、自動的に Adobe Reader とプリンター・ドライバーを使って印刷するというものです。

そのための準備として、帳票設計ツールである"MapDraw"を使って、縮小印刷のための帳票設計を行ないます。ここでは、15インチx11インチ・サイズの連続用紙に印刷していた、横 132桁、縦 66行のデータを、A4 サイズ、横長に縮小するための設計を行ないます。
1. "MapDraw"で新規作成を指定すると、次のようなフォーマットの定義を行う画面が表示されます。"ページ・サイズ"に"A4"、"向き"は"Landscape"(Landscape は、風景画の意味で、通常、風景画は横長です。これはプリンター業界共通の用語です。ちなみに、縦長は"Portrait"、肖像画です)、"フォーマット名"は"SHUKUSHOH"とします。
MapDrawプロジェクトの定義画面














2. 横132桁、縦66行のスプール・データをMapDraw上に取り込みます。罫線や固定文字等のオーバーレイを必要としない、単なる縮小印刷であれば、スプール・データの配置を決める"MapF"画面表示に切り替えます。
スプール・データの取り込み














3. 左側の"MapF"画面上では、初めに、"1行目から66行目までを繰り返す"という意味の"グループ(g1)"を定義します。なお、上余白は、"グループ"の上端とその下の線とで調整するのですが、それは後の全体の位置調整の時に行ないます。
グループの作成









4. "グループ"で定義した繰り返しの対象となる"ゾーン"を定義します。"グループ"の中に、スプール・データの"1桁目から132桁目"を"文字"で表示するという定義の"ゾーン"を作成します。
ゾーンの定義-桁とタイプ










5. "ゾーンのプロパティ"画面で、"フォントとスタイル"タブを選択すると、フォントの種類やサイズ、そして文字ピッチを指定することができます。ここでは、フォントの種類に"MSゴシック"、サイズに"9ポイント"、文字ピッチの値に"23"を指定しました。
ゾーンの定義-フォントと文字ピッチ











6. 更に"条件"のタブを選択すると、"間隔"欄で、行間隔、つまり行ピッチを指定できます。ここでは、値は"29.63"、その単位は"1/10mm"を指定しています。これは"2.963mm"を表わしています。(細かい数値になっていますが、実際に選択できるのは、0.1mm単位です。)
ゾーンの定義-行間隔











7. ここまでの設計の結果をプレビューの画面で確認すると、次の画面イメージのようになり、A4 サイズ横長に縮小されたイメージの設計ができたことを確認できます。もちろん、ここで指定したフォント・サイズや文字ピッチ、行間隔は、プレビュー画面で確認しながら何度か調整した結果で、初めからこれらの値を1回で決められた訳ではありません。
プレビュー画面











8. ここで、Mappingを使うことのメリットは、上や左の余白を、"MapDraw"のプレビュー画面上で結果を確認しながら、微妙に調整できる点です。特に左余白は、"ゾーン"の定義で、文字の配置がデフォルトの左寄せの場合は、ゾーンの左端の位置をマウスを使って、あるいは、X 座標の値を直接入力することで、調節できます。前回までお話した PAGES モードのプリンターにコマンドを送信して指定する方式では、左余白の値を予め決めて、それを元に換算する手間が掛かりましたし、その結果を確認するには、実際に印刷してみないと分かりませんでした。この点は大きな違いと思います。
ゾーンの左端の位置
1桁目の位置 = 左余白

9. 後は、バーコードの印刷方法 - 第5回 もっと柔軟な方法 - Mapping Suite の場合-3 でお話した手順で、PDF ファイルの生成や、その印刷します。もちろん、日々の業務で自動実行するためには、PDF ファイルの生成や自動印刷のコマンドを、既存の CL たRPG プログラムの中に取り込む、若しくは、Mapping の標準機能である ROBOT を設定することが必要ですが、それらについては、Mapping 自体のお話しの機会にご説明します。

次回は、補足として、MapDraw の機能を活用した、"両面印刷"を意識した設計のお話をします。