始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年10月1日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第8回 - Mapping Suite のお客様第2号 -

前回のお話でご紹介したケアコム様と並行して、"滝川"というお客様にも Mapping をご提案していて、ほぼ同じ頃にご契約いただきました。
"滝川"様は、理容・美容・エステ・ネイルの用品、機器、設備の総合商社です。日本に"エステティック"という言葉を初めて導入したとのことです。
"滝川"様が、Mapping をご契約いただくに至った大きな動機は、印刷コストの削減です。
公開されている事例に記載されているように、AS/400 からの出力用に使用されていたライン・プリンターが 7台、ドット・プリンターが 30台あり、3年以内に全てが更新の時期を迎えていました。
Mapping 導入後の Mapping セミナーでは、実際にお客様にご講演いただいたのですが、その中でお客様は、次のようにおっしゃっていました。

- システム部の悲しい性(さが)として、内部処理をどれだけ改善しても、ユーザー部門から評価されない。

- それならば、効果が見えやすい画面と帳票を改善しよう。

- ライン・プリンターとドット・プリンター(合計 37台)を新しいモデルに置き換えるだけでは、約3,000万円の費用が掛かることが見込まれる。それならば、これを機に"A4 サイズ・カット紙を中心とした出力環境の移行を検討しよう。

このように考えて、様々な帳票ソリューションを検討されたそうです。その中で、Mapping をご採用いただいた理由は、他のほとんどのソリューションが、Windows Server を建てる必要があるのに対し、Mapping は、AS/400 の中で処理が完結するため、Windows Server が不要な点でした。
カット紙化するために導入されたレーザー・プリンターは、印刷速度が 75ページ/分や 50ページ/分の高速機やデスクトップ型のものと併せて、22台です。この台数になったのは、従来よりも印刷速度が高速化できたことによる、プリンターの集約化の効果によるものです。
更に、配送センターには 5台のラベル・プリンターも導入しても、導入費用を半額に抑えることができました。

コストの削減という観点では、用紙コストの削減も見逃せません。従来のストック・フォームや、納品書等の複写伝票が、安価なA4 サイズや A3 サイズのカット紙に切り替わったこと、明細帳票や保存資料には、できるだけ両面印刷を活用して印刷枚数を削減することにより、インク・リボン代よりもトナー代が高くなったことも含めても、年間 200万円以上のランニング・コストの削減ができたとのことです。

特に"両面印刷"については、お客様の次の言葉が印象に残っています。
1. 従来の連続用紙の良いところは、印刷後の用紙がまとまっていることであり、それに対してカット紙は、大量に印刷した後の用紙の取り扱いに注意しないと、大変なことになる。カット紙の欠点を防ぐには、プリンターのオプションの機能を使って、印刷後に自動的にステープル止めすることにする。

2. 社内向けのストック・フォームに印刷していた帳票を A4サイズ用紙を横長に使用して印刷させてみたところ、ユーザー部門から、文字が小さくなって見え難くなったというクレームになった。そこで、一部の帳票は、ストック・フォームとサイズが似ている A3サイズのカット紙に移行することにした。

3. 社内向けの帳票は、両面印刷にすることによって、用紙の枚数を半減させることができる。ただし、ステープル止めのスペースを取るために、奇数ページは左余白、偶数ページは右余白を大きめに取るように帳票設計したい。->これは、MapDraw の両面印刷用の設計機能を使って、簡単に実現できました。(参照->連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第5回 縮小して両面印刷する-)

講演では、お客様はその他にも良かった点として、次のことをおしゃっています。
1. 5250 端末でのプリンタ制御が不要になった。つまり、現場は、端末の操作、メッセージの応答、OUTQの操作等を全く意識する必要が無くなり、負担が減った。

2. プリンター資源が統合、用紙在庫のスペースや、書類の保管スペースが削減できた。つまり、A4 サイズ用紙はストック・フォーム(汎用用紙)の半分の大きさで、両面印刷も可能である。

逆に、ご苦労された点としては、次の点を上げられました。
A4サイズに拘ったが故にプログラムの修正が発生した。
1. ストック・フォーム -> B4、A3用紙への移行は、用紙サイズがほぼ同じだったため、楽だった。

