始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年10月28日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第12回 - Mapping Suite とは- 2 -

前回から、"Mapping Suite"の特徴をお話ししています。次の特徴は、特徴である他に、志とも言えるものと思います。
それは、可能な限り既存のアプリケーションの変更無しに、カット紙化や PDF化を実現するための機能を持っているという点です。
その代表的な機能が、"ROBOT" というサブシステムです。これは、Mapping が標準で持っている機能で、簡単にお話しすると、ある OUTQ に投入されたスプールに対して、予め定義しておいた処理を自動的に行なうものです。例えば、次のような処理が考えられます。
- カット紙プリンターに印刷する。

- 特定のルールで命名したファイル名の PDF ファイルを生成して、IFS 上の特定のフォルダーに保存する。
"ROBOT"は、必ず使用しないとならないというものではなく、Mapping のコマンドを既存の RPG や CL のプログラムの中に直接組み込むという方法もあります。ただ、"ROBOT" を使用すると移行が比較的容易かと思います。

他にも、スプールの前処理として、スプールの分割、結合や、スプール内のページの並べ替えが可能です。
AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第7回 - Mapping Suite のお客様第1号 - の回でご紹介したケアコム様の例のように、"表紙" ページ用のスプールと、"明細" ページ用のスプールが分かれている場合、1つのPDF ファイルを生成するためには、スプールの結合が必要になります。また、ページ毎に各社員の給与明細が入った全社員分の1本のスプールを印刷していた業務を、社員毎の給与明細の PDF ファイル化に移行するには、PDF 化の前にスプールの分割が必要になります。
これらのような場合、既存のアプリケーションを変更できるのであれば、話しは簡単ですが、実際には、古くから使用しているアプリケーションだと、誰も手をつけられないとか、変更するための人手や時間が無いといったケースの方が多いと思います。そのために、Mapping V7 では、E-Documentというオプションの中で、スプールの分割、結合、並べ替えを行なうコマンドを用意しています。
また、帳票設計ツールである "MapDraw" には様々な設計機能を用意して、既存のスプールを元に、新しい帳票ができるようになっています。
スプールの分割/結合/並べ替えコマンドのパラメーター

他に大きな特徴として欠かせないのは、様々な言語のスプールに対応している点です。
これについては、AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第9回 - Mapping Suite でできること-1 - の回の中でお話ししているので、ご説明を繰り返しませんが、他のソリューションには無い特徴です。
製造業のお客様だけでなく、他の業種の AS/400 ユーザーのお客様でも、日本以外の国に支社があったり、あるいはお客様があって、その国の方とコミュニケーションするために、日本語以外の言語のスプールを印刷したり、PDF ファイルにしたりする必要性は高まっていると思います。
"Mapping Suite" は、ユニコードを活用し、Windows のフォントを使用することで、お客様の AS/400 プリンティングにおける言語上の制約を解放します。
ただし、操作画面の言語は、日本語、英語、フランス語に限られます。また、画面上の文字数の制約から、日本語環境であっても、まだまだ英語しか表示できない画面があることも、残念ながら事実です。
Mappingコマンドの画面例(MAPCPYSPLF)







2017年10月21日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第11回 - Mapping Suite とは- 1 -

"Mapping Suite" を使ってできることは、まだまだありますが、ここではどのようなソリューションなのかをご紹介いたします。
"Mapping Suite" は、フランス北部のリール(Lille、パリからTGVで1時間程度の距離)にある、Mapping 社で開発されたソリューションです。
Mapping 社は、元々、AS/400 関連の周辺機器、特にプリンターの販売会社だったのですが、1996年にオーナーの方が思い切って、大学卒業したばかりの若いエンジニアを採用して、AS/400 上で稼動するソリューション "Mapping Suite"を開発しました。それによって、ハードウェアの販売会社から、ソリューションとサービスの会社に、大きく業態を変えたのです。
これは、ちょうど私が経験した、2000年頃からライン・プリンターやドット・プリンターがそのまま後継機に置き換わらなくなって、お客様はプリンターのオープン化や、帳票の電子化を志向し始めたという現象が、フランスでは早めに起きていたこと、そして、Mapping のオーナーの方はいち早くそれを察知して、会社の業態をダイナミックに切り替えることに成功したことを意味していると思います。
同時に、AS/400のユーザーは、フランスでも日本でも同じような志向を持っていたという点は、おもしろいと思います。

