始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年10月21日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第11回 - Mapping Suite とは- 1 -

"Mapping Suite" を使ってできることは、まだまだありますが、ここではどのようなソリューションなのかをご紹介いたします。
"Mapping Suite" は、フランス北部のリール(Lille、パリからTGVで1時間程度の距離)にある、Mapping 社で開発されたソリューションです。
Mapping 社は、元々、AS/400 関連の周辺機器、特にプリンターの販売会社だったのですが、1996年にオーナーの方が思い切って、大学卒業したばかりの若いエンジニアを採用して、AS/400 上で稼動するソリューション "Mapping Suite"を開発しました。それによって、ハードウェアの販売会社から、ソリューションとサービスの会社に、大きく業態を変えたのです。
これは、ちょうど私が経験した、2000年頃からライン・プリンターやドット・プリンターがそのまま後継機に置き換わらなくなって、お客様はプリンターのオープン化や、帳票の電子化を志向し始めたという現象が、フランスでは早めに起きていたこと、そして、Mapping のオーナーの方はいち早くそれを察知して、会社の業態をダイナミックに切り替えることに成功したことを意味していると思います。
同時に、AS/400のユーザーは、フランスでも日本でも同じような志向を持っていたという点は、おもしろいと思います。

Mapping は、初め SBCS のスプールにのみ対応していましたが、その後、2006年にユニコードに対応することで、DBCS のスプールにも対応しています。
また、2006年には、IBM のプリンティング・システムズ事業部とワールド・パートナー契約を締結して、フランス以外の国には、IBM が販売と保守を担当することになりました。そして、その契約が、インフォプリント・ソリューションズ社に引き継がれ、2008年には、日本でも発表されることになったわけです。
Mapping Suite のホームページでは、今現在、世界中で約 2,300社のユーザーが使用しているとのことです。
国内では、2008年の発表時点でのバージョンは、"V6" でしたが、その後、2015年3月に "V7" が発表されています。

"Mapping Suite"の最大の特徴は、AS/400で稼動することです。それによるメリットは次のようになると思います。
- Windows サーバーが不要です。
- お客様の RPG や CL のスキルを生かすことができます。
- Mapping は、OS/400 が元々持っている機能は活用するようにできていますので、プリンターへの印刷管理も従来どおり OUTQ によって可能です。
しかし、裏返すと、メリットも懸念点に繋がります。つまり、Mapping が行う処理は、AS/400 の CPU の負荷になるので、既存のアプリケーションの実行に影響を与える"可能性"があるということです。
(ただ、今まで国内で導入されたお客様で、実際に問題になったケースはありません。)

もう一つの大きな特徴は、出力先のプリンターのメーカーを問わないことです。
レーザー・プリンターや複合機であれば、PDF ダイレクト印刷機能、XPS ダイレクト印刷機能、あるいは PCL モードを持っていれば、LAN 直結で AS/400 から直接印刷ことが可能です。そして、それらの機能は、ほとんどのメーカーのプリンターや複合機では、標準、若しくは 2万円程度の安価なオプションとして用意されています。
なお、それらの機能が無い、若しくは今からオプションの追加ができない、設置済みのプリンターや複合機に対しては、オプションの"Mapping Virtual Printer"を使用すると、PC 経由にはなりますが、Windowsプリンター・ドライバーと Adobe Reader を使って、Mappingが生成した PDF を自動印刷することができます。"Mapping Virtual Printer"は、標準料金が 57,500円で、25個までのプリンター出力先を登録できます。つまり、Windowsプリンター・ドライバーを持ったプリンターなら、メーカーを問わず、AS/400 上の Mapping から自動印刷できるということです。
Mapping 処理の概略


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