印刷速度も近いことから、"Inforpint40" の後継機とも考えられますが、PAGES モードのマイクロコードの開発部門が異なっていることもあり、558x シリーズの PAGES モードに近いレベルの機能となっています。
両者の PAGES モードの代表的な機能を比較すると、次のようになります。(もちろん、それぞれのハードウェアが持っている機能の違いも、大きく影響しています。)
1. ステープル止め
- SP8200 N50 : 左/右/上に対して、1箇所、2箇所綴じ、左/右においては斜め綴じ指定可能
- Infoprint40 : 1箇所、2箇所綴じ指定可能
2. パンチ穴あけ
- SP8200 N50 : 左/右/上に対して、3箇所指定可能
- Infoprint40 : 対応していない
3. 排紙トレイの自動切換え
- SP8200 N50 : 排紙トレイが一杯になったら印刷を止める。
空いている排紙トレイへは自動切換えしない。
- Infoprint40 : 排紙トレイが一杯になったら、自動的に空いている排紙トレイに排紙を続ける。
Infoprint40 の PAGES モードでは、558x プリンター系の持っていた PAGES コマンドに対して、例えば、"N-Up 印刷"(複数ページを1ページに集約して印刷する、縮小印刷の方式)機能に対応するコマンド等を追加していました。
その結果、プリンター・セッション経由の印刷においては、PDF ファイルの中にそれらのコマンドを追加指定することによって、それまで実現できなかった印刷が可能になっていたのです。
"Infoprint SP8200 N50" では、同じ PAGES 拡張コマンドをサポートしていませんでしたが、同様の印刷を行なえるようにするために、"PJL コマンド" と PAGES コマンドを組み合わせて活用することで対応できます。
"PJL コマンド"は、元々、HP 社が規定したレーザー・プリンター用の制御コードですが、他の様々なプリンター制御コード(PCL, PAGES, LIPS等々)と大きく異なる点は、それらよりも基礎の階層のレベルのもので、多くのプリンター・メーカーが共通でサポートしているという点です。
機能面では、"印刷部数指定"、"両面印刷"、"N-Up印刷"、"縮小印刷"等の指定ができますが、例えば、両面印刷を指定するコマンドは共通でも、長辺綴じか短辺綴じかを指定するパラメーターは、プリンター・メーカー間で、微妙に異なっています。
そこで、自分の使用しているプリンターの、PJL コマンドを知る必要が出てきますが、その方法は、以前、連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第13回 PDFダイレクト印刷における印刷制御- の回でご紹介しています。
PAGES カード使用解説書抜粋 用紙セット方向とステープル位置の関係 |
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ポイントは次のとおりです。
1. "BEGIN MACROS" の中に、PJL コマンド開始を表わすコマンドを "PJS" として定義する。
PJS EQU 1B % - 1 2 3 4 5 X @ P J L 20 0D 0A @ P J L 20 J O B 20 0D 0A
(%、-、1、@ 等は、1バイトの文字として送信される必要があるので、1文字の前後にブランクが入ることにご注目ください。)
2. 同様に PJL コマンド終了を表わすコマンドを "PJE" として定義する。
PJE EQU 1B % - 1 2 3 4 5 X @ P J L 20 0D 0A @ P J L 20 E O J 20 0D 0A @ P J L 20 R E S E T 20 0D 0A 1B % - 1 2 3 4 5 X
3. PAGES モード指定したい PJL コマンドを定義する。ここでは、用紙の左上角をステープル止めするコマンドを "SLV" という名前で定義する。
SLV EQU @ P J L 20 S E T 20 S T A P L E 20 = 20 L E F T T O P 0D 0A
4. プリンターが、データの先頭で PJL コマンドを処理した後、PAGES モードに切り替えるために、PAGES モードへの切り換えコマンド("CDS" と名付けていますが)を送信するのですが、このコマンド自体が、PAGES コマンドであるという、鶏と卵のような関係があるため、PAGES モードへ切り換えるための、PJL コマンドを "PGS" として次のように定義します。
PGS EQU @ P J L 20 E N T E R 20 L A N G U A G E 20 = 20 P A G E S 20 0D 0A
5. 以上で定義されたコマンドを、次の順番で "START_JOB=" と "END_JOB" の後ろに並べます。この順番が重要です。これによって、先ずプリンターに PJL コマンドが送信され、次に、PAGES モードに切り替えてから印刷データが送信されます。最後に、PJL コマンドの終了コマンドが送られることによって、PJL コマンドが、PAGES の印刷データを挟む形となることが重要です。
START_JOB=PJS SLV PGS CDS INZ FNS
........
END_JOB=INZ PJE
なお、ここでは、"START_JOB=" の中の "FNS" があります。これは、排紙トレイを後処理オプションの排紙トレイに指定するための PAGES コマンドの定義です。ステープル止めを指定する以上、後処理オプションの排紙トレイに排紙するのは当然のことですが、コマンドで指定しておく必要があるということです。
FNS EQU 1B 7E 47 00 06 00 00 03 00 00 00
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