2. ストック・フォーム -> A4用紙への移行には、CL プログラム(OVRPRTFコマンド)の修正が必要だった。
具体的には、基幹システムの帳票が 1400本あったため、8人の要員で、その他の業務を行ないながら、3か月掛かった。

そして最後には、次のようにおっしゃって、締めくくっていただきました。
- Mappingは安心して、導入できるソフトウェア

- 舗装された道は、既に出来上がっている。

- あとは、そのルートに乗っかるだけ!
Mappingを使った滝川様の印刷システム

2017年9月22日金曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第7回 - Mapping Suite のお客様第1号 -

東京で行なった研修の最後に、Stephane さんは、私たちに大変心強い言葉を残してくれました。
それは、"Mapping は、永年の間、AS/400 のお客様からのご要望を取り入れて機能拡張を積み重ねてきたものです。だから、日本の AS/400 のお客様のやりたいことも、実現できるはずです。お客様から Mapping でこんなことができるか ? と聞かれたら、先ず Yes と答えてください。どうやって実現するかは、私も一緒に考えるから。" というものでした。
プリンターに関しては、経験を積んできていた私たちですが、ソリューションをお客様に提案し、導入し、日常業務で使用していただくという経験は、ゼロと言って良い状態でした。そのため、研修を受けた後は、大海原にボートで漕ぎ出すような心持でしたが、そんな不安を Stephane さんの言葉が解消してくれました。

実際、2008年に発表して提案活動を行なっていく中で、ナース・コールのシステムを中心に製造販売している"ケアコム"というお客様から、次のような課題をいただきました。
そして、Stephane さんからアドバイスをいただきながら、課題を解決していき、最終的にはもう1件の別のお客様とほぼ同時に、初めてご契約いただく運びとなりました。
その課題とは、次のとおりです。

<現行の運用>
1. 営業担当者がお客様に提出する見積書の印刷。
2. 表紙と明細の 2 種類の事前印刷用紙(連続用紙)に、ドット・プリンターを使って印刷している。(AS/400 からプリンター・セッション経由の印刷)
3. 用紙の架け替えの手間を省くため、表紙印刷用と明細印刷用の 2 台のプリンターを使用している。つまり、スプールも、表紙用と明細用に別々となっている。
4. 印刷後、用紙を 1 枚ずつ切り離した後、印刷された見積り番号を頼りに、表紙と明細を組み合わせる作業が発生している。

<課題>
1. ケアコム様では、お客様先でも見積りを作成できるように、営業担当者にモバイル環境が提供済みとなっている。
2. しかし、見積り書は営業所に設置されたプリンターでないと印刷できないため、見積り書を提出するためには、営業所に戻らないとならない。そのため、モバイル環境の効果が十分発揮できていない。
(四国では、営業所が 1 箇所しかないため、お客様の場所によっては、提出までかなりの時間が掛かっているとのことでした。)
3. 別々のプリンターで印刷された表紙と明細を、見積り番号を使って組み合わせるため、ミスが起きることがある。

<要件>
1. 現行のアプリケーションを変えずに、見積りと明細をセットにした 1 つの PDF ファイルを生成する。
2. PDF のファイル名には、スプールの中に見積り番号を使用する。
3. 表紙には、担当者と上司が押印していたが、PDF ファイルでは、印影が付いた状態とする。(見積り番号の先頭の 4 桁が社員番号)
4. 提示金額が消費税込みの見積りと、そうでない見積りの 2 種類がある。現行では、表紙に消費税込みであることを事前印刷していて、そうでない場合は、その上に "====" を印刷して消している。PDF ファイルでは、消費税込みか込みではないかの文章を切り替えて表示したい。

<技術的な課題>
要件の "2", "3", "4" は、Mappingの帳票設計ツールである "MapDraw" の機能を使えば簡単に実現できるのですが、"1" は難しいものがありました。
具体的には、表紙用の OUTQ と明細用の OUTQ に同じ見積り番号のスプールが同時に書き込まれるわけではないため、必ず両者のスプールが揃った時点で、Mapping がスプールを結合しないとなりません。しかし、Stephane さんのアドバイスをいただいて CL を用意し、解決することができました。
ケアコム様のお話では、2002年頃から各社に声を掛けてソリューションを探してきたのですが、この課題を解決できる会社が見つからなかったとのことです。
Mappingによる処理概念-1



