始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年9月11日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第9回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-1

新しく購入したライン・プリンターを使える状態にするのは、次の手順で行ないます。
先ず、運送用に貼られた各部の固定テープを剥がした後、インク・リボンや用紙をセットし、電源ケーブルを取り付けます。
この時、高速モデルの"5400-F10"の場合は、電源に注意が必要です。電源スイッチを入れると、プリンターは自己診断テストを行いますが、それに合わせて、操作パネルの液晶表示部に表示される数字が、カウント・アップされていきます。しかし、途中で"マシンチェック"というエラー・メッセージが表示されたら、電源に原因がある可能性が非常に高いと思ってください。
5400_L10の電源条件(マニュアル抜粋)
"5400-F10"や"5400-L10"は、ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7 でお話したように、高速で印刷するために、印字ヘッドを 2 組持っています。電源は、通常の 100V 電源で、電源プラグもアース付きの 3 ピンのもので良く、他のモデルと同じなのですが、電流は 15A ぎりぎりまで使用することがあります。そのため、電源が蛸足配線になっていて、他の電気機器と共有していると、電圧が低下して正しく稼動できなくなるというわけです。
同じ原因で、初めの起動は完了しても、印刷中に不可解な現象が現れることもあります。

その次に、プリンターの初期設定を行ないます。
自己診断テストが完了すると、しばらくして液晶表示部に"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージが表示されます。これは、プリンターのIPアドレス等、AS/400 と接続するために必要な設定が行なわれていないことと、LAN ケーブルが接続されていないことが原因です。
そこで、LAN ケーブルの接続は後回しにして、先に必要な初期設定を開始します。AS/400 とTelnet5250E で接続するために最低限必要な設定は、次のとおりです。
  • プリンター自身のIPアドレス
  • デフォルト・ゲートウェイ・アドレス
  • サブネット・マスク
  • 接続先の AS/400 の IPアドレス
  • デバイス名(AS/400 上のプリンターの装置記述名、OUTQ 名にもなります。)
操作パネルのスイッチと液晶表示部のメッセージ例
これらの値を全て操作パネルのスイッチを使って設定するようにマニュアルに書かれていますが、もう少し簡単な方法があります。
それは、次の方法です。上の 3 点の値を設定したら、LAN ケーブルを接続します。そして、同じネットワークに繋がっている PC のブラウザーからプリンターの Web ページにアクセスして、PC から設定します。
具体的には、次の手順でネットワーク接続用の設定を操作パネルで行ないます。
  1. 初期設定スイッチを押します。->液晶表示部に"初期設定 初期設定キーでスタート"というメッセージが表示されます。(実際の表示はカタカナです。)
  2. "TCP/IP 入力キーでスタート"というメッセージが表示されるまで、初期設定スイッチを繰り返し押し、表示されたら入力スイッチを押します。(間違えて行き過ぎた場合には、"改行"スイッチを押すと、前のメニューに戻ります。)
  3. 通常、プリンターのIPアドレスは固定アドレスと思いますので、"IPアドレス 入力キーで設定"というメッセージが表示されるまで、初期設定キーを繰り返し押します。表示されたら、入力キーを押します。
  4. 工場出荷値の IPアドレス"192.168.1.4"が液晶表示部の 1 行目に表示されます。そこで、微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押して、2行目に"CLEAR"か、"BACKSPACE"を表示させます。前者を指定して入力スイッチを押すと、1 行目の IPアドレスはクリアされてブランクになります。後者は入力スイッチを押す度に、右から1 桁ずつ値が消えます。
  5. 微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押していくと、"1"から"0"までの数字と、ピリオド"."が順番に表示されますので、必要な値が表示されたら入力スイッチを押して、値を確定します。数字を 3 桁確定すると、自動的にピリオド"."が表示されますので、入力スイッチを押すだけで済みます。
  6. 最後の桁の数字まで確定できたら、"RETURN"を選択して入力スイッチを押すと、"IPアドレス 入力キーで設定"というメニューに戻ります。そこで、初期設定スイッチを押して、次のメニュー"サブネット・マスク 入力キーで設定"というメニューを表示させます。
  7. 入力スイッチを押して、後は、4 から 6 の手順を行ないます。その次のメニューは、"デフォルト ゲートウェイ 入力キーで設定"ですから、これも同じ手順で設定します。
  8. 以上の 3 点が設定されればプリンターは、LAN に接続できますので、最後に印刷取消スイッチを押します。これによって設定値がプリンター内部の不揮発性のメモリーに書き込まれ、プリンターは自動的に再起動状態になります。
再起動後もまだ、"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージは表示されますが、同じ LAN に接続された PC からはアクセス可能になりますので、この後は、PC を使って初期設定を続けます。次回は、PC からプリンターの Webページにアクセスして初期設定を行なう方法をお話します。

