始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。
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2017年8月6日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第2回 - 2010年のお客様状況 -

前回ご紹介した 2002年のアンケート結果では、ライン・プリンターもまだ Twinax 接続で使用されているお客様が半数以上でした。
2002年の頃を振り返って見ると、AS/400 が Twinax 接続標準から LAN 接続標準に移行していく中で、対応するプリンターも、LAN 接続でも双方向通信が可能で、Twinax 接続からの移行の受け皿となる Telnet5250E に対応するものとして、連続用紙用レーザー・プリンターのInfoPrint250(5300-025) と、ライン・プリンターの標準モデルである 5400-006 の LAN カード付きモデルが発表されたのが、2000年でした。
InfoPrint250(5300-025)
Telnet5050E 対応のライン・プリンターの高速、中速、低速モデルのライン・アップとして、5400-L10、5400-S06、5400-L02が揃ったのが、2002年です。
また、ドット・プリンターを Telnet5250E に対応させるためのオプション、5400エミュレーターが翌年、2003年に発表されていますから、この頃のプリンターは、Twinax 接続から LAN 接続に徐々に切り替わっていく時代と言えるかと思います。

しかし、同時に、半数近くのお客様は電子化やレーザー・プリンターへの移行を指向していたことが分かります。私自身にも、古くなって保守も終了したライン・プリンターを、LAN 接続の新しいライン・プリンターに置き換えるお客様の比率が減っているという実感がありました。レーザー・プリンターへの移行と言っても、AFP だけでなく、PAGES モードを持つ小型の IBM レーザー・プリンターですら、お客様には"高い"と言われ、十分に受け皿になっていないという実感もありました。

今にして見れば、その頃から、メーカー縛りが無く、価格の安いレーザー・プリンター(消耗品コストは、インパクト・プリンターに比べて高くなりますが)に印刷できるようにするために、所謂"帳票ソリューション"を導入されるお客様が増えてきたのではないかと考えています。それらのソリューションのほとんどが、次のような処理を行いますので、Windowsのプリンター・ドライバーさえ持っているプリンターであれば、制約は無かったのです。
- AS/400 上のスプール・データを、例えば csv 形式のファイルに変換します。
 -> それを、Windowsサーバーに送信します。
  -> Windowsサーバー上で帳票イメージを作成して、プリンター・ドライバーを使って印刷します。

そこで、その後のお客様の変化を知るために、2010年4月に同様なアンケートを実施しました。その結果は、次のとおりです。

- 調査時期 : 2010年4月
- 有効回答社数 : 70社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. ライン・プリンター    Yes : 58%    No : 36%    不明 : 6%
1-2. レーザー・プリンター    Yes : 66%    No : 24%    不明 : 10%
1-3. ドット・プリンター    Yes 74%    No : 20%    不明 : 6%
使用しているプリンターの種類

2. 帳票設計
2-1. RPG/COBOL, DDS でコーディングしている : 64%
2-2. APW も使用している : 16%
2-3. OS/400 上で稼動する帳票ソフトを使用している : 12%
2-4. Windowsサーバー上で稼動する帳票ソフトを使用している : 4%
2-5. 印刷しない : 4%
2-6. 不明 : 4%
帳票設計

3. 5年後の予想
3-1. 現行のまま継続する : 33%
3-2. 電子化により印刷量を削減する : 31%
3-3. 複写帳票を廃止してレーザー・プリンターへ移行する : 16%
3-4. 既存帳票は継続し、新規帳票は帳票ソリューションを使用する : 7%
3-5. AS/400 を廃止して Windowsサーバーへ移行する : 6%
3-6. 現行方式を維持し、増強する : 4%
3-7. その他、不明 : 3%
5年後の予想

4. 帳票ソリューション
4-1. 使用中のものへの満足度    満足 : 40%    不満足 : 23%    不明 : 37%
4-2. 選択のために重視する    価格 : 48%    稼動 OS 種類 : 20%    設計機能 : 13%    導入実績 : 9%    不明 : 10%
4-3. 稼動 OS : どちらでも良い : 44%    OS/400 : 33%    Windowsサーバー : 17%    不明 : 6%
帳票ソリューションについて


2017年7月29日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第1回 - 2002年のお客様状況 -

このブログでは、今まで自分が携わってきた、IBM プリンターとその使い方を中心にお話ししてきました。
今回以降、しばらくは、AS/400 プリンティングの世界で、今求められているソリューションについてお話していきたいと考えています。
私自身が今までの仕事の中で、基幹システムに AS/400 を使用されている企業の情報システム部門の方が、印刷を含めた "出力" に関して、今後どうしていきたいと考えていらっしゃるかを、興味深く注目してきました。
大多数のお客様は、残念ながら、出力に関する関心や優先順位が低いという点において共通しているようです。その背景となる情報システム部門の方の認識は、次のようなものではないでしょうか。

- プリンターから印刷できることは、当たり前のことなので、気にしていない。
- 上布システムに関わる優先順位の高い課題が、他にいくつもあるので、現状の出力に慣れた社内ユーザーには、従来どおりの安定した出力を継続できれば十分である。

とは言え、実際に調査することが必要と考えて、既に15年前になってしまいますが、当時のパートナー企業のご協力をいただいて、情報システム部門の方にアンケートを取ったことがありますので、ここに、かいつまんでご紹介したいと思います。

- 調査期間 : 2002年3月18日から4月26日
- 有効回答社数 : 375社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. 平均台数 : 34台(ライン・プリンター 6台、ドット・プリンター 18台、レーザー・プリンター 10台)
1-2. ライン・プリンターの接続方式 : Twinax 接続 1,269台(54.8%), LAN 接続 1,047台(45.2%)
375社のプリンターの種類内訳
ライン・プリンター接続方式の内訳

2. 帳票設計
2-1. RPG でコーディングしている : 222社(59.2%)
2-2. APW も使用している : 120社(32%)
2-3. 印刷しない : 15社(4%)
帳票設計方式の内訳(企業数)

3. 今後の出力
3-1. 今のまま継続する : 75社(20%)
3-2. 今のまま継続し、増強する : 51社(13.6%)
3-3. プリンターを LAN 接続化して継続する : 75社(20%)
3-4. 電子帳票化して印刷量を削減する : 126社(33.6%)
3-5. Web 対応に移行する : 39社(10.4%)
3-6. AS/400 を廃止する : 9社(2.4%)
出力の今後の方向内訳(企業数)

4. 複写帳票
4-1. 継続して使用 : 231社(61.6%)
4-2. レーザー・プリンターに移行する : 126社(33.6%)
4-3. 廃止する : 15社(4%)
4-4. 元々使用していない : 3社(0.8%)
複写帳票の使用内訳(企業数)
この結果を見ると、2002年当時でも、Twinax 接続のライン・プリンターが半数以上あったということは興味深いですが、その一方で、今後も印刷を継続するというお客様が半分いらっしゃる反面、電子化等への移行により、レーザー・プリンターへ移行したい、更に紙への印刷を減らしたい、若しくは止めたいというお客様が半数あったことが、特に興味深いと思いました。


2017年5月14日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第10回- "PAGES"-4

IBM の Boulder(ボルダー)事業所にあるプリンティング・システムズ事業部は、永年、大型のメイン・フレームや AS/400 といったシステムと直接接続して印刷する、大型のシステム・プリンターを開発してきました。それが、1997年に、"Network Printer"というブランド名で、カット紙用の小型レーザー・プリンターを 3 モデルも一気に発表したということは、私にとって驚きでした。
さすがに、プリンターの機構部(エンジンと呼びますが)は、日本のメーカーからの OEM 提供になっていますが、コントローラーと呼ばれる制御基盤や、ネットワークに接続するためのオプション・カードは、独自の設計のものでした。
世界共通仕様の製品になりますから、安価な低速モデルと、その上の中速モデルは、A4 サイズまでの対応となっています。A3 サイズに対応するのは、最上位モデルになりますので、速度が最も速く、給紙ユニットや排紙機構のオプションも、豊富に用意されていました。