Mapping は、初め SBCS のスプールにのみ対応していましたが、その後、2006年にユニコードに対応することで、DBCS のスプールにも対応しています。
また、2006年には、IBM のプリンティング・システムズ事業部とワールド・パートナー契約を締結して、フランス以外の国には、IBM が販売と保守を担当することになりました。そして、その契約が、インフォプリント・ソリューションズ社に引き継がれ、2008年には、日本でも発表されることになったわけです。
Mapping Suite のホームページでは、今現在、世界中で約 2,300社のユーザーが使用しているとのことです。
国内では、2008年の発表時点でのバージョンは、"V6" でしたが、その後、2015年3月に "V7" が発表されています。

"Mapping Suite"の最大の特徴は、AS/400で稼動することです。それによるメリットは次のようになると思います。
- Windows サーバーが不要です。
- お客様の RPG や CL のスキルを生かすことができます。
- Mapping は、OS/400 が元々持っている機能は活用するようにできていますので、プリンターへの印刷管理も従来どおり OUTQ によって可能です。
しかし、裏返すと、メリットも懸念点に繋がります。つまり、Mapping が行う処理は、AS/400 の CPU の負荷になるので、既存のアプリケーションの実行に影響を与える"可能性"があるということです。
(ただ、今まで国内で導入されたお客様で、実際に問題になったケースはありません。)

もう一つの大きな特徴は、出力先のプリンターのメーカーを問わないことです。
レーザー・プリンターや複合機であれば、PDF ダイレクト印刷機能、XPS ダイレクト印刷機能、あるいは PCL モードを持っていれば、LAN 直結で AS/400 から直接印刷ことが可能です。そして、それらの機能は、ほとんどのメーカーのプリンターや複合機では、標準、若しくは 2万円程度の安価なオプションとして用意されています。
なお、それらの機能が無い、若しくは今からオプションの追加ができない、設置済みのプリンターや複合機に対しては、オプションの"Mapping Virtual Printer"を使用すると、PC 経由にはなりますが、Windowsプリンター・ドライバーと Adobe Reader を使って、Mappingが生成した PDF を自動印刷することができます。"Mapping Virtual Printer"は、標準料金が 57,500円で、25個までのプリンター出力先を登録できます。つまり、Windowsプリンター・ドライバーを持ったプリンターなら、メーカーを問わず、AS/400 上の Mapping から自動印刷できるということです。
Mapping 処理の概略


2017年10月14日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第10回 - Mapping Suite でできること- 2 -

"Mapping Suite" のライセンスには、帳票設計用のツールである "MapDraw"が付属しています。このツールは、Windows 上で稼動し、コピー・フリーです。従って、複数のメンバーの PC にインストールして、多くの帳票を複数のメンバーで分担して設計するといった使い方が可能です。
"MapDraw" の特徴の一つが、左右に2分割した右側の画面に、スプールや XML ファイルを表示しながら、帳票設計できる点です。XML ファイルは、そのまま直接読み込みますが、AS/400 上のスプールは、テキスト・ファイルに近い形式のファイルに変換して、IFS 上に書き出したものを読み込みます。
MapDraw の画面例

この "MapDraw" を使うと、従来の帳票をカット紙化したり、両面印刷できるようにするだけでなく、次のような、今までできなかった表現が可能になります。

1. Windows PC にあるフォントを使って帳票設計します。そのため、1つの帳票の中で、様々な書体のWindows フォントを、様々なポイント数(大きさ)で使い分けることができます。もちろん、今までどおり、情報を強調するための縦倍角や、横倍角も可能ですが、ポイント数や、太字、斜体等 Windows の世界では当たり前だった指定が、AS/400 の世界でも可能になります。
Meiryo 11P フォントとMS Gothic 10Pフォントの使い分け例

