始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年3月5日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第1回- その黎明期

レーザー・プリンターは、レーザーを光源として、感光ドラム上に静電気で作った印刷イメージ(潜像と言います。)に対して、トナーというインクの粉末を付着させ、それを紙に転写した後、熱と圧力で紙の中に定着させるというプロセスのプリンターです。
その多くは、用紙にカット紙を使うタイプですが、連続用紙を使用する大型で超高速タイプのものもあります。
初めて世に出たのは、IBM が開発製造した 3800 型という連続用紙用の高速レーザー・プリンターであったと、私は教わっています。
IBM 3800 プリンター
用紙の表面に、静電気の力で付着させたトナーは、そのままでは手で触ると印刷イメージが崩れてしまいます。そのため、その後、圧力と熱を使ってトナーを融かして紙の中に定着させます。
熱と圧力を掛ける上下 1 組のローラーの間を用紙が通過していくわけですが、連続用紙の場合、用紙がローラーの間で少しでも斜めになってしまうと、圧力が掛かっているため、紙が先に送られるほど傾きの度合いが増幅し、用紙ジャムを引き起こすことになります。
それを防ぐため、自動的にローラー間の左右の圧力を調整して用紙の走行を真っ直ぐに保つ仕組みが組み込まれています。
この仕組みは、連続用紙の印刷では必須となりますが、用紙の長さの短いカット紙では不要になりますので、両者のコスト面での違いの大きな要因となります。

これからしばらくは、主に PC と接続して使用するデスクトップ・タイプの小型のレーザー・プリンターについてお話したいと思います。

私が初めに所属した漢字端末の開発部隊は、その後、プリンターのみの開発を担当することとなり、主に1983年から販売された"マルチステーション5550"用のプリンターを開発しました。
当時のプリンターの世界では、様々なメーカーからインパクト方式のプリンターの他に、熱転写方式のプリンターやレーザー・プリンター、インクジェット・プリンターといったいろいろな技術を使ったプリンターが開発されて、世に出始めていました。
それに応じて、私の所属していた部隊でも、インパクト方式のカラー・プリンター(これは私も担当しました)、熱転写方式のプリンターを開発し、発表しています。
その中で、デスクトップ型のレーザー・プリンターは、静かで高品質な印刷ができるということから、次のプリンターの本命として注目されていたのですが、社内で開発することが困難であったこと、OEM 製品を使用するにしても非常に高価になってしまうことから、製品化は、一旦は断念されていました。
しかし、ある製造メーカーのお客様から、メイン・フレームからのデータを、"5550" 上の "PC3270"(3270端末機能)を介して印刷できる小型のレーザー・プリンターのご要望をいただき、特定のお客様向けのモデル("RPQ" と呼んでいました)して開発が始まったのです。

レーザー・プリンターの小型化を実現した大きな要素は、その頃、発売された"C"社の"ミニコピア"を実現した、トナーと感光ドラムという現像機構を一体化した"カートリッジ方式"にあります。静電気を使用する電子写真方式は、湿度や温度、感光ドラムの表面状態などの影響を受けやすい繊細なプロセスを使用しますので、その中核となる現像プロセスをカートリッジとして一体化し、ユーザーが簡単に交換できるようにしたという考え方は、非常に画期的でした。
私たちが、OEM として使用することが決められたレーザー・プリンターは、"R" 社のもので、カートリッジ一体方式ではないものの、ベルト形になっている感光体はユーザーが交換できるようになっていました。A4 サイズとレター・サイズの2種類の用紙に対応し、給紙トレイは250枚用が1箇所、印刷速度は 8 枚/分という、今では 1 桁万円台のプリンターの仕様だったと記憶しています。

"3270PC" は、元々、24 ドットのインパクト・プリンターを想定した"5553"形式の印刷データをプリンターに送信しますが、このお客様のご要望に対応して、1 行の文字数が 132 桁を越える時には、用紙を横長に 90度 回転して使用するコマンドを発行する機能が追加されました。
そこで、プリンターもそのコマンドに対応する必要があります。
また、通常の文字は文字コードで送られてきますので、プリンターの内蔵フォントを使用して印刷しますが、外字は 24 ドット x 24 ドットのイメージで送られてきます。そこで、そのまま印刷できるようにするために、 OEM メーカーに対して、解像度をインパクト・プリンターと同じ、 180DPI とするよう依頼しました。
これには、OEM メーカーのエンジニアの方も、さすが IBM さんと、絶句していたのを今でも良く覚えています。(今から思えば、ロジックを使って、外字イメージのドット数を、イメージを崩さないように増やして解像度の低下を避ける方法もあったと思いますが、当時はこのように判断したのです。)