Mappingによる処理概念-2

<効果>
ケアコム様の具体的なお話は、Mapping Suite の事例のサイトでご覧いただけます。
導入の効果として、見積書をお客様にメール送信できるようになったり、家庭のプリンターでも印刷できるようになったことによって、営業担当の方の時間の余裕ができて、訪問件数が 30% 増えただけでなく、時短にも繋がったとのことです。
もちろん、ドット・プリンターの維持費や用紙代の削減も実現しています。
それだけでなく、情報システム部が新たに導入したシステムの中でも、ユーザーに感謝された稀有なケースだとも、お客様はおっしゃっていました。
ケアコム様見積り書表紙イメージ
ケアコム様見積り書明細イメージ

2017年9月9日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第6回 - Mapping Suite 準備開始 -

"POST2008" の翌週に行なわれた、Infoprint Solutions 社の SE に対する研修の様子を、前々回に掲載しましたが、日本からは私と、もう 1 名のSE が参加しました。
実習のために、自分のPCを持ち込み、会場に設置された AS/400 と接続するのですが、私の隣の 2 名の若いロシア人の画面を覗くと、AS/400 の中に入り込んで、何か実習とはまったく別のことをやっているようでした。逆に、Mapping 社から講師の Stephane さんの他に、助手として参加していたアメリカ人の Don さんは非常に真面目な方で、各人の PC の画面を見ながら、"ブラウザーの画面を閉じて" とか、"メールは止めて" と注意して、研修に集中するように促していたことを覚えています。 (Don さんは、元 IBM 社員。)
一口に外国人と言っても、一人一人は、実に様々な個性の持ち主で、皆違うのだと印象付けられました。


新生 Infoprint Solutions Company の全体集合研修である "POST" は、その費用のためか、2007年と 2008年の 2回で終わってしまいましたが、"POST2007" でのデモを切っ掛けとして、日本でも "Mapping Suite" を 2008年に発表するための準備が始まりました。社内調整は別として、主な作業は次のとおりです。
1. 翻訳
画面やメッセージの文字、マニュアル、ヘルプを日本語に翻訳します。1 回目の翻訳は、翻訳サービスの会社に依頼しましたが、OS/400 を始め他のソフトウェアで使用している用語との整合性のために、自分たちで修正することも必要でした。
例えば、表記に関しても、"property" は、IBM の翻訳ルールに従えば、"プロパティー"となりますが、Windows の世界では"プロパティ"なので、最終的には"プロパティ"とするといった注意です。

2. 検証テスト
Mapping 社からは、ユニコードを使用しているので、日本語のスプール・データにも対応していると聞いてはいたのですが、実際に自分たちで検証する必要があります。しかし、いくら基礎研修を受けたとは言え、初めは私たちも手探りの状態で使い始めたため、何度も Mapping 社のエンジニアの方と英文のメールやファイルのやり取りを行いました。その結果、Mapping のプログラムに修正が入ったこともありますし、Mapping 社では気づいていなかった注意点を私たち側で見つけたこともあります。具体的には、次の点です。
- OS/400 上の Mapping の実行環境のCCSIDのみは、"5035" にセットすること。
CHGJOB CCSID(5035)の実行

- その上で、半角カナ文字と英小文字の文字化けを防ぐために、Mapping のコマンドのパラメーターの一つとして、"コード・ページ"を "290" か"1027" に指定すること。
MAPCPYSPLFコマンドの中のコードページ指定
- Mapping コマンドを実行する端末画面の"コード・ページ"は、"939"か"1399"にセットすること。
5250端末画面の通信の設定

この翻訳や検証テストを行なっていくことで、Mapping を日本国内で担当する SE としてのスキルが身についていったわけです。
Mapping の研修としては、"POST2008" 以外に、その直後の 2008年 4月には東京で、オーストラリアも含むアジア・パシフィック各国の Infoprint Solutions 社の SE 向けの研修を行なっています。
その際に、やはり講師となっていただいた Mapping 社の Stephane や Nathalie さんには、日本のメンバーに対しても、追加の研修を行なっていただきました。
更に続けて、同じ 2008年の 5月には、私と、もう 1名の SE が、Mapping 社があるフランスのリール(Lille)に行って、研修を受けています。

