その後、大型のプリンターの営業や企画を担うプリンティング・システム事業部が、箱崎事業内に設立されましたが、1994年には、所謂、中小型のプリンター(主に、AS/400 用のライン・プリンターやドット・プリンター、レーザー・プリンターを指します。)のビジネスも担当するようになり、その担当範囲を拡大しました。
私は、その事業部の社内人材募集に応募して、1995年7月から、中小型プリンターの営業に対する技術サポートを行なうことになりました。
その時の初仕事が、この "5588-H02" プリンターの営業ガイドの作成です。
5588-H02 プリンター |
1995年は、ご存知の方も多いと思いますが、Windows95 が発表され、インターネットが家庭にも普及していく切っ掛けとなった年です。しかし、それも、それ以前の、1990年に "DOS/V" が華々しく発表され、オフィス用の端末が、"J-DOS" を搭載した "PS/55" から、"PC-AT" 互換機に変化したという基礎があってのことだと思います。
併せて、"PS/55" の時代から、"LAN" が普及し始め、IBM 独自のトークン・リング方式か、イーサネット方式のどちらに集約されていくかという話題もありました。(結局、イーサネットに集約され、今やイーサネットという言葉も、使われなくなりました。)
プリンターも "LAN" に直接接続することが求められ、この "5588-H02" では初めてオプションとして、トークン・リング対応と、イーサネット対応、それぞれの "LAN" カードが用意されたことが、大きな特徴です。
この頃は、レーザー・プリンターの製品開発も盛んで、1996年には、次の 4 モデルが発表されています。
1. 5587-K02
"5588-H02" プリンターの後継機として、PAGES に対応、印刷速度は、A4 用紙 16ページ/分。
5587-H02/WIN プリンター |
2. 5586-H02
"5587-K02" の低速モデルとして、 PAGES に対応、印刷速度は、A4 用紙 10ページ/分。
5586-H02 プリンター |
3. 5587-WIN
Windows からの、プリンター・ドライバーを使った印刷専用モデル。
つまり、"5587-K02" と同じ筐体であって、PAGES には非対応として、内蔵フォントも持たない、価格を抑えたモデルです。
今から見れば、Windows 専用プリンターというのは、当たり前のように思えますが、当時はまだ、"J-DOS"、"DOS/V" も混在し、従来機との互換性にも配慮すると、Windows 専用というのは、冒険でありました。
4. 5584-K02
PAGES に対応し、最大用紙サイズを A4 とした小型レーザー・プリンター "5584-G02""5584-H02" の後継機。印刷速度は、A4 用紙 12ページ/分。
5584-K02 プリンター |
A3 サイズまで対応できるプリンターと、A4 サイズまでとした小型プリンターの組み合わせというのが、この頃から今でも続いているレーザー・プリンターのライン・アップの考え方のようです。
実際にオフィスで使用する用紙のサイズは、ほぼ A4 サイズに集約されていて、A3 サイズが必要となるのは、図面や大きめの図表を印刷する場合だけという考え方から、価格やスペース面で有利な A4 サイズ対応の小型プリンターが主流になると予想していたのですが、実際には、A3 サイズまで対応できるプリンターが主流となっていました。この点は、A4 モデルに集約された海外の市場とは大きく異なる日本独自の状況と思います。
ちなみに、"5585-H01" プリンターで対応した B4 サイズは、初めは最大の用紙サイズとして必須でしたが、日本独自の規格であることから、プリンターの製造や輸出を考えると、すぐに最大の用紙サイズが A3 に移行していったのは、自然な流れと考えられます。
そして、1997年には、IBM ワールド・ワイドでも "Network Printer" と銘打って、レーザー・プリンターの新しいライン・アップを発表したのです。
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