始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年2月6日土曜日

LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第1回 -

1999年のiSUC(アイザック、1年に1回行なわれる AS/400 ユーザーの交流・情報交換会)で、"AS/400 印刷ガイド(中小型プリンター編)と称して行なったセッションの資料を読み返してみると、その中に"パフォーマンス・アップするには"というテーマのページがあります。そこでは、ライン・プリンターの"パフォーマンスが遅い現象"として、次の事例を記載しています。
  • <現象> AS/400 から、PC 経由で、罫線の多い帳票を印刷した時のパフォーマンスが、Twinax 接続時に比べて低下した。
  • <条件> PC の OS は、Windows95/98。PC とプリンターはパラレル接続。PDT印刷。
  • <対策> PC とプリンターの接続をパラレル接続から、LAN 接続に変更する。
  • <該当機種> "5400-006"、"5407-011"、"5417-011"
  • [解説] Twinax 接続の時には、罫線は、制御コード(コマンド)としてプリンターに送られてきます。しかし、PC経由の場合、PCOMM プリンター・セッションで、罫線はイメージ・データに変換されるため、データ量が非常に大きくなります。更に、Windows95/98 では、パラレル・インターフェイスでのデータ処理の優先順位は、他の処理に比べて低くなっています。そこで、優先順位が高いLANポート経由のデータ処理に変更することによって、パフォーマンスの向上が期待できます。
1999年iSUCセッション資料
今から見ると、ライン・プリンターの接続方式は、Twinax 接続だったこと、罫線がイメージ・データに変換されてデータ量が大きくなることが、印刷速度に影響すること、PC とプリンターの接続はパラレル・インターフェイスが標準だったこと、(ここには記載されていませんが)Windows95/98 では、LPR 印刷は標準機能ではサポートされていないため、何かLPR 印刷用のツールを導入する必要があったこと等、正に隔世の感があります。

当時、AS/400 側でも、IBM としての方針もあってと思いますが、Twinax 接続は標準ではサポートされず、徐々にオプションとなっていきました。そうなると、ライン・プリンターを中心とした、AS/400 直結型のプリンターも、LAN(実質的には、TCP/IP) 接続する必要性が高くなりました。その場合、Twinax 接続の世界で、ユーザーが永年慣れ親しんで、当たり前となっていた操作性を落とさずにLAN 接続に移行できることが求められます。その結果、ライン・プリンターを初めに採用されたのが、"Telnet5250E"です。
"Telnet5250"は、元々、TCP/IPの機能の一つとして、5250 端末の画面表示用に、IETF(The Internet Engineering Task Force)で決められた規格です。
https://www.ietf.org/rfc/rfc2877.txt 
Twinax 接続は、IBM が独自に決めた規格でしたが、Telnet の規格の決まった時代は、最早、規格を IBM が決めるのではなく、オープンな場で決める時代に変わったと言えるでしょう。
ただ、プリンターにはそのまま適用することはできません。何故なら、Twinax 接続では実現できていた
  • 用紙切れやジャム等のプリンターのエラー状態を OS/400 に通知する。
  • エラー・メッセージが表示された時に、"メッセージ応答"として、ページ範囲を指定して印刷再開する。
  • スプール送信中に、印刷の"保留"や"取り消し"を指定する。
  • もちろん、接続した時には、OS/400 上に装置記述が自動構成される。
といった機能も盛り込む必要があります。そのために拡張されたことを明示するために、プリンター用には、Telnet5250E(Enhancement)と呼んでいます。

ライン・プリンター"5400-006"用のオプション・カードを皮切りに、"5400"シリーズのライン・プリンターの各種モデル、連続用紙用のレーザー・プリンター"Infoprint 250(5300-025)"、小型のドット・プリンターや、PAGES モードを持つ小型レーザー・プリンター用のオプションである"5400エミュレーターII"等、AS/400 から印刷用に使用されるプリンターでは、Telnet5250E 接続となってきたわけです。
次回は、Telnet5250E の特徴や注意点をお話します。

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