始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年7月2日土曜日

QRコードの印刷方法 - 第1回 プリンターの持っているコマンドを使う -

2015年10月から連載した"バーコードの印刷方法"では、文字通り"バーコード"、つまり、バーを組み合わせた 1 次元コードを対象としたものでした。1 次元コードは、ほとんどが APW で指定できるという大きなメリットがありましたが、2 次元コード、国内で使用されている"QRコード"は、APW では対応されていません。そのため、AS/400上のアプリケーションから、"QRコード"付きの帳票を印刷するには、工夫が必要です。
QRコード印刷サンプル
"QRコード"は、製造業だけに限らず、様々な業種において、様々なアプリケーションに使用されています。最も大きな特徴は、格納できる文字数の多さと、文字に漢字などの2バイト文字にも対応していることと言えます。では、QRコードをプリンターで印刷するには、どうしたら良いでしょうか?

先ず、1 次元バーコードの時と同様に、プリンターの持っているコマンドをプリンターに送信し、プリンター内部で QRコードを作製して印刷する方式が考えられます。それには、どのような点に注意して、どのようにすれば良いでしょうか?
QRコードの"コマンド"と言いましたが、実は、QRコードを印刷するための"SCSコマンド"はありません。それが、APW で対応していないことの大きな理由となっています。逆に言うと、インパクト・プリンターなら、"5577モード"、レーザー・プリンターなら"PAGESモード"の中に、QRコードのコマンドがあるということです。

コマンドそのもののは、1次元コードのコマンドと同様に、
- 1B 7E 40(バーコード印字形式設定)コマンド
  によって、QRコードであること、QRコードの大きさを指定し、次に
- 1B 7E 42(バーコード印字)コマンド
  によって、印刷位置と格納するデータを指定するという構成です。
なお、QRコードの中に格納するデータの文字コードは、英数文字ならUS-ASCII、漢字ならShift-JISになります。
これらのコマンドやデータを、AS/400 上のアプリケーションからプリンターに送信できる接続方法と対応プリンターの組み合わせを整理すると、次のようになります。

1. PCOMM プリンター・セッション経由のPDT印刷
キャラクター・モードを使って、バーコード・コマンドをアプリケーション内に組み込みます。
インパクト・プリンターなら、5577系、レーザー・プリンターなら、PAGES系のプリンターは、キャラクター・モードにも、QRコードのコマンドにも対応していますので、使用可能です。
サンプル・コードをこちら(5577系, PAGES系)で公開していますので、ご参照ください。
しかし、5400系のライン・プリンターは、キャラクター・モードに対応していません。

2. HPT(ホスト印刷変換機能)を使った LAN 直結印刷
プリンター・セッション経由のPDT印刷と同様です。キャラクター・モードを使って、QRコード用のバーコード・コマンドをアプリケーションから発行するようにします。

3. Telnet5250Eを使った LAN 直結印刷
5400系のライン・プリンターでも、5577モードでは、QRコードを印刷するコマンドを持っていますが、5577系と異なり、キャラクター・モードに対応していませんから、同じ方法は使用できません。
しかし、Telnet5250E 接続の機能の中で、透過モードをサポートしていますので、これを使ってコマンドを送信するようにアプリケーションを組めば、通常の接続方法の下で、QRコードを印刷することができます。

ただ、以上のご説明でお分かりのように、プリンターにコマンドを送信してQRコードを印刷させるには、アプリケーションのプログラミングに大きな手間が掛かります。
そこで、次回は、プログラミングの手間の掛からない方法をご紹介します。

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