2. 条件設定機能があります。帳票設計全体に対しても条件付けできますので、例えば、請求書の"表紙"のページと、"明細"のページの設計を変えて1つの請求書の PDF とすることができます。
スプールの中の、表紙のページと明細のページのデータの違い、例えば、表紙のページには特定の場所に宛先住所の郵便番号の中の"-"が必ずあることに着目して、その有無を条件として、表紙用の設計を適用するか、明細用の設計を適用するかを指定します。
また、他にも、数字にマイナス記号が付いていたら赤色で表示するとか、データの存在する行のみ罫線を引くといった表現が可能です。
データのある行にのみ罫線を引くための条件付け例

3. データに対応したイメージを追加することができます。例えば、社員番号に対応した印影を追加する機能は、前々回のお話しでご紹介した"ケアコム"様の帳票で活用されています。他にも、部品番号に対して、その写真イメージや、図面イメージを追加して表現できれば、従来の帳票と比べて圧倒的に分かりやすい帳票に変化します。
これは、その設計と、それらのイメージを"データ.jpg"という JPEG 形式のファイルにして、IFS 上の特定のフォルダーの下に保存しておくことによって実現します。
データ"0776"を印影イメージで表示するための設計と、そのプレビュー画面

4. バーコードの指定が可能です。国内で使用されている1次元バーコードの他に、QRコードを含む2次元コードも簡単に指定できます。
1次元バーコードは、MapDraw と併せてご提供している1次元バーコード用の Windows フォントを使って表示します。
Mapping が生成する PCL データや PDF ファイルには、フォント・イメージを埋め込むことが標準となっています。そのため、設計する際に使用したバーコード用のフォントが入っていない PC 上でも同じようにバーコードが表示されます。
また、データのメモリーと結合機能がありますので、複数個所に分かれて存在するデータを結合して QR コードで表示することも可能です。
データ"07760001"をCODE39で表示するための設計と、そのプレビュー

2017年10月9日月曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第9回 - Mapping Suite でできること-1 -


Mapping Suite は、どのような課題を解決するために役立つソリューションでしょうか ?

1. AS/400 上の既存のアプリケーションを変更すること無しに、連続用紙への印刷をカット紙に移行することができます。
特に、今は、罫線や固定文字が印刷された事前印刷用紙に、ライン・プリンターやドット・プリンターを使って、データを印刷しているような場合、例え、それが複写伝票であっても、白紙のカット紙への印刷に切り替えるのは、Mapping Suite の得意分野です。
そして、対応できるプリンターや複合機は、メーカーを問わないのも、大きな特徴です。
特に、PCL モードや、PDF ダイレクト印刷機能、XPS ダイレクト印刷機能を持つプリンターに対しては、AS/400 から、PC を介することなく、LAN 接続で直接印刷が可能です。

連続用紙への印刷からカット紙への印刷に移行することのメリットや、そのための注意点は、過去のお話で触れてきましたので、そちらをご参照ください。
ライン・プリンターの全て - 第15回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-1
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第6回 事前印刷用紙からの移行-
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第7回 事前印刷用紙からの移行-
連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第1回 基本の考え方-
AS/400からの印刷 ~基礎編-8~
6枚複写の伝票から A4用紙 2枚への移行例

2. AS/400 上の既存のアプリケーションを変更すること無しに、帳票の PDF化ができます。今まで印刷していた帳票を PDF化すると、次のような運用が可能になります。

2-1. バインダーに綴じて保管していた伝票の控を PDF化して、ファイル・サーバーに保管する。
その結果、次のようなメリットが考えられます。
-> 保管スペースの大幅な削減。
-> 検索のための時間(手間)の削減。
-> 保管先フォルダーを分けて、フォルダー毎にアクセス管理を行なうことによる、セキュリティ管理の強化。
-> PDFファイル自体に管理用のパスワードを付与することによる、セキュリティ管理の強化。
IFS 上に生成されたPDFをファイル・サーバーに転送して保存

2-2. 印刷した帳票を封筒に詰めて郵送していた業務を、PDFファイルを添付したメール送信に移行する。
その結果、次のようなメリットが考えられます。
-> 印刷代、郵送代の削減。
-> 手作業による封筒詰めに伴う手間と、ミスの発生の削減。

