始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年7月17日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第1回 日本語ライン・プリンターの歴史 -

これからしばらくは、プリンター自体、特に AS/400 からの印刷では標準と言えた、"ライン・プリンター"のお話を続けたいと思います。今回は、日本語ライン・プリンターの歴史です。
  • 5227-001、5227-011

 180dpi(ドット/インチ)の解像度により、24x24ドットの漢字を印刷できる、日本語ライン・プリンターの最初のモデルです。
これ以前に、5224 や 5225 という日本語を印刷できるライン・プリンターがあったということを聞いたことがあります。実物は私も見たことがありません。ただ、解像度が低いため、日本語プリンターの範疇には入れられないと聞きました。5577 シリーズと同じ、180dpi の解像度で、24x24 ドットの漢字が印刷できる、国内製造の印刷機構を持ったライン・プリンターとしては、初めてのモデルであることは、確かです。

<001モデルと011モデルの違い>
"001"モデルは、Twinax インターフェイスを持った、System36/38(発表当時は、まだ AS/400 は出ていません。)接続用のモデルです。"001"モデルの後に発表された"011"モデルは、COAX インターフェイスを持った、メイン・フレームと呼ばれる汎用コンピューター接続用のものです。

<"5227-001"プリンターの主な仕様>

- 印刷速度 : 180 行/分
- 想定月間平均印刷枚数 : 8,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1985年(001モデル)1986(011モデル)年 - 1995/05/31
- 保守終了 : 2000年12月31日
  • 5327-001、5327-011

5227 プリンターを高速化したモデルです。そのため、耐久性も 1.5 倍に向上しています。
また、5327 プリンター用に開発されたインク・リボンやカセットは、5427、5400-L10/F10を除く、その後のライン・プリンターのモデルに共通に使用できるようになっています。
5327プリンター

<001モデルと011モデルの違い>
"001"モデルは、Twinax インターフェイスを持った、AS/400 接続用のモデルです。一方、"011"モデルは、5227 の場合と異なり、インターフェイスはパラレル・インターフェイスとなっています。そのため、制御コマンドも"5577"モードとなっています。
5227-011モデル同様、汎用機からの印刷を想定しているのですが、3270PC(DOS版のホスト・エミュレーター)や、ダム端末と呼ばれていたホスト接続専用端末に接続して、それらを介してホスト・システムと接続する仕組みとなっています。これは、5227-011のように、プリンターが COAX インターフェイスを持つということは、ホスト・エミュレーション端末をプリンターの内部に持つことを意味していて、その結果、多大な開発コストが掛かることになります。5227 の時のそのような苦い経験を生かして、5327-011 では、ホスト・システムとの間に端末を置くこととしたわけです。

<"5327-001"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 330 行/分(通常速モード)
                  430行/分(高速モード、18x24 ドットという高さ2/3の文字になります。)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 4 枚(コピー強化モード無し)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、旧JIS規格
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 不可
- バーコード・コマンド : 非対応
- 販売期間 : 1988年 - 1992/02/24
- 保守終了 : 2002年12月31日

余談ですが、5327が開発された時には、その下位モデルとしては、5577 プリンターを Twinax 接続でSCSコマンド対応とした"5317"プリンターが、上位モデルとしては、連続用紙とカット紙両用のレーザー・プリンター"5337"プリンターが、開発、発表されました。しかし、残念ながら、どちらも期待された程には、実績を残せませんでした。330行/分という印刷速度を持つライン・プリンター"5327-001"が、AS/400プリンティングの世界では、圧倒的に主流を占めたと言っても過言ではない実績を残しました。

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