始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2018年3月18日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第31回 - Mapping Suite の帳票設計方法 - 9 -

前回までの作業によって、"MapF" 側の画面で、スプール・データを A4 横長サイズの中に程よく収める設計ができました。
今回は、コンピューター用紙に良く見られるように、1行毎に横罫線を引く設計を行ないます。
横罫線をデータの有無に関わらず、毎ページ表示するのであれば、固定データとして DrawF 画面で設計していきます。もし、データのある行のみ横罫線を引くといったように、ある条件に応じて罫線を引くとか、罫線の種類を変化させるといった場合には、MapF 側の画面で設計します。

固定データとしての設計は、次のように進めます。
先ず、MapDraw の画面の右下にある "DrawF" をクリックして、"MapF" 画面の編集から、"DrawF" 画面での編集に切り替えます。
横罫線を引く作業の流れは、次のようにするのが、分かりやすいと思います。
1. なるべく 1 行目のデータの下に近い場所に短い横罫線を引きます。
2. プレビュー画面と切り換えながら、横罫線の左端の位置、上下方向の位置を調整します。
3. 横罫線を 132 桁目のデータの右端まで右方向に延長します。
4. MapDraw の複製の機能を使って、横罫線を、正しい行間隔で必要な本数だけ、複製します。
5. 全体のイメージや、100% 表示にした時のプレビュー画面を使って、横罫線の太さや色を調整します。

1. DrawF 画面に切り替えて、正確な位置を確認できるようにするために、左側画面の白紙の左上隅を 100% 拡大表示の状態にします。

2. "図形" タブの画面を指定すると、選択できるボタンの中に "線" がありますので、それをクリックします。

3. 横罫線の起点部分とする場所をクリックしたら、そのままマウスから手を離さずに右へ移動すると、横線が引けます。この時に、キーボードの "Shift" キーを押しながら右へ移動すると、水平線が引けます。次の図のように短い線を引いたら、プレビューして、1行目のデータとの上下の間隔や、1桁目のデータと、罫線左端の位置関係を確認します。
横罫線を引いてプレビューした結果
4. このサンプルでは、罫線の位置をもう少し下へ移動する必要があることが分かります。下へ移動する際に、プレビュー表示したままの方が位置を決めやすいことは明らかです。今から 10 年前に初めて MapDraw の研修を受けた時には、プレビュー状態のままで固定文字や罫線を移動すると、MapDraw がフリーズすると注意されましたが、その後、MapDraw や PC の性能が向上したため、フリーズすることは無くなったようです。それでも、できれば一旦プレビューを解除してから移動することを習慣付けることをお勧めします。
罫線を下に移動するには、上の例のように罫線の左右端に黒四角が表示された、つまり罫線が選択された状態で行ないますが、次の方法があります。
- マウスを下に移動する。この場合、横方向へも動いてしまいます。横方向の調整も行えば、最も簡単な方法です。
- キーボードの下向きカーソルを使用する。ただし、これは1回の移動量が大き過ぎます。
- Y 座標の値に直接入力する。微調整を行なうには、この方法がお勧めです。
Y 座標に 58 を入力した結果
この例では、Y 座標の値に "58(1/10 mm)" を入力して、1 行目のデータとの間隔を調整しています。(解像度の関係で、実際の Y 座標の値は、58.42 になっています。)

5. 次に罫線を右方向に延長するため、キーボードの "Shift" キーを押したまま、罫線の右端の黒四角をマウスで指定して右方向へ移動します。移動中は、黒四角は次のように黒い "+" マークに変わります。適当な位置まで延長したら、プレビューして確認します。横罫線の長さを微調整したい場合には、"W" に値を入力します。この例では、"W" の値は、2805.0(1/10 mm)となりました。また、下に移動した際の移動量が大き過ぎたため、2行目のデータに近づき過ぎてしまったことが分かりました。そこで、この後、Y 座標の値を "55" に修正しています。
横罫線を右に延長した結果

6. この罫線を一定間隔で、下方向に複製します。横罫線が指定された状態で、メニューの中にある "複製" ボタンを押します。複製するのは "垂直方向" に "65" 本です。"水平方向" に複製してはいけませんので、必ず、"水平方向" には "0" を入力します。そして、素直方向に複製する時の間隔は、"MapF" 画面で設計したゾーン "Z11" のプロパティ画面で、行間隔を規定するために指定した "間隔" 欄の "後" の値、"30.48" になります。
垂直方向への複製の指定方法

7. "OK" ボタンを押して実行すると、次のように正しく各行の下に横罫線が引けたことを確認できます。もし、1 行置きに横罫線を引くとしたら、複製の数は "32"、間隔は "(30.48 x 2 =)60.96" になることが、お分かりと思います。
横罫線を複製した結果
 8. 横罫線を複製してプレビューしたところ、罫線をもっと細くしたいとか、点線に変えたい、あるいは色を付けたいということになった場合には、次の手順で変更します。
8-1. キーボードの "Ctrl" キーと、"A" キーを同時に押すと、全部の罫線を一括して選択できます。
8-2. その状態で、"Shift" キーと "F2" を同時に押すと、次のように "ペンの設定" という画面が表示されます。この画面で、太さや線の種類、色を変更します。
罫線の属性の変更画面

このようにして、設計したサンプルのプレビュー画面が次のようになります。線の種類を点線、太さを "2"、空色の色を指定しています。
サンプルのプレビュー画面

最も単純な帳票設計作業でしたが、以上の手順をご覧いただくことによって、先に "MapF" 画面でデータの配置を設計し、その後、"DrawF" 画面で、データに合わせて罫線や固定文字を設計するという順序で進めていくのが効率的であることが、お分かりいただけるかと思います。逆に言うと、先に罫線を引いてからそれに合うようにデータの配置を設計していく方が、大変だと思います。特に、"複製" の機能を上手に使いこなすと、非常に便利と思います。

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