始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年8月26日水曜日

HPT機能を使った印刷 - リモートOUTQの作成 -

今回は、先ず、LPR 印刷に相当するリモートOUTQからの印刷のために、リモートOUTQを実際に画面を追いながら作っていきます。サンプルとして、OS/400 V7R1 上で、PAGES モードのレーザー・プリンターへの直接印刷用のリモートOUTQ を作ります。
CRTOUTQ初めの画面
リモート・システムと待ち行列の指定
  1. 5250 端末画面で、"CRTOUTQ"というコマンドを実行します。左の画面は"QUSRSYS"というライブラリーに、"IP1000J"というリモートOUTQを作成する場合のサンプル画面です。それらの指定は任意ですが、"リモート・システム"には、必ず"*INTNETADR"を入力して実行キーを押します。(F4 キーを押すと、"*INTNETADR"以外にも選択肢が表示されます。)
  2. そうすると、"リモート印刷装置待ち行列"欄以下が表示されますので、そこに、宛先プリンターのLANカード固有の値を入力します。画面の"lp"(半角小文字)は、通常、多くのレーザー・プリンターや複合機用に使用できるようです。(Windowsの場合の、Standard TCP/IPポートのパラメーターである「キュー名」が、これに該当します。)
  3. 次のページでは、"接続タイプ"には、必ず"*IP"を、"宛先タイプ"には、必ず"*OTHER"を指定します。"ホスト印刷の変換"はデフォルトの"*YES"になっていると思いますので、カーソルをここへ移動して実行キーを押すと、追加のパラメーターが表示されます。
  4. *IBMPAGES300を指定
  5. ここで、次に表示される"メーカー・タイプ及び型式"で、印刷データをどのプリンターのモードに変換するかを指定します。プリンター・セッション経由の印刷では、PDT の選択に該当するわけです。F4 キーを押すと実に多くの選択肢が表示されますが、ここでは、PAGES モードのプリンター用として、2番目の画面に出てくる"*IBMPAGES300"を選択します。
<参考情報>
  •  同じ画面に"*IBM5575"があります。5577 モードに変換するには、これを選択します。("*IBM5575AMOV"は、テストしたことがありません。)
  • PAGES と名前が付いた選択肢が他にもありますが、今までの実績では"*IBMPAGES300"がお勧めです。
  • 他に日本語の印刷に対応した選択肢としては、"*CANLIPS3"があり、これは CANON 社のレーザー・プリンター用ですが、これもテストはしたことがありません。
CANON LIP3用の指定
  • もう一つは、"*ESCPDBCS"です。これは、ESC/P モードのインパクト・プリンター用ですが、これもテストはしたことがありません。
  • インパクト・プリンター用としては、他に、NEC 社プリンター用として"*NECPCPR201"がありますが、今後の修正は無いことが IBM 社のサイトに記載されています。
  • ESC/P用の指定
  • PCL モードのレーザー・プリンター用として、"*HP"で始まる名前のものが多数あります。このモードで日本語を印刷するには、プリンターには日本語用の内蔵フォントがありませんので、OS/400 からフォント・イメージを持った印刷データを送信する必要があります。(HP 社のレーザー・プリンターは日本語内蔵フォントを持っているようですが。) しかし、OS/400 自身もそのままでは日本語フォントのイメージを持っていませんので、AFP プリンター用のフォント・ライセンスを購入(導入)していただき、そのフォントを使用するように指定する必要が出てきます。