各モデルの主な仕様は、次のとおりです。
- Network Printer12(4312-001)
印刷速度 : 12 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、11 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Netwrok Printer 12

- Network Printer17(4317-001)
印刷速度 : 17 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、16 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Network Printer 17 給紙カセット2段と10ビン・メール・ボックス付き

- Network Printer24(4324-001)
印刷速度 : 24 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、23 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A3
解像度 : 600DPI
Network Printer 24

"Network Printer"と名付けたくらいですから、その特徴は様々な接続方式を選択できるところにありました。

1. 通常のLAN(イーサネットもトークン・リングも)接続の他に、メイン・フレームと接続するための "COAX" 接続用のカードや、AS/400 と接続するための "Twinax" 接続カードを選択できました。

2. "COAX" 接続や "Twinax" 接続のために、"SCS" 形式と、"IPDS"(AFP)形式のコマンドをサポートしていました。


3. 通常のLAN接続やパラレル・インターフェイス用には、"PCL"形式と"PostScript"形式、そして"PAGES"形式のコマンドをサポートしていました。

4. 複数のユーザーがネットワークを介して共有する場を想定して、Network Printer17 モデルには"10ビン・メール・ボックス"と呼ぶ、10 段の引き出しになった排紙オプションがありました。この引き出しは、それぞれにパスコードを設定して、プリンターの操作パネルから自分用のパスコードを入力しないと開かないように設定することができました。

5. ネットワークを使って、プリンターがユーザーから離れた場所に設置された場合でも、プリンターの状態を把握できるようにするため、ユーザーの PC にインストールする "Network Printer Manager Utility" という、無償の管理ツールが提供されていました。

また、Network Printer 独自のエピソードとしては、1998年に開催された長野オリンピックで、IBM がスポンサーとなったこともあって、大量の Network Printer 17 が使用されたことが挙げられます。そして、それらは、オリンピック終了後、日本IBM 社内に配布され、オフィス用のプリンターとして使用されたものです。

ただ、COAX接続や、Twinax接続を使ったホスト・システムからの直接印刷は、残念ながら日本語対応されていませんでした。日本語のデータの印刷に対応できたのは、Windows3.1、95、NT4.0 や、OS/2 からの PCL モード用のプリンター・ドライバーと、PAGESを使った印刷でした。

Network Printer 用の PAGES コマンドは、それまでの 558x プリンターのものと次のような違いがあります。
- 対象となるプリンターの解像度が、600DPIであるため、300DPI、600DPI のイメージ・データを扱えること
- n-up 印刷や、排紙トレイの指定等、プリンターの機能に合わせたコマンドが拡張されていること
- APTi 社ではなく、大和研究所のプリンター開発チームによる開発であること

その後、"Network Printer" は、"InfoPrint" にブランド名を変えて、新たにモデルが発表されていきます。





2017年1月22日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第24回 - たまにいただくお問合せ-1

今回は、今までいただいたお問合せの中から、思い出した順にお話したいと思います。

Q1. 購入したばかりの 5400 プリンターを、Telnet5250E を使って AS/400 と接続するために初期設定を行なっているが、装置記述も OUTQ も自動構成できず、接続できない。

A1. IPアドレスの指定ミスといった単純な理由以外には、次の原因と対策が考えられます。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成が OFF になっている。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成は ON だが、接続した装置の数が既に、設定した最大値になっている。
-> これらの場合は、OS/400 の設定を変更する必要があります。

- 既存の装置記述や OUTQ と同じ名前を指定しようとしている。
-> それまで、プリンター・セッション経由の接続で使用していたプリンターを置き換えるに当たって、同じ OUTQ 名をそのまま使用したい場合に、このような現象が起こり得ます。この場合は、既存の装置記述や OUTQ は一旦削除する必要があります。

Q2. プリンター・セッション経由の印刷の時には、プリンターの電源を投入した後は"印刷可能"状態となったが、Telnet5250E による LAN 直結印刷に変更したら、電源投入後は"印刷中断"状態になる。そのため、"印刷"スイッチを押して、"印刷可能"状態に変えないと印刷開始できない。

A2. Twinax ケーブルによる接続の時代もそうだったのですが、AS/400 と直接接続の場合には、プリンターの起動時には"印刷中断"状態となるように決めているようです。
"印刷可能"状態で起動すると、印刷データを送信済みの場合に、プリンターにセットされた用紙が正しいかを確認する間も無く、印刷が始まってしまうことを避けたいと考えられていたのが理由かもしれません。
しかし、通常の PC 用のプリンターの起動時は"印刷可能"状態になりますし、それで不都合はありませんから、私も「印刷可能」状態で起動する方が良いと思っています。

Q3. AS/400 が英語環境の場合でも、5400 プリンターで印刷したい。

A3. 2次言語に"日本語"が導入されていれば、Telnet5250E を使った直接印刷は可能です。しかし、"日本語"環境が全く導入されていないと、直接接続での印刷はできません。
これは、5400 のような日本語プリンターは、OS/400 上では"5553"という名前の"日本語プリンター"として認知されるのですが、日本語環境が無いと、OS/400 上には"5553"が選択肢として存在しないからです。
ちなみに、"5553"という型式は、"マルチステーション5550"の中のプリンターとして発表された、16 ドット漢字用の"5553-A01"、24 ドット漢字用の"5553-B01"というドット・プリンターのものです。
マルチステーション5550 向かって左端が5553

そこで、日本語環境が無くても 5400 プリンターに印刷する方法は、プリンター・セッション経由の接続とすることです。この場合は、OS/400 から見てプリンター・セッションがプリンターの役割を担うことになりますので、実際のプリンターが日本語プリンターであっても関係ないからです。
IBM 6500 シリーズ
IBM 6400 シリーズ
このご質問の背景には、英数文字専用のライン・プリンターの置き換えがあります。
IBM では従来、6400 シリーズ、6500 シリーズという、英数文字専用のライン・プリンターを販売していました。
英数文字専用のプリンターと日本語プリンターの最大の違いは、解像度です。日本語ライン・プリンターは、ドット・プリンターと同じく、漢字を省略無く印刷するために 24 x 24 ドットで印刷します。そのために、180 ドット/インチの解像度、直径 0.2mm の印刷用のピンを使用します。
しかし、アルファベットや数字の印刷にはそこまでの解像度やピンの細さは必要ありません。
その結果、英数文字専用のライン・プリンターは、メリットとして高速印刷と高い耐久性を持っています。
また、接続先のサーバーの種類や、接続インターフェイスの種類も非常に多いという特徴もありました。
ただ、それらのプリンターも販売が終了し、今は OEM 元のプリントロニクス社の P シリーズが販売されているのが現状です。
参考情報

IBM 6500 シリーズ発表レター
IBM 6400 シリーズカタログ

2016年9月3日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第8回- 日本語ライン・プリンターの歴史-8

"5400-L06"が発表されてから 3 年後の 2006 年に、その後継機であり、2016 年の現在も販売中の"5400-F06"が発表されました。中速機のシリーズでは久し振りに筐体が変わりました。特に、上面に平らな部分ができたので、5327 以来、久し振りに、印刷後の用紙を置くことができるようになりました。
"5400-F06"は、それまでの、"5400-006"、"5400-S06"、"5400-L06"と比較して、次の点が異なります。
  1. カバーが全て金属製となったためか、印刷中の音が、明らかに小さくなりました。
  2. 印刷後の用紙を取り出すための扉が、左側の他に右側にも付きました。そのため、左右どちらの部屋の隅にも置くことができます。
  3. Twinax 接続のオプションが無くなりました。
  4. Telnet5250E と LPR の自動切換えモードを選択できるようになりました。これによって、AS/400 からの印刷と、Windows PC からの LAN 経由の印刷が混在する時に、プリンターの初期設定を変更して再起動を待つ必要が無くなりました。
  5. 印刷速度が、10% 以上、速くなりました。
  6. 印刷速度を落とさずに、印刷用のピンの押す力(印字圧)を強めるモードが、コピー強化モードに加わりました。用紙の厚さに対応して、印字圧調整レバーが、"1" よりも大きな値にセットされると、自動的にこのコピー強化モードとなり、操作パネルの"コピー強化"ランプが点灯します。
逆に、用紙表面の汚れを防ぐ"リボンつなぎ目スキップ機能"に対応したインク・リボンやインク・リボン・カートリッジは、従来と共通となっています。
5400-F06 外観

