始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。
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2017年11月11日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第14回 - Mapping Suite とは- 4 -

前回のお話で出できた "Mapping Virtual Printer" も含めて、"Mapping Suite" のライセンスの構成をお話しします。
先ず、3 種類のパックから 1 つを選択します。前回のお話にある表をご覧いただくと分かりやすいと思いますが、それぞれのパックの違いは、入力データ形式と出力データ形式の組み合わせの違いです。

1. Mapping V7 基本パック
AS/400 のスプールをカット紙化する、電子化するというほとんど多くのケースでは、このパックで対応できます。

2. Mapping V7 Industrial パック
出力データ形式として、"ZEBRA" や "IBM ProPrinter" 等が追加されています。
"ZEBRA" は以前ご説明した US 製のラベル・プリンターですが、Mapping と組み合わせて使用すると、AS/400 から LAN 直結で日本語のラベルを印刷できます。これは印刷データの中に、文字イメージも含めることができるからです。(国内には、何社かの販売、保守を行なう代理店があります。)
しかし、"IBM ProPrinter" や "EPSON FX" は、日本語対応していないドット・プリンター用の印刷データ形式なので、このパックは、国内用としては "ZEBRA" ラベル・プリンター用のパックと言えるかと思います。

3. Mapping V7 Premium パック
Industrial パックに対して追加された入力データ形式として、"SAP GOF"があります。これは、SAP 社の R/3 からの出力データ形式です。R/3 では細かな帳票設計機能は無いと聞いていますので、自由な帳票設計を行ないたい場合には、Mapping のこのパックが有効と思います。
また、追加された出力データ形式に、"GDI" があります。前回お話ししたように、Windows ドライバーを使った印刷を行なうためのデータ形式です。WindowsServer 上で稼動する MOM と組み合わせて使用します。
他のパックでは、"E-Document" を追加しないとできない PDF 生成が、基本機能の中で用意されている点も他のパックと異なります。

パックを選択したら、次は、"E-Document" と "DataBase" を追加するかを決めます。
"E-Document" の大きな特徴は、出力データ形式として "PDF" を追加できることです。つまり、PDF ダイレクト印刷や、電子化のためには、必須のオプションということになります。他に、出力した帳票を Web ブラウザーで見るためには、"HTML" 形式での出力が使えます。他に、Mapping の前処理として、スプールの並べ替え、結合、分割ができます。その機能を使うと、封入封緘機が必要とする OMR(Optical Mark Read) を帳票に追加できるようになります。

"DataBase"は、アプリケーションから出力されたデータや、取引先から渡されるデータが CSV 形式だった場合に、それを AS/400 上でスプールに変換する機能を提供します。また、DB2 等のデータベースから、必要なデータのみを取り出して、スプール生成することができます。
(残念ながら、現時点では、DBCS 文字の処理に問題があるため修正中です。)

他に単独のオプションとして、"Mapping Virtual Printer(MVP)" があります。PDF ダイレクト印刷や、XPS ダイレクト印刷、PCL モードや ZEBRA モードを持たないプリンターに対して、Mapping から自動印刷するために用意されたものです。Windows のPC に導入します。(もちろん、WindowsServerでも結構です。)
MVP は、Mapping で生成された PDF ファイルを受信すると、Adobe Reader(無償ライセンス)とプリンターのWindows ドライバーを使って自動的に印刷します。1 ライセンスで、25 個のプリンターを登録できます。1 台のプリンターにおいて、例えば、両面印刷と片面印刷の設定を使い分けたい場合には、プロパティの設定を変えて、プリンターの名称を変えた 2 つのプリンターを登録することになります。また、AS/400 から見ると、MVP 上に登録されたプリンター毎に、OUTQ が対応することになります。
MVP は、Windows のサービスとして稼動するサービス・モードと、画面が表示される GUI モードがあります。サービス・モードでは、処理中でも画面には何も表示されませんが、GUI モードでは MVP の画面が表示される他、瞬間的に Adobe Reader の画面が開きます。
MVP を使った自動印刷の流れ

2017年10月9日月曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第9回 - Mapping Suite でできること-1 -


Mapping Suite は、どのような課題を解決するために役立つソリューションでしょうか ?

1. AS/400 上の既存のアプリケーションを変更すること無しに、連続用紙への印刷をカット紙に移行することができます。
特に、今は、罫線や固定文字が印刷された事前印刷用紙に、ライン・プリンターやドット・プリンターを使って、データを印刷しているような場合、例え、それが複写伝票であっても、白紙のカット紙への印刷に切り替えるのは、Mapping Suite の得意分野です。
そして、対応できるプリンターや複合機は、メーカーを問わないのも、大きな特徴です。
特に、PCL モードや、PDF ダイレクト印刷機能、XPS ダイレクト印刷機能を持つプリンターに対しては、AS/400 から、PC を介することなく、LAN 接続で直接印刷が可能です。

連続用紙への印刷からカット紙への印刷に移行することのメリットや、そのための注意点は、過去のお話で触れてきましたので、そちらをご参照ください。
ライン・プリンターの全て - 第15回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-1
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第6回 事前印刷用紙からの移行-
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第7回 事前印刷用紙からの移行-
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第1回 基本の考え方-
AS/400からの印刷 ~基礎編-8~
6枚複写の伝票から A4用紙 2枚への移行例

2. AS/400 上の既存のアプリケーションを変更すること無しに、帳票の PDF化ができます。今まで印刷していた帳票を PDF化すると、次のような運用が可能になります。

2-1. バインダーに綴じて保管していた伝票の控を PDF化して、ファイル・サーバーに保管する。
その結果、次のようなメリットが考えられます。
-> 保管スペースの大幅な削減。
-> 検索のための時間(手間)の削減。
-> 保管先フォルダーを分けて、フォルダー毎にアクセス管理を行なうことによる、セキュリティ管理の強化。
-> PDFファイル自体に管理用のパスワードを付与することによる、セキュリティ管理の強化。
IFS 上に生成されたPDFをファイル・サーバーに転送して保存

2-2. 印刷した帳票を封筒に詰めて郵送していた業務を、PDFファイルを添付したメール送信に移行する。
その結果、次のようなメリットが考えられます。
-> 印刷代、郵送代の削減。
-> 手作業による封筒詰めに伴う手間と、ミスの発生の削減。