カット紙用のレーザー・プリンターでは、用紙トレイから用紙を送り出す際に、確実に 1 枚だけを送り出すために、摩擦を使っていますが、この時のプリンターでは下側に逆回転するローラーを備えるといった具合に、丁寧に設計されたプリンターだったと言えると思います。
反転ローラーを使った重送防止機構

このようにして、空前絶後の 180DPI のレーザー・プリンター "5569-R01" は完成して、1 台につき 100万円を越すという、今では想像できない価格が付いて、このお客様にご購入いただいたのでした。

2017年2月25日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第28回 - たまにいただくお問合せ-5

Q9. "5400"ライン・プリンターを新しいモデルに置き換えたところ、文字の上下が欠けて印刷されるようになったが、何が原因か。

A9. この現象は、日本語インパクト・プリンターの解像度(180 ドット/インチ)と、行ピッチの関係を知るための、良い事例です。
AS/400 からの印刷では、行ピッチには主に 6LPI(ライン/インチ) が指定されますが、稀に 8LPI や 7.5LPI が指定されます。

<<6LPI の場合>>
6LPI では、1 行の高さは、1/6 インチです。
5400 ライン・プリンターを含む日本語インパクト・プリンターの解像度は、180 ドット/インチですから、1 行の高さをドット数に換算すると
180 / 6 = 30 ドット
となります。
文字の高さは、24 ドットですから、文字の上下には 3 ドット分の余白ができることが、分かります。
これは、各行の文字の間には、6 ドット分の間隔ができることも意味しています。
6LPI の場合

<<7.5LPI の場合>>
7.5LPI では、1 行の高さは、1/7.5 インチになりますから、ドット数に換算すると
180 / 7.5 = 24 ドット
となり、文字の高さと同じになります。
つまり、各行の間隔が無く印刷されるということを表わしています。
7.5LPI の場合

<<8LPI の場合>>
8LPI では、1 行の高さは、1/8 インチです。
ドット数に換算すると
180 / 8 = 22.5 ドット
となります。
つまり、標準の高さ 24 ドットの文字では、上下約 1 ドットずつ上下の行の文字と重なって印刷されることになってしまいます。
これでは文字が読み辛いため、5400 プリンターの初期設定メニューの中に"全角文字高さ"という項目があり、24 ドットの他に、"8LPI フォント"を選択できるようになっています。
"8LPI フォント"は、元々高さのみ 22 ドットで構成されたフォントなので、8LPI のデータを印刷する際に使用すると、上下の行の文字と重ならないようになっています。

ただし、実際には、8LPI の指定の場合、データが、1 行おきにブランク行となっていて、4LPI 相当となっている場合が多いようです。
その場合に関わってくるもう一つの初期設定メニューが、"行の重なり"です。
高さ 24 ドットの文字に対して、デフォルトの"重ねて印刷"を指定して印刷すると、上下にはみ出たドットもそのまま印刷されますので、期待通りの印刷結果となります。
"行の重なり"を"削除して印刷"に指定すると、文字の上下 1 ドットずつ削除して印刷しますので、この質問にあるように、上下が欠けた文字が印刷されることになります。
つまり、 "行の重なり"は、8LPI という行ピッチで印刷する場合に、毎行印刷する場合には"削除して印刷"、1 行おきに印刷する場合には"重ねて印刷"に指定することで、読み取りやすい印刷結果が得られるための設定と言えます。
8LPI 1 行おきの印刷の場合

2017年2月12日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第27回 - たまにいただくお問合せ-4

Q8. AS/400からの印刷に使用してきた"5400-006"を、"5400"の現行モデルに置き換えるに当たって、注意するべき点は何か。

A8. 現行の"5400-006"プリンター("ライン・プリンターの全て - 第4回- 日本語ライン・プリンターの歴史-4"参照)
をどのような方法で、AS/400と接続しているかを確認するよりも、新しい"5400"プリンターをどのように接続するかを考えることを優先した方が良いと思います。
接続方式の違いによって、メリットも注意点もそれぞれ異なりますので、それらをよく把握した上で、日々の業務に最適な接続方式を選択してください。

