始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年5月29日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第11回 事前印刷用紙からの移行-

14. "DrawF"画面の設計を、"4. 着店控"、"5. 配達受領票"、"6. 送り状(荷受人様控)"に変更します。その際に、元々の"1. 送り状"の部分は、タイトルを"4. 着店控"に書き換えるだけで済みます。"2. 貨物受取書"の部分は、それを編集するよりも、できたばかりの"4. 着店控"をコピーして、タイトルを"5. 配達受領票"に書き換える方が楽です。このような場合は、次のような手順で行なうと、楽で確実です。申し送れましたが、この方法は、初めのプロジェクトで、"1. 送り状"の罫線や文字を元に、"2. 貨物受取書"、"3. 発店控(入力票)"を作る時も同じです。

14-1 マウスで長方形を書くようにして"4. 着店控"の罫線や文字を一括指定(周囲を8個の黒四角で囲んだ状態)します。

5. 配達受領票を範囲指定したところとY座標の値
14-2 それをコピーしてそのまま貼り付けます。(Ctrl キー を押してから C キーを押し、更に Ctrl キーを押したまま V キーを押す)すると、MapDraw では、コピーした後の貼り付けは、同じ場所に行なわれます。

14-3 画面下のX, Y 座標 は選択している範囲の左上角の座標を表わし、右方向が、X軸の正方向、下方向が、Y軸の正方向になります。そこで、Y 座標の値に、A4 縦の1/3の長さ、即ち、297mm / 3 = 99mm を足した値を入力します。それによって、コピーされた"4. 着店控"の罫線や文字は、"5. 配達受領票"の位置に移動しますので、その後で、タイトルを"5. 配達受領票"に書き換えます。
"6. 送り状(荷受人様控)"の罫線や文字も同様にして、編集します。


15. データの配置を指定する"MapF"画面の設計も、同じ考え方、つまり、複数のゾーンを一括指定
1面を2回コピーして3面のデータの配置を設計した"MapF"画面
して、それをコピー、貼り付けする手順の繰り返しが適用できます。そして、貼り付けた後の位置の調整は、X 座標、Y 座標の値を直接入力することにより、より精密な位置合わせができます。








16. サンプルの"送り状"帳票の場合は、スプールの1ページに対して、シーケンス"00010"
マルチ・プレビュー1ページ目
と"00020"の2つのプロジェクト交互に適用することになります。MapDraw で"OKURIJO_00010.mpp"と、"OKURIJO_00020.mpp"の2つのプロジェクトを開いた状態で、"マルチ・プレビュー"ボタンを押します。そうすると、スプールの1ページに対して、"OKURIJO_00010.mpp"が適用されたプレビュー画面が表示され、スプールの改ページ用の右向きの三角ボタンを押すと、ページは1ページのまま、"OKURIJO_00020.mpp"が適用されたプレビュー画面に切り替わります。
もう1回押すと、2ページとなり、"OKURIJO_00010.mpp"が適用されたプレビュー画面が表示されます。
このようにして、この設計が正しいことが、MapDraw 画面上で確認できます。

17. 以上で、MapDraw での設計が完了しましたので、"OKURIJO_00010.mpp"と、"OKURIJO_00020.mpp"に対して、"プロジェクトを生成する"ボタンを押し、生成、保存します。
新規プロジェクトの関連付け画面
PDF ファイルを生成するには、更に"プロジェクトの関連付け"を行います。"ホーム"ボタン -> "プロジェクトの関連付け" -> "新規"を指定すると、次のような画面が表示されます。ここでは、"OKURIJO_00010.mpp"と、"OKURIJO_00020.mpp"に対して">"ボタンを押して、右側の"関連付けられたプロジェクト"に移動します。
そして、"生成"ボタンを押します。





18. 次の画面が表示されますので、2つのプロジェクトを関連付けるためのファイルとし
関連付けのファイル名の指定画面
て、"OKURIJO.mpa"(拡張子の中の"a"は、関連付け = association という意味です。)と名前を付けて保存します。

保存する際、次に表示される画面で、PDF ファイルを生成するための関連付けを表わすため、生成言語として"PDF"を指定します。"PDF"を指定すると、"モノクロ"か"カラー"かを選択できます。
なお、"フォント"は、プロジェクトの生成時点で転送していますので、ここではチェック・ボックスのチェックは外します。

生成の設定画面
その後、"生成レポート"画面が表示され、赤信号が無ければ、PC 上での操作は終了です。
後は、AS/400 上の Mapping のコマンドを使って、PDF ファイルを生成することになります。