2015年8月14日金曜日

HPT機能を使った印刷 - LAN直結印刷の基本 -

5577 や PAGES モードを持った PC 用のプリンターに印刷させる方法には、前回までお話したプリンター・セッション経由の印刷の他に、OS/400 の HPT(Host Print Transform, ホスト印刷変換)機能を使った方法があります。これは、プリンター・セッションで行なう文字コード変換(5577 系の場合は、EBCDIC -> S-JIS)と、制御コード変換(5577 系の場合は、SCS -> 5577形式)を、OS/400自体が行なうものです。そのため、かつてOS/400のバージョンが、V3R7 や V4 の頃には、HPT機能を使用して印刷させようとすると、他の業務系のアプリケーションの実行速度に影響が出るため、実使用に耐えないといったケースもありました。しかし今では、AS/400 自体の処理能力が大幅に向上した結果、最早そのような事例を聞くこともありません。そうなると、プリンター・セッション経由の印刷と比較して、PC の電源が入っていないと印刷できないといった制約が無い点で、この印刷方法を採用されるユーザーも多いようです。ここで、先ず HPT機能を使った印刷の特徴や注意点を整理すると次のようになります。
  • リモートOUTQを使う方式と、デバイス・タイプに"3812"を指定して装置記述を作り、そのOUTQを使う方式の2種類があります。
  • プリンター・セッション経由の印刷と違って、どちらの方式でも自動構成ではありませんから、リモートOUTQや装置記述は手動で作る必要がありますし、ライターも初めは手動で起動する必要があります。
  • 前者の方式の原理は"LPR印刷"になりますので、エラーも含めたプリンターの状態は、OS/400 側に送信されず、単にスプールを印刷データに変換して、プリンターに送信するだけになります。
  • その際、設定によっては印刷部数の指定は可能ですが、ページ範囲の指定はできません。(IBM のサイトにあるツールを導入すると可能になるようですが、IBM による保証が無いことと、ツール自体が古いものなので、OS/400 の最近のバージョンでも使用可能かは、私もテストしたことが無い点にご注意ください。)
  • 後者の方式では、現在の多くのプリンターの LAN カードが持っている SNMP(Simple Network Management Protocol) というプロトコルを使って、OS/400 はプリンターの状態を把握します。その結果、プリンターの電源Off、用紙切れ、用紙ジャムといったエラー状態が OS/400 上にメッセージとして表示されます。ただし、"メッセージ応答"としての、ページ範囲を指定した再印刷はできません。これは、スプールがプリンターの制御コマンドを使った印刷データに変換されると、OS/400 はページの境目を認識できなくなるからです。つまり、ページ範囲を指定した再印刷が可能なのは、SCS形式のスプール・データを(変換せずに)直結されたプリンターで印刷する場合だけということを意味しています。
  • スプール・データの中の文字に外字があった場合、プリンター・セッション経由の印刷では、その PC に保管されている Windows外字のイメージをプリンターに送信して印刷します。しかし、HPT 機能を使った印刷では、OS/400 上の外字イメージを使用します。"OS/400 上の外字イメージ"とは、OS/400上で稼働する"CGU(Character Generation Utility)"という外字作成ツールを使って、外字用の文字コードに対して登録する、24x24ドットと、32x32ドットのドット・パターンです。24x24ドットのパターンは、5577 系のプリンターに印刷する場合、32x32ドットのパターンは PAGES モードのプリンターに印刷する場合に使用します。外字を使用するお客様の場合は、必ず24x24ドットのパターンは作成しますが、32x32ドットのパターンまでは作成していない場合がほとんどです。32x32ドット・パターンは、初めから作ることももちろんできますが、24x24ドット・パターンを元に変換するメニューが、"CGU"に用意されていますので、これを使っていったん作成し、その後、ドットの構成を修正して、より品質の良い外字のドット・パターンにすることができます。
次回以降で、OUTQを設定する具体的な方法をご説明していきます。