1. Telnet5250E による LAN 直結印刷
"5400"プリンターの標準的な接続方式です。
<<メリット>>
- AS/400 と LAN 直結になるので、プリンター・セッション経由の印刷と異なり、PC に依存することが無い。
- APW や プリンター・ファイルで指定したバーコード・コマンドや文字拡大、OCR-B フォント指定コマンドが、プリンター・セッション経由の印刷と異なり、全て有効となる。
- 高速モードや、超高速モードでの印刷であっても、バーコードのある行のみは、ドットを間引かずに印刷する通常速モードに自動的に切り替わって印刷するため、バーコードの読み取り精度を落とさない高速印刷が可能となる。
- 印刷中の保留や取り消し操作が、プリンター・セッション経由の印刷と異なり、AS/400 端末画面から可能となる。
- 用紙切れや用紙ジャムというエラー・メッセージが、プリンター・セッション経由の印刷と異なり、AS/400 端末画面に表示される。メッセージ応答として、印刷再開ページを指定することも可能となる。

<<注意点>>
- 外字を使用するには、予め"LODPPW"コマンドを使用して、プリンターにダウンロードしておく必要がある。(プリンターの電源を切った後でも保存される。)
- 接続先の AS/400 は1台(一つの IP アドレス)となる。接続先の AS/400(IP アドレス) を変更するには、"5400" の初期設定を変更し、再起動する必要がある。
- PC からの LAN 直結印刷(LPR ポート使用)とは、自動切換えが可能だが、"5400"プリンターのWeb ページ上で、初期設定を変更しておく必要がある。"ライン・プリンターの全て - 第11回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-3" 参照

<<"5400-006"からの移行のための注意点>>
- Telnet5250E 接続では、OS/400 上の"自動構成"が可能です。使用していた"5400-006"のものと同じ OUTQ 名を継続して使用するには、既存の OUTQ や装置記述を、予め削除しておくと、新しい"5400"プリンターの"自動構成"がスムーズに行なえます。
- 初期設定の中の"半角文字セット"を"英数カナ文字"にするか、"英小文字"にするかで、半角カナ文字や、半角英小文字の文字化けに対応します。

2. PC 上のプリンター・セッション経由の印刷
複数の AS/400(LPAR) から自動切換えで印刷させるのに、適しています。
<<メリット>>
- PC 上に複数のプリンター・セッションを用意する、または、複数の PC 上にプリンター・セッションを用意することにより、複数の AS/400(複数の IP アドレス)からの印刷を、プリンターの設定を変更することなく、自動的に切り替えて行える。
- 外字は、プリンター・セッションを持つ PC のWindows外字を使用するので、プリンターに予め保存する操作が不要。
- AS/400 からの印刷の他に、PC 上の Windows アプリケーションからの印刷も、そのまま可能となる。

<<注意点>>
- PC を起動していないと、印刷できない。
- APW や DDS で指定したバーコードや、OCR-B フォント指定は無効になる。文字拡大指定にも制限がある。
- 印刷中の保留や取り消し操作はできない。
- 用紙切れや用紙ジャムというエラー・メッセージは、AS/400 端末画面に表示されない。
- 繰り返し印刷を防ぐために、プリンター・ドライバーのポート設定や、レジストリーの修正が必要になる。"繰り返し印刷の対策" 参照。


<<"5400-006"からの移行のための注意点>>
- もし、従来、"5400-006"が、プリンター・セッションを持つ PC と LAN 接続されていたのなら、"5400-006"と同じ IP アドレス を新しい"5400"プリンターに設定するだけで、移行は完了となります。(プリンター同士は互換性が高いので、ドライバーの入れ替えも不要です。)
- PC もプリンターと同時に新しくなるのであれば、PC 上では、
+ 5400 ドライバーの導入、設定("ライン・プリンターの全て - 第12回- 日本語ライン・プリンターのドライバー-1" 参照)
+ "標準 TCP/IP ポート"から"LPR ポート"への変更、それに対応したレジストリーの編集によるタイム・アウト値の変更
+ PDT ファイル、"ibm5577.pdt"を指定したプリンター・セッションの設定
以上が、必要です。
- 初期設定の中の"コードページ"を"932"にするか、"942"若しくは"943"にするかで、半角カナ文字や、半角英小文字の文字化けに対応します。

