しかし、この考え方は、何もプリンターに限った話ではなく、当時は画期的だった OS、"OS/2" であれ、PC 自体であれ、あるいはゲーム機であれ、使えるアプリケーションの種類が多くないと、生き残ることができないという点では、共通のものではないでしょうか ?
IBM のプリンター開発の本部である Boulder(コロラド州) では、ちょうど、メイン・フレームや AS/400 から、直接プリンターにグラフィカルな印刷を行なうための "AFP(Advanced Function Printing -> 後に Presentation)"というアーキテクチャーを実現するための "IPDS" というコマンド体系を定義していました。
そこで、日本でもこれを元に "PAGES" という PC 向けのレーザー・プリンターのコマンド体系を定義しました。
"PAGES" を定義するに当たっては、先行して複数のアプリケーション・ソフトウェアが対応していた "5577" コマンドと互換であることは、当然の前提です。
これは、別の表現で言うと、"5587-G01" プリンターのオプションで対応した "3222" コマンド体系の拡張ということになります。
実際に、"PAGESコマンド解説書"の概要を見てみると、このコマンドは、次のように分類できることが分かります。
(1) 基本制御コマンド
"5577" コマンドと同じか、その拡張コマンド
(2)拡張制御コマンド
"PAGES" で追加されたコマンドで、"ESXコマンド" と "グラフィックス・コマンド" に分かれます。
"PAGES"コマンド体系 |
それらは、その使用目的から自然と、ページ全体に対する制御を行なうコマンドとなります。
1. PAGESモード設定
1B 7E 12 00 01 11
2. メディア座標原点(用紙回転)
1B 7E 50 00 01 00 => 用紙縦長
1B 7E 50 00 01 03 => 用紙横長
3. 用紙トレイ選択
1B 7E 46 00 05 00 00 nn 00 00
nn = 11 => A3 トレイ指定自動選択
nn = 13 => A4 トレイ指定自動選択
nn = 00 => 第 1 給紙カセット指定
nn = 01 => 前面トレイ指定
等々
4. 両面印刷指定
1B 7E 3B 00 04 00 00 nn 01
nn = 00 =>片面印刷指定
nn = 01 => 両面:長辺綴じ
nn = 02 => 両面:短辺綴じ
5. 縮小指定
1B 7E 51 00 01 nn
nn = 03 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> A4
nn = 02 => 連続用紙サイズ(15x11 インチ) -> B4
nn = 01 =.> 縦横 75%
等々
6. 余白設定
1B 7E 53 00 0A 00 X座標オフセット 00 Y座標オフセット 00 00
つまり、これらのコマンド以外のもの、例えば次のようなコマンドは、プリンター側に機能としては持たせたものの、アプリケーション・プログラムから使われることはほとんど無しに、Windows のプリンター・ドライバーを使った印刷の時代に変わってしまったということです。
- フォーム・オーバーレイ
- 32 x 32 ドットの外字のダウンロード
- 内蔵アウトライン・フォントの使用
- ベクトル座標を使った図形の記述
- グラフィックの記述
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