2-3. 印刷した帳票を FAX 送信していた業務を、PDFファイルを使った FAX 自動送信に移行する。
PDFを使った FAX 自動送信は、クラウド・サービスを使用するものと、複合機の各メーカーが用意している FAX送信ソリューションを使うものの 2つの方式に分かれます。
前者は、クラウド・サービスを提供しているサービサーから指定されるメール・アドレス宛に、PDFを添付ファイルとしてメール送信する方式です。その場合、FAXの宛先番号の指定方法は、PDFのファイル名に含める方式や、別に添付するテキスト・ファイル内に記載する方式などがあります。
後者は、WindowsServer 上で稼動する FAX送信ソリューションが指定するフォルダーに対して、宛先番号を含むファイル名を付けた PDFを、AS/400 から FTP送信すると、複合機から電話回線を使って FAX送信されるという方式です。
どちらの方式でも、次のようなメリットが考えられます。
-> 印刷する必要が無いので、印刷のための時間(手間)や、用紙代等のコストの削減。
-> FAX 送信のための作業が削減されるだけでなく、送信先が自動的に指定されるので、誤送信が削減できる。
PDFを使った FAX 自動送信ソリューションの例

2-4. AS/400 上で PDFが生成されたら、リクエストしたユーザーの PCにFTP送信して、その PC上の予め決めたフォルダーに保存する。
この考え方は、2-1. の集中管理方式とは異なり、各ユーザーが個人で管理する方式です。特に、Mappingの事例でご紹介している"漁船保険中央会"様(その後、日本漁船保険組合に移行)では、各ユーザーのPCにバッチ・プログラムを用意しておいて、PDFを受信すると Adobe Readerが自動的に起動して、そのPDFを画面表示するという運用に切り替えていらっしゃいます。
-> ユーザーは、印刷結果が必要な場合には、Adobe Readerの検索機能を使って、該当するページのみを、通常使用しているプリンターから印刷させるようになりました。それまでの自動的にドット・プリンターに印刷されていた運用と比べると、大幅な用紙の削減が可能になったということです。当然、業務用に設置されていたドット・プリンターは、廃止となっています。

3. 各国語のスプールに対応して、上記のカット紙への印刷や、PDF化が可能です。
文字コードを AS/400 標準の "EBCDIC" から"ユニコード"に変換して処理するため、日本語以外の各国語のスプールに対応します。その結果、次のようなメリットがあります。

3-1. 国内にある AS/400 から海外に設置されて LAN 接続されたプリンターに、現地の言語、あるいは日本語の印刷が可能です。
-> AS/400 からプリンター・セッションを経由した日本語の帳票を印刷するには、日本語のフォントを内蔵していたプリンターが必要ですが、海外では入手できません。そのため、国内から現地に持ち込んで使用されているお客様もあるくらいです。
Mapping が生成する PCLモードの印刷データには、日本語のフォントのイメージを含んでいますので、日本語フォントを内蔵していない PCLモードのプリンターでも日本語の帳票が印刷できます。
また、PDFにも文字コードと一緒にフォント・イメージを埋め込んでいますので、日本語フォントを持っていない PC 上でも、日本語を表示します。
-> 同じ理由で、現地の言語やフォントを使った印刷や、PDFが可能です。
特に、入力データとしてスプールの代わりに、XMLファイルを使用すると、複数の言語を共存させることが可能です。
Mapping の事例でご紹介している "JFC ジャパン"様では、英語とフランス語の併記が必要なカナダ向けのラベルの印刷を、XML ファイルを元に、Mapping と ZEBRA 社のラベル・プリンターで実現されています。
XML ファイルを使ったタイ語と簡体字の共存の例

2017年10月1日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第8回 - Mapping Suite のお客様第2号 -

前回のお話でご紹介したケアコム様と並行して、"滝川"というお客様にも Mapping をご提案していて、ほぼ同じ頃にご契約いただきました。
"滝川"様は、理容・美容・エステ・ネイルの用品、機器、設備の総合商社です。日本に"エステティック"という言葉を初めて導入したとのことです。
"滝川"様が、Mapping をご契約いただくに至った大きな動機は、印刷コストの削減です。
公開されている事例に記載されているように、AS/400 からの出力用に使用されていたライン・プリンターが 7台、ドット・プリンターが 30台あり、3年以内に全てが更新の時期を迎えていました。
Mapping 導入後の Mapping セミナーでは、実際にお客様にご講演いただいたのですが、その中でお客様は、次のようにおっしゃっていました。

- システム部の悲しい性(さが)として、内部処理をどれだけ改善しても、ユーザー部門から評価されない。

- それならば、効果が見えやすい画面と帳票を改善しよう。

- ライン・プリンターとドット・プリンター(合計 37台)を新しいモデルに置き換えるだけでは、約3,000万円の費用が掛かることが見込まれる。それならば、これを機に"A4 サイズ・カット紙を中心とした出力環境の移行を検討しよう。

このように考えて、様々な帳票ソリューションを検討されたそうです。その中で、Mapping をご採用いただいた理由は、他のほとんどのソリューションが、Windows Server を建てる必要があるのに対し、Mapping は、AS/400 の中で処理が完結するため、Windows Server が不要な点でした。
カット紙化するために導入されたレーザー・プリンターは、印刷速度が 75ページ/分や 50ページ/分の高速機やデスクトップ型のものと併せて、22台です。この台数になったのは、従来よりも印刷速度が高速化できたことによる、プリンターの集約化の効果によるものです。
更に、配送センターには 5台のラベル・プリンターも導入しても、導入費用を半額に抑えることができました。

コストの削減という観点では、用紙コストの削減も見逃せません。従来のストック・フォームや、納品書等の複写伝票が、安価なA4 サイズや A3 サイズのカット紙に切り替わったこと、明細帳票や保存資料には、できるだけ両面印刷を活用して印刷枚数を削減することにより、インク・リボン代よりもトナー代が高くなったことも含めても、年間 200万円以上のランニング・コストの削減ができたとのことです。

特に"両面印刷"については、お客様の次の言葉が印象に残っています。
1. 従来の連続用紙の良いところは、印刷後の用紙がまとまっていることであり、それに対してカット紙は、大量に印刷した後の用紙の取り扱いに注意しないと、大変なことになる。カット紙の欠点を防ぐには、プリンターのオプションの機能を使って、印刷後に自動的にステープル止めすることにする。

2. 社内向けのストック・フォームに印刷していた帳票を A4サイズ用紙を横長に使用して印刷させてみたところ、ユーザー部門から、文字が小さくなって見え難くなったというクレームになった。そこで、一部の帳票は、ストック・フォームとサイズが似ている A3サイズのカット紙に移行することにした。