<"5400-F06"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 410 行/分(通常速モード)
                  570 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  680 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : LAN、パラレル
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2006 年 -

2007 年は、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンになった年ですが、その 2 年後、2009 年に、"5400-L02"は"5400-F02"に、"5400-L10"は"5400-F10"にモデル・チェンジしています。大きな変更はありませんが、LAN カードの機能の共通化を生かして
  • "5400-F02"、"5400-F10"共通に、Telnet5250E と LPR の自動切換えに対応しました。
  • "5400-F10"では、"5400-L10"では間に合わなかった"プリンターWebページ"が、追加されました。
それぞれのモデルが、2016 年現在、現行モデルとして販売中です。

これで、2016 年現在まで戻ってきましたので、次回からは、ライン・プリンターの使い方をお話ししたいと思います。

2016年8月27日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7

前回ご紹介した"5400-L02"と同じく、2002 年に発表された、最高速モデル"5400-L10"は、他のモデルと異なり、1回の移動で縦 12 ドットを印刷する印字ヘッドを、上下 2 組持っています。そのため、縦 24 ドットの 1 行を印刷するには、印字ヘッドが右から左、若しくは左から右に 1 回移動するだけで済んでしまうので、高速印刷が可能になっています。しかし、それだけに、2 組の印字ヘッドの位置の調整を正しく行なわないと、文字は罫線が歪んで印刷されることになります。
また、1 回の印字ヘッドの移動で 1 行印刷できるために、インク・リボンの幅も広くなっています。そのため、他の中速モデルと低速モデルは、同じ詰め替えリボンが使えますが、"5400-L10"は別のものとなっています。
また、印刷速度が速いということは、その分、耐久性も高くないとなりません。そのために、用紙を送るためのトラクターも、他のモデルと異なり、かなりがっちりしたものとなっています。
5400-L10 外観
<"5400-L10"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 600 行/分(通常速モード)
                  800 行/分(高速モード、横方向 1/3 ドット間引き)
                  1,000 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 20,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : Twinax、LAN、パラレル
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577 モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2002 年 - 2009 年

翌年、2003 年には、"5400"シリーズの中核となる中速モデル"5400-L06"が、発表されました。このモデルによって、中速モデルも内蔵 LAN カードが他の速度のモデルと共通となり、共通仕様となっています。
5400-L06 外観
<"5400-L06"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 360 行/分(通常速モード)
                  500 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  600 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : LAN、パラレル
                        (オプション) : Twinax(LAN、パラレルと共存可能)
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577 モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2003 年 - 2006 年

細かい点ですが、"5400-L06"では、"5400-006/S06"から改善された点があります。それは、印刷中に印字ヘッドの前に来たインク・リボンにつなぎ目があることを、自動的に検知して、その部分は印刷に使用せず、飛ばす機能が追加されたことです。
インク・リボン・カートリッジとインク・リボン
インク・リボンは、長い布のリボンの両端を、溶かして接着し、大きな輪の状態になっています。リボンを 1 回ひねってから接着すると、"メビウスの輪"となりますので、印刷する際にインク・リボンが回転していくと、自動的に表と裏の両面を印字ヘッドのピンが叩くことになります。これは、1 本のインク・リボンをできるだけ有効に使用するための知恵なのですが、このつなぎ目の部分をピンが叩くと、他の部分よりも毛羽立ちしやすくなります。その毛羽立った先が用紙の表面をこすり、インク汚れを付けるという現象が、この中速モデルで発生しました。
(不思議なことに、高速モデルや低速モデルでは発生していないようです。)
その対策として、インク・リボンのつなぎ目の近傍にマークを付け、プリンター側に追加したセンサーが印字中にそれを検知したら、その部分が通過してから印刷するような改良を加えました。その結果、5400 プリンター用のリボンには"スキップ機構対応"とそうでないものの 2 種類が存在しますが、当然、"5400-L06/F06"用には"スキップ機構対応"のものが、お勧めです。

2016年8月20日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第6回- 日本語ライン・プリンターの歴史-6

AS/400用ライン・プリンターの標準機として、"5400-006"が1998年に発表され、更に、2年後の2000年には、LAN 接続用のオプションも発表されて、当時の IBM ライン・プリンターは磐石の地位を築いたように思えましたが、やはり世の中に"競合"は常にあるものです。互換機メーカーから同じクラスのライン・プリンターが発表され、そのモデルでは、プリンターの左側面に、印刷済みの用紙を取り出せる扉が付いていました。
保守も含めて必要な設置スペース
ライン・プリンターでは、一度に大量のページを印刷することが多くあります。印刷が終了すると、通常は、操作パネルで、印刷中断状態にしてから"改ページ"ボタンを押して、印刷した最終のページの下側のミシン目で用紙を破れるように紙送りします。

印刷済みの用紙は、プリンター内部の後ろ側に落としますので、それを回収するには、後ろの扉を開けないとなりません。それは、プリンターの後ろ側には予め、扉を開けるためのスペースを空けておかないとならないことを意味します。マニュアルにも左のような図で説明してあるのですが、実際にはそのような空きスペースの余裕が無いお客様が多く、プリンターの後ろは壁に付けて設置したいというご要望は、古くからありました。



 その点で、プリンターの左側面や右側面に扉があれば、背面を壁に付けて設置しても、横から印刷済みの用紙を取り出すことができます。
左側の扉を開けた様子
 そこで、急遽、2002年に、左側に扉を付けた"5400-S06"という、"5400-006"の派生モデルを発表しました。
この"5400-S06"では、3種類のインターフェイス、パラレル、Twinax、LAN を標準装備していたのも大きな特徴です。


2002年は、ライン・プリンターの当たり年で、新製品が、他に 2 種類発表されています。
低速モデルの"5407-001/011"の後継製品である、"5400-L02"と、高速モデルの"5427-001"の後継製品である、"5400-L10"です。
先に発表された"5400-L10"は、後にバージョン・アップも行われて、"5400-L02"、"5400-L06"、"5400-L10"は、共通となる仕様を多く持つようになりました。その共通の仕様とは、次の 8 点です。
  1. LAN とパラレル・インターフェイスが標準("L10"モデルは、Twinax 接続も標準)
  2. Telnet5250E で必要な、外字の保存可能な文字数は、4,370 文字(5400-S06は、4,370文字、5400-006 の LAN オプションでは1,152 文字)
  3. JIS第3、JIS第4標準の文字を内蔵し、CCSID1399(バージョン1)に対応
  4. 内蔵フォントの書体は、IBM 明朝体のセットの他に、平成明朝体のセットも選択可能
  5. Web ページにより、操作パネルの液晶表示を PC 上で表示、初期設定を PC から変更可能(← 訂正 : L10モデルでは、後継のF10モデルから実装)
  6. バーコード・コマンドによるバーコードを印刷する行のみ、ドットを間引かない通常速モードで印刷することによって、高速モード、超高速モードでも読み取り精度の低下なくバーコード印刷が可能
  7. バーコードの種類は、元々ある6種類の他、郵便番号、CODE128、QRコード(5577モードのみ)
  8. SCS コマンド以外に、文字データのようにして、バーコードや文字拡大を指定可能な、テキスト・コマンドの採用(バーコードの印刷方法 - 第2回 コマンドを使う、もう一別の方法 -を併せてお読みください。)
5400-L02外観
<"5400-L02"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 150 行/分(通常速モード)
                  205 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  225 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 6,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2002年 - 2009年