そのような積み重ねと営業努力の結果、2008年中に製品発表を行ない、2008年末には第 1 号のお客様に契約をいただくことになったのです。

2017年9月2日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第5回 - POST2008でのMapping Suite -

2008年の "POST2008" の始まる前に、私たち、参加する社員は、社員番号と姓名(アルファベット)を提出するよう求められました。初めは、単に参加者リストを作るためと軽く考えていましたが、実際にはそうではありませんでした。
ホテルの会場の入り口に、空港にある金属探知機のようなゲートがあって、事前に配布された参加カードを持って各人がそこを通過すると、自動的にチェックインする仕組みができていました。これは、参加カードに、社員番号の情報を持った IC タグが埋め込まれていて、ゲートを通ると、RFID を使ってセンサーがそれを検知し、出席記録に書き込まれるという仕組みです。そして、その仕組みを実現するためのソリューションとして、"Mapping Suite" と "InfoPrint 6700" プリンターが使用されました。

"Mapping Suite" の持っている次の機能を活用していました。
1. 提供された、参加する社員の情報(社員番号と姓名)が入った CSV 形式のファイルに対して、帳票設計を行ない、InfoPrint 6700 プリンターが持っている "IGP" 形式の印刷データを生成して、参加カードを印刷する。

2. 帳票設計する際に、特定の箇所のデータ(社員番号)を参加カード内の IC タグに書き込むことを指定する。その結果、InfoPrint 6700 プリンターで参加カードを印刷する際には、同時に IC タグに社員番号を書き込まれる。

3. 特定の箇所のデータ(社員番号)に対応するイメージを追加して印刷する。その結果、私たち日本からの参加者のカードの表面には、日本の地図のイメージが、一緒に印刷されていました。
(参加カードを残さなかったので、お見せできなくて残念です。)

更に、後になって、Mapping社の Stephane さんから、次のように裏話をお聞きしました。
- 開始日の 3 日ほど前に、Stephane さんが現地入りして、この仕組みを用意した。
- 通常では 3 日程度では、ここまでの仕組みはできない、つまり、いかに Mapping Suite が、構築が容易で、高機能かということの証明となっている。
このように、自慢していました。

ちなみに、InfoPrint 6700 プリンターは、Printronix 社からの OEM 製品で、"ラベル・プリンター"という範疇に含まれます。
InfoPrint 6700 プリンター

ここで、簡単に、ラベル・プリンターは、他の種類のプリンターと比べてどこが特徴なのかをお話しします。
- 使用する用紙は、細長い台紙にラベルが1枚ずつ並んで配置され、ロール状や折りたたんだ状態になったものです。
ラベル用紙(ロール状)イメージ

- ほとんどのラベル・プリンターは、熱転写方式で印刷します。熱転写方式とは、1 ドット単位で熱を発生する素子が、フィルム上のインクに熱を与えると、その箇所だけインクが溶けて紙に印刷されるという印刷方式です。家庭用の FAX や、自動券売機で発行される切符等にも使用されています。
インパクト・プリンターのインク・リボンと異なり、インク・リボンの中の印刷に使用した箇所は、インクが抜けて透明になっていますので、繰り返し使用することはできません。その代わり、印刷後のインク・リボンを取っておくと、何を印刷したかの記録になります。
インク・フィルム・リボン

- ラベル・プリンターには、標準、若しくはオプションでカッターが付いていますので、印刷後に、ラベルを1枚ずつ自動的にカットすることができ、コマンドを使って制御することが可能です。

- 機種によっては、ラベルに埋め込まれた IC タグに情報を書き込む機能を持っています。

- InfoPrint 6700 では、OEM 元の Printronix 社の標準の、"IGP" という形式の印刷コマンドをサポートしている他に、同じ US のラベル・プリンター・メーカーである ZEBRA 社、日本の "SATO"、"TEC" 各社のコマンドもサポートしています。特に、ZEBRA 社の印刷コマンドでは、文字をイメージとして扱うこともできますので、Mapping Suite からは、日本語のラベルの印刷に使用できます。

2005年頃には、IBM として発表した RFID に対応するラベル・プリンターを、日本でも発表するかどうかと検討を行なったことがあります。しかし、国内で使用許可された周波数の規格との不一致、ラベル・プリンターの IC タグにデータを書き込むためのソリューション、もちろん日本語対応したものを特定することができず、発表を断念したという経緯があります。