3. 社内向けの帳票は、両面印刷にすることによって、用紙の枚数を半減させることができる。ただし、ステープル止めのスペースを取るために、奇数ページは左余白、偶数ページは右余白を大きめに取るように帳票設計したい。->これは、MapDraw の両面印刷用の設計機能を使って、簡単に実現できました。(参照->連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第5回 縮小して両面印刷する-)

講演では、お客様はその他にも良かった点として、次のことをおしゃっています。
1. 5250 端末でのプリンタ制御が不要になった。つまり、現場は、端末の操作、メッセージの応答、OUTQの操作等を全く意識する必要が無くなり、負担が減った。

2. プリンター資源が統合、用紙在庫のスペースや、書類の保管スペースが削減できた。つまり、A4 サイズ用紙はストック・フォーム(汎用用紙)の半分の大きさで、両面印刷も可能である。

逆に、ご苦労された点としては、次の点を上げられました。
A4サイズに拘ったが故にプログラムの修正が発生した。
1. ストック・フォーム -> B4、A3用紙への移行は、用紙サイズがほぼ同じだったため、楽だった。

2. ストック・フォーム -> A4用紙への移行には、CL プログラム(OVRPRTFコマンド)の修正が必要だった。
具体的には、基幹システムの帳票が 1400本あったため、8人の要員で、その他の業務を行ないながら、3か月掛かった。

そして最後には、次のようにおっしゃって、締めくくっていただきました。
- Mappingは安心して、導入できるソフトウェア

- 舗装された道は、既に出来上がっている。

- あとは、そのルートに乗っかるだけ!
Mappingを使った滝川様の印刷システム

2017年8月26日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第4回 - Mapping Suite との出会い -

2007年1月に発表された IBM プリンティング・システムズ事業部の売却に伴い、当時、プリンティング・システムズ事業部に所属する社員は、他の部署への異動は許されず、そのまま6月に発足する新会社に転籍するか、退職するかの選択を迫られました。
結局、私も含めてほとんどの社員が転籍を選択することになりましたが、恐らくそのような社員のモチベーションの維持、高揚を目的としたものと思われる "POST2007" というイベントの案内が届きました。
これは、ワールド・ワイドの IBM プリンティング・システムズ事業部の社員を、事業部の本社がある US のコロラド州、Boulder(ボルダー) に集めて、研修を行なうという企画です。2月12日から19日に掛けて 1 週間もの海外出張は、私にとっても初めての経験でしたので、やはり、ドキドキ、ワクワクしました。
会場となったホテルでは、営業向け、ITS(IT スペシャリスト)向け、あるいは共通の様々な研修コースが用意されていました。その後は、社長となる Tony Romero(トニー・ロメロ) のスピーチや懇親会があったりと、盛り沢山のメニューが詰まっていました。
集合研修会場の様子
研修の他には、製品のデモ・コーナーもあって、セッションの合間に自由に見学することができました。プリンターの新製品だけではなく、ソフトウェアのデモも行なわれていましたが、その中のベンダー・ロゴ製品の中に、美男美女の組み合わせでデモを行なっていた "MappingSuite" という製品があることに気づきました。
デモ会場の様子

従来、プリンティング・システムズ事業部の開発するものも、販売するベンダー・ロゴ製品も、ワールド・ワイド対応のソリューションは、全てと言って良いくらい、AFP を対象としたもので、しかも日本語対応されていないものが多かったのですが、この "Mapping Suite" は、AS/400 上の、日本語む含めた SCS スプール・データを対象とした帳票ソリューションであること、しかも、OS/400 上で稼動することが、その説明を聞いている中で分かってきました。デモを見たり、説明を聞きながら、これを日本でも発表して扱うようにすれば、インパクト・プリンターからレーザー・プリンターや電子保存に移行したい、AS/400 のお客様にご提案していけるのはないかと確信を深めていきました。

帰国後に調べたところ、"Mapping Suite" に関しては、元々、Mapping社が、2006年に当時の IBM プリンティング・システムズ事業部とパートナー契約を結んでいて、Infoprint Solutions社もそれを引き継いでいることが分かりました。
そこで、国内で販売できるようにするための予算(主に、マニュアルや画面の翻訳)や人員の手当てに対する社内の承認を得て(これが大変だったのですが、"Mapping Suite" を扱うことが当時の社長の思いと一致したことが、大きく寄与しました。)、準備を進めていきました。

翌年の 2008年1月28日からも1週間に渡って、2度目の "POST" である"POST2008" が行なわれたのですが、その次の週に、Boulder の他のホテルに会場を移して、"Mapping Suite" の SE 向けの研修が実施されることとなり、これに私も参加することができました。
会場には、AS/400 も用意され、各自の PC を接続して実習できるようになっていました。3日間のコースでしたが、ここで基本を理解し、その後、東京でもアジア・パシフィック向けの研修コースを行なうこととなり、より理解を深めることができました。また、同時に、講師となった Mapping 社のStephane さんとの交流を始めることができたのも、大きな収穫でした。
Mapping Suite 研修会場のホテル(歓迎 インフォプリント・ソリューションズと書かれている)
Mapping Suite 研修会場の様子


2017年8月12日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第3回

2002年のアンケート調査と、2010年のそれとを単純に比較はできませんが、それでも 8 年が経過したことによる変化は窺えます。

1. 帳票設計は、2002年では、90% 以上の会社では、APW も含めたコマンドのコーディングで行なっていました。
しかし、2010年では、その比率は 80% に下がって、新たに、帳票ソリューションを使う会社が出てきて、その比率が 16% となっています。

2. 今後の予想では、増強やプリンターの LAN 接続化も含めた現状維持派が、2002年では 50% 以上ありましたが、2010年では、44% に減っています。

3. 電子化や Web 対応等の手段によって印刷量を削減(廃止)する派は、2002年の 44% ですが、2010年では 47% と大きくは変化していません。

業務で使用しているアプリケーション・プログラムに大きく手を入れないで、帳票の電子化や、レーザー・プリンターへの移行(カット紙化)を実現するには、何らかの帳票ソリューションが必要になります。
つまり、罫線や固定文字が事前印刷された複写伝票への印刷を、電子帳票やレーザー・プリンターによるカット紙への印刷に移行するには、アプリケーション・プログラムから吐き出されるスプール・データに含まれていない、罫線やタイトル等の固定文字も印刷データに含める必要があり、それを実現するのが、帳票ソリューションの役割と言えます。
6P複写伝票のカット紙化例

逆に、白紙の応用用紙に、罫線や固定文字も含めた全ての印刷データをインパクト・プリンターで印刷しているのが現状であるならば、プリンター・セッション経由の印刷、もしくは HPT 機能を使った LAN 直接接続された PAGES レーザー・プリンターで、縮小印刷や両面印刷指定に移行すれば済んでしまいます。
連続用紙への印刷をそのままカット紙に縮小印刷