5400-006 プリンター外観

2017年2月4日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第26回 - たまにいただくお問合せ-3

Q7. 複写帳票に印刷する業務に使用するライン・プリンターは、どのように選択したら良いか。

A7. 先ず、複写帳票が予めカット紙になっている場合は、ドット・プリンターしか対応できません。
(もし、連続用紙に印刷した後、ページ毎にカットするという運用が許されるなら、ライン・プリンターを使用できます。)
連続用紙に印刷するためのライン・プリンターを選択するに当たって、考慮する点は次のとおりです。

1. 用紙のサイズ、複写枚数、全体の厚さが、プリンターの仕様の範囲であること
この点に関しては、"5400シリーズ"のライン・プリンターでは仕様の違いがほとんど無いので、仕様の範囲に収まっているかを確認すれば十分と思います。
ただ、プリンターでバーコードも印刷する場合、インク・リボンのインクを使って印刷される 1 枚目のバーコードを読み取るのか、複写された 2 枚目以降を読み取るのかの違いによって、バー幅の設定を調整する必要があるかもしれません。特に複写された 2 枚目以降を読み取る場合には、自己発色紙よりも、裏カーボンと呼ばれる用紙の裏にインクが予め塗られた用紙を使用する方が、バーコードの読み取り精度は良いようです。

2. 耐久性
ライン・プリンターに限らず、どのようなプリンターでも"想定月間平均印刷枚数"を持っています。
これによって、プリンターの各部品の月間平均故障率が決まります。それと、各部品のコスト、交換に要する時間、人件費を総合して保守に掛かる経費を算出します。それが、保守契約費用や、保証期間中の保守費用になるわけです。
そのため、"想定月間平均印刷枚数"を超えて、プリンターを使用し続けると、お客様から見れば、故障頻度が多いということになりますし、保守を行なう会社から見れば、保守のコストが掛かりすぎということになります。(ライン・プリンターの保守契約費用は、定額であるからです。)
なお、月によって印刷枚数が大きく変動する場合には、1 年間での平均を見れば良いと思います。これは、保守契約が、通常は年単位だからです。

"5400"シリーズでは、"想定月間平均印刷枚数"は次のようになっています。
 5400-F02/L02 : 6,000 枚/月
 5400-F06/L06 : 12,000 枚/月
 5400-F10/L10 : 20,000 枚/月
(15 x 11 インチ・サイズ連続用紙、文字数 1,500 字/枚、全角:半角 = 3:7を想定)

3. 印刷速度
印刷速度の印刷速度の考え方は、ライン・プリンターの全て - 第3回- 日本語ライン・プリンターの歴史-3 でもお話しましたが、カタログ値としては、行ピッチが 6LPI(行/インチ) を前提として、通常速モードで、次のようになっています。
 5400-F02/L02 : 150 行/分
 5400-F06/L06 : 410 行/分
 5400-F10/L10 : 600 行/分
("5227"以降、"5400"シリーズでは、ドットの間引きを行なわない、24 x 24 ドットの文字を印刷する時の速度を"通常速"と呼んでいます。これは、ドット・プリンターである"5577"シリーズでも共通です。しかし、何故か、他社のライン・プリンターのカタログでは、1/3 のドットを間引く時の印刷速度を"通常速"モードと呼んでいるので、カタログで比較する際には、注意が必要です。)

ライン・プリンターでは、1 文字でも文字のある行が続く場合には、この速度で印刷されます。
文字の無い空白行が続くような場合には、高速で紙送りしますが、一定時間で何枚の用紙を印刷できるかという"スループット"を計算するには、次の計算方式で良いかと思います。
 11 インチ長の用紙、5400-F06 通常速モード(410 行/分)の場合
  6 行/インチ x 11 インチ/枚 = 66 行/枚
    410 行/分 ÷ 66 行/枚 = 6.2 枚/分
この計算式を参考に、使用する用紙の長さと、業務上必要なスループット(何枚/分)から逆算していけば、どの位の印刷速度(行/分)が求められるかを計算することができます。