2-3. 印刷した帳票を FAX 送信していた業務を、PDFファイルを使った FAX 自動送信に移行する。
PDFを使った FAX 自動送信は、クラウド・サービスを使用するものと、複合機の各メーカーが用意している FAX送信ソリューションを使うものの 2つの方式に分かれます。
前者は、クラウド・サービスを提供しているサービサーから指定されるメール・アドレス宛に、PDFを添付ファイルとしてメール送信する方式です。その場合、FAXの宛先番号の指定方法は、PDFのファイル名に含める方式や、別に添付するテキスト・ファイル内に記載する方式などがあります。
後者は、WindowsServer 上で稼動する FAX送信ソリューションが指定するフォルダーに対して、宛先番号を含むファイル名を付けた PDFを、AS/400 から FTP送信すると、複合機から電話回線を使って FAX送信されるという方式です。
どちらの方式でも、次のようなメリットが考えられます。
-> 印刷する必要が無いので、印刷のための時間(手間)や、用紙代等のコストの削減。
-> FAX 送信のための作業が削減されるだけでなく、送信先が自動的に指定されるので、誤送信が削減できる。
PDFを使った FAX 自動送信ソリューションの例

2-4. AS/400 上で PDFが生成されたら、リクエストしたユーザーの PCにFTP送信して、その PC上の予め決めたフォルダーに保存する。
この考え方は、2-1. の集中管理方式とは異なり、各ユーザーが個人で管理する方式です。特に、Mappingの事例でご紹介している"漁船保険中央会"様(その後、日本漁船保険組合に移行)では、各ユーザーのPCにバッチ・プログラムを用意しておいて、PDFを受信すると Adobe Readerが自動的に起動して、そのPDFを画面表示するという運用に切り替えていらっしゃいます。
-> ユーザーは、印刷結果が必要な場合には、Adobe Readerの検索機能を使って、該当するページのみを、通常使用しているプリンターから印刷させるようになりました。それまでの自動的にドット・プリンターに印刷されていた運用と比べると、大幅な用紙の削減が可能になったということです。当然、業務用に設置されていたドット・プリンターは、廃止となっています。

3. 各国語のスプールに対応して、上記のカット紙への印刷や、PDF化が可能です。
文字コードを AS/400 標準の "EBCDIC" から"ユニコード"に変換して処理するため、日本語以外の各国語のスプールに対応します。その結果、次のようなメリットがあります。

3-1. 国内にある AS/400 から海外に設置されて LAN 接続されたプリンターに、現地の言語、あるいは日本語の印刷が可能です。
-> AS/400 からプリンター・セッションを経由した日本語の帳票を印刷するには、日本語のフォントを内蔵していたプリンターが必要ですが、海外では入手できません。そのため、国内から現地に持ち込んで使用されているお客様もあるくらいです。
Mapping が生成する PCLモードの印刷データには、日本語のフォントのイメージを含んでいますので、日本語フォントを内蔵していない PCLモードのプリンターでも日本語の帳票が印刷できます。
また、PDFにも文字コードと一緒にフォント・イメージを埋め込んでいますので、日本語フォントを持っていない PC 上でも、日本語を表示します。
-> 同じ理由で、現地の言語やフォントを使った印刷や、PDFが可能です。
特に、入力データとしてスプールの代わりに、XMLファイルを使用すると、複数の言語を共存させることが可能です。
Mapping の事例でご紹介している "JFC ジャパン"様では、英語とフランス語の併記が必要なカナダ向けのラベルの印刷を、XML ファイルを元に、Mapping と ZEBRA 社のラベル・プリンターで実現されています。
XML ファイルを使ったタイ語と簡体字の共存の例

2017年10月1日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第8回 - Mapping Suite のお客様第2号 -

前回のお話でご紹介したケアコム様と並行して、"滝川"というお客様にも Mapping をご提案していて、ほぼ同じ頃にご契約いただきました。
"滝川"様は、理容・美容・エステ・ネイルの用品、機器、設備の総合商社です。日本に"エステティック"という言葉を初めて導入したとのことです。
"滝川"様が、Mapping をご契約いただくに至った大きな動機は、印刷コストの削減です。
公開されている事例に記載されているように、AS/400 からの出力用に使用されていたライン・プリンターが 7台、ドット・プリンターが 30台あり、3年以内に全てが更新の時期を迎えていました。
Mapping 導入後の Mapping セミナーでは、実際にお客様にご講演いただいたのですが、その中でお客様は、次のようにおっしゃっていました。