2015年8月10日月曜日

プリンター・セッション経由の印刷 第5回 - PDT印刷の考え方 -

PAGESモードのプリンターを例に、PDT 印刷のお話をしてきましたが、PDT 印刷そのものに対する考え方をここで整理しておきたいと思います。
  1. PDFファイルの中の"START_JOB="の後ろに並べたコマンドが、AS/400からプリンター・セッションに送られてくる印刷データの先頭に付加されるとお話しました。それは、印刷結果の全体に対する制御しかできないということを意味しています。つまり、用紙トレイの指定とか、縮小率の設定とか、両面印刷か片面印刷かという制御は可能ですが、ある特定のデータをバーコードにして印刷するとか、ある特定の文字のみを横倍角で印刷するといった制御はできないということです。
  2. 同様に、プリンターの制御コード(コマンド)の使い方を正しく知った上で、それを 3 文字の英数字に置き換えて、"START_JOB="の後ろに並べる必要があるということです。例に使用した PAGES コマンドの場合、サンプルの PDFファイルでは、"START_JOB=" の後ろのコマンドの並び方は、"START_JOB=CDS INZ SEL SA4 FA4 SRO"となっています。細かく見ると、
    • 初めに"CDS"によって、プリンターを"PAGES"モードに設定する。
    • その後、"SA4"によってA4トレイを指定してから、"FA4"によって縮小率を指定し、"SRO"によって用紙方向を指定しています。これらの指定はこの順序で指定しないと、有効になりません。それはプリンターの内部制御との関係でそうなっているのですが、実際に試してみないと、なかなか分かり辛いところだと思います。
  3. "PAGES"は、IBM 時代に 5577 モードのコマンドとの互換性を考慮して、レーザー・プリンター独自の機能(トレイ指定、縮小等)をコマンドとして追加したものの総称ですが、レーザー・プリンターのメーカーには、PAGES 同様に 5577 モードのコマンドに各社独自の規格でレーザー・プリンターのコマンドを追加し、「5577エミュレーション」として販売している会社が多くあります。これらのレーザー・プリンターに対して PDT印刷を行なうには、PDT印刷の原理から考えると、次のようになるかと思います。
    • 基本となるPDFファイルには、「ibm5577.pdf」を使用する。
    • それに対して、そのプリンターの 5577 モードからの拡張コマンド(トレイ指定、縮小等)を BEGIN_MACROS の下で、3文字の英数文字に置き換え、それを"START_JOB="の後ろに追加する。
    • その際に、コマンドを並べる順番に注意が必要。
    • メーカーの拡張コマンドの仕様書を入手する。
  4.  別の機会にもう少し詳しくお話しますが、プリンター・メーカー間である程度共通の"PJL"コマンドがあります。PDT 印刷において、"PAGES"プリンターの場合、PAGES のコマンドでは持っていない機能を"PJL"コマンドを使った指定で補完することができます。次のサイトで公開されているマニュアルの26ページから説明されています。これも基本的な考え方は共通で、「PJL コマンドを正しく知る」ことと「英数 3 文字に PJL コマンドを置き換えて"START_JOB="の後ろに並べる。ただし、PJL コマンドは終了を明示する必要があるので、"END_JOB="の後ろにも、PJL コマンド終了を追加することが必須です。このマニュアルの例では、印刷された用紙にパンチ穴を開ける場合や、ステープル止めを行なうための記述が書かれています。パンチ穴を開ける場合は、用紙の長辺にするか短辺にするか、ステープル止めも、用紙の角にするか、長辺や短辺に2箇所止めるかといった指定も併せて行ないます。 http://www.ricoh.co.jp/pps/download/pdf/pagescard_g1797838_100506a.pdf
<余談>1980年代後半には、私はプリンターの開発部隊で、製品企画に携わっていました。この頃は、小型のデスクトップ型レーザー・プリンターが発売され始めた頃で、PS/55 用にもレーザー・プリンターが求められていました。当時のアプリケーションは、DOS や OS/2 上で稼働するもので、印刷のためには、プリンターの持っているコマンドをアプリケーション自身が直接生成して、プリンターに送信する方式しかありませんでした。一方、レーザー・プリンターを発売するメーカーはどこも、自社独自の制御コマンドを作って、それをアプリケーション・メーカーにサポートしていただき、その数を増やすことで、自社コマンド規格を業界標準に位置付けることを狙っていました。IBM 社内でも、自社OSやソフトである"J-DOS"や"OS/2"、"DOS文書(ワープロ)"や"MultiPlan(表計算)"、OS/2 用の"Smartシリーズ"は当然のこと、他社ソフトも含めた多くのアプリケーション・ソフトに PAGES をサポートしていただくことが、レーザー・プリンターの製品発表の条件とされ、企画担当者である私は、大分苦労した記憶があります。
しかし、そのような方式ではアプリケーション・メーカーの負担ばかりが大きく、その後、Windows が現れたことによって、アプリケーション・ソフトはWindowsにだけ対応すれば良くなりました。そして、今度はプリンター・メーカー側に、Windowsのバージョン・アップに対応して、自社規格のコマンドを使ったドライバーの開発を続けていかなくてはならないという負担が移った訳です。なお、ちなみに海外では、初めに小型レーザー・プリンターを発売した HP 社のコマンド"PCL(Printer Control Language)"が、見事に業界標準の位置を占めることに成功したため、日本のプリンター・メーカーも海外製品では、"PCL"を標準でサポートしています。