では、その帳票ソリューションを選択するたに当たって、何を選択基準とするかを、2010年にお聞きしています。

4. 最優先は価格であると約半分の方が回答しているのは、もっともと思いますが、次に重視するのは、OS/400 上で稼動するのか、WindowsServer の 上で稼動するかと言う点です。
約 20% が、稼動 OS を重視すると回答している割に、OS/400 上が良いか、WindowsServer 上が良いかをお聞きすると、"どちらでも良い"という回答が、44% にもなっています。
私自身は、統合サーバーである AS/400 の強みや、WindowsServer を立てた場合の管理コストを考えると、"OS/400" が 33% という数字は、意外に小さいと感じました。

ともあれ、2010年になると、ユーザーへのアンケートでも、私自身の日々の活動の中の実感としても、帳票ソリューションの存在が大きくなってきていたことは、確かと言えます。
そして、その背景には、明らかに、電子化や、メーカーに拘らないレーザー・プリンター化による"コスト削減"という、お客様の課題があることも確かと言えます。

初めてアンケートを取った 2002年から、2度目にとった 2010年までの間には、私にとって大きな変化がありました。それは、2007年6月の、インフォプリント・ソリューションズ社の設立です。
IBM は、PC 事業に続いて、プリンティング・システム事業を売却し、2007年から 3年間は株式会社リコーとの合弁会社として、インフォプリント・ソリューションズ社を設立したのでした。

発足当初、日本の社長が挙げた 3つの課題の1つが、「オープン環境の印刷において、何をご提案していくか」というものでした。それに対して、正にこの"帳票ソリューションの提供"が回答になっていくわけです。
背景として、ライン・プリンターやドット・プリンターが大きな比率を占めていたビジネス・モデルが通用しなくなっていく時代の変化に対応するために、印刷量を減らしたい、あるいは、メーカー縛りから脱却したいお客様に受け入れていただける、従来とは異なる新しいご提案ができないとならないという差し迫った状況にあるという認識がありました。
そして、自社製プリンターを選択していただける何の保証も無いオープン環境においては、独自の帳票ソリューションをご採用いただくことによって、お客様の印刷データの大元を押さえるという考え方にたどり着きました。
その切っ掛けは、新会社発足当初に行なわれたイベントでの製品デモでした。

2017年8月6日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第2回 - 2010年のお客様状況 -

前回ご紹介した 2002年のアンケート結果では、ライン・プリンターもまだ Twinax 接続で使用されているお客様が半数以上でした。
2002年の頃を振り返って見ると、AS/400 が Twinax 接続標準から LAN 接続標準に移行していく中で、対応するプリンターも、LAN 接続でも双方向通信が可能で、Twinax 接続からの移行の受け皿となる Telnet5250E に対応するものとして、連続用紙用レーザー・プリンターのInfoPrint250(5300-025) と、ライン・プリンターの標準モデルである 5400-006 の LAN カード付きモデルが発表されたのが、2000年でした。
InfoPrint250(5300-025)
Telnet5050E 対応のライン・プリンターの高速、中速、低速モデルのライン・アップとして、5400-L10、5400-S06、5400-L02が揃ったのが、2002年です。
また、ドット・プリンターを Telnet5250E に対応させるためのオプション、5400エミュレーターが翌年、2003年に発表されていますから、この頃のプリンターは、Twinax 接続から LAN 接続に徐々に切り替わっていく時代と言えるかと思います。

しかし、同時に、半数近くのお客様は電子化やレーザー・プリンターへの移行を指向していたことが分かります。私自身にも、古くなって保守も終了したライン・プリンターを、LAN 接続の新しいライン・プリンターに置き換えるお客様の比率が減っているという実感がありました。レーザー・プリンターへの移行と言っても、AFP だけでなく、PAGES モードを持つ小型の IBM レーザー・プリンターですら、お客様には"高い"と言われ、十分に受け皿になっていないという実感もありました。

今にして見れば、その頃から、メーカー縛りが無く、価格の安いレーザー・プリンター(消耗品コストは、インパクト・プリンターに比べて高くなりますが)に印刷できるようにするために、所謂"帳票ソリューション"を導入されるお客様が増えてきたのではないかと考えています。それらのソリューションのほとんどが、次のような処理を行いますので、Windowsのプリンター・ドライバーさえ持っているプリンターであれば、制約は無かったのです。
- AS/400 上のスプール・データを、例えば csv 形式のファイルに変換します。
 -> それを、Windowsサーバーに送信します。
  -> Windowsサーバー上で帳票イメージを作成して、プリンター・ドライバーを使って印刷します。

そこで、その後のお客様の変化を知るために、2010年4月に同様なアンケートを実施しました。その結果は、次のとおりです。

- 調査時期 : 2010年4月
- 有効回答社数 : 70社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. ライン・プリンター    Yes : 58%    No : 36%    不明 : 6%
1-2. レーザー・プリンター    Yes : 66%    No : 24%    不明 : 10%
1-3. ドット・プリンター    Yes 74%    No : 20%    不明 : 6%
使用しているプリンターの種類

2. 帳票設計
2-1. RPG/COBOL, DDS でコーディングしている : 64%
2-2. APW も使用している : 16%
2-3. OS/400 上で稼動する帳票ソフトを使用している : 12%
2-4. Windowsサーバー上で稼動する帳票ソフトを使用している : 4%
2-5. 印刷しない : 4%
2-6. 不明 : 4%
帳票設計

3. 5年後の予想
3-1. 現行のまま継続する : 33%
3-2. 電子化により印刷量を削減する : 31%
3-3. 複写帳票を廃止してレーザー・プリンターへ移行する : 16%
3-4. 既存帳票は継続し、新規帳票は帳票ソリューションを使用する : 7%
3-5. AS/400 を廃止して Windowsサーバーへ移行する : 6%
3-6. 現行方式を維持し、増強する : 4%
3-7. その他、不明 : 3%
5年後の予想

4. 帳票ソリューション
4-1. 使用中のものへの満足度    満足 : 40%    不満足 : 23%    不明 : 37%
4-2. 選択のために重視する    価格 : 48%    稼動 OS 種類 : 20%    設計機能 : 13%    導入実績 : 9%    不明 : 10%
4-3. 稼動 OS : どちらでも良い : 44%    OS/400 : 33%    Windowsサーバー : 17%    不明 : 6%
帳票ソリューションについて