- システム部の悲しい性(さが)として、内部処理をどれだけ改善しても、ユーザー部門から評価されない。

- それならば、効果が見えやすい画面と帳票を改善しよう。

- ライン・プリンターとドット・プリンター(合計 37台)を新しいモデルに置き換えるだけでは、約3,000万円の費用が掛かることが見込まれる。それならば、これを機に"A4 サイズ・カット紙を中心とした出力環境の移行を検討しよう。

このように考えて、様々な帳票ソリューションを検討されたそうです。その中で、Mapping をご採用いただいた理由は、他のほとんどのソリューションが、Windows Server を建てる必要があるのに対し、Mapping は、AS/400 の中で処理が完結するため、Windows Server が不要な点でした。
カット紙化するために導入されたレーザー・プリンターは、印刷速度が 75ページ/分や 50ページ/分の高速機やデスクトップ型のものと併せて、22台です。この台数になったのは、従来よりも印刷速度が高速化できたことによる、プリンターの集約化の効果によるものです。
更に、配送センターには 5台のラベル・プリンターも導入しても、導入費用を半額に抑えることができました。

コストの削減という観点では、用紙コストの削減も見逃せません。従来のストック・フォームや、納品書等の複写伝票が、安価なA4 サイズや A3 サイズのカット紙に切り替わったこと、明細帳票や保存資料には、できるだけ両面印刷を活用して印刷枚数を削減することにより、インク・リボン代よりもトナー代が高くなったことも含めても、年間 200万円以上のランニング・コストの削減ができたとのことです。

特に"両面印刷"については、お客様の次の言葉が印象に残っています。
1. 従来の連続用紙の良いところは、印刷後の用紙がまとまっていることであり、それに対してカット紙は、大量に印刷した後の用紙の取り扱いに注意しないと、大変なことになる。カット紙の欠点を防ぐには、プリンターのオプションの機能を使って、印刷後に自動的にステープル止めすることにする。

2. 社内向けのストック・フォームに印刷していた帳票を A4サイズ用紙を横長に使用して印刷させてみたところ、ユーザー部門から、文字が小さくなって見え難くなったというクレームになった。そこで、一部の帳票は、ストック・フォームとサイズが似ている A3サイズのカット紙に移行することにした。

3. 社内向けの帳票は、両面印刷にすることによって、用紙の枚数を半減させることができる。ただし、ステープル止めのスペースを取るために、奇数ページは左余白、偶数ページは右余白を大きめに取るように帳票設計したい。->これは、MapDraw の両面印刷用の設計機能を使って、簡単に実現できました。(参照->連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第5回 縮小して両面印刷する-)

講演では、お客様はその他にも良かった点として、次のことをおしゃっています。
1. 5250 端末でのプリンタ制御が不要になった。つまり、現場は、端末の操作、メッセージの応答、OUTQの操作等を全く意識する必要が無くなり、負担が減った。

2. プリンター資源が統合、用紙在庫のスペースや、書類の保管スペースが削減できた。つまり、A4 サイズ用紙はストック・フォーム(汎用用紙)の半分の大きさで、両面印刷も可能である。

逆に、ご苦労された点としては、次の点を上げられました。
A4サイズに拘ったが故にプログラムの修正が発生した。
1. ストック・フォーム -> B4、A3用紙への移行は、用紙サイズがほぼ同じだったため、楽だった。

2. ストック・フォーム -> A4用紙への移行には、CL プログラム(OVRPRTFコマンド)の修正が必要だった。
具体的には、基幹システムの帳票が 1400本あったため、8人の要員で、その他の業務を行ないながら、3か月掛かった。

そして最後には、次のようにおっしゃって、締めくくっていただきました。
- Mappingは安心して、導入できるソフトウェア

- 舗装された道は、既に出来上がっている。

- あとは、そのルートに乗っかるだけ!
Mappingを使った滝川様の印刷システム