もし、印刷速度と耐久性の組み合わせが、どれかのモデルと大よそ一致すれば良いのですが、例えば、印刷速度を元に選択したモデルでは、耐久性が大幅に足りないといった場合には、台数を増やすことを検討することをお勧めします。
逆に、耐久性は合っているが印刷速度が足りないという場合には、高速モードや超高速モードでの使用を検討されてはいかがでしょうか。特に"高速モード"の印字品質は、通常速モードのものとほとんど変わらないと判断されたお客様も多くいらっしゃいます。
5400-F10/L10 外観
5400-F06 外観
5400-F02/L02 外観

2017年1月29日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第25回 - たまにいただくお問合せ-2

Q4. 新たに導入して使用開始した"5400-F10"プリンターにおいて、不可解な問題が発生することがある。

A4. "5400-F10/L10" プリンターの電源スイッチを入れた後、順調に起動しない、一定しないタイミングで、余分に改行したり改ページしたりするという不可解な現象が発生している時は、初めに電源をチェックしてください。
ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7 の回でお話したように、"5400-F10/L10" は、高速印刷を実現するために、印字ヘッドを 2 組使っています。そして、その結果、消費電流も大きくなっています。電源の規格は、通常のものと同じく、100V/15Aとなっていますが、実際には、他の機器と同じ電源コンセントを使用していると、電圧低下の影響を受けて、初めに記したような不可解な現象を起こすことがあります。
私自身の経験として、当時本社だった六本木のオフィスにいた頃に導入、設置したばかりの "5400-L10" プリンターが、電源スイッチを入れた後、初期診断テストを繰り返すばかりで、"印刷中断"状態にならなかったことを覚えています。
初めは初期不良を懸念したのですが、最終的には、電源を壁のコンセントから直接取ることに変えて解決しました。

Q5. 5400-L02/F02/006/S06/L06/F06用インク・リボンには 3 種類あるが、それぞれどのように違うのか。

A5. ライン・プリンター用のサプライ品のホーム・ページ を見ると、次の 3 種類のインク・リボンがあることが分かります。
  • 高品質ストレート・リボン
  • リボン・スキップ機構対応リボン
  • リボン
ライン・プリンターの全て - 第20回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-6 の回でお話したように、中速ライン・プリンター"5400-006/S06"では、インク・リボンの繋ぎ目が印字ヘッドのピンに叩かれ、毛羽立ちが起きると、その面が反転して用紙側に来た時に、用紙の表面を擦ってインクによる汚れを付けるという問題が発生したことがあります。
当時は、お客様が、お客様のお客様に提出する請求書の印刷において発生したため、早急の対策が必要でした。
そこで、印字ヘッドのピンで叩かれる面が用紙側に来ないように、リボンの繋ぎ目で反転させずに接着したリボンの作成しました。それが 1 番目の「高品質ストレート・リボン」です。
インク・リボンの片面しか叩かないようにしましたので、汚れが発生しない代わりに、寿命は標準のものの半分程度になります。
この後の "5400-L06" 以降のモデルでは、繋ぎ目を叩かない機構を組み込んでいますので、このリボンを使用する対象となるプリンターは、"5400-006/S06" のみとなります。

逆に、"リボン・スキップ機構対応リボン"を使用する対象のプリンターは、リボン・スキップ機構を持つ "5400-L06/F06" ということになります。もちろん、低速機である "5400-F02/L02" に使用しても、何も問題はありませんので、例えば、それらと "5400-F06" の両方を使用しているお客様には、在庫管理が簡単になりますので、こちらのリボンを選択することをお勧めします。