2017年7月29日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第1回 - 2002年のお客様状況 -

このブログでは、今まで自分が携わってきた、IBM プリンターとその使い方を中心にお話ししてきました。
今回以降、しばらくは、AS/400 プリンティングの世界で、今求められているソリューションについてお話していきたいと考えています。
私自身が今までの仕事の中で、基幹システムに AS/400 を使用されている企業の情報システム部門の方が、印刷を含めた "出力" に関して、今後どうしていきたいと考えていらっしゃるかを、興味深く注目してきました。
大多数のお客様は、残念ながら、出力に関する関心や優先順位が低いという点において共通しているようです。その背景となる情報システム部門の方の認識は、次のようなものではないでしょうか。

- プリンターから印刷できることは、当たり前のことなので、気にしていない。
- 上布システムに関わる優先順位の高い課題が、他にいくつもあるので、現状の出力に慣れた社内ユーザーには、従来どおりの安定した出力を継続できれば十分である。

とは言え、実際に調査することが必要と考えて、既に15年前になってしまいますが、当時のパートナー企業のご協力をいただいて、情報システム部門の方にアンケートを取ったことがありますので、ここに、かいつまんでご紹介したいと思います。

- 調査期間 : 2002年3月18日から4月26日
- 有効回答社数 : 375社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. 平均台数 : 34台(ライン・プリンター 6台、ドット・プリンター 18台、レーザー・プリンター 10台)
1-2. ライン・プリンターの接続方式 : Twinax 接続 1,269台(54.8%), LAN 接続 1,047台(45.2%)
375社のプリンターの種類内訳
ライン・プリンター接続方式の内訳

2. 帳票設計
2-1. RPG でコーディングしている : 222社(59.2%)
2-2. APW も使用している : 120社(32%)
2-3. 印刷しない : 15社(4%)
帳票設計方式の内訳(企業数)

3. 今後の出力
3-1. 今のまま継続する : 75社(20%)
3-2. 今のまま継続し、増強する : 51社(13.6%)
3-3. プリンターを LAN 接続化して継続する : 75社(20%)
3-4. 電子帳票化して印刷量を削減する : 126社(33.6%)
3-5. Web 対応に移行する : 39社(10.4%)
3-6. AS/400 を廃止する : 9社(2.4%)
出力の今後の方向内訳(企業数)

4. 複写帳票
4-1. 継続して使用 : 231社(61.6%)
4-2. レーザー・プリンターに移行する : 126社(33.6%)
4-3. 廃止する : 15社(4%)
4-4. 元々使用していない : 3社(0.8%)
複写帳票の使用内訳(企業数)
この結果を見ると、2002年当時でも、Twinax 接続のライン・プリンターが半数以上あったということは興味深いですが、その一方で、今後も印刷を継続するというお客様が半分いらっしゃる反面、電子化等への移行により、レーザー・プリンターへ移行したい、更に紙への印刷を減らしたい、若しくは止めたいというお客様が半数あったことが、特に興味深いと思いました。


2016年10月30日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第15回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-1

事前準備が完了しましたので、実際にライン・プリンターを使って印刷してみます。
初期設定の完了したプリンターに対して、先ず必要なことは、用紙とインク・リボンのセットです。付属のマニュアルを良く読んでいただくことが重要ですが、ここでは、ポイントを絞ってお話したいと思います。

印刷用紙のセット

印刷用紙をセットする際に、基本として理解しておいていただきたい点がいくつかあります。

1. 印刷用紙の1枚目には、印刷できません。
ライン・プリンターでは、図のように、用紙送りを行なう"トラクター"は、印刷を行なう印字ヘッドよりも後ろにあって、用紙を引っ張るようにして送っています。そのため、用紙の1枚目には、どうしても印刷できません。それは、ライン・プリンターを使用するほど、同じ用紙を使った印刷量の多いお客様では、多くの場合、受け入れていただいているようです。
5400-F06 用紙と印字ヘッドの位置関係
しかし、用紙を架け替えながら印刷することの多い場合には、印字ヘッドよりも手前にトラクターがある、5577 シリーズのようなドット・プリンターの方が、1枚目から印刷できる点では、お勧めと言えます。ライン・プリンターでもドット・プリンターと同様に、印字ヘッドの前にトラクターがあって、用紙を送り込む機構にすれば良いのではと思いますが、残念ながら、これは実現していません。

2. 印刷可能な 1 桁目の位置は固定です。
Windows のアプリケーションからレーザ・プリンターに印刷する場合、用紙は用紙トレイにセットするだけで、全体の印刷位置、つまり上余白と左余白の調整は、アプリケーション上で行ないます。
それに対して、ライン・プリンターの場合は、アプリケーション側での調整と、用紙をセットする際の用紙の先端と左トラクターの位置の組み合わせによって、初めて用紙に対する印刷位置が決まります。
5400 プリンターの印字ヘッドの上にあって、インク・リボンを着脱する際に手間に開く、"スケール・カバー"の上に"印字位置スケール"があります。これには、" 1 桁目"から、" 136 桁目"までの目盛が付いていますが、正にこの" 1 桁目"が、プリンターが印刷できる最も左寄りの位置を表わしています。
5400-F06 印字位置スケールのある場所
それは、用紙が左右方向のどの位置にセットされていても、プリンターはこの位置よりも左からは印刷できないことを表わしています。そのため、プリンターが印刷する位置に合わせて、用紙をセットする位置を調整しないとならないということになります。
例えば、金額欄の中に、3 桁毎の区切りの縦罫線が入っている事前印刷用紙を使用する場合、用紙の横方向のセットには、微妙な調整が必要です。そのような場合には、トラクターの位置で大よその位置を決めた後、トラクターのシャフトの左右の端にある、青色で丸型の微調整用のダイヤルを回すと、更に細かい微調整ができて、ぴったりの位置に印刷できます。
用紙左右微調整用ノブの位置

あるお客様の事例では、幅の広い事前印刷のある用紙に印刷しようとして用紙をセットしたところ、用紙を右端を可能な限り右に寄せてセットしても、まだ左余白が大きい、つまり、1 桁目の印字位置をもっと左に寄せなくては、事前印刷の罫線と合わないということが明らかになりました。
印刷するデータとしては、プリンターの 1 桁目から印刷するようにできていましたので、解決策としては、用紙の右側を 0.5 インチ削ることで、用紙を更に 0.5 インチ右に寄せてセットできるようにしました。
用紙に対する印字開始位置