2016年5月22日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第10回 事前印刷用紙からの移行-

10. その後、他のデータの配置も同様の手順で完了したら、"プロジェクトの生成"を行って、設計した結果を、AS/400 の IFS 上にある、Mapping 既定のフォルダー(\mapping\docpc)に保存します。
MapDraw の"ホーム"タブの画面にある"プロジェクトを生成する"アイコンをクリックすると、次のよ
プロジェクトを生成するアイコン
うな画面が現れます。
Mapping での"プロジェクト"は、データの配置の情報を保存する"*.mpi"ファイル、オーバーレイの情報を保存する"*.mpw"ファイル、そしてその両者を合わせる"*.mpp"ファイルという3つのファイルからできています。
初めて"プロジェクトを生成する"時には、デフォルトで、ファイル名は"フォーマット名シーケンス番号.mp*"になります。これは、もちろん任意に変更して構いませんが、これら3つのファイルでは同じにしないとなりません。
プロジェクト・ファイル名の指定
左下の画面では、保存場所が、C ドライブになっていますが、実際には、Z など、IFSに割り振られたネットワーク・ドライブになります。










11. "OK"ボタンを押すと、次の画面が表示されます。ここの"印刷の設定"欄の"言語"とは、
生成の設定画面
AS/400 上でMappingに生成させたいデータの形式を表わしますが、この段階では、デフォルトの"XPS"のままとします。
"OK"ボタンを押すと、その下のような"生成レポート"画面が表示されます。画面上、赤色のマークの"エラー"が表示されなければ、完了です。
生成レポート画面

















12. "1. 送り状"、"2. 貨物受取書"、"3. 発店控(入力票)"を載せた1枚目の設計が完了しましたので、それを使ってもう1枚の"4. 着店控"、"5. 配達受領票"、"6. 送り状(荷受人様控)"を設計します。罫線や固定文字は、ほぼ同一であることから、先ほど生成した1枚目のプロジェクトを使って、2枚目のプロジェクトを作ります。
シーケンスを00020に変更
そこで、"プロジェクトの生成"が完了した画面の状態のまま、MapDraw の"プロパティ"タブの"プロジェクトのプロパティ"アイコンを押します。表示された画面で、"シーケンス"のみを"00020"に変更して"OK"ボタンを押します。
1つのスプールに対して、複数(ここでは2種類)のフォーマットを適用する場合には、
- フォーマット名は共通
- シーケンスのみ、それぞれ別の値とする
ことが重要です。これは、AS/400 上で Mapping が PDF ファイルや、PCL 形式のデータを生成する際のコマンドのパラメーターを指定するために、必要になってくるものだからです。
13. この段階で、一旦、プロジェクトの生成を行なってしまいます。もちろん、2枚目用に設計変更し
ファイル名の変更とプロジェクトの保存
た後で生成しても良いのですが、別ファイル名で保存することを忘れないように、この時点で別名保存してしまいます。手順"10"で行なったように、"プロジェクトを生成する"アイコンをクリックすると次の画面が現れますが、ファイル名は初めに保存したファイル名のままなので、各ファイル名の"00010"を"00020"に変えるようにします。
保存できれば、1枚目の設計を壊すことなく、安心して2枚目用の変更を行えます。

2016年5月15日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第9回 事前印刷用紙からの移行-

3. スプール・データの配置を指定するために、"DrawF"を"MapF"に切り替えます。そうすると、左側のの画面に設計した罫線や文字は、表示される色がグレーに変わり、編集できなくなります。
MapFの画面で受付日のデータ範囲を指定する

4. データの配置も、先ずは"1. 送り状"用に設計し、それをコピーして他の"2. 貨物受取書"や、"3. 発店控(入力票)"を設計することにします。そこで、先ず手始めに"受付日"の欄のデータの配置を設計します。右側画面の受付日のデータ、3行目、7桁目から10桁の範囲を指定します。






5. マウスの左ボタンを押したまま、左側画面の"受付日"の近くにポインターを移動して、左ボタンを
ゾーンのプロパティの画面
放します。そうすると、自動的に、次のような"ゾーンのプロパティ"という画面が表示されます。
"データ位置"欄の"開始行"、"桁"、"長さ"は、先ほど範囲指定したデータの行、左端の桁、指定した桁数を表わしています。
"タイプ"は、何を表示するかを指定します。ここでは、上記のデータを"文字"として表示することを表わしています。
"ゾーン名"は任意の値で、指定したゾーンに付ける名前です。私は、"ゾーン"に対しては、"Z+番号"としています。
6. "OK"ボタンを押すと、次の画面のように、左側の画面に"Z1"というゾーンが配置できたことが分
"Z1"というゾーンが配置された
かります。
この画面のように、ゾーンを選択して8つの黒いマークが表示された状態にすると、左側の画面では、ゾーンは青色の長方形で表示され、右側の画面では、ゾーンの対象となっているデータの範囲が青色で表示されます。
それによって、後でゾーンを編集する際に、そのゾーンはどこのデータ範囲を指定しているか、見つけやすくなっています。