なお、余談ですが、ラベルの印刷は、他にもインパクト・プリンターや、レーザー・プリンターでも可能です。
しかし、レーザー・プリンターでは、トナーを用紙に定着させる際に、紙の厚さが均一であることや糊が表面にはみ出てこないが求められます。そのために、台紙が見えないように、ラベルの周囲の紙も残してある状態になっている必要があります。
レーザー・プリンター用ラベル紙イメージ(A4サイズ10面の例)
そのような用紙に印刷したラベルと、細長い用紙に1枚ずつ並んだラベルとでは、剥がし易さや無駄が出るかどうかが、大きく異なるのではないでしょうか ?
印刷速度や印刷品質(解像度)では、レーザー・プリンターの方が優れていると思いますが、現場ではラベル・プリンターが多く使用されていることの理由は、その辺りにあるのではないかと思います。

2017年8月26日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第4回 - Mapping Suite との出会い -

2007年1月に発表された IBM プリンティング・システムズ事業部の売却に伴い、当時、プリンティング・システムズ事業部に所属する社員は、他の部署への異動は許されず、そのまま6月に発足する新会社に転籍するか、退職するかの選択を迫られました。
結局、私も含めてほとんどの社員が転籍を選択することになりましたが、恐らくそのような社員のモチベーションの維持、高揚を目的としたものと思われる "POST2007" というイベントの案内が届きました。
これは、ワールド・ワイドの IBM プリンティング・システムズ事業部の社員を、事業部の本社がある US のコロラド州、Boulder(ボルダー) に集めて、研修を行なうという企画です。2月12日から19日に掛けて 1 週間もの海外出張は、私にとっても初めての経験でしたので、やはり、ドキドキ、ワクワクしました。
会場となったホテルでは、営業向け、ITS(IT スペシャリスト)向け、あるいは共通の様々な研修コースが用意されていました。その後は、社長となる Tony Romero(トニー・ロメロ) のスピーチや懇親会があったりと、盛り沢山のメニューが詰まっていました。
集合研修会場の様子
研修の他には、製品のデモ・コーナーもあって、セッションの合間に自由に見学することができました。プリンターの新製品だけではなく、ソフトウェアのデモも行なわれていましたが、その中のベンダー・ロゴ製品の中に、美男美女の組み合わせでデモを行なっていた "MappingSuite" という製品があることに気づきました。
デモ会場の様子

従来、プリンティング・システムズ事業部の開発するものも、販売するベンダー・ロゴ製品も、ワールド・ワイド対応のソリューションは、全てと言って良いくらい、AFP を対象としたもので、しかも日本語対応されていないものが多かったのですが、この "Mapping Suite" は、AS/400 上の、日本語む含めた SCS スプール・データを対象とした帳票ソリューションであること、しかも、OS/400 上で稼動することが、その説明を聞いている中で分かってきました。デモを見たり、説明を聞きながら、これを日本でも発表して扱うようにすれば、インパクト・プリンターからレーザー・プリンターや電子保存に移行したい、AS/400 のお客様にご提案していけるのはないかと確信を深めていきました。

帰国後に調べたところ、"Mapping Suite" に関しては、元々、Mapping社が、2006年に当時の IBM プリンティング・システムズ事業部とパートナー契約を結んでいて、Infoprint Solutions社もそれを引き継いでいることが分かりました。
そこで、国内で販売できるようにするための予算(主に、マニュアルや画面の翻訳)や人員の手当てに対する社内の承認を得て(これが大変だったのですが、"Mapping Suite" を扱うことが当時の社長の思いと一致したことが、大きく寄与しました。)、準備を進めていきました。

翌年の 2008年1月28日からも1週間に渡って、2度目の "POST" である"POST2008" が行なわれたのですが、その次の週に、Boulder の他のホテルに会場を移して、"Mapping Suite" の SE 向けの研修が実施されることとなり、これに私も参加することができました。
会場には、AS/400 も用意され、各自の PC を接続して実習できるようになっていました。3日間のコースでしたが、ここで基本を理解し、その後、東京でもアジア・パシフィック向けの研修コースを行なうこととなり、より理解を深めることができました。また、同時に、講師となった Mapping 社のStephane さんとの交流を始めることができたのも、大きな収穫でした。
Mapping Suite 研修会場のホテル(歓迎 インフォプリント・ソリューションズと書かれている)
Mapping Suite 研修会場の様子