2016年5月9日月曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第8回 事前印刷用紙からの移行-

今回は、前回使用した運送伝票のサンプルを、帳票ソリューションの一つであるMappingを使ってどのように実現するかをお話します。
MapDrawでスプールを読み込んだ画面
初めの画面は、MapDraw に、スプール・データを読み込んで表示させたところです。画面の右側に表示されています。
繰り返しになりますが、スプール・データとしては、今までどおり、1ページには、1件の宛先と依頼主の情報が載っているだけです。
このスプール・データを使って、A4 サイズの中に3面の帳票を設計していきます。

左側の画面では、オーバーレイと呼ばれる、固定文字や罫線を設計する画面です。最下端の"Draw F"が選択されて、黄色に表示されている状態の時に編集できます。
繰り返し行の多いスプール・データの場合には、オーバーレイの設計よりも、スプール・データの配置(Mapping)の設計を先に行い、罫線は、その表示結果に合わせて後から引く方が効率的です。
しかし、今回のスプール・データでは、繰り返し行がほとんどありませんので、先に罫線等のオーバーレイを設計して、そこに後からスプール・データの配置を行なうという手順で進めます。

1. A4 サイズを3面に仕切るため、A4 の縦の長さ 297mm を元に、上端から、99mm、198mm に横線を引きます。( MapDraw の画面では、左上端が座標の原点になります。)
MapDrawでDraw F側に罫線を引いた画面
罫線を選択した後、下端に表示される Y座標の値に、直接、99mm、198mm を入力すると正確に3分割する罫線を引くことができます。(左のサンプル画面では、単位を1/10mmとしているので、Y 座標の値は、990 になっています。)
1本目の罫線を引いたら、それをコピーし、その Y 座標の値に、1980 と入力すれば、簡単かつ正確に2本目の罫線を引くことができます。


2. 3分割した画面に、それぞれ、"1. 送り状"、"2. 貨物受取書"、"3. 発店控(入力票)"の固定文字や罫線を入力して、オーバーレイの設計を完了します。
Draw F側に罫線や固定文字を追加し、コピー、修正した画面

"1. 送り状"用に引いた罫線や固定文字は、コピーして、"2. 貨物受取書"や、"3. 発店控(入力票)"に使用できます。
"貨物受取書"欄を追加してオーバーレイが完成した画面

手順"1"で引いた、仕切り用の2本の罫線は、不要であれば、設計完了後に削除します。折り線として、点線にすることも可能です。

次回では、"Map F"側の画面に切り替えて、スプール・データの中のデータの配置(Mapping)を行ないます。

2016年4月24日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第7回 事前印刷用紙からの移行-

カラーで印刷された事前印刷の複写伝票を、カラー印刷であれ、モノクロ印刷であれ、実際にカット紙に移行する過程を、もう少し詳しく検討していきましょう。
ここでは、事前印刷された複写伝票の代表として、"送り状"と呼ばれる運送伝票の移行を検討してみます。
6枚構成の運送伝票の例
インパクト方式のプリンターの便利な点は、このイメージのような6枚構成の複写伝票では、1件のデータを1回印刷するだけで、6枚の伝票ができてしまうことです。
カット紙に移行する際には、従来と同様に6枚の伝票を印刷するのか、それとも、PDF 形式のファイルとして電子保存することを併用して印刷枚数を減らすかを検討することも必要です。






ここでは、6枚印刷するために、伝票の大きさを考慮して、2箇所に細かいミシン目が入っていて、
A4 用紙2枚に移行する例
印刷後に3枚に切り離せる A4 サイズの用紙2枚の印刷に移行するものとします。このような用紙は市販されていますので安価に入手できます。もちろん、カットする代わりに、3面付けのシール紙にするケースもあり得ます。
この移行を実現するために、既存のアプリケーション・プログラムを改修するだけで対応するとしたら、どのような改修が求められるでしょう ?
  1. この伝票の形式では、宛先の住所氏名を1箇所から5箇所に増やすこと。(赤丸で囲んだ箇所)
  2. 罫線や固定文字を印刷データに追加すること。
  3. 1件の宛先に対して、2種類のオーバーレイ(1.送り状、2.貨物受取書、3.発店控えのセットと、4.着店控え、5.配達受領票、6.送り状)を交互に適用すること。
更に、もし、罫線や固定文字、会社のロゴ等をカラーで印刷しようとすると、SCS コマンドの世界では対応できません。これは、SCS コマンドコマンドが制定された頃には、カラー・プリンターは無かったこと、その後、カラー対応のためのコマンドの拡張も無かったことが原因です。

これらの改修の手間を考慮すると、カット紙化に移行するメリットは出なくなってしまいかねません。
そこで、このブログで何度か登場している"Mapping Suite(マッピング・スイート)"のような、所謂、帳票ソリューションの出番になります。

帳票ソリューションを使用することによって、多くのケースでは、既存のアプリケーション・プログラムの変更を行わなくても、若しくは最小限の変更で、カット紙に移行することができるようになります。
今までの事例の中で、既存のアプリケーション・プログラムの改修が必要になったのは、表紙と明細のページに共通で、上半分が宛先の名前と住所、下半分が明細のリストというデザインの事前印刷用紙からの移行のケースでした。移行に当たって、明細のページの枚数を減らすため、
- 表紙と明細のページのデザインを分ける。
- 明細のページでは、明細のリストのみを1行目からリストする。
- 両面印刷とするため、奇数ページで終わる場合には、次のページに空白ページを追加する。
という2つの変更を行いました。1番目の変更は、帳票設計ツールのみで対応できますが、2番目と3番目の変更は、改ページの箇所が今までと異なるため、アプリケーション・プログラムの改修を行ないました。
この移行によって、印刷枚数を削減することができて、郵送代を削減できたばかりでなく、三つ折機も併せて導入することで、印刷後の手作業の自動化という効果を得ることができました。

また、コスト削減以外にも、帳票設計ツールを使用することによって、より見やすい帳票とすることや、帳票デザインの変更が柔軟になるといったメリットも出てきます。
もちろん、それらのソリューションを導入するために費用が掛かりますので、ソリューションを活用した電子保存化も視野に入れて、導入のメリットを評価する必要があることは言うまでもありません。