2016年9月3日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第8回- 日本語ライン・プリンターの歴史-8

"5400-L06"が発表されてから 3 年後の 2006 年に、その後継機であり、2016 年の現在も販売中の"5400-F06"が発表されました。中速機のシリーズでは久し振りに筐体が変わりました。特に、上面に平らな部分ができたので、5327 以来、久し振りに、印刷後の用紙を置くことができるようになりました。
"5400-F06"は、それまでの、"5400-006"、"5400-S06"、"5400-L06"と比較して、次の点が異なります。
  1. カバーが全て金属製となったためか、印刷中の音が、明らかに小さくなりました。
  2. 印刷後の用紙を取り出すための扉が、左側の他に右側にも付きました。そのため、左右どちらの部屋の隅にも置くことができます。
  3. Twinax 接続のオプションが無くなりました。
  4. Telnet5250E と LPR の自動切換えモードを選択できるようになりました。これによって、AS/400 からの印刷と、Windows PC からの LAN 経由の印刷が混在する時に、プリンターの初期設定を変更して再起動を待つ必要が無くなりました。
  5. 印刷速度が、10% 以上、速くなりました。
  6. 印刷速度を落とさずに、印刷用のピンの押す力(印字圧)を強めるモードが、コピー強化モードに加わりました。用紙の厚さに対応して、印字圧調整レバーが、"1" よりも大きな値にセットされると、自動的にこのコピー強化モードとなり、操作パネルの"コピー強化"ランプが点灯します。
逆に、用紙表面の汚れを防ぐ"リボンつなぎ目スキップ機能"に対応したインク・リボンやインク・リボン・カートリッジは、従来と共通となっています。
5400-F06 外観

<"5400-F06"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 410 行/分(通常速モード)
                  570 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  680 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : LAN、パラレル
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2006 年 -

2007 年は、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンになった年ですが、その 2 年後、2009 年に、"5400-L02"は"5400-F02"に、"5400-L10"は"5400-F10"にモデル・チェンジしています。大きな変更はありませんが、LAN カードの機能の共通化を生かして
  • "5400-F02"、"5400-F10"共通に、Telnet5250E と LPR の自動切換えに対応しました。
  • "5400-F10"では、"5400-L10"では間に合わなかった"プリンターWebページ"が、追加されました。
それぞれのモデルが、2016 年現在、現行モデルとして販売中です。

これで、2016 年現在まで戻ってきましたので、次回からは、ライン・プリンターの使い方をお話ししたいと思います。

2016年8月27日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7

前回ご紹介した"5400-L02"と同じく、2002 年に発表された、最高速モデル"5400-L10"は、他のモデルと異なり、1回の移動で縦 12 ドットを印刷する印字ヘッドを、上下 2 組持っています。そのため、縦 24 ドットの 1 行を印刷するには、印字ヘッドが右から左、若しくは左から右に 1 回移動するだけで済んでしまうので、高速印刷が可能になっています。しかし、それだけに、2 組の印字ヘッドの位置の調整を正しく行なわないと、文字は罫線が歪んで印刷されることになります。
また、1 回の印字ヘッドの移動で 1 行印刷できるために、インク・リボンの幅も広くなっています。そのため、他の中速モデルと低速モデルは、同じ詰め替えリボンが使えますが、"5400-L10"は別のものとなっています。
また、印刷速度が速いということは、その分、耐久性も高くないとなりません。そのために、用紙を送るためのトラクターも、他のモデルと異なり、かなりがっちりしたものとなっています。
5400-L10 外観
<"5400-L10"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 600 行/分(通常速モード)
                  800 行/分(高速モード、横方向 1/3 ドット間引き)
                  1,000 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 20,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : Twinax、LAN、パラレル
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577 モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2002 年 - 2009 年