Q6. 用紙の長さの仕様は、8 インチから 12 インチとなっているが、もっと短い長さ、あるいは長い長さの用紙は、しようできないのか。

A6. ライン・プリンターは、元々"連続用紙"用のプリンターです。"連続用紙"に印刷するのですから、用紙の長さに制約のあること自体が、おかしなことと言えます。
プリンターの仕様となっている用紙の長さとは、何を意味しているのでしょうか。それは、ミシン目とミシン目の感覚ではなく、用紙の折りたたみのミシン目の間隔と理解して良いと思います。
通常は、印刷データの観点からは、1 ページの長さは、ミシン目の間隔と等しくなります。
しかし、例えば、1 ページの長さが 3 インチの場合、実物の用紙としては、4 ページ毎に折りたたまれるようにできていれば、プリンターの仕様の観点では、3 x 4 = 12 インチの長さの用紙と見なされます。
ページ長3インチ->用紙長12インチ
別の言い方で言えば、印刷された用紙が、プリンターの背面に折りたたまれて溜まっていく際に、折りたたまれる用紙の長さの単位が、8 インチから 12 インチまでなら、プリンターの内部にきれいに折りたたまれていくということを、仕様は謳っているということです。
従って、もし 12 インチ以上の長さの用紙に印刷する場合には、後ろのドアーを解放状態にして、更に、印刷された用紙が初めの折りたたまれた状態のとおり、また折りたたまれて溜まっていくように注意していれば、印刷は可能と言えるわけです。
もちろん、きれいに折りたたまれていなくても、後で人手でたたみ直すということであれば、後ろのドアを開けたままで印刷中は放置しておけます。

2017年1月22日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第24回 - たまにいただくお問合せ-1

今回は、今までいただいたお問合せの中から、思い出した順にお話したいと思います。

Q1. 購入したばかりの 5400 プリンターを、Telnet5250E を使って AS/400 と接続するために初期設定を行なっているが、装置記述も OUTQ も自動構成できず、接続できない。

A1. IPアドレスの指定ミスといった単純な理由以外には、次の原因と対策が考えられます。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成が OFF になっている。
- 接続先の OS/400 の設定で、自動構成は ON だが、接続した装置の数が既に、設定した最大値になっている。
-> これらの場合は、OS/400 の設定を変更する必要があります。

- 既存の装置記述や OUTQ と同じ名前を指定しようとしている。
-> それまで、プリンター・セッション経由の接続で使用していたプリンターを置き換えるに当たって、同じ OUTQ 名をそのまま使用したい場合に、このような現象が起こり得ます。この場合は、既存の装置記述や OUTQ は一旦削除する必要があります。

Q2. プリンター・セッション経由の印刷の時には、プリンターの電源を投入した後は"印刷可能"状態となったが、Telnet5250E による LAN 直結印刷に変更したら、電源投入後は"印刷中断"状態になる。そのため、"印刷"スイッチを押して、"印刷可能"状態に変えないと印刷開始できない。

A2. Twinax ケーブルによる接続の時代もそうだったのですが、AS/400 と直接接続の場合には、プリンターの起動時には"印刷中断"状態となるように決めているようです。
"印刷可能"状態で起動すると、印刷データを送信済みの場合に、プリンターにセットされた用紙が正しいかを確認する間も無く、印刷が始まってしまうことを避けたいと考えられていたのが理由かもしれません。
しかし、通常の PC 用のプリンターの起動時は"印刷可能"状態になりますし、それで不都合はありませんから、私も「印刷可能」状態で起動する方が良いと思っています。

Q3. AS/400 が英語環境の場合でも、5400 プリンターで印刷したい。

A3. 2次言語に"日本語"が導入されていれば、Telnet5250E を使った直接印刷は可能です。しかし、"日本語"環境が全く導入されていないと、直接接続での印刷はできません。
これは、5400 のような日本語プリンターは、OS/400 上では"5553"という名前の"日本語プリンター"として認知されるのですが、日本語環境が無いと、OS/400 上には"5553"が選択肢として存在しないからです。
ちなみに、"5553"という型式は、"マルチステーション5550"の中のプリンターとして発表された、16 ドット漢字用の"5553-A01"、24 ドット漢字用の"5553-B01"というドット・プリンターのものです。
マルチステーション5550 向かって左端が5553