2016年4月17日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第6回 事前印刷用紙からの移行-

10年以上前から、ドット・プリンターやライン・プリンター等のインパクト方式のプリンターは、レーザー・プリンターや複合機等の高速、かつ音の小さなプリンターに置き換わることによって、無くなっていくと言われ続けてきました。その傾向は今も続いていますが、継続して使用されるケースも多くあります。
その理由は、
- お客様(取引先)が、複写式の帳票を指定している。(例 : 請求書、納品書)
- プリンターで印刷した複写伝票が製品や部品と一緒に人から人に伝わっていく間に、手書きの情報(サイン等)が書き込まれたり、1枚ずつ剥がされて、それが部署毎に使用されるというような業務の流れとなっている。(例 : 配送伝票、工場内で使用する生産指示書)
- カット紙化することで、かえってコスト・アップになることが見込まれる。
など、様々です。
複写式であれ無かれ、事前印刷された用紙では、罫線やタイトル、会社の角印は、カラーで印刷されていて、ユーザーは、その色で、どの種類の伝票かを見分けているというケースが多くあります。
事前印刷用紙の例-チェーンストア統一伝票

左のイメージは、標準的な「チェーンストア統一伝票」を、1枚ずつ剥がして、縦に並べたものですが、1枚ずつ事前印刷部分の色が異なっていて、色で見分けがつくようになっています。
それらをカット紙に移行する場合に、カット紙にも同様に事前印刷するのでは、コスト面のメリットが出にくいだけでなく、カット紙用プリンターの印刷位置の精度を考慮すると、現実的とは言えません。
従って、通常は、白紙のカット紙に印刷することを前提とすることになります。
そうなると、カット紙化を検討する際には、カラー印刷の対応方法を考える必要が出てきます。
具体的には、次のように考えてみては如何でしょうか?




1. カラーで印刷する必要がある部分の面積は、所詮限られている。今までどおりの使用感をユーザーに提供するためにも、同じイメージになるように、そのままカラー・プリンターで印刷する。
-> あるお客様では、このように考えて移行したところ、インク・リボン代に比べて、カラー・トナー代は高くなったものの、プリンターの保守契約費用、用紙代を削減できた他に、ユーザーが、各種の連続用紙の伝票を架け替えて印刷していた手間が不要になって、全体的には大幅なコスト削減ができたと判断されたケースがあります。

2. カラー・トナーは高いので、モノクロ印刷としたい。しかし、ユーザーの使い勝手を考えて、事前印刷と近い色の付いた市販のカット紙を使用する。
-> この場合、モノクロ印刷用のトナー代は安価ですし、薄い緑色や青色などの色の付いたカット紙は市販品がありますので、コストの削減が可能なことは明らかです
ただ、プリンターに複数の用紙トレイが付いていて、用紙トレイ毎に、同じA4サイズでも、異なる色の用紙をセットするという運用が必要になります。そのために、帳票毎に印刷する際の用紙トレイが特定されるような仕組みにしておく必要があります。

3. 移行を切っ掛けにして、モノクロ印刷に切り替えてしまう。
-> 罫線やタイトルの文字など、今までカラー印刷されていた部分は、グレーで印刷するようにすれば、データ部分との違いが分かりやすいので、社内用の伝票なら、これで十分と割り切ってしまうという考え方です。
こうすれば、上の2. のような運用上や、プログラム上の考慮も不要です。社内伝票でしたら、ユーザーにはモノクロ印刷に慣れていただくという前提で、移行することは可能かと思います。

では、1. のケースにおいて、-第1回 基本の考え方- と同様に1年間でどの程度のコスト削減が可能かを試算してみます。

<現行の印刷の前提条件>
- 現行のプリンター : 5400-L06 ライン・プリンター
- 印刷枚数 : 4,000ページ/月(5400-L06 の想定月間印刷枚数の1/3)
<現行の年間のコスト>
- プリンターの保守契約料金 : 223,200 円/年
- インク・リボン代 : 1.1 円/枚
- 複写用紙代 : 5円/ページ
223,200 + (1.1 + 5) x 4,000 x 12 = 516,000 円/年

<移行後の印刷の前提条件>
- カット紙に移行後のカラー・プリンター : リコーSP C830(印刷速度 : 50ページ/分)
<移行後の年間のコスト(用紙代を除く)>
- プリンターの保守契約料金 :54,400 円/年(サービス・パック5年の価格から算出)
- 消耗品代 : 8 円/枚
- カット紙代 : 1円/枚
54,400 + (8 +1) x 4,000 x 12 = 486,400 円/年

用紙代も含めて試算すると、年間、約30,000円のコスト削減が見込まれることが分かります。これ以外に、用紙の架け替えの手間や、事前印刷用紙の在庫の管理といった見えないコストの削減も期待できます。
次回以降では、どのようにしたら移行できるかをお話します。

2016年4月10日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第5回 縮小して両面印刷する-

連続用紙からカット紙に移行する時に、両面印刷に変えると印刷枚数が半分となり、用紙コストを更に削減できます。しかし、連続用紙は用紙が繋がっているのに対して、カット紙は印刷後の用紙の取り扱いに注意しないと、用紙の順番がバラバラになってしまう危険性があります。
そこで、複合機や50枚/分以上の印刷速度を持つプリンターでは、オプションとして用意されている後処理機構を追加すると、印刷直後に自動的にステープル止めを行ない、用紙がバラバラになるのを防ぐことができます。
(もちろん、このオプションを使わなくても手動でステープル止めは可能ですが、手動では、それまでの間に用紙をバラバラにしてしまうリスクは残ります。)
両面印刷した後、左上隅の1箇所や、左辺の2箇所にステープル止めするとした場合、奇数ページは左余白を、偶数ページでは右余白を大きめに設定しておく必要があります。
左右の余白が異なる両面印刷のイメージ
今までお話した PCOMM プリンター・セッション経由の印刷や、HPT 機能を使った印刷、5400エミュレーターII を使った Telnet5250E 接続の印刷では、印刷データ全体に対して余白の値を設定することはできますが、奇数ページと偶数ページで余白の値を変えることはできません。そのため、左余白の値も右余白の値も、同じ大きめな値に設定することになります。
第3回 キャラクター・モードを使った縮小印刷指定でお話した、"キャラクター・モード"を使って奇数ページと偶数ページで異なる値の余白を設定するコマンドを、ページ毎に発行すれば実現できますが、そのためのプログラムは大変です。
しかし、前回ご紹介した"MappingSuite"を使えば、簡単に実現できます。
1. "MapDraw"で新規作成を指定する表示されるフォーマットの定義の画面で、"片面/両面"に"両面(短辺)"を、"片面""両面"に"Portrait"を、"フォーマット名"に"SHUKUSHOH2"を指定します。
MapDraw両面印刷用プロジェクトの定義
(他の値は前回と同じです。)
A4 横長で、短辺側を綴じる場合の設定です。長辺で綴じる場合には、"両面(長辺)"を指定します。