2015年7月28日火曜日

プリンター・セッション経由の印刷 第4回 - 追加の設定 -

前回の続きですが、印刷の度に、START_JOB= 以下に記述したコマンドを印刷データの先頭に送信するようにするには、プリンター・セッションのワークステーション・プロファイルの編集が必要です。具体的には次の手順になります。
ワークステーション・プロファイルをメモ帳で開く
  1. コンパイルして作成されたPDTファイルを指定したプリンター・セッションを、独自の名前を付けて保管します。保管されるファイルが、ワークステーション・プロファイルと呼ばれるもので、拡張子は、".ws"です。私のPC上のCA V6.0では、C:\Users\ログイン・ユーザー名\AppData\Roaming\IBM\Client Access\Emulator\private に保管されています。
  2. プリンター・セッションは一旦閉じてください。
  3. このファイルをメモ帳等のテキスト・エディターで開きます。開くと表示のような画面が現れますので、その中に[printers]と書かれた行を見つけます。
  4. その下の行に Use_Default=Y という1行を追加します。
  5. そのファイルを上書き保存して、プリンター・セッションを起動してください。
この1行を追加することによって、プリンター・セッションからの印刷データの先頭には、毎回、自分で設定したコマンドが追加されて、プリンターに送信されます。

他に注意が必要なケースは、1ページの行数が66行を越えるデータの場合です。PDFファイルに戻りますが、メモ帳で開くと、/* Session Parameters */の直下に"MAXIMUM_PAGE_LENGTH=066"という行があります。この行の値が、デフォルトの"66"のままの場合、1ページの中のデータの行数が67以上あると、66行目までしか印刷されません。もし 1 ページに 66 行以上の行数がある場合には、この値を大きくしてください。なお、改ページする行数は、あくまでもプリンター・ファイルで定義されているのであって、ここの値ではありませんから、1ページの行数を越える大き目の値にしておけば良いわけです。

また、今までのトラブル対応の経験の中で判明した、追加設定には次のものがあります。これらは当時のPCOMMやCAのバージョンにおいて有効だったものですが、その後のバージョンでも通用するかどうかは、確認していません。
  • 透過(ASCII Transparent)モードを使用する場合
いずれもう少し詳しくご紹介しますが、5577 モードや PAGES モードの PC プリンターに印刷する場合に、AS/400上のスプール・データの中に、5577 モードや PAGES モードのコマンドを16進コードで埋め込むことができます。これを「透過モード」と言いますが、プリンター・セッション経由で印刷する場合には、次の設定が必要です。
- プリンター・セッションのワークステーション・プロファイルの中の[printer]の下に、 ATRN=Y を1行追加して、プリンター・セッションを再起動します。
  • 新JISフォントを内蔵していない古いモデルのプリンターで、新JIS並びの文字で印刷する
2015年4月13日の投稿で申し上げたように、新JISと旧JISで文字コードが入れ替わった文字の組み合わせが29組あります。
http://as400printhelp.blogspot.jp/2015/04/jisjis.html
現在使用されているプリンターで、新JISに対応していないような古いものは無いと思いますが、もし、そのようなプリンターでも新JIS並びに合わせた文字で印刷するには、次の設定を行います。
- プリンター・セッションのワークステーション・プロファイルの中の[printer]の下に、 OldJIS=Y を1行追加して、プリンター・セッションを再起動します。

