さすがに、プリンターの機構部(エンジンと呼びますが)は、日本のメーカーからの OEM 提供になっていますが、コントローラーと呼ばれる制御基盤や、ネットワークに接続するためのオプション・カードは、独自の設計のものでした。
世界共通仕様の製品になりますから、安価な低速モデルと、その上の中速モデルは、A4 サイズまでの対応となっています。A3 サイズに対応するのは、最上位モデルになりますので、速度が最も速く、給紙ユニットや排紙機構のオプションも、豊富に用意されていました。
各モデルの主な仕様は、次のとおりです。
- Network Printer12(4312-001)
印刷速度 : 12 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、11 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Netwrok Printer 12 |
- Network Printer17(4317-001)
印刷速度 : 17 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、16 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A4
解像度 : 600DPI
Network Printer 17 給紙カセット2段と10ビン・メール・ボックス付き |
- Network Printer24(4324-001)
印刷速度 : 24 枚/分(レター・サイズの場合なので、A4 サイズでは、23 枚/分)
最大用紙サイズ : レター、A3
解像度 : 600DPI
Network Printer 24 |
"Network Printer"と名付けたくらいですから、その特徴は様々な接続方式を選択できるところにありました。
1. 通常のLAN(イーサネットもトークン・リングも)接続の他に、メイン・フレームと接続するための "COAX" 接続用のカードや、AS/400 と接続するための "Twinax" 接続カードを選択できました。
2. "COAX" 接続や "Twinax" 接続のために、"SCS" 形式と、"IPDS"(AFP)形式のコマンドをサポートしていました。
3. 通常のLAN接続やパラレル・インターフェイス用には、"PCL"形式と"PostScript"形式、そして"PAGES"形式のコマンドをサポートしていました。
4. 複数のユーザーがネットワークを介して共有する場を想定して、Network Printer17 モデルには"10ビン・メール・ボックス"と呼ぶ、10 段の引き出しになった排紙オプションがありました。この引き出しは、それぞれにパスコードを設定して、プリンターの操作パネルから自分用のパスコードを入力しないと開かないように設定することができました。
5. ネットワークを使って、プリンターがユーザーから離れた場所に設置された場合でも、プリンターの状態を把握できるようにするため、ユーザーの PC にインストールする "Network Printer Manager Utility" という、無償の管理ツールが提供されていました。
また、Network Printer 独自のエピソードとしては、1998年に開催された長野オリンピックで、IBM がスポンサーとなったこともあって、大量の Network Printer 17 が使用されたことが挙げられます。そして、それらは、オリンピック終了後、日本IBM 社内に配布され、オフィス用のプリンターとして使用されたものです。
ただ、COAX接続や、Twinax接続を使ったホスト・システムからの直接印刷は、残念ながら日本語対応されていませんでした。日本語のデータの印刷に対応できたのは、Windows3.1、95、NT4.0 や、OS/2 からの PCL モード用のプリンター・ドライバーと、PAGESを使った印刷でした。
Network Printer 用の PAGES コマンドは、それまでの 558x プリンターのものと次のような違いがあります。
- 対象となるプリンターの解像度が、600DPIであるため、300DPI、600DPI のイメージ・データを扱えること
- n-up 印刷や、排紙トレイの指定等、プリンターの機能に合わせたコマンドが拡張されていること
- APTi 社ではなく、大和研究所のプリンター開発チームによる開発であること
その後、"Network Printer" は、"InfoPrint" にブランド名を変えて、新たにモデルが発表されていきます。
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