2016年8月14日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第5回- 日本語ライン・プリンターの歴史-5

日本語ライン・プリンター・シリーズの中核となる中速モデルが、耐久性を向上した"5400-006"に代わって、一安心といったところでしたが、次の課題が新たに出てきました。
"5400-006"プリンターが発表された1998年の3年前は、Windows95が発売され、インターネットの普及が始まった年です。インターネットの普及に合わせて、企業の現場では、ネットワークは、IBM独自のTokenRing(トークン・リング)方式からEthernet(イーサネット)方式へ、プロトコルも、IBM独自の"SNA"から、"TCP/IP"へというように、メーカー独自規格から業界標準規格に移っていく傾向が始まりました。AS/400 の世界では、機器の接続が、"Twinax"接続から"ネットワーク"接続へ、徐々に移行していったわけです。AS/400 自体でも"Twinax"接続機構は、標準からオプションへと変わって行きます。

そうなると、ライン・プリンターの接続方式も"Twinax"接続ばかりではなく、PCOMM のプリンター・セッションを経由した方式が増えていきました。それは、プリンターに対して印刷データを生成して送信してくるのは、AS/400 ではなくなり、"ibm5577.pdt"というPDTファイルを参照して、5577 形式の印刷データを生成、送信するプリンター・セッションになることを意味します。

そのような状況の中で、お客様から問題として指摘され始めたのが、"Twinax 接続と比べて、プリンター・セッション経由では、罫線のある行の印刷が遅い。"という現象です。(因みに、ライン・プリンターで印刷が遅いというのは、印刷中に紙送りが止まることがあることを意味しています。)
プリンターの開発部門と一緒に原因を調べて判明したことは、次のとおりです。
  1. 罫線は縦24ドットのイメージ・データとして、プリンター・セッションから送られている。
  2. 実際に印刷する罫線は、縦2ドット程度の"黒イメージ"だったとしても、印刷データとしては、残りの縦22ドットの"白イメージ"もあるわけで、罫線の長さに比例して、印刷データ量が大きくなる。
  3. その印刷データを生成する PC 側の処理速度、ネットワークによる通信速度、受信したプリンター側での処理速度、全てに対して負担が大きくなって、印刷速度の低下を引き起こしている。(現在の PC の処理速度や、ネットワークの通信速度だったら考えられないことですが)
5577モード :2ドット幅の横罫線の印刷データ
しかし、プリンターの開発部門で対応できるのは、プリンター側での処理速度でしかありません。それでは効果を期待できませんので、対策として決まったのが、"Telnet5250E"接続の採用です。その狙いは、次の2点です。
  1. 標準のプロトコルとなっていく"TCP/IP"の規格の一部であって、Twinax接続とほぼ同じ操作性を実現できること。
  2. 罫線を引くためのコマンドが、AS/400 から発行されるSCS形式のコマンドとなるため、罫線の始点と終点を座標で指定する方式になる。そのため、罫線を印刷するためのデータ量の大幅な削減が期待できる。
SCSモード : 横罫線の印刷データ
"Telnet5250E"については、AS/400からの印刷 ~基礎編-3~をご参照ください。

"5400-006"プリンターでは、2000年に、LAN カードを Twinax カードとの選択オプションとして発表しました。新規発注分に対して選択できるだけでなく、使用中の"5400-006"プリンターに対しても、技術員による交換作業により、LAN 接続に変更できるようになっていました。
LAN カードは、プロトコルとして"Telnet5250E"だけでなく、"LPR"も初期設定で選択可能となっていました。"LPR"プロトコルに設定した場合には、"5577モード"か"ESC/P"モードに対応したプリンターとして使用できます。具体的には、Windowsが稼動するPCや、AIX が稼動するIBMワークステーション(RS6000)からの印刷にも使用できるということです。整理すると、Twinax接続の代わりにLAN カードを選択した場合、次の3種類の内1種類のプリンターとして使用できるということになりました。
  • AS/400 からTelnet5250Eを使った印刷(SCSコマンド)
  • PC や RS6000 からLPR/LPDを使った印刷(5577モード)
  • PC や RS6000 からLPR/LPDを使った印刷(ESC/Pモード)
実際に、この LAN カードを使った"Telnet5250E"によって、罫線による印刷速度の低下は解消しました。

2016年8月6日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第4回- 日本語ライン・プリンターの歴史-4

第2回に出てきた"5417"プリンターは、耐久性の指標となる"想定月間平均印刷枚数"が、その前の"5327"プリンターの 2/3 だったことが影響してか、耐久性 = 故障率の面でお客様から問題を指摘されることが多くありました。

因みに、"想定月間平均印刷枚数"は、プリンターを設計する時に、どの程度の耐久性を持たせるかを判断する元の数字となるものです。そして、この値を元に、各部品の故障率が算定され、それを元に保守作業のコスト(部品代と人件費)が計算され、それを元に年間保守契約料金が決まってきます。また、日本語ライン・プリンターの無償保証期間は1年間ですが、その間の保守コストは、製品価格を決める時に組み込まれます。
従って、"想定月間平均印刷枚数"以上の枚数を継続して印刷すると、お客様から見れば、故障頻度の高いプリンターとなり、現場のユーザーのクレームの元になります。一方、保守する側から見れば、一定料金の保守契約料金に対して、コストが大きくなり、赤字になる可能性が出てくるということに繋がります。

そこで、"5417"が発表された 1994年から4年というライン・プリンターとしては比較的短期間の後、1998年に、耐久性を改良した"5400-006"プリンターが発表されました。
  • 5400-006

"5400-006"は、"5417"の改良版ですから、外観上は操作パネルの色が変わった程度で、大きな違いはありません。しかし、中身は改善されています。
  1. <耐久性>懸案だった"想定月間平均印刷枚数"は、"5327"と同じ"12,000枚(15x11インチ用紙)/月"になりました。
  2. <インターフェイス>Twinax ケーブル用のコネクターと、パラレル・インターフェイス・ケーブル用のコネクターの両方を持ち、初期設定で、どちらの接続方式を使うかを選択できるようになりました。これによって、発注時にモデルを意識する必要がなくなったと共に、初めはTwinaxケーブルで接続し、将来はパラレル・インターフェイスで接続するという使い方も可能になりました。一方、販売する上からは、在庫管理が楽になりました。なお、"5400-006"から、パラレル・インターフェイス・モードでは、従来からの"5577"モードに加え、"ESC/P"モードも初期設定で選択可能となっています。
  3. <印刷速度>通常速モードの印刷速度が、330行/分から360行/分に向上しました。それに伴い、高速モードは、430行/分から500行/分に、超高速モードは、500行/分から600行/分に向上しています。
  4. <バーコード・コマンド>少し前に始まった、郵便番号用のバーコード・コマンドを追加しています。
5400-006プリンター外観
 <"5400-006"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 360 行/分(通常速モード)
                  500行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  600行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード)
- 対応コマンド : SCSコマンド(Twinax接続)、5577コマンド(パラレル・インターフェイス)、
                       ESC/Pコマンド(パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、新旧JIS規格選択
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(7種類)

- 販売期間 : 1998年 - 2003年
- 保守終了 : 2017年予定

2016年7月30日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第3回- 日本語ライン・プリンターの歴史-3

1994年に発表された"5417-001/011"プリンターが、最も売れ筋の"中速機"クラスであったのに対して、1995年に発表された"5407-001/011"プリンターは、安価で購入しやすい"低速機"クラスのライン・プリンターという位置づけのものでした。
  • 5407-001、5407-011

"5417"との違いは、印刷速度と、それに応じた想定月間平均印刷枚数です。
"001"モデルが、"Twinax"接続用、"011"モデルが、5577 モードのパラレル・インターフェイス接続用である点も共通です。
このプリンターの購入を検討されたお客様から時々聞かれたのは、ドット・プリンターの最高速モデルである"5579"(当時は、"5579-K02")と比べて、どの位、印刷速度が速いか、お買い得かという点です。
標準価格、印刷速度、そして耐久性に相当する想定月間平均印刷枚数を、"5579"と"5407"で比較すると次のようになります。
プリンター  標準価格     印刷速度    想定月間平均印刷枚数
                                  (通常速)     (15"x11"連続用紙)
5579-K02     598,000円  200字/秒   2,600枚/月
5407-011   1,180,000円  140行/分   5,000枚/月