2. 両面の指定を行ったことにより、前面設計用の"DrawF""MapF"("F"は"Front"の意味)の他に、裏面設計用の"DrawB""MapB"("B"は"Back"の意味)の画面が選択できるようになります。また、どちらかの画面で、横132桁、縦66行のスプール・データを取り込むと、もう片方の画面でも、同じスプール・データが表示されます。
MapDraw両面毎に設計可能な画面














3. 次は前回と同様にして、縦66行のグループ、そしてその中に横132桁を指定したゾーンを作成します。ここでのポイントは、前面設計の画面(MapF)では、ゾーンの中の文字の配置は"左揃え"とすること、ゾーンの左端の位置を、奇数ページの左余白の値と合わせることです。
MapDraw前面の設計














4. そして、裏面設計の画面(MapB)では、同じ縦66行のグループの中に、横132桁ですが、文字の配置は"右揃え"とし、右余白の値を前面の左余白の値と同じ値に合わせたゾーンを作成します。
MapDraw裏面の設計














5. この設計をそれぞれ奇数ページと偶数ページに適用するために、条件付けを行ないます。"プロジェクト"タブの"プロジェクトのプロパティ"ボタンを押して表示される画面の"表面"タブの画面では、"Page""Page 1 of 2"と設定します。
MapDraw奇数ページ用の条件付け













6. "裏面"タブの画面では、"Page""Page 2 of 2"と設定します。
MapDraw偶数ページ用の条件付け

7. ここまでの設計の確認には、"マルチ・プレビュー"ボタンを押して、スプール・データのページをめくっていくと、奇数ページと偶数ページでそれぞれ左右余白が一致するかを確認します。
MapDrawマルチ・プレビュー

設計は以上になります。この後、プロジェクトの生成->プロジェクトの関連付け->MapDrawフォーマットの取り込みの手順は、今までお話したとおりです。
このような帳票設計ツールを使うことによって、コマンドの指定では困難な帳票の印刷が簡単に実現できることをご理解いただけたかと思います。

2016年4月3日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第4回 MappingSuiteを使った縮小印刷-

今までは、PAGES モードを持ったプリンターを前提に、縮小印刷するための方法をお話してきました。今回は、プリンターを限定しない方法として、以前、バーコード印刷の方法でご紹介した、MappingSuite(以降、Mapping)を使用する方法をご紹介します。
基本的な考え方は、先ず、縮小印刷の対象となるスプールに対して、Mapping が OS/400 上で縮小印刷結果そのものの PDF ファイルを生成します。
次に、それを PDF ダイレクト印刷可能なプリンターに、OUTQを通して直接印刷する、若しくは、PC 上の MVP(Mapping Virtual Printer) に送信すると、自動的に Adobe Reader とプリンター・ドライバーを使って印刷するというものです。

そのための準備として、帳票設計ツールである"MapDraw"を使って、縮小印刷のための帳票設計を行ないます。ここでは、15インチx11インチ・サイズの連続用紙に印刷していた、横 132桁、縦 66行のデータを、A4 サイズ、横長に縮小するための設計を行ないます。
1. "MapDraw"で新規作成を指定すると、次のようなフォーマットの定義を行う画面が表示されます。"ページ・サイズ"に"A4"、"向き"は"Landscape"(Landscape は、風景画の意味で、通常、風景画は横長です。これはプリンター業界共通の用語です。ちなみに、縦長は"Portrait"、肖像画です)、"フォーマット名"は"SHUKUSHOH"とします。
MapDrawプロジェクトの定義画面














2. 横132桁、縦66行のスプール・データをMapDraw上に取り込みます。罫線や固定文字等のオーバーレイを必要としない、単なる縮小印刷であれば、スプール・データの配置を決める"MapF"画面表示に切り替えます。
スプール・データの取り込み














3. 左側の"MapF"画面上では、初めに、"1行目から66行目までを繰り返す"という意味の"グループ(g1)"を定義します。なお、上余白は、"グループ"の上端とその下の線とで調整するのですが、それは後の全体の位置調整の時に行ないます。
グループの作成









4. "グループ"で定義した繰り返しの対象となる"ゾーン"を定義します。"グループ"の中に、スプール・データの"1桁目から132桁目"を"文字"で表示するという定義の"ゾーン"を作成します。
ゾーンの定義-桁とタイプ










5. "ゾーンのプロパティ"画面で、"フォントとスタイル"タブを選択すると、フォントの種類やサイズ、そして文字ピッチを指定することができます。ここでは、フォントの種類に"MSゴシック"、サイズに"9ポイント"、文字ピッチの値に"23"を指定しました。
ゾーンの定義-フォントと文字ピッチ











6. 更に"条件"のタブを選択すると、"間隔"欄で、行間隔、つまり行ピッチを指定できます。ここでは、値は"29.63"、その単位は"1/10mm"を指定しています。これは"2.963mm"を表わしています。(細かい数値になっていますが、実際に選択できるのは、0.1mm単位です。)
ゾーンの定義-行間隔











7. ここまでの設計の結果をプレビューの画面で確認すると、次の画面イメージのようになり、A4 サイズ横長に縮小されたイメージの設計ができたことを確認できます。もちろん、ここで指定したフォント・サイズや文字ピッチ、行間隔は、プレビュー画面で確認しながら何度か調整した結果で、初めからこれらの値を1回で決められた訳ではありません。
プレビュー画面











8. ここで、Mappingを使うことのメリットは、上や左の余白を、"MapDraw"のプレビュー画面上で結果を確認しながら、微妙に調整できる点です。特に左余白は、"ゾーン"の定義で、文字の配置がデフォルトの左寄せの場合は、ゾーンの左端の位置をマウスを使って、あるいは、X 座標の値を直接入力することで、調節できます。前回までお話した PAGES モードのプリンターにコマンドを送信して指定する方式では、左余白の値を予め決めて、それを元に換算する手間が掛かりましたし、その結果を確認するには、実際に印刷してみないと分かりませんでした。この点は大きな違いと思います。
ゾーンの左端の位置
1桁目の位置 = 左余白

9. 後は、バーコードの印刷方法 - 第5回 もっと柔軟な方法 - Mapping Suite の場合-3 でお話した手順で、PDF ファイルの生成や、その印刷します。もちろん、日々の業務で自動実行するためには、PDF ファイルの生成や自動印刷のコマンドを、既存の CL たRPG プログラムの中に取り込む、若しくは、Mapping の標準機能である ROBOT を設定することが必要ですが、それらについては、Mapping 自体のお話しの機会にご説明します。

次回は、補足として、MapDraw の機能を活用した、"両面印刷"を意識した設計のお話をします。