始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年11月5日日曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第13回 - Mapping Suite とは- 3 -

今回は、Mapping の特徴の中でも、ユーザーの方にとって直接関わることは少ないのですが、Mapping V7 を理解する上で重要な、内部のアーキテクチャーをお話します。

アーキテクチャーという言葉は、IT の世界では、基本構造という言葉に置き換えられると思います。
"Mapping Suite" では、V6 から V7.1 にバージョン・アップされる際に、アーキテクチャーが大きく変わりました。V6 までは、PCL 形式の印刷データを生成したり、PDFファイルを生成したりするのは、単にそれぞれ別の処理を行っているだけでしたが、V7.1 からは、XPS 形式のファイルを中間言語として活用するアーキテクチャーに変わりました。
具体的には、様々な形式の入力データを、一旦、XPS 形式のファイルに変換してから、その XPS ファイルを望みの出力データ形式に変換するという処理の流れに変わったということです。
"XPS" という言葉は、あまり耳にされたことの無い方が多いと思いますが、実は、Windows7 以降のバージョンの Windows にはプリンター・ドライバーの一つとして、"Microsoft XPS Document Writer" が標準で組み込まれていますし、XPS ファイルを読み込んで画面表示するための、"XPS ビューアー" も標準で付属しています。例えば、Word や Excel 等、Windows のアプリケーション上で、ドライバーとして "Microsoft XPS Document Writer" を指定して文書を印刷させると、紙に印刷される代わりに、XPS ファイルが生成されます。そして、その XPS ファイルを画面上で見るためのツールとして "XPS ビューアー" があるというわけです。

"XPS" とは、"XML Paper Specification" の略で、Microsoft 社が開発して、WindowsVista から採用し始めたた、電子文書を記述するための XML を活用した公開規格のフォーマットです。Microsoft 社が Adobe社の PDF に対抗するために開発したとも聞いています。
Mapping 社は早くから XPS に着目して、V7.1 のアーキテクチャーに採用しました。それによって、入力データ型式と出力データ型式の選択の幅が大きく広がったのです。Mapping V7.1 のライセンス・パックの種類とオプションとの組み合わせによって、選択可能な入力、出力データ型式の種類は、次の図のとおりです。
Mapping V7.1 による入力データと出力データの組み合わせ
例えば、"基本パック"に、オプションの "E-Document" を付けると、入力データとして扱えるデータの形式は、"TEXT"、"XML"、"SCSスプール"となり、変換後の出力データは、"PCL5,6"、"TEXT"、"XML"、"CSV"、"XPS"、"PDF"、"HTML"になるという見方ができます。
そして、単にデータ変換するだけでなく、ファイル変換を行なうプログラム "map_xps" のパラメーターである"プロファイル"を使って、ファイル変換の際の細かい設定を指定することができます。例えば、出力データの解像度や、カラーかモノクロかの指定、ページのサイズ等です。

特に、PDF 生成においては、2008年に"ISO32000"として規格化された所有者パスワードや利用者パスワードに応じた9種類の操作(印刷や編集等)の可/不可を、プロファイルを使って指定できます。

その他には、 生成された複数の XPS ファイルの分割や、結合、ページの並べ替えができます。元々、Mapping には前処理として、スプールの分割や結合、並べ替えを行なう機能がありますが、"前処理"の他に"後処理"でもできるようになったということです。"後処理"でページの並べ替えや分割を行なえるということは、キーとなる値を後から指定することができるということを意味しています。

"Premium パック"では、イメージ・データの一つとして、"GDI" に変換することができます。"GDI" とは "Graphics Device Interface" の略で、Windows の世界で、印刷の際にプリンター・ドライバーに渡す印刷データのイメージを意味しています。"GDI" を生成して、"MOM(Mapping Output Manager)"上のプリンター・ドライバーに送信すれば、ドライバーで指定されたプリンターから印刷することができます。
Mapping では、PCL モードや、PDF ダイレクト印刷機能を持たないプリンターや複合機に、"Adobe Reader" プリンター・ドライバーを使って自動印刷するために、"Mapping Virtual Printer" というオプション・ライセンスを用意していますが、上記の "GDI" に変換する機能を使うと、その代わりになると言えます。

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