2015年7月21日火曜日

プリンター・セッション経由の印刷 第3回 - PDFファイルのコンパイル -

PDFファイルの編集が完了したら、既存の PDF ファイルとは別名で、同じ"Pdfpdf"というフォルダーの下に保存します。次はこれを PDT ファイルにコンパイルすることで、初めて PDT 印刷に使用できるようになります。手順は次のとおりです。
"PDT の選択"ボタン
1. プリンター・セッションの画面でプリンター設定画面を開きます。

2. "PDT ファイルの使用"欄にチェックを入れて、"PDT の選択"ボタンを押します。









"PDF の変換"ボタン

3. "PDT ファイルの選択"画面が表示されるので、"PDF の変換"ボタンを押します。









PDF から PDT への変換

4. "PDF ファイルから PDT ファイルへの変換"画面が表示されるので、"Pdfpdt"フォルダーに保管した PDF ファイル(ここではpages.pdf)を指定して、"変換"ボタンを押します。





正しく変換された場合


5. "PDF ファイル変換ユーティリティー"の画面上で、"テーブルは正しくコンパイルされました"というメッセージが表示されたら、"OK"ボタンを押します。も し、エラーが発生したら、編集した PDF ファイルを開いて、中のコマンドや記述のしかた(1バイトずつスペースを挟んで記述されているか等)をチェックしてください。
生成された PDF の選択



6. "PDT ファイルの選択"画面が自動的に表示されるので、コンパイルされた PDT ファイル(ここでは pages.pdt、PDF ファイルと同じファイル名で、拡張子が pdt になります。)を指定して"OK"ボタンを押します。

編集した PDF ファイルをコンパイルして PDT ファイルを作成し、PDT 印刷用に指定するのはここまでですが、実際にはこれだけでは不十分なケースが多くあります。ほとんどのレーザー・プリンターでは、AS/400 からの印刷だけではなく、Windows のアプリケーションからのドライバー印刷にも自動切換えで使用されます。また、AS/400 からの印刷でも、全てが同じ余白の設定や縮小率の設定では対応しきれないので、何種類かの設定に対応するための PDT ファイルを用意して、それら PDT ファイルに1対1で対応するプリンター・セッションを切り替えて印刷するケースも多くあります。
ところが、PDT 印刷の標準では、PDF ファイルの中で指定した、印刷データの先頭に付加するコマンド
START_JOB=CDS INZ SEL SA4 FA4 SRO P10 LL6
は、1回しか印刷データに付加されません。そのため、例えば、pages.pdt を使ったPDT 印刷の後、Windows ドライバー印刷を行って、プリンターが Windows ドライバー用のモードに変わってしまうと、次の AS/400 からの印刷では、プリンターは Windows ドライバー用のモード のままで切り替わらない可能性が出てきます。また、同じ AS/400 からの印刷でも他の設定で印刷すると、その設定のままの状態となっています。
そこで、印刷データの先頭に付加したコマンドを、毎回、プリンターに送信する必要が出てきます。