"標準価格"と"想定月間平均印刷枚数"を比較すると、ほぼ比例していることが分かりますから、問題は印字速度をどう比較評価するかという点になります。

"5579"は印字ヘッドが印刷する文字のある場所に移動しながら印刷します。左の図は、四角の位
ドット・プリンターの印字ヘッドの動き
置にある文字を印刷する際に、印字ヘッドが左右にどのように動くかを表わした模式図です。
①1行目の文字を印刷するために、左から右へ移動します。次の行を印刷するためには、逆方向に移動しないとなりませんので、一旦、止まるために右端の文字位置よりも行き過ぎて止まります。
②用紙が1行分送られて、印字ヘッドは右から左に移動して印刷します。
③印字ヘッドは、右に少し移動してから次の行を右から左方向に印刷するか、そのまま左端まで移動してから次の行を左から右方向に印刷するか、どちらが速く印刷できるか判断します。ここでは、一旦、右方向に移動して止まります。
④用紙が1行分送られたら、印字ヘッドは右から左に移動して印刷します。
つまり、ドット・プリンターの場合には、行の中に何文字あるか、しかも文字が離れてあるか、固まってあるか、そして次の行ではどこに文字があるかででも、1ページを印刷する時間は変化してきます。

一方、"5407"のような"ライン・プリンターは、名前の通り、行単位で印刷します。つまり、1行の中の文字数に関係なく、印刷速度は一定です。ただし、空白行が続く場合には、用紙を素早く送るという動きをします。
それぞれのプリンターの印字ヘッドの動きの違いから、印刷速度を単純に比較することはできないことをお分かりいただけると思います。そこで、比較するためには、ある条件を設定して、印刷速度を換算することとします。

<1枚の15x11インチ・サイズの連続用紙を印刷する時間>
- 前提条件
用紙サイズ : 横15インチ、縦11インチ
行ピッチを6LPI(行/分)で、全行印刷すると、全部で 66行/枚
文字ピッチを漢字6.7CPI(文字/インチ)で、1行の半分に文字があるとすると、約50文字/行

- 5407の印刷時間
66 / 140 * 60 = 28.3 秒

- 5579の印刷時間
印字ヘッドの速度だけから計算すると、50 / 200 * 66 = 16.5 秒 というように、5407よりも速いということになってしまいます。実際には、これ以外に、印字ヘッドが左右で減速して止まるまでの時間、止まってから 200 文字/秒の速度で印刷する時間、そして、用紙を行送りする時間が加算されますので、この計算値の3倍程度の時間、49.5 秒は掛かります。
大まかに見れば、印刷速度も、価格や耐久性と同様の比例関係にあると言えるのではないかと思います。

"5407"と"5417"を比較すると、前回、"5417"で機能アップした点の中の、次の点は共通です。
  1. "英小文字セット"、"カナ文字セット"と呼ぶ2種類の半角文字のセットを内蔵して選択可能としたことにより、"CCSID5026"と"CCSID5035"という 2種類の、英小文字と半角カナ文字が共存する印刷に対応しました。(文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか? 参照)
  2. バーコード・コマンドに対応しました。バーコードを含む帳票を設計するための"APW(APSU)"も用意されたことで、AS/400 の世界で簡単にバーコード付きの帳票を印刷できるようになりました。(ただし、Twinax接続の場合のみ) 
5407 プリンター
速度や耐久性の他、筐体が異なり、用紙がカバーの外へ露出している部分が多いので、印刷中の音は、"5407"の方が大きかったように思います。
<"5407-001/011"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 140 行/分(通常速モード)
                  205 行/分(高速モード、縦18ドット・フォント)
- 想定月間平均印刷枚数 : 5,000 枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(6種類)

- 販売期間 : 1995 年 - 2002 年
- 保守終了 : 2008 年

2016年7月23日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第2回- 日本語ライン・プリンターの歴史-2

  • 5427-001

5327 プリンターの上位機種という位置づけで発表されたのが、5427-001 プリンターです。"001"というモデル名しか無いことから、Twinax 接続のみだったことが、分かります。
<"5427-001"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 500 行/分(通常速モード)
                  640行/分(高速モード、18x24 ドットという高さ2/3の文字になります。)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1992年 - 2002年
- 保守終了 : 2008年3月31日

当時は最上位モデルという位置づけでしたが、現行のライン・プリンターの仕様と比較すると、印刷速度も、想定月間平均印刷枚数も、"中速"プリンター・クラスだったことに、時代の変化を感じさせられます。
  • 5417-001、5417-011

5327-001/011の後継機という位置づけプリンターです。5327 同様に、"001"モデルが"Twinax"接続、"011"モデルが"パラレル・インターフェイス"接続です。
外観が大きく変わり、トップ・カバーは金属ではなく樹脂製に変わって、丸みを帯びたデザインとなっています。ただ、そのため、印刷後の用紙を置くと、滑って落下するという、お客様のご指摘をいただいたことがあります。
また、機能面では、5327 と比較すると、数々の機能拡張が行なわれました。
  1. 高速モードや超高速モードを実現するために、横方向のドットをそれぞれ1/3、2/3間引く方式が取り入れられました。周囲のドットの配置に配慮して適切なドットを間引くロジックの効果によって、文字の品質を然程落とさず、縦24ドットの文字で高速化を実現しています。この方式は、その後の5400シリーズでも採用されています。
  2. 同じ行を2度打ちする"コピー強化モード"により、複写可能枚数は、オリジナル+7枚まで増えました。
  3. "英小文字セット"、"カナ文字セット"と呼ぶ2種類の半角文字のセットを内蔵して選択可能としたことにより、"CCSID5026"と"CCSID5035"という 2種類の、英小文字と半角カナ文字が共存する印刷に対応しました。(文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか? 参照)
  4. バーコード・コマンドに対応しました。バーコードを含む帳票を設計するための"APW(APSU)"も用意されたことで、AS/400 の世界で簡単にバーコード付きの帳票を印刷できるようになりました。(ただし、Twinax接続の場合のみ) 
5417プリンター外観
<"5417-001/011"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 330 行/分(通常速モード)
                  430行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  500行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 8,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(6種類)

- 販売期間 : 1994年 - 1998年
- 保守終了 : 2005?年


超高速  高速 通常速モードのドット構成例
ドットを間引かない、本来の 24x24 ドットの文字を印刷するモードを"通常速"モードと名づけて、操作パネルを始め、マニュアルやカタログに記載しましたが、他社のライン・プリンターでは、1/3ドットを間引く"高速モード"を"通常速モード"と呼ぶようになっています。この呼び方の違いで、誤解を招いた例は少なくなく、未だに続いています。

5327 プリンターの後継機という位置づけだったにも関わらず、想定月間平均印刷枚数が 2/3 となっていたことにより、耐久性の面でトラブルとなってしまったお客様があったことの反省が、後の5400-006モデルに生かされたということは、忘れられません。

2016年7月17日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第1回 日本語ライン・プリンターの歴史 -

これからしばらくは、プリンター自体、特に AS/400 からの印刷では標準と言えた、"ライン・プリンター"のお話を続けたいと思います。今回は、日本語ライン・プリンターの歴史です。
  • 5227-001、5227-011

 180dpi(ドット/インチ)の解像度により、24x24ドットの漢字を印刷できる、日本語ライン・プリンターの最初のモデルです。
これ以前に、5224 や 5225 という日本語を印刷できるライン・プリンターがあったということを聞いたことがあります。実物は私も見たことがありません。ただ、解像度が低いため、日本語プリンターの範疇には入れられないと聞きました。5577 シリーズと同じ、180dpi の解像度で、24x24 ドットの漢字が印刷できる、国内製造の印刷機構を持ったライン・プリンターとしては、初めてのモデルであることは、確かです。