翌年、2003 年には、"5400"シリーズの中核となる中速モデル"5400-L06"が、発表されました。このモデルによって、中速モデルも内蔵 LAN カードが他の速度のモデルと共通となり、共通仕様となっています。
5400-L06 外観
<"5400-L06"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 360 行/分(通常速モード)
                  500 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  600 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : LAN、パラレル
                        (オプション) : Twinax(LAN、パラレルと共存可能)
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577 モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2003 年 - 2006 年

細かい点ですが、"5400-L06"では、"5400-006/S06"から改善された点があります。それは、印刷中に印字ヘッドの前に来たインク・リボンにつなぎ目があることを、自動的に検知して、その部分は印刷に使用せず、飛ばす機能が追加されたことです。
インク・リボン・カートリッジとインク・リボン
インク・リボンは、長い布のリボンの両端を、溶かして接着し、大きな輪の状態になっています。リボンを 1 回ひねってから接着すると、"メビウスの輪"となりますので、印刷する際にインク・リボンが回転していくと、自動的に表と裏の両面を印字ヘッドのピンが叩くことになります。これは、1 本のインク・リボンをできるだけ有効に使用するための知恵なのですが、このつなぎ目の部分をピンが叩くと、他の部分よりも毛羽立ちしやすくなります。その毛羽立った先が用紙の表面をこすり、インク汚れを付けるという現象が、この中速モデルで発生しました。
(不思議なことに、高速モデルや低速モデルでは発生していないようです。)
その対策として、インク・リボンのつなぎ目の近傍にマークを付け、プリンター側に追加したセンサーが印字中にそれを検知したら、その部分が通過してから印刷するような改良を加えました。その結果、5400 プリンター用のリボンには"スキップ機構対応"とそうでないものの 2 種類が存在しますが、当然、"5400-L06/F06"用には"スキップ機構対応"のものが、お勧めです。

2016年8月20日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第6回- 日本語ライン・プリンターの歴史-6

AS/400用ライン・プリンターの標準機として、"5400-006"が1998年に発表され、更に、2年後の2000年には、LAN 接続用のオプションも発表されて、当時の IBM ライン・プリンターは磐石の地位を築いたように思えましたが、やはり世の中に"競合"は常にあるものです。互換機メーカーから同じクラスのライン・プリンターが発表され、そのモデルでは、プリンターの左側面に、印刷済みの用紙を取り出せる扉が付いていました。
保守も含めて必要な設置スペース
ライン・プリンターでは、一度に大量のページを印刷することが多くあります。印刷が終了すると、通常は、操作パネルで、印刷中断状態にしてから"改ページ"ボタンを押して、印刷した最終のページの下側のミシン目で用紙を破れるように紙送りします。

印刷済みの用紙は、プリンター内部の後ろ側に落としますので、それを回収するには、後ろの扉を開けないとなりません。それは、プリンターの後ろ側には予め、扉を開けるためのスペースを空けておかないとならないことを意味します。マニュアルにも左のような図で説明してあるのですが、実際にはそのような空きスペースの余裕が無いお客様が多く、プリンターの後ろは壁に付けて設置したいというご要望は、古くからありました。



 その点で、プリンターの左側面や右側面に扉があれば、背面を壁に付けて設置しても、横から印刷済みの用紙を取り出すことができます。
左側の扉を開けた様子
 そこで、急遽、2002年に、左側に扉を付けた"5400-S06"という、"5400-006"の派生モデルを発表しました。
この"5400-S06"では、3種類のインターフェイス、パラレル、Twinax、LAN を標準装備していたのも大きな特徴です。


2002年は、ライン・プリンターの当たり年で、新製品が、他に 2 種類発表されています。
低速モデルの"5407-001/011"の後継製品である、"5400-L02"と、高速モデルの"5427-001"の後継製品である、"5400-L10"です。
先に発表された"5400-L10"は、後にバージョン・アップも行われて、"5400-L02"、"5400-L06"、"5400-L10"は、共通となる仕様を多く持つようになりました。その共通の仕様とは、次の 8 点です。
  1. LAN とパラレル・インターフェイスが標準("L10"モデルは、Twinax 接続も標準)
  2. Telnet5250E で必要な、外字の保存可能な文字数は、4,370 文字(5400-S06は、4,370文字、5400-006 の LAN オプションでは1,152 文字)
  3. JIS第3、JIS第4標準の文字を内蔵し、CCSID1399(バージョン1)に対応
  4. 内蔵フォントの書体は、IBM 明朝体のセットの他に、平成明朝体のセットも選択可能
  5. Web ページにより、操作パネルの液晶表示を PC 上で表示、初期設定を PC から変更可能(← 訂正 : L10モデルでは、後継のF10モデルから実装)
  6. バーコード・コマンドによるバーコードを印刷する行のみ、ドットを間引かない通常速モードで印刷することによって、高速モード、超高速モードでも読み取り精度の低下なくバーコード印刷が可能
  7. バーコードの種類は、元々ある6種類の他、郵便番号、CODE128、QRコード(5577モードのみ)
  8. SCS コマンド以外に、文字データのようにして、バーコードや文字拡大を指定可能な、テキスト・コマンドの採用(バーコードの印刷方法 - 第2回 コマンドを使う、もう一別の方法 -を併せてお読みください。)
5400-L02外観
<"5400-L02"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 150 行/分(通常速モード)
                  205 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  225 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 6,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2002年 - 2009年