2017年8月12日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第3回

2002年のアンケート調査と、2010年のそれとを単純に比較はできませんが、それでも 8 年が経過したことによる変化は窺えます。

1. 帳票設計は、2002年では、90% 以上の会社では、APW も含めたコマンドのコーディングで行なっていました。
しかし、2010年では、その比率は 80% に下がって、新たに、帳票ソリューションを使う会社が出てきて、その比率が 16% となっています。

2. 今後の予想では、増強やプリンターの LAN 接続化も含めた現状維持派が、2002年では 50% 以上ありましたが、2010年では、44% に減っています。

3. 電子化や Web 対応等の手段によって印刷量を削減(廃止)する派は、2002年の 44% ですが、2010年では 47% と大きくは変化していません。

業務で使用しているアプリケーション・プログラムに大きく手を入れないで、帳票の電子化や、レーザー・プリンターへの移行(カット紙化)を実現するには、何らかの帳票ソリューションが必要になります。
つまり、罫線や固定文字が事前印刷された複写伝票への印刷を、電子帳票やレーザー・プリンターによるカット紙への印刷に移行するには、アプリケーション・プログラムから吐き出されるスプール・データに含まれていない、罫線やタイトル等の固定文字も印刷データに含める必要があり、それを実現するのが、帳票ソリューションの役割と言えます。
6P複写伝票のカット紙化例

逆に、白紙の応用用紙に、罫線や固定文字も含めた全ての印刷データをインパクト・プリンターで印刷しているのが現状であるならば、プリンター・セッション経由の印刷、もしくは HPT 機能を使った LAN 直接接続された PAGES レーザー・プリンターで、縮小印刷や両面印刷指定に移行すれば済んでしまいます。
連続用紙への印刷をそのままカット紙に縮小印刷

では、その帳票ソリューションを選択するたに当たって、何を選択基準とするかを、2010年にお聞きしています。

4. 最優先は価格であると約半分の方が回答しているのは、もっともと思いますが、次に重視するのは、OS/400 上で稼動するのか、WindowsServer の 上で稼動するかと言う点です。
約 20% が、稼動 OS を重視すると回答している割に、OS/400 上が良いか、WindowsServer 上が良いかをお聞きすると、"どちらでも良い"という回答が、44% にもなっています。
私自身は、統合サーバーである AS/400 の強みや、WindowsServer を立てた場合の管理コストを考えると、"OS/400" が 33% という数字は、意外に小さいと感じました。

ともあれ、2010年になると、ユーザーへのアンケートでも、私自身の日々の活動の中の実感としても、帳票ソリューションの存在が大きくなってきていたことは、確かと言えます。
そして、その背景には、明らかに、電子化や、メーカーに拘らないレーザー・プリンター化による"コスト削減"という、お客様の課題があることも確かと言えます。

初めてアンケートを取った 2002年から、2度目にとった 2010年までの間には、私にとって大きな変化がありました。それは、2007年6月の、インフォプリント・ソリューションズ社の設立です。
IBM は、PC 事業に続いて、プリンティング・システム事業を売却し、2007年から 3年間は株式会社リコーとの合弁会社として、インフォプリント・ソリューションズ社を設立したのでした。

発足当初、日本の社長が挙げた 3つの課題の1つが、「オープン環境の印刷において、何をご提案していくか」というものでした。それに対して、正にこの"帳票ソリューションの提供"が回答になっていくわけです。
背景として、ライン・プリンターやドット・プリンターが大きな比率を占めていたビジネス・モデルが通用しなくなっていく時代の変化に対応するために、印刷量を減らしたい、あるいは、メーカー縛りから脱却したいお客様に受け入れていただける、従来とは異なる新しいご提案ができないとならないという差し迫った状況にあるという認識がありました。
そして、自社製プリンターを選択していただける何の保証も無いオープン環境においては、独自の帳票ソリューションをご採用いただくことによって、お客様の印刷データの大元を押さえるという考え方にたどり着きました。
その切っ掛けは、新会社発足当初に行なわれたイベントでの製品デモでした。