<001モデルと011モデルの違い>
"001"モデルは、Twinax インターフェイスを持った、System36/38(発表当時は、まだ AS/400 は出ていません。)接続用のモデルです。"001"モデルの後に発表された"011"モデルは、COAX インターフェイスを持った、メイン・フレームと呼ばれる汎用コンピューター接続用のものです。

<"5227-001"プリンターの主な仕様>

- 印刷速度 : 180 行/分
- 想定月間平均印刷枚数 : 8,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1985年(001モデル)1986(011モデル)年 - 1995/05/31
- 保守終了 : 2000年12月31日
  • 5327-001、5327-011

5227 プリンターを高速化したモデルです。そのため、耐久性も 1.5 倍に向上しています。
また、5327 プリンター用に開発されたインク・リボンやカセットは、5427、5400-L10/F10を除く、その後のライン・プリンターのモデルに共通に使用できるようになっています。
5327プリンター

<001モデルと011モデルの違い>
"001"モデルは、Twinax インターフェイスを持った、AS/400 接続用のモデルです。一方、"011"モデルは、5227 の場合と異なり、インターフェイスはパラレル・インターフェイスとなっています。そのため、制御コマンドも"5577"モードとなっています。
5227-011モデル同様、汎用機からの印刷を想定しているのですが、3270PC(DOS版のホスト・エミュレーター)や、ダム端末と呼ばれていたホスト接続専用端末に接続して、それらを介してホスト・システムと接続する仕組みとなっています。これは、5227-011のように、プリンターが COAX インターフェイスを持つということは、ホスト・エミュレーション端末をプリンターの内部に持つことを意味していて、その結果、多大な開発コストが掛かることになります。5227 の時のそのような苦い経験を生かして、5327-011 では、ホスト・システムとの間に端末を置くこととしたわけです。

<"5327-001"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 330 行/分(通常速モード)
                  430行/分(高速モード、18x24 ドットという高さ2/3の文字になります。)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1988年 - 1992/02/24
- 保守終了 : 2002年12月31日

余談ですが、5327が開発された時には、その下位モデルとしては、5577 プリンターを Twinax 接続でSCSコマンド対応とした"5317"プリンターが、上位モデルとしては、連続用紙とカット紙両用のレーザー・プリンター"5337"プリンターが、開発、発表されました。しかし、残念ながら、どちらも期待された程には、実績を残せませんでした。330行/分という印刷速度を持つライン・プリンター"5327-001"が、AS/400プリンティングの世界では、圧倒的に主流を占めたと言っても過言ではない実績を残しました。

2016年2月23日火曜日

LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第3回 -

IBMの独自規約だった"SNA(System Network Architecture)"に基づくことにより、Twinax接続では可能だった、スプール印刷の保留や取り消しを、"TCP/IP"の世界で実現する"Telnet5250E"では、どのようにして実現しているのでしょうか?
考え方は簡単で、OS/400 が、印刷データを700バイト程度の大きさの単位に切ってプリンターに送信し、プリンターはそのデータを印刷完了すると、完了通知("Ack"と呼びます。Acknowledgement)を OS/400 に返信します。それを受けて、OS/400 は後続の印刷データを700バイト程度の大きさに切って、プリンターに送信するというやり取りを繰り返すというものです。
"繰り返し印刷とポートの設定"の回でお話したように、"LPR"印刷では、OS/400 は、印刷データを一塊にまとめてプリンターに送信しますので、印刷途中で保留したり、取り消したりできなかったのに対し、"Telnet5250E"での印刷では、印刷データを細かく分けてプリンターに送信するため、途中で止めたりする操作が可能になった訳です。
併せて、プリンターはデータを受信するだけではなく、用紙切れや用紙ジャムといったエラー状態を、OS/400 側に通知する機能も持たせています。ただし、初めてプリンターを接続して自動構成によって装置記述ができた時に、デフォルトでは"印刷装置エラー・メッセージ"は、"*INFO"になります。そのため、エラー・メッセージに対して何か応答してから印刷再開させようとするには、この値を"*INQ"に変更する必要があります。
"Twinax"接続と同様の操作性とは言え、"Twinax"接続では、OS/400 からプリンターに接続、あるいは切断しに行くのに対して、"Telnet5250E"接続では、逆にプリンターから、OS/400 に接続・切断しに行くことから、例えば"5400"シリーズのライン・プリンターでは、次のような初期設定メニューを設けています。
5400シリーズ・ラインアップ

1. パワーオン自動印刷
デフォルトでは、"5分"という値にセットされています。これは、プリンターが、OS/400 と接続できていない時に、5分間隔で接続を試みるという意味です。例えば、プリンターの電源は入っているが、AS/400 が起動中で、TCP/IP サービスも立ち上がっていないという状態では、プリンターから"Telnet5250E"接続しに行っても、接続できません。そのような場合、5分間隔で接続を試みることを繰り返すことによって、自動的に接続状態に変わります。

2. ホスト接続監視
デフォルトでは、"はい(する)"になっています。これは定期的に、プリンターから AS/400 に対して ping コマンドを発行して、ネットワークの切断が発生していないかどうかをチェックするという意味です。もし、接続が切れていれば( ping の返信が無ければ)、一定時間後に再度 ping コマンドを発行して接続を確認することを繰り返します。

Twinax 接続の時には、印刷データは、AS/400 との言わば専用線上を流れていて、安定した通信でした。それが、TCP/IP 接続に変わると、他の様々なデータとネットワーク上に共存するようになることや、ルーターやハブ(スイッチ)などの機器を経由することで、Twinax 接続よりも不安定な通信になります。例えば、次のような事例がありました。

<現象1>
遠隔地の 5400 プリンターにおいて、100ページ程度の帳票を印刷後に接続が切れる。数ページの印刷では切れない。プリンターの電源を入れ直すと接続する。
<調査>
プリンターから、ping コマンドを定期的に発行して、AS/400 が稼動中であることを確認しているが、ネットワーク容量に比較して通信量が大きいと、ping コマンドの返信がタイム・アウトになる。そのため、プリンターは AS/400 が非稼動状態と判断して接続を切るという現象が発生していることが判明した。
<対策>
"ホスト接続監視"を"いいえ(しない)"に変更して解決した。

<現象2> 
IP電話を導入後、印刷できなくなった。
<調査>
IP電話のために、ルーターのMTU設定でパケットを細分化していた。(1,450→360 バイト)
そのため、印刷データも細分化されてしまい、それを受信したプリンター側で再構成できなくなった。
<対策>
OS/400 上で、プリンターのIPアドレスに対して、"MTU 自動調整"を"*YES"に変更して解決。