2016年8月14日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第5回- 日本語ライン・プリンターの歴史-5

日本語ライン・プリンター・シリーズの中核となる中速モデルが、耐久性を向上した"5400-006"に代わって、一安心といったところでしたが、次の課題が新たに出てきました。
"5400-006"プリンターが発表された1998年の3年前は、Windows95が発売され、インターネットの普及が始まった年です。インターネットの普及に合わせて、企業の現場では、ネットワークは、IBM独自のTokenRing(トークン・リング)方式からEthernet(イーサネット)方式へ、プロトコルも、IBM独自の"SNA"から、"TCP/IP"へというように、メーカー独自規格から業界標準規格に移っていく傾向が始まりました。AS/400 の世界では、機器の接続が、"Twinax"接続から"ネットワーク"接続へ、徐々に移行していったわけです。AS/400 自体でも"Twinax"接続機構は、標準からオプションへと変わって行きます。

そうなると、ライン・プリンターの接続方式も"Twinax"接続ばかりではなく、PCOMM のプリンター・セッションを経由した方式が増えていきました。それは、プリンターに対して印刷データを生成して送信してくるのは、AS/400 ではなくなり、"ibm5577.pdt"というPDTファイルを参照して、5577 形式の印刷データを生成、送信するプリンター・セッションになることを意味します。

そのような状況の中で、お客様から問題として指摘され始めたのが、"Twinax 接続と比べて、プリンター・セッション経由では、罫線のある行の印刷が遅い。"という現象です。(因みに、ライン・プリンターで印刷が遅いというのは、印刷中に紙送りが止まることがあることを意味しています。)
プリンターの開発部門と一緒に原因を調べて判明したことは、次のとおりです。
  1. 罫線は縦24ドットのイメージ・データとして、プリンター・セッションから送られている。
  2. 実際に印刷する罫線は、縦2ドット程度の"黒イメージ"だったとしても、印刷データとしては、残りの縦22ドットの"白イメージ"もあるわけで、罫線の長さに比例して、印刷データ量が大きくなる。
  3. その印刷データを生成する PC 側の処理速度、ネットワークによる通信速度、受信したプリンター側での処理速度、全てに対して負担が大きくなって、印刷速度の低下を引き起こしている。(現在の PC の処理速度や、ネットワークの通信速度だったら考えられないことですが)
5577モード :2ドット幅の横罫線の印刷データ
しかし、プリンターの開発部門で対応できるのは、プリンター側での処理速度でしかありません。それでは効果を期待できませんので、対策として決まったのが、"Telnet5250E"接続の採用です。その狙いは、次の2点です。
  1. 標準のプロトコルとなっていく"TCP/IP"の規格の一部であって、Twinax接続とほぼ同じ操作性を実現できること。
  2. 罫線を引くためのコマンドが、AS/400 から発行されるSCS形式のコマンドとなるため、罫線の始点と終点を座標で指定する方式になる。そのため、罫線を印刷するためのデータ量の大幅な削減が期待できる。
SCSモード : 横罫線の印刷データ
"Telnet5250E"については、AS/400からの印刷 ~基礎編-3~をご参照ください。

