始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年7月23日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第2回- 日本語ライン・プリンターの歴史-2

  • 5427-001

5327 プリンターの上位機種という位置づけで発表されたのが、5427-001 プリンターです。"001"というモデル名しか無いことから、Twinax 接続のみだったことが、分かります。
<"5427-001"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 500 行/分(通常速モード)
                  640行/分(高速モード、18x24 ドットという高さ2/3の文字になります。)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1992年 - 2002年
- 保守終了 : 2008年3月31日

当時は最上位モデルという位置づけでしたが、現行のライン・プリンターの仕様と比較すると、印刷速度も、想定月間平均印刷枚数も、"中速"プリンター・クラスだったことに、時代の変化を感じさせられます。
  • 5417-001、5417-011

5327-001/011の後継機という位置づけプリンターです。5327 同様に、"001"モデルが"Twinax"接続、"011"モデルが"パラレル・インターフェイス"接続です。
外観が大きく変わり、トップ・カバーは金属ではなく樹脂製に変わって、丸みを帯びたデザインとなっています。ただ、そのため、印刷後の用紙を置くと、滑って落下するという、お客様のご指摘をいただいたことがあります。
また、機能面では、5327 と比較すると、数々の機能拡張が行なわれました。
  1. 高速モードや超高速モードを実現するために、横方向のドットをそれぞれ1/3、2/3間引く方式が取り入れられました。周囲のドットの配置に配慮して適切なドットを間引くロジックの効果によって、文字の品質を然程落とさず、縦24ドットの文字で高速化を実現しています。この方式は、その後の5400シリーズでも採用されています。
  2. 同じ行を2度打ちする"コピー強化モード"により、複写可能枚数は、オリジナル+7枚まで増えました。
  3. "英小文字セット"、"カナ文字セット"と呼ぶ2種類の半角文字のセットを内蔵して選択可能としたことにより、"CCSID5026"と"CCSID5035"という 2種類の、英小文字と半角カナ文字が共存する印刷に対応しました。(文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか? 参照)
  4. バーコード・コマンドに対応しました。バーコードを含む帳票を設計するための"APW(APSU)"も用意されたことで、AS/400 の世界で簡単にバーコード付きの帳票を印刷できるようになりました。(ただし、Twinax接続の場合のみ) 
5417プリンター外観
<"5417-001/011"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 330 行/分(通常速モード)
                  430行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  500行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 8,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 7 枚(コピー強化モード)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(6種類)

- 販売期間 : 1994年 - 1998年
- 保守終了 : 2005?年


超高速  高速 通常速モードのドット構成例
ドットを間引かない、本来の 24x24 ドットの文字を印刷するモードを"通常速"モードと名づけて、操作パネルを始め、マニュアルやカタログに記載しましたが、他社のライン・プリンターでは、1/3ドットを間引く"高速モード"を"通常速モード"と呼ぶようになっています。この呼び方の違いで、誤解を招いた例は少なくなく、未だに続いています。

5327 プリンターの後継機という位置づけだったにも関わらず、想定月間平均印刷枚数が 2/3 となっていたことにより、耐久性の面でトラブルとなってしまったお客様があったことの反省が、後の5400-006モデルに生かされたということは、忘れられません。

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