2016年2月13日土曜日

LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第2回 -

"Telnet5250E"接続の特徴は、次のとおりです。
  1. "Twinax"接続と同様の操作性を維持しています。具体的には、印刷中のスプールの"保留"、"取り消し"操作が可能です。プリンター・セッション経由の印刷では、OS/400 から見ると、PC 上のプリンター・セッションが仮想的なプリンターとなっています。PC が印刷データを受信する速度は、プリンターに比べて圧倒的に速く、また受信可能なデータ量も圧倒的に大きいため、スプールを解放した後、印刷中に"保留"したり、"取り消し"することはできません。"HPT機能"を使ったLAN 直結印刷の場合でも、原理は片方向印刷である"LPR"印刷ですから、OS/400 が印刷データを変換して送信し始めたら、やはり、"保留"も、"取り消し"もできません。
  2. OS/400 との接続構成は、"自動構成"です。プリンターの初期設定メニューの中で、接続先の OS/400 の "IP アドレス"と、"デバイス名"を設定すると、初めの接続時に、プリンターから OS/400 に対して接続しに行き、その"デバイス名"の装置記述を自動的に OS/400 上に登録します。なお、"Twinax接続"では、プリンターに設定したアドレス番号に対して、OS/400から接続しに行きますが、"Telnet5250E"接続では、プリンターから OS/400に対して接続しに行く点は、逆です。従って、プリンターの電源を切って、OS/400 プリンター間の"Telnet5250E"セッションを切断する時も、プリンターから OS/400 に対して切断しに行くことになります。(5400 シリーズでは、電源スイッチを切った際の電圧の低下を検知して、OS/400 に対して"Telnet5250E"セッションの切断要求信号を自動的に発信するようにできていますので、ユーザーはセッションの切断を意識することなく、電源を切ることができます。一方、5577 シリーズ本体の"Telnet5250E"接続機能では、予め操作パネルのスイッチを使って、セッションの切断要求信号を発信してから、電源スイッチを切るようになっています。)
  3. "Twinax"接続の時と同様、文字コードは"EBCDIC"のまま、制御コマンドも"SCS形式"のままです。その結果、バーコード・コマンドや罫線コマンドはそのままコマンドとしてプリンターに送信され、プリンターの内部で、バーコードや罫線のイメージを作って印刷します。そのため、データ・サイズが大きくなることはありませんので、罫線の多い帳票でも印刷速度を低下させることもありません。また、プリンター・セッション経由の印刷や"HPT機能"を使ったLAN 直結印刷では発生する制御コマンドの変換機能に起因する制限(バーコード・コマンドや大きな倍数の文字拡大、OCR-Bフォント等の半角フォントの指定が無効になる)もありません。
5400エミュレーターIIのTelnet5250設定Web画面
ただし、"Twinax"接続と異なるため、注意が必要なのは、"外字"の取り扱いです。"AS/400からの印刷 基礎編-3"でお話ししたように、"Telnet5250E"接続では、OS/400 は、外字も標準の文字と同様に、プリンターに内蔵されていると仮定して、文字コードを送ってくるだけです。そのため、外字の文字コードと文字イメージは、予めプリンターに記憶させておくことが必要になります。そのためのコマンドが、"LODPPW"コマンドです。使用可能な外字の数は、4,370 文字になります。

次回は、"Telnet5250E"接続の簡単な原理と使用事例をお話します。

2016年2月6日土曜日

LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第1回 -

1999年のiSUC(アイザック、1年に1回行なわれる AS/400 ユーザーの交流・情報交換会)で、"AS/400 印刷ガイド(中小型プリンター編)と称して行なったセッションの資料を読み返してみると、その中に"パフォーマンス・アップするには"というテーマのページがあります。そこでは、ライン・プリンターの"パフォーマンスが遅い現象"として、次の事例を記載しています。
  • <現象> AS/400 から、PC 経由で、罫線の多い帳票を印刷した時のパフォーマンスが、Twinax 接続時に比べて低下した。
  • <条件> PC の OS は、Windows95/98。PC とプリンターはパラレル接続。PDT印刷。
  • <対策> PC とプリンターの接続をパラレル接続から、LAN 接続に変更する。
  • <該当機種> "5400-006"、"5407-011"、"5417-011"
  • [解説] Twinax 接続の時には、罫線は、制御コード(コマンド)としてプリンターに送られてきます。しかし、PC経由の場合、PCOMM プリンター・セッションで、罫線はイメージ・データに変換されるため、データ量が非常に大きくなります。更に、Windows95/98 では、パラレル・インターフェイスでのデータ処理の優先順位は、他の処理に比べて低くなっています。そこで、優先順位が高いLANポート経由のデータ処理に変更することによって、パフォーマンスの向上が期待できます。
1999年iSUCセッション資料
今から見ると、ライン・プリンターの接続方式は、Twinax 接続だったこと、罫線がイメージ・データに変換されてデータ量が大きくなることが、印刷速度に影響すること、PC とプリンターの接続はパラレル・インターフェイスが標準だったこと、(ここには記載されていませんが)Windows95/98 では、LPR 印刷は標準機能ではサポートされていないため、何かLPR 印刷用のツールを導入する必要があったこと等、正に隔世の感があります。

当時、AS/400 側でも、IBM としての方針もあってと思いますが、Twinax 接続は標準ではサポートされず、徐々にオプションとなっていきました。そうなると、ライン・プリンターを中心とした、AS/400 直結型のプリンターも、LAN(実質的には、TCP/IP) 接続する必要性が高くなりました。その場合、Twinax 接続の世界で、ユーザーが永年慣れ親しんで、当たり前となっていた操作性を落とさずにLAN 接続に移行できることが求められます。その結果、ライン・プリンターを初めに採用されたのが、"Telnet5250E"です。
"Telnet5250"は、元々、TCP/IPの機能の一つとして、5250 端末の画面表示用に、IETF(The Internet Engineering Task Force)で決められた規格です。
https://www.ietf.org/rfc/rfc2877.txt 
Twinax 接続は、IBM が独自に決めた規格でしたが、Telnet の規格の決まった時代は、最早、規格を IBM が決めるのではなく、オープンな場で決める時代に変わったと言えるでしょう。
ただ、プリンターにはそのまま適用することはできません。何故なら、Twinax 接続では実現できていた
  • 用紙切れやジャム等のプリンターのエラー状態を OS/400 に通知する。
  • エラー・メッセージが表示された時に、"メッセージ応答"として、ページ範囲を指定して印刷再開する。
  • スプール送信中に、印刷の"保留"や"取り消し"を指定する。
  • もちろん、接続した時には、OS/400 上に装置記述が自動構成される。
といった機能も盛り込む必要があります。そのために拡張されたことを明示するために、プリンター用には、Telnet5250E(Enhancement)と呼んでいます。

ライン・プリンター"5400-006"用のオプション・カードを皮切りに、"5400"シリーズのライン・プリンターの各種モデル、連続用紙用のレーザー・プリンター"Infoprint 250(5300-025)"、小型のドット・プリンターや、PAGES モードを持つ小型レーザー・プリンター用のオプションである"5400エミュレーターII"等、AS/400 から印刷用に使用されるプリンターでは、Telnet5250E 接続となってきたわけです。
次回は、Telnet5250E の特徴や注意点をお話します。

2015年10月25日日曜日

バーコードの印刷方法 - 第1回 コマンドを使う -

前回、"バーコード"という言葉が出てきたので、今回は今までの話の流れから少し逸れますが、バーコードのお話をします。
"このプリンターでバーコードを印刷できますか?"というお問い合わせを、何度もいただくことがあります。AS/400から、プリンターにバーコードを印刷させるには、いくつもの方法があります。

1. プリンターが持っているバーコード印刷コマンドを送信する方法
これは、プリンターから見れば、バーコードを印刷するコマンドが送られてきて、それに従ってプリンターの内部でバーコードのイメージ(パターン)を作って印刷する方法です。
この方法には以下のメリットがあります。

1-1. 各バーの幅を、コマンドのパラメーターとして、個別に指定できることにより、読み取り率を向上させ易い点です。
特に、インク・リボンを使って印刷するインパクト方式のプリンターでは、細白バーは、実際に印刷される左右両側の黒バーに挟まれた、印刷されない線として表現されますので、1ドット幅にしか指定しないと、左右からのインクの滲みよって、1ドット幅以下の幅になってしまいます。そのため、バーコード・リーダーが読み取る時に、細白バーとして認識でき難くなるわけです。細白バーの幅を先ず2ドット以上と指定し、他のバーの幅をそれを元に決めていくことをお勧めしています。
1次元バーコードのパターン

1-2. 後で述べるユーザー定義文字や、シンボルの組み合わせと比べて、バー幅の修正が圧倒的に楽な点です。
これももちろん、読み 取り率向上につながりますが、コマンドのパラメーターとしてバー幅を指定することは、その値を変更するだけで、バーコードの読み取り率を向上させることが できます。ユーザー定義文字や、シンボルといった、バーコードのパターンを自分で設計する方式では、印刷結果の読み取りテストを行いながら、該当する全部のパターンを修正することになりますので、膨大な手間が掛かることになります。