そこで、日本語環境が無くても 5400 プリンターに印刷する方法は、プリンター・セッション経由の接続とすることです。この場合は、OS/400 から見てプリンター・セッションがプリンターの役割を担うことになりますので、実際のプリンターが日本語プリンターであっても関係ないからです。
IBM 6500 シリーズ
IBM 6400 シリーズ
このご質問の背景には、英数文字専用のライン・プリンターの置き換えがあります。
IBM では従来、6400 シリーズ、6500 シリーズという、英数文字専用のライン・プリンターを販売していました。
英数文字専用のプリンターと日本語プリンターの最大の違いは、解像度です。日本語ライン・プリンターは、ドット・プリンターと同じく、漢字を省略無く印刷するために 24 x 24 ドットで印刷します。そのために、180 ドット/インチの解像度、直径 0.2mm の印刷用のピンを使用します。
しかし、アルファベットや数字の印刷にはそこまでの解像度やピンの細さは必要ありません。
その結果、英数文字専用のライン・プリンターは、メリットとして高速印刷と高い耐久性を持っています。
また、接続先のサーバーの種類や、接続インターフェイスの種類も非常に多いという特徴もありました。
ただ、それらのプリンターも販売が終了し、今は OEM 元のプリントロニクス社の P シリーズが販売されているのが現状です。
参考情報

IBM 6500 シリーズ発表レター
IBM 6400 シリーズカタログ

2017年1月3日火曜日

ライン・プリンターの全て - 第23回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-9

3. インク・リボン・ジャム
印刷中に、インク・リボンが正しく送られない状態が発生すると、操作パネルの液晶表示部に、"リボン ジャム リボンを直してください"というメッセージが表示されて、印刷が止まります。

インク・リボンのジャムで最も多い現象は、用紙厚設定レバーの値が小さ過ぎるため、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎて、インク・リボンが圧迫された状態、つまり、インク・リボンの走行にブレーキが掛かった状態となってしまっているケースです。
プリンターの印刷中は、プリンターがリボン送りローラーを回転させて、操作員から見て左から右へ一定の速度で、インク・リボンを送っています。しかし、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎると、プリンターがどんなにリボン送りローラーを回転させても、インク・リボンを送ることができなくなってしまいます。
エラーとして検知されれば、操作員はすぐに気が付きますが、検知されないで印刷を続けていると、インク・リボンの同じ箇所を印字ヘッドが叩き続けることになります。その結果、印字がすぐに薄くなったり、極端な場合はインク・リボンが破れたりすることに、後で気が付くということも起き得ます。繰り返しになりますが、用紙厚設定レバーの設定には、くれぐれも細心の注意を払ってください。
5400-F10/L10のインク・リボン・カートリッジ

他の原因としては、同じインク・リボン・カートリッジに対して、詰め替えリボンの交換を10回以上繰り返しているケースがあります。
ライン・プリンターは印刷量が多いため、印刷用紙から大量の紙粉が発生して、プリンターの中や周囲を舞っています。
これは余談ですが、"5400-L10"を 10 台以上並べて印刷業務を行なっているお客様先で、私が作業していた時に、使用していたノート PC の画面に紙粉が積もってきたことに気づいたことがあります。その時は、それだけの紙粉を自分自身も吸い込んでいることに気づき、愕然としたことを覚えています。
この紙粉は、インク・リボンの表面にも付着し、それがリボン送りローラーの表面にも移って付着していきます。それと、リボン送りローラーの材質であるゴムの劣化の両方が原因となって、同じリボン送りローラーを使い続ける、即ちインク・リボン・カートリッジを使い続けると、リボン送りローラーの表面でインク・リボンがスリップし、正しく送れなくなるという現象が発生します。
そのため、経験的には、詰め替えリボンの交換は、1 つのインク・リボン・カートリッジに対して、10 回までとすることが、お勧めです。

稀に、カートリッジの中で、インク・リボンが倒れたような状態となり、それが原因となってカートリッジの中でインク・リボンが正しく折りたたまれずにジャムとなるという現象があります。
インク・リボン・カートリッジの蓋を開けて、リボン送りローラーを手で回してみると分かりますが、インク・リボンはカートリッジの内側で、自動的にきれいに折りたたまれていくものです。
それが何らかの阻害要因があると、きれいに折りたたまれなくなり、その結果、リボン送りに支障が出ることがあります。
5400-F06/L06のインク・リボン・カートリッジ
そうなったら、そのリボンの使用は諦めて、新しい詰め替えリボンに交換することになります。しかし、カートリッジ内部に収納されるべきインク・リボンを、カートリッジの外に出した状態で、カートリッジをプリンターにセットして印刷することで、最終的にカートリッジ内部にインク・リボンが正しく畳まれた状態を作るという荒業を聞いたことがあります。