"5400-006"プリンターでは、2000年に、LAN カードを Twinax カードとの選択オプションとして発表しました。新規発注分に対して選択できるだけでなく、使用中の"5400-006"プリンターに対しても、技術員による交換作業により、LAN 接続に変更できるようになっていました。
LAN カードは、プロトコルとして"Telnet5250E"だけでなく、"LPR"も初期設定で選択可能となっていました。"LPR"プロトコルに設定した場合には、"5577モード"か"ESC/P"モードに対応したプリンターとして使用できます。具体的には、Windowsが稼動するPCや、AIX が稼動するIBMワークステーション(RS6000)からの印刷にも使用できるということです。整理すると、Twinax接続の代わりにLAN カードを選択した場合、次の3種類の内1種類のプリンターとして使用できるということになりました。
  • AS/400 からTelnet5250Eを使った印刷(SCSコマンド)
  • PC や RS6000 からLPR/LPDを使った印刷(5577モード)
  • PC や RS6000 からLPR/LPDを使った印刷(ESC/Pモード)
実際に、この LAN カードを使った"Telnet5250E"によって、罫線による印刷速度の低下は解消しました。

2016年8月6日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第4回- 日本語ライン・プリンターの歴史-4

第2回に出てきた"5417"プリンターは、耐久性の指標となる"想定月間平均印刷枚数"が、その前の"5327"プリンターの 2/3 だったことが影響してか、耐久性 = 故障率の面でお客様から問題を指摘されることが多くありました。

因みに、"想定月間平均印刷枚数"は、プリンターを設計する時に、どの程度の耐久性を持たせるかを判断する元の数字となるものです。そして、この値を元に、各部品の故障率が算定され、それを元に保守作業のコスト(部品代と人件費)が計算され、それを元に年間保守契約料金が決まってきます。また、日本語ライン・プリンターの無償保証期間は1年間ですが、その間の保守コストは、製品価格を決める時に組み込まれます。
従って、"想定月間平均印刷枚数"以上の枚数を継続して印刷すると、お客様から見れば、故障頻度の高いプリンターとなり、現場のユーザーのクレームの元になります。一方、保守する側から見れば、一定料金の保守契約料金に対して、コストが大きくなり、赤字になる可能性が出てくるということに繋がります。

そこで、"5417"が発表された 1994年から4年というライン・プリンターとしては比較的短期間の後、1998年に、耐久性を改良した"5400-006"プリンターが発表されました。
  • 5400-006

"5400-006"は、"5417"の改良版ですから、外観上は操作パネルの色が変わった程度で、大きな違いはありません。しかし、中身は改善されています。
  1. <耐久性>懸案だった"想定月間平均印刷枚数"は、"5327"と同じ"12,000枚(15x11インチ用紙)/月"になりました。
  2. <インターフェイス>Twinax ケーブル用のコネクターと、パラレル・インターフェイス・ケーブル用のコネクターの両方を持ち、初期設定で、どちらの接続方式を使うかを選択できるようになりました。これによって、発注時にモデルを意識する必要がなくなったと共に、初めはTwinaxケーブルで接続し、将来はパラレル・インターフェイスで接続するという使い方も可能になりました。一方、販売する上からは、在庫管理が楽になりました。なお、"5400-006"から、パラレル・インターフェイス・モードでは、従来からの"5577"モードに加え、"ESC/P"モードも初期設定で選択可能となっています。
  3. <印刷速度>通常速モードの印刷速度が、330行/分から360行/分に向上しました。それに伴い、高速モードは、430行/分から500行/分に、超高速モードは、500行/分から600行/分に向上しています。
  4. <バーコード・コマンド>少し前に始まった、郵便番号用のバーコード・コマンドを追加しています。
5400-006プリンター外観
 <"5400-006"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 360 行/分(通常速モード)
                  500行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  600行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード)
- 対応コマンド : SCSコマンド(Twinax接続)、5577コマンド(パラレル・インターフェイス)、
                       ESC/Pコマンド(パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、新旧JIS規格選択
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(7種類)

- 販売期間 : 1998年 - 2003年
- 保守終了 : 2017年予定

2016年7月30日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第3回- 日本語ライン・プリンターの歴史-3

1994年に発表された"5417-001/011"プリンターが、最も売れ筋の"中速機"クラスであったのに対して、1995年に発表された"5407-001/011"プリンターは、安価で購入しやすい"低速機"クラスのライン・プリンターという位置づけのものでした。
  • 5407-001、5407-011