2015年7月15日水曜日

プリンター・セッション経由の印刷 第2回 - PDFファイルの編集 -

前回お話したPDTファイルは、プリンター・セッションのプログラムが使用するものなので、中身は読めませんが、元になるPDFファイルは、ユーザーが自分の使用目的に合わせて編集できるようになっています。インパクト・プリンターを使用している場合には、通常はそのままの状態で使用しますが、独自に編集する必要があるのは、次のような場合が考えられます。
  1. 1ページの行数が66行よりも多いデータを印刷する。
  2. 前トラクターと後ろトラクターにそれぞれ2種類の連続用紙をセットして、それを操作パネルのスイッチを使って手動で切り替える代わりに、OUTQを選択することで自動的に切り替える。
これらに対応するための方法は、基本的にレーザー・プリンター向けの編集方法と考え方は同じですから、この後はレーザー・プリンターを使用する際の編集方法に話を進めます。
レーザー・プリンターは、ページ・プリンターという呼び方もあるように、ページ単位で印刷処理します。つまり、プリンター内で1ページ分の印刷データが準備できてから印刷動作を開始します。その結果、インパクト・プリンターではできない
  • 縮小印刷
  • 用紙方向の縦長・横長指定
という機能がありますし、更にカット紙用のレーザー・プリンターでは
  • 用紙トレイ選択・排紙トレイ選択
  • 両面印刷(長辺綴じ・短辺綴じ指定)
  • 上下左右の余白設定
といった機能を持っていて、これらを組み合わせた設定をPDTファイルに組み込むことで、自動的に希望の印刷結果が得られるようになります。
では、早速、PAGESモードのプリンター用のPDFファイルを使ってご説明します。PAGESモード用のPDFファイルは、PCOMMやCA標準の ibm5585.pdf を元に作られたものが、下記のサイトで公開されています。
http://www.ricoh.co.jp/pps/download/utility/pdt_pdf.html
このファイルを PC にダウンロードして、メモ帳等のエディターで開きます。(ダブル・クリックするとAdobe Reader が起動してエラーが表示されますので、ご注意ください。)
上から順番に見ていくと、すぐに"BEGIN_MACROS"があります。
(/*と*/で挟まれた部分は、コメント・アウト、つまり説明用のテキストで、機能には関係しません。)
初めの"NUL EQU 00"は、このPDFファイルの中では、"NUL"という3文字は、16進コードのコマンド"00"を表わしているという定義になります。つまり、任意の英数3文字 EQU(Equal イコール)16進コードのコマンドという書き方で、コマンドを英数3文字に置き換えているわけです。更に先を見ると、PAGES独自のコマンドの例として、用紙方向横長指定として、SRO EQU 1B 7E 50 00 01 03 と書かれた行があります。これは、SRO は、16進コードのコマンド 1B 7E 50 00 01 03 を置き換えるという意味になります。
AS/400から送られる印刷データの先頭に、これらのコマンドを追加するための指定は、"BEGIN_MACROS"の先にある
/*                     Control Codes                                  */
の直下の START_JOB= の行で行います。デフォルトで記述されている
START_JOB=CDS INZ SEL P10 LL6
は、
CDS(Change Data Stream)プリンターをPAGESモードにセットする -> INZ(Initialize)初期化する -> SEL(Select)印刷可能状態にする -> P10 文字ピッチを10cpiにする ->LL6 行ピッチを6lpiにする
という順番でプリンターにコマンドを送ることを意味しています。そこで、この行を、その下にコメント・アウトされているサンプル
START_JOB=CDS INZ SEL SA4 FA4 SRO P10 LL6
に置き換えると、プリンターをPAGESモードに設定し(CDS)、A4用紙のトレイから給紙して(SA4)、連続帳票からA4への縮小(FA4)して、印刷する設定になります。
なお、細かい話ですが、PAGESの場合、トレイ指定コマンド(ここではSA4)と、縮小コマンド(ここではFA4)は、この順番で記述しないと指定が有効になりませんので、ご注意ください。
また、余白の設定を併せて行うとすると、少し難しくなります。MACROの中に「余白ヘッダー部」として"MRG"があります。これを使うのですが、これはヘッダー部だけ、つまり何ミリにするかという値が含まれていませんので、START_JOB=の後ろに組み込む時に MRG の後ろに値を追加する必要があります。
余白の値は、値(ミリ)をインチに換算した値 x 1440を16進数にした値を、1バイトずつスペースで区切って記述します。例えば、用紙方向横長で、上余白10mm、左余白15mmに設定するには
  1. 上余白の値の計算 10mm÷25.4mm/インチx1440 = 567 -> 16進に換算= 0237 
  2. 左余白の値の計算 15mm÷25.4mm/インチx1440 = 850 -> 16進に換算= 0352
  3. 用紙方向横長のMACROは SRO
  4. MRGの後ろに左余白、上余白の順で1バイトずつブランクを挟んで記述します。
START_JOB=CDS INZ SEL P10 LL6 FB4 SB4 SRO MRG 00 00 03 52 00 00 02 37 00 00
 

