始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年4月16日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第7回- "PAGES"-1

PC(Personal Computer) の OS(Operating System) が、Windows と、iOS となった今から見れば、苦笑するようなことでしょうが、個人用のコンピューターという意味での PC が、IBM では "PS/55" だった時代には、レーザー・プリンターのメーカーが他社に比べて優位に立つには、自社独自仕様のコマンドの機能を、いかに多くのアプリケーション・ソフトウェアに対応してもらって、「業界標準」の地位を獲得するかにかかっていると考えられていたものです。
しかし、この考え方は、何もプリンターに限った話ではなく、当時は画期的だった OS、"OS/2" であれ、PC 自体であれ、あるいはゲーム機であれ、使えるアプリケーションの種類が多くないと、生き残ることができないという点では、共通のものではないでしょうか ?

IBM のプリンター開発の本部である Boulder(コロラド州) では、ちょうど、メイン・フレームや AS/400 から、直接プリンターにグラフィカルな印刷を行なうための "AFP(Advanced Function Printing -> 後に Presentation)"というアーキテクチャーを実現するための "IPDS" というコマンド体系を定義していました。
そこで、日本でもこれを元に "PAGES" という PC 向けのレーザー・プリンターのコマンド体系を定義しました。
"PAGES" を定義するに当たっては、先行して複数のアプリケーション・ソフトウェアが対応していた "5577" コマンドと互換であることは、当然の前提です。
これは、別の表現で言うと、"5587-G01" プリンターのオプションで対応した "3222" コマンド体系の拡張ということになります。

実際に、"PAGESコマンド解説書"の概要を見てみると、このコマンドは、次のように分類できることが分かります。

(1) 基本制御コマンド
"5577" コマンドと同じか、その拡張コマンド

(2)拡張制御コマンド
"PAGES" で追加されたコマンドで、"ESXコマンド" と "グラフィックス・コマンド" に分かれます。
"PAGES"コマンド体系
 しかし、現在でも使用されるコマンドは、PDT ファイルを使ったプリンター・セッション経由の印刷や、HPT(ホスト印刷変換)機能を使った、OS/400 からの直接印刷で使用されるコマンドに限られると言って良いのではないでしょうか ?
それらは、その使用目的から自然と、ページ全体に対する制御を行なうコマンドとなります。

1. PAGESモード設定
1B 7E 12 00 01 11

2. メディア座標原点(用紙回転)
1B 7E 50 00 01 00 => 用紙縦長
1B 7E 50 00 01 03 => 用紙横長

3. 用紙トレイ選択
1B 7E 46 00 05 00 00 nn 00 00
nn = 11 => A3 トレイ指定自動選択
nn = 13 => A4 トレイ指定自動選択
nn = 00 => 第 1 給紙カセット指定
nn = 01 => 前面トレイ指定
等々

4. 両面印刷指定
1B 7E 3B 00 04 00 00 nn 01
nn = 00 =>片面印刷指定
nn = 01 => 両面:長辺綴じ
nn = 02 => 両面:短辺綴じ

5. 縮小指定
1B 7E 51 00 01 nn
nn = 03 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> A4
nn = 02 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> B4
nn = 01 =.> 縦横 75%
等々

6. 余白設定
1B 7E 53 00 0A 00 X座標オフセット 00 Y座標オフセット 00 00

つまり、これらのコマンド以外のもの、例えば次のようなコマンドは、プリンター側に機能としては持たせたものの、アプリケーション・プログラムから使われることはほとんど無しに、Windows のプリンター・ドライバーを使った印刷の時代に変わってしまったということです。
- フォーム・オーバーレイ
- 32 x 32 ドットの外字のダウンロード
- 内蔵アウトライン・フォントの使用
- ベクトル座標を使った図形の記述
- グラフィックの記述



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