"5417"との違いは、印刷速度と、それに応じた想定月間平均印刷枚数です。
"001"モデルが、"Twinax"接続用、"011"モデルが、5577 モードのパラレル・インターフェイス接続用である点も共通です。
このプリンターの購入を検討されたお客様から時々聞かれたのは、ドット・プリンターの最高速モデルである"5579"(当時は、"5579-K02")と比べて、どの位、印刷速度が速いか、お買い得かという点です。
標準価格、印刷速度、そして耐久性に相当する想定月間平均印刷枚数を、"5579"と"5407"で比較すると次のようになります。
プリンター  標準価格     印刷速度    想定月間平均印刷枚数
                                  (通常速)     (15"x11"連続用紙)
5579-K02     598,000円  200字/秒   2,600枚/月
5407-011   1,180,000円  140行/分   5,000枚/月

"標準価格"と"想定月間平均印刷枚数"を比較すると、ほぼ比例していることが分かりますから、問題は印字速度をどう比較評価するかという点になります。

"5579"は印字ヘッドが印刷する文字のある場所に移動しながら印刷します。左の図は、四角の位
ドット・プリンターの印字ヘッドの動き
置にある文字を印刷する際に、印字ヘッドが左右にどのように動くかを表わした模式図です。
①1行目の文字を印刷するために、左から右へ移動します。次の行を印刷するためには、逆方向に移動しないとなりませんので、一旦、止まるために右端の文字位置よりも行き過ぎて止まります。
②用紙が1行分送られて、印字ヘッドは右から左に移動して印刷します。
③印字ヘッドは、右に少し移動してから次の行を右から左方向に印刷するか、そのまま左端まで移動してから次の行を左から右方向に印刷するか、どちらが速く印刷できるか判断します。ここでは、一旦、右方向に移動して止まります。
④用紙が1行分送られたら、印字ヘッドは右から左に移動して印刷します。
つまり、ドット・プリンターの場合には、行の中に何文字あるか、しかも文字が離れてあるか、固まってあるか、そして次の行ではどこに文字があるかででも、1ページを印刷する時間は変化してきます。

一方、"5407"のような"ライン・プリンターは、名前の通り、行単位で印刷します。つまり、1行の中の文字数に関係なく、印刷速度は一定です。ただし、空白行が続く場合には、用紙を素早く送るという動きをします。
それぞれのプリンターの印字ヘッドの動きの違いから、印刷速度を単純に比較することはできないことをお分かりいただけると思います。そこで、比較するためには、ある条件を設定して、印刷速度を換算することとします。

<1枚の15x11インチ・サイズの連続用紙を印刷する時間>
- 前提条件
用紙サイズ : 横15インチ、縦11インチ
行ピッチを6LPI(行/分)で、全行印刷すると、全部で 66行/枚
文字ピッチを漢字6.7CPI(文字/インチ)で、1行の半分に文字があるとすると、約50文字/行

- 5407の印刷時間
66 / 140 * 60 = 28.3 秒

- 5579の印刷時間
印字ヘッドの速度だけから計算すると、50 / 200 * 66 = 16.5 秒 というように、5407よりも速いということになってしまいます。実際には、これ以外に、印字ヘッドが左右で減速して止まるまでの時間、止まってから 200 文字/秒の速度で印刷する時間、そして、用紙を行送りする時間が加算されますので、この計算値の3倍程度の時間、49.5 秒は掛かります。
大まかに見れば、印刷速度も、価格や耐久性と同様の比例関係にあると言えるのではないかと思います。

"5407"と"5417"を比較すると、前回、"5417"で機能アップした点の中の、次の点は共通です。
  1. "英小文字セット"、"カナ文字セット"と呼ぶ2種類の半角文字のセットを内蔵して選択可能としたことにより、"CCSID5026"と"CCSID5035"という 2種類の、英小文字と半角カナ文字が共存する印刷に対応しました。(文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか? 参照)
  2. バーコード・コマンドに対応しました。バーコードを含む帳票を設計するための"APW(APSU)"も用意されたことで、AS/400 の世界で簡単にバーコード付きの帳票を印刷できるようになりました。(ただし、Twinax接続の場合のみ) 
5407 プリンター
速度や耐久性の他、筐体が異なり、用紙がカバーの外へ露出している部分が多いので、印刷中の音は、"5407"の方が大きかったように思います。
<"5407-001/011"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 140 行/分(通常速モード)
                  205 行/分(高速モード、縦18ドット・フォント)
- 想定月間平均印刷枚数 : 5,000 枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(6種類)

- 販売期間 : 1995 年 - 2002 年
- 保守終了 : 2008 年