始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年8月12日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第3回

2002年のアンケート調査と、2010年のそれとを単純に比較はできませんが、それでも 8 年が経過したことによる変化は窺えます。

1. 帳票設計は、2002年では、90% 以上の会社では、APW も含めたコマンドのコーディングで行なっていました。
しかし、2010年では、その比率は 80% に下がって、新たに、帳票ソリューションを使う会社が出てきて、その比率が 16% となっています。

2. 今後の予想では、増強やプリンターの LAN 接続化も含めた現状維持派が、2002年では 50% 以上ありましたが、2010年では、44% に減っています。

3. 電子化や Web 対応等の手段によって印刷量を削減(廃止)する派は、2002年の 44% ですが、2010年では 47% と大きくは変化していません。

業務で使用しているアプリケーション・プログラムに大きく手を入れないで、帳票の電子化や、レーザー・プリンターへの移行(カット紙化)を実現するには、何らかの帳票ソリューションが必要になります。
つまり、罫線や固定文字が事前印刷された複写伝票への印刷を、電子帳票やレーザー・プリンターによるカット紙への印刷に移行するには、アプリケーション・プログラムから吐き出されるスプール・データに含まれていない、罫線やタイトル等の固定文字も印刷データに含める必要があり、それを実現するのが、帳票ソリューションの役割と言えます。
6P複写伝票のカット紙化例

逆に、白紙の応用用紙に、罫線や固定文字も含めた全ての印刷データをインパクト・プリンターで印刷しているのが現状であるならば、プリンター・セッション経由の印刷、もしくは HPT 機能を使った LAN 直接接続された PAGES レーザー・プリンターで、縮小印刷や両面印刷指定に移行すれば済んでしまいます。
連続用紙への印刷をそのままカット紙に縮小印刷

では、その帳票ソリューションを選択するたに当たって、何を選択基準とするかを、2010年にお聞きしています。

4. 最優先は価格であると約半分の方が回答しているのは、もっともと思いますが、次に重視するのは、OS/400 上で稼動するのか、WindowsServer の 上で稼動するかと言う点です。
約 20% が、稼動 OS を重視すると回答している割に、OS/400 上が良いか、WindowsServer 上が良いかをお聞きすると、"どちらでも良い"という回答が、44% にもなっています。
私自身は、統合サーバーである AS/400 の強みや、WindowsServer を立てた場合の管理コストを考えると、"OS/400" が 33% という数字は、意外に小さいと感じました。

ともあれ、2010年になると、ユーザーへのアンケートでも、私自身の日々の活動の中の実感としても、帳票ソリューションの存在が大きくなってきていたことは、確かと言えます。
そして、その背景には、明らかに、電子化や、メーカーに拘らないレーザー・プリンター化による"コスト削減"という、お客様の課題があることも確かと言えます。

初めてアンケートを取った 2002年から、2度目にとった 2010年までの間には、私にとって大きな変化がありました。それは、2007年6月の、インフォプリント・ソリューションズ社の設立です。
IBM は、PC 事業に続いて、プリンティング・システム事業を売却し、2007年から 3年間は株式会社リコーとの合弁会社として、インフォプリント・ソリューションズ社を設立したのでした。

発足当初、日本の社長が挙げた 3つの課題の1つが、「オープン環境の印刷において、何をご提案していくか」というものでした。それに対して、正にこの"帳票ソリューションの提供"が回答になっていくわけです。
背景として、ライン・プリンターやドット・プリンターが大きな比率を占めていたビジネス・モデルが通用しなくなっていく時代の変化に対応するために、印刷量を減らしたい、あるいは、メーカー縛りから脱却したいお客様に受け入れていただける、従来とは異なる新しいご提案ができないとならないという差し迫った状況にあるという認識がありました。
そして、自社製プリンターを選択していただける何の保証も無いオープン環境においては、独自の帳票ソリューションをご採用いただくことによって、お客様の印刷データの大元を押さえるという考え方にたどり着きました。
その切っ掛けは、新会社発足当初に行なわれたイベントでの製品デモでした。

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