2017年8月6日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第2回 - 2010年のお客様状況 -

前回ご紹介した 2002年のアンケート結果では、ライン・プリンターもまだ Twinax 接続で使用されているお客様が半数以上でした。
2002年の頃を振り返って見ると、AS/400 が Twinax 接続標準から LAN 接続標準に移行していく中で、対応するプリンターも、LAN 接続でも双方向通信が可能で、Twinax 接続からの移行の受け皿となる Telnet5250E に対応するものとして、連続用紙用レーザー・プリンターのInfoPrint250(5300-025) と、ライン・プリンターの標準モデルである 5400-006 の LAN カード付きモデルが発表されたのが、2000年でした。
InfoPrint250(5300-025)
Telnet5050E 対応のライン・プリンターの高速、中速、低速モデルのライン・アップとして、5400-L10、5400-S06、5400-L02が揃ったのが、2002年です。
また、ドット・プリンターを Telnet5250E に対応させるためのオプション、5400エミュレーターが翌年、2003年に発表されていますから、この頃のプリンターは、Twinax 接続から LAN 接続に徐々に切り替わっていく時代と言えるかと思います。

しかし、同時に、半数近くのお客様は電子化やレーザー・プリンターへの移行を指向していたことが分かります。私自身にも、古くなって保守も終了したライン・プリンターを、LAN 接続の新しいライン・プリンターに置き換えるお客様の比率が減っているという実感がありました。レーザー・プリンターへの移行と言っても、AFP だけでなく、PAGES モードを持つ小型の IBM レーザー・プリンターですら、お客様には"高い"と言われ、十分に受け皿になっていないという実感もありました。

今にして見れば、その頃から、メーカー縛りが無く、価格の安いレーザー・プリンター(消耗品コストは、インパクト・プリンターに比べて高くなりますが)に印刷できるようにするために、所謂"帳票ソリューション"を導入されるお客様が増えてきたのではないかと考えています。それらのソリューションのほとんどが、次のような処理を行いますので、Windowsのプリンター・ドライバーさえ持っているプリンターであれば、制約は無かったのです。
- AS/400 上のスプール・データを、例えば csv 形式のファイルに変換します。
 -> それを、Windowsサーバーに送信します。
  -> Windowsサーバー上で帳票イメージを作成して、プリンター・ドライバーを使って印刷します。

そこで、その後のお客様の変化を知るために、2010年4月に同様なアンケートを実施しました。その結果は、次のとおりです。

- 調査時期 : 2010年4月
- 有効回答社数 : 70社

1. AS/400 からの印刷に使用しているプリンター
1-1. ライン・プリンター    Yes : 58%    No : 36%    不明 : 6%
1-2. レーザー・プリンター    Yes : 66%    No : 24%    不明 : 10%
1-3. ドット・プリンター    Yes 74%    No : 20%    不明 : 6%
使用しているプリンターの種類

2. 帳票設計
2-1. RPG/COBOL, DDS でコーディングしている : 64%
2-2. APW も使用している : 16%
2-3. OS/400 上で稼動する帳票ソフトを使用している : 12%
2-4. Windowsサーバー上で稼動する帳票ソフトを使用している : 4%
2-5. 印刷しない : 4%
2-6. 不明 : 4%
帳票設計

3. 5年後の予想
3-1. 現行のまま継続する : 33%
3-2. 電子化により印刷量を削減する : 31%
3-3. 複写帳票を廃止してレーザー・プリンターへ移行する : 16%
3-4. 既存帳票は継続し、新規帳票は帳票ソリューションを使用する : 7%
3-5. AS/400 を廃止して Windowsサーバーへ移行する : 6%
3-6. 現行方式を維持し、増強する : 4%
3-7. その他、不明 : 3%
5年後の予想

4. 帳票ソリューション
4-1. 使用中のものへの満足度    満足 : 40%    不満足 : 23%    不明 : 37%
4-2. 選択のために重視する    価格 : 48%    稼動 OS 種類 : 20%    設計機能 : 13%    導入実績 : 9%    不明 : 10%
4-3. 稼動 OS : どちらでも良い : 44%    OS/400 : 33%    Windowsサーバー : 17%    不明 : 6%
帳票ソリューションについて