1-3. OS/400上でバーコードを指定するツール(APW)が用意されている点です。
APW (Advanced Printer Writer) (正式には多機能漢字印刷ユーティリティー)は、世界標準のSCSコマンドに対して、日本独自に追加されたバーコード・コマンドを使い易く するために、日本独自で開発されたツールです。使用可能なバーコード・パラメーターの仕様は、次のサイトで公開されているマニュアルで確認できます。
http://www.ricoh.co.jp/pps/download/manual/other/apw_v3.html

1-4. ネットワークへの負荷が少なく、処理時間の短縮が期待できる点です。
印刷データの量としては、コマンドだけになりますので、ネットワーク上の負荷はその分、少なくなります。バーコードのイメージ(パターン)を生成するの は、プリンターの中のマイクロコードの処理になりますが、経験的には、その処理時間が全体の処理時間に影響することは無いと思います。
黒細バーのインクが滲んだ様子

以上のメリットに対して、次の点には注意が必要です。
- APWを使用する場合、次のバーコードは指定できません。
GS1-128(EAN128.コンビニ収納代行用のバーコード)と、QRコード(これは、正確にはバーコードではなく2次元コードになります。)。そのため、5577系のドット・プリンターや、5400ライン・プリンターはQRコードを印刷するコマンドを持っていますが、そのコマンドを送信するプログラムを作る必要があり、これがなかなか大変です。
- APWを使用する場合は、プリンターのモデルと接続方式が、限られています。
接続方式は、AS/400と直結するTwinax接続やLAN直結する"Telnet5250E"接続か、ホスト印刷変換機能を使用したLAN直結接続です。
前者のプリンターとしては、5400シリーズと、モデル名の最後2桁が"05"となっている5577シリーズ、若しくは5400エミュレーターを使って"Telnet5250E"接続した5577シリーズや、PAGESモードを持ったレーザー・プリンターになります。後者のプリンターは、PAGESモードを持ったレーザー・プリンターです。
- APWを使用する場合は、バーコードを印刷する場所は、毎ページ同じになります。

以上の制約を受けないために、APWは使用せずに、コマンドをプログラムの中に組み込む方法も採れますが、5577モードのバーコード・コマンドは16進コードでプログラムすることとなり、これもなかなか手が掛かります。そこで、コマンドを他のデータと同じ文字データ(テキスト・データ)として組み込む方法がありますので、それは次回お話します。

2015年4月7日火曜日

文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか? 続き



カタカナを先に追加した文字コードは、"CCSID930"という上の表です。その空いている箇所(青色)に英語の小文字を追加して、両方の文字を共存できるようにしたものが、下の"CCSID5026"です。
この中で、例えばカタカナの"ア"の文字コードは、"CCISD5026"では"x81"ですが、"CCSID5035"の"x81"は、"a"ですから、もし同じ"x81"という文字コードがプリンターに送られてきても、プリンターの持っている内蔵フォントの文字コードが、どちらの文字になっているかによって、印刷結果に「文字化け」が発生するわけです。
AS/400側だけでなく、プリンター側でも"CCSID5026"と、"CCSID5035"に合わせた内蔵フォントと文字コードの関係を持っていて選択できるようになっています。AS/400側のCCSIDと、プリンターの初期設定を合わることで、「文字化け」の無い正しい印刷ができるということです。
(例えば、5400ライン・プリン ターの初期設定では、「エイスウカナ モジセット」がCCSID5026用、「エイ コモジ セット」がCCSID5035用となります。)
ただし、ここで言っている「プリンター」とは、5400ライン・プリンター等の、AS/400とTtelnet5250やTwinaxで直結して印刷するタイプのものを指しま す。

プリンター・セッション経由の印刷では、プリンター・セッションが、EBCDICからShift-JISに文字コード変換を行いますので、文字コード の設定を合わせる必要があるのは、プリンター・セッションの設定ということになります。
プリンター・セッションの画面で「通信」->「構成」と選択すると、下の画面が表示されます。その中の下の方にある「939日本語英数小文字拡張」は、AS/400側のCCSIDが"5035"であることを表わします。
("CCSID5026"の場合は、930日本語英数カナ拡張を選択します。)


2015年2月2日月曜日

AS/400からの印刷 ~基礎編-3~

TCP/IPが普及してくると、AS/400とプリンターの接続も、TCP/IPでTwinax接続と同様の操作性を求められることになります。
TCP/IPでの接続が、Twinax接続と大きく異なるのは、IBMが独自で決めた規格ではないという点です。RFC(Request for Comments) というインターネット上の公開された場所で定義されたもので、特にTelnet5250Eは、AS/400の端末の表示画面用のプロトコルTelnet5250をプリンター用に拡張したもので、RFC2877の中に記載されています。(この事実だけででも、時代の流れを感じますね。)
同じTelnetでも、端末表示と印刷で大きく異なる要件は、プリンターのエラーをAS/400側に通知する等の「双方向通信」 にあります。
そのため、技術面では、Twinax接続とは次のような違いがあります。
  1. AS/400とプリンターの間は、プリンターから接続に行きます。(Twinaxの場合は、逆)
  2. ユーザー定義文字(いわゆる外字)も通常の文字と同じように、文字コードだけがプリンターに送信されてきますので、プリンター側に予め、文字コードと文字イメージを保管しておく必要があります。
【余談】外字の取り扱いに関しては、Twinax接続は親切にできていて、外字は文字コードと24x24ドットの文字イメージが、一緒にプリンターに送信されてきます。そのため、ユーザーは外字の有無を一切気にする必要はありませんでした。プリンターは、送信された文字コードと文字イメージを一時的に記憶します。そのため、同じ外字の2度目以降の印刷では、文字コードだけが送信され、データ量を最小限に抑えられます。
(電源を切ると、プリンターに記憶した外字の情報は消去されます。)

そして、LAN上を印刷データが流れるということは、メールやインターネットの閲覧等々、様々なデータと混在して流れることを意味しますので、Twianx接続では意識する必要の無かった、ネットワークのトラフィックも考慮することが、避けられなくなりました。
次回では、そのネットワークのトラフィックとの関係で経験した、Telnetでの印刷で発生するようになった問題と対処方法をお知らせします。

2015年1月28日水曜日

AS/400からの印刷 ~基礎編-2~

かつて、AS/400の世界では、端末機器は、Twinax(つぃんなくす)ケーブルという太目のケーブルで接続されていました。日本語ライン・プリンターも、この接続方式のものから始まったわけです。
【余談】
ユーザーの間では、「同軸ケーブル」と呼ばれることも多かったのですが、正確には、「同軸」はテレビのアンテナ・ケーブルのように、中心に軸が一つのものを指します。◎←こんな断面イメージ。
このタイプのケーブルは、AS/400ではなく、大型のホスト・コンピューター用に使用されていました。
Twinaxは、英語のTwin(2つ)とAxis(軸)の組み合わせで、2軸同芯(平衡型とも言う)となります。

Twinax接続では、端末を次々と鎖のように接続していく方式で、最高7台まで、長さも1,525mというものでした。流れるデータは、IBMのSNAという、間違っても文字化けなど起こさないアーキテクチャーに則ったものでした。
そのため、以下のようなメリットがありました。
・初めてプリンターを接続する時に、AS/400上で自動構成される。(当時からPlung&Playだった!)
・スプールの保留、取り消しが可能
・プリンターのエラーはMSGWTとなって、端末画面にメッセージが表示される。
・その場合、メッセージ応答として、印刷再開ページを指定できる。
・罫線、文字拡大、バーコード指定等のコマンドが有効。
しかし、TCP/IPが事実上の標準プロトコルとなってくると、AS/400もプリンターもTwinax接続はオプションとなり、主流は、TCP/IPのプロトコルの一つであるTelnet5250Eになりました。
Telnet5250Eは、TCP/IP上で、Twinax接続と同等の操作性を実現するものですが、一部異なる点があります。それは次回、ご説明いたします。