このコマンドで設定した余白の値は、プリンターの操作パネルから初期設定で指定した
余白の値の影響は受けません。

余白の値の定義

2015年7月8日水曜日

プリンター・セッション経由の印刷 第1回 - PDT印刷とは -

前回までのお話で、ポートの設定もできたので、次はいよいよ、プリンター・セッションのお話にしたいと思います。PCOMMやクライアント・アクセス(以降CA)、あるいはIBM製以外のエミュレーターでも考え方は同じで、プリンター・セッション経由の印刷には、
  • プリンター・セッションが印刷データを生成する方式
  • 一般的な Windows のアプリケーションと同様に、プリンター・セッションが、Windowsとデータのやり取りをして、プリンター・ドライバーが印刷データを生成する方式
の2種類の方法があります。前者はPCOMMやCAでは、「PDT印刷」と呼ばれています。PDT とは、Printer Definition Table の略で、5577 用の場合には、AS/400から送信されてくる文字コードをEBCDIC から Shift-JIS へ、制御コマンドは SCS形式から 5577形式へ変換するための参照テーブル(表)を意味しています。つまり、この表を参照しながら、プリンター・セッションがAS/400からの印刷データを 5577系のプリンターで印刷可能なデータ形式に変換する訳です。
PCOMMやCAには標準で用意されている PDT には、日本語対応のものは
  • 5577
  • ESC/P
  • PAGES
  • LIPS III
英語対応のものは
  • PPDS(IBMプロプリンター)
  • PCL
  • Basic ASCII
  • EPSON
 となっています。
標準添付されているPDTファイル
添付の画面は、CA V.6のフォルダーとファイルの構成ですが、"Pdfpdf"というフォルダーの中にこれらの PDT ファイルが用意されています。この中で、"PAGES"プリンター用に使用するのは、”ibm5585.pdt"です。"ibm5587.pdt"は古いバージョンで、これを指定すると正しい印刷結果が得られないことがありますので、ご注意ください。
"ibm5577b.pdt"に関しては、かつて、このPDTを指定すると、罫線印刷用の SCSコマンドを 5577 用の罫線コマンドに変換できたというお客様からの情報をお聞きしたことがありますが、PCOMMやCAのバージョンが変わると変換できなかったこともありましたので、現時点では"ibm5577.pdt"との違いは無いと思われます。

プリンター・セッションのPDT印刷の設定方法は、プリンター・セッションの画面で、「停止」ボタンを押して「作動可能」ランプを緑から黒に変えた後、「ファイル」->「プリンター設定」を選択して表示された画面(添付)で、「PDTファイルの使用」欄にチェックを入れます。そうすると、「PDTの選択」ボタンが使える状態に変わりますので、このボタンを押します。
プリンター設定画面

PDT選択画面

そうすると、左のような「PDTファイルの選択」画面が表示されますので、使用するプリンターに合わせたPDTファイルを指定して、保存します。
インパクト・プリンターを使用する場合には、通常はこの設定だけで終了ですが、レーザー・プリンターの場合には、「縮小」や「両面印刷」といったプリンター制御のための設定が必要になります。そのためには、「PDFファイル」を編集して、それをPDTファイルにコンパイルする必要がありますが、その方法は次回にお話します。