始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2018年7月15日日曜日

MapDraw を使った帳票設計のテクニック 第4回 - 透かし文字 - 2 -

DrawF 画面で設計する、オーバーレイよりも下に、データを使った透かし文字を表示するには、MapDraw の"コンポーネント"という機能を使います。大まかな考え方は、次の通りです。
1. DrawF 画面のみ、つまりオーバーレイだけを持つ、コンポーネントを作成し、生成します。
2. DrawF 画面の無い、MapF 画面のみのプロジェクト・ファイルを設計し、その MapF 画面に、透かし文字となる、文字の色をグレーに指定したゾーンを配置します。
3. その画面で、"1." で生成したコンポーネントを指定して、追加します。
4. "サマリー” 画面で、実行順序を次のように設定します。"2." で指定した透かし文字のゾーンが1番。"3." で追加したコンポーネントが2番です。
5. 後の手順は通常どおり、"4." のプロジェクトを生成します。

では、実際の画面で見ていきましょう。
1. MapDraw を起動して、"新規" を選択すると表示されるメニューの中に、"コンポーネント" がありますので、これを指定します。
新規 -> コンポーネントを選択
 2. コンポーネントではありますが、次のような "新規プロジェクト" という、いつもの画面が表示されます。ただし、プロジェクトの作成の場合と異なるのは、フォーマット名とシーケンスに既に値が入力済みで、変更できないことです。
新規プロジェクトの画面
3. "OK" ボタンを押すと表示されるのは、次のようにプロジェクトの作成の画面と変わらないようですが、MapF 画面に切り替えられない点が大きく異なります。
新規コンポーネントの作成画面
4. ここでは、作成済みのプロジェクト・ファイルのオーバーレイをコピーしてきました。DrawF 画面で、キーボードの "Ctrl" キーと、"A" キーを一緒に押すと、全ての要素を一括で指定できますので、それをコピー・ペーストすると簡単です。その後、MapDraw の図形タブ画面にある "コンポーネント" ボタンを押すと、次のような画面が現れます。オーバーレイのみなので、拡張子は "mpw" になります。任意の名前を付けて生成します。
コンポーネントの生成画面
5. 生成中には、プロジェクトの生成の時と同様に、次のような画面が現れます。フォントのチェックは、外しておきます。
コンポーネント生成の設定画面
6. 最後の、次のような生成レポートが表示されます。赤マークが無ければ完了です。
コンポーネントの生成レポート
7. 次に、オーバーレイの無いプロジェクトを用意し、そこに透かし文字用のゾーンを定義します。ここでは、作成済みのプロジェクト・ファイルに対して、オーバーレイを削除して、別のフォーマット名を付けます。
オーバーレイを削除し、フォーマット名を指定した画面
 8. ここでは、スプール・データの中の "見積り番号" を透かし文字とするために、"WM"という名前を付けたゾーンを定義します。ゾーンのプロパティ画面において、フォントのサイズを "48" ポイント、文字の色をグレー、角度を "45" 度に指定します。
文字のサイズを48ポイント、色をグレー、角度を45度に指定した "WM" ゾーン
9. "6" までの手順で作成したコンポーネントと組み合わせるために、"コンポーネントの表示" ボタンを押します。次のような画面が表示されますので、"追加" ボタンを押します。作成済みのコンポーネントを選択して、"開く" ボタンを押します。
コンポーネントを指定する画面
 10. 次のようにコンポーネント欄に指定したコンポーネントのファイル名が表示されますので、"OK" ボタンを押します。
指定したコンポーネントのファイル名が表示された画面
11. "プロパティ" タブ画面のメニューにある "サマリー" をクリックすると、次のような画面が表示されます。このプロジェクト・ファイルでは、"6" までの手順で作成したコンポーネントである "WM" ゾーンは、最後に追加したので、"グループ外のプロジェクト" の中の最下段にあります。そこで、▲マーク 2つのボタンを押して、"WM" ゾーンを最上段に移動させます。なお、"10." までの手順で追加したコンポーネントが、"WM" ゾーンの直下にあることを確認してください。この設定によって、1番目に "WM" ゾーンが実行され、その次にコンポーネントであるオーバーレイが実行されるようになります。つまり、"WM" ゾーンが表示する透かし文字が、オーバーレイの下に配置されることになることを表しています。
サマリー画面を使った実行順序の設定
12. 実際に、プレビューしてみると、次の画面のように、透かし文字がデータの文字はもちろん、オーバーレイである罫線の下に表示されていることが、分かります。
プレビュー画面
13. 後は、通常通り、プロジェクトの生成を行い、MapDraw フォーマットの取り込みを行います。MapDraw フォーマットの取り込み画面では、次のように、プロジェクト・ファイルの分と、コンポーネントの分の 2 つが表示されていますので、両方とも取り込むことを忘れないようにする必要があります。
MapDraw フォーマットの取り込み画面
14. "MAPCPYSPLF" コマンドを使って、次のように、スプール・データ内の見積り番号を透かし文字とする PDF ファイルができました。
スプール・データの見積り番号を透かし文字とした PDF ファイル

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