1 つは、ラベル・プリンターや家庭用の FAX で使用される、"熱転写方式"のプリンター用のものです。
このタイプでは、フィルムの上に塗られたインクを、印字ヘッドの素子が熱で溶かし、紙に付着させます。通電され、熱を持った素子 1 つが 1 ドットに相当するわけです。
インクが溶かされて紙に付着した後の部分は、インク・リボン上にはインクは残りませんので、このタイプのインク・リボンは繰り返し使用することはできません。その分、ランニング・コストは高くなりますが、一方で、印刷後のインク・リボンを見ると、印刷した内容を白黒反転状態で確認することができるというメリット(?)があります。
もう 1 種類がインパクト・プリンターで使用される、布にインクを沁みこませたタイプのものです。印字ヘッドのピンで押された部分からインクが滲み出て、紙に付着します。インクの滲み出た後には、毛細管現象によって、周囲にあるインクが徐々に沁みこんでくるため、インク・リボンがプリンター内で 1 周して再び印字ヘッドのピンに押される頃には、既に、元のようにインクが存在する状態となっています。そのため、このタイプのインク・リボンは、繰り返し使うことができるという大きな特徴を持っています。
では、インパクト・プリンターで使用されるインク・リボンが使えなくなる、つまり寿命と判断されるのは、どのような状態になった時でしょうか ?
それには、2 つの要素があります。
1 つ目は、インク・リボンの中のインクをほぼ使いきった時です。毛細管現象で、印字に使用した部分の周囲のインクが沁みこんでくると言っても、何度か繰り返して使用しているうちに、周囲のインクも無くなってきます。つまり、最大限でも、初めにリボンに沁みこませたインクの量までしか使うことはできません。その頃のインク・リボンをプリンターから取り出して見てみると、初めは黒かったものが、灰色になっていますし、印字結果の文字も薄くなっています。
あるいは、プリンターに取り付けたまましばらく使用しないでいると、インクが乾いてきてしまい、インクとして使えなくなるということも起こり得ます。
5400 プリンターのインク・リボン・カセット |
ところで、インク・リボンの寿命はどの位ですか? というお問い合わせをいただくことがありますが、実際には、ユーザーの方が、どの程度の印字の濃さまでを良しと判断するかで変わってきますので、公開されている文字数は、目安でしかありません。
5400 プリンターでは、印刷した行数をカウントしていて、それがある数字になった時に、リボンの交換を促すメッセージを表示するようになっているのですが、その基準となる数字に対しても、50% から 200% まで、10% 刻みで変更できるようになっています。
特に、インク・リボンを使って印刷する 1 枚目にバーコードがあるような帳票の場合には、バーコードの読み取り精度を、リボン交換次期の考慮に入れる必要があります。
更にインク・リボンを納めているカセットに注目すると、カセット自体にも寿命があります。カセットの寿命を決める大きな要素は、リボン送りローラーです。5400 ライン・プリンターの"F10"、"F06"モデルでは、カセット右側に 1 組のリボン送りローラーがあります。プリンターがこのローラーを回転させることによって、インク・リボンが送られています。("F02"モデルでは、カセットは無く、送りローラーはプリンターの一部となっています。)
リボン・カセットのリボン送りローラー |
そこで、5400 プリンターでは、詰め替えリボンを 10 回、交換したらカセットも新しいものに交換するようにガイドされています。