7. "受付日"の場所、文字の種類や大きさを調整するために、このままの状態で"プレビュー"を行
プレビュー画面
います。"プレビュー"するには、"プレビュー"ボタンを押すか、Ctrl キー + W キーを押します。
プレビュー状態の時には、右側の画面のデータは、緑色に変わります。設計が完了した際に、配置しもらしたデータが無いかを確認するのに、便利です。
ここでは、データを強調するために、フォントを"MSゴシック"に、文字間隔を固定ピッチに変更した上で、位置を調整します。



8. その結果のプレビュー画面が次のとおりです。フォントや文字ピッチの指定は、"ゾーンのプロパ
フォント調整後のプレビュー画面
ティ"画面で"フォントとスタイル"タブの画面で行ないます。フォントの種類やサイズの指定だけなら、ツール・バー上でも選択できます。
このプレビュー画面に対応する、フォント指定のための画面は、次のとおりです。
この画面では、
- フォントの種類(MS P Gothic、MS P 明朝以外で、名前が英語で表示されるフォント)
- フォントのサイズ
- 位置揃え(ゾーンとして指定した長方形の中で、右寄せ、左寄せ、中央揃え)
- 回転角度
- 高さ(幅はそのままで、高さのみ50%から
フォントとスタイルの設定画面
200%まで縮小、拡大)
- 固定ピッチの指定 On/Off と、On の場合のピッチの調整(間隔を広げるには、値を大きく、狭めるには、値を小さくします。)
- フォントの色

ただ、残念ながら、太字、下線、斜体といったメニューはあるのですが、無効となっています。




9. 他の文字や数字を表示するためのゾーンは、同様の手順で設計を繰り返しますが、ここで、1箇
バーコード"CODE39"を指定したゾーン
所、データの22行目、38桁目から15桁を、CODE39 のバーコードとして表示するために、次のようなゾーンを定義します。
今までの文字のゾーンと同様に、データの範囲を指定しますが、"タイプ"に"バーコード"を指定します。そうすると、その下の選択肢がバーコードの規格の選択肢となりますので、"CODE39 C/Dなし"を選択します。
"MapDraw" では、CODE39のような1次元バーコードは、フォントの組み合わせで表現します。そのために、"MapDraw"をインストールするPCには、併せて提供されるバーコード用のフォントもインストールします。
CODE39用フォントの設定
1次元バーコード用のフォントのフォント名は、分かりやすいように、先頭に"BC"(バーコードの略)が付いています。

また、バーコードの大きさの調整は、フォント・サイズの変更で行ないます。フォントのサイズによって、全体の横幅が決まりますが、その上で、縦長、横長の調整が必要な場合は、50%から200%までの高さの設定で行ないます。

 以上の設定を行い、位置を調整した結果のプレビュー画面は、次のようになります。
バーコードのプレビュー画面





2016年5月9日月曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第8回 事前印刷用紙からの移行-

今回は、前回使用した運送伝票のサンプルを、帳票ソリューションの一つであるMappingを使ってどのように実現するかをお話します。
MapDrawでスプールを読み込んだ画面
初めの画面は、MapDraw に、スプール・データを読み込んで表示させたところです。画面の右側に表示されています。
繰り返しになりますが、スプール・データとしては、今までどおり、1ページには、1件の宛先と依頼主の情報が載っているだけです。
このスプール・データを使って、A4 サイズの中に3面の帳票を設計していきます。

左側の画面では、オーバーレイと呼ばれる、固定文字や罫線を設計する画面です。最下端の"Draw F"が選択されて、黄色に表示されている状態の時に編集できます。
繰り返し行の多いスプール・データの場合には、オーバーレイの設計よりも、スプール・データの配置(Mapping)の設計を先に行い、罫線は、その表示結果に合わせて後から引く方が効率的です。
しかし、今回のスプール・データでは、繰り返し行がほとんどありませんので、先に罫線等のオーバーレイを設計して、そこに後からスプール・データの配置を行なうという手順で進めます。

1. A4 サイズを3面に仕切るため、A4 の縦の長さ 297mm を元に、上端から、99mm、198mm に横線を引きます。( MapDraw の画面では、左上端が座標の原点になります。)
MapDrawでDraw F側に罫線を引いた画面
罫線を選択した後、下端に表示される Y座標の値に、直接、99mm、198mm を入力すると正確に3分割する罫線を引くことができます。(左のサンプル画面では、単位を1/10mmとしているので、Y 座標の値は、990 になっています。)
1本目の罫線を引いたら、それをコピーし、その Y 座標の値に、1980 と入力すれば、簡単かつ正確に2本目の罫線を引くことができます。


2. 3分割した画面に、それぞれ、"1. 送り状"、"2. 貨物受取書"、"3. 発店控(入力票)"の固定文字や罫線を入力して、オーバーレイの設計を完了します。
Draw F側に罫線や固定文字を追加し、コピー、修正した画面

"1. 送り状"用に引いた罫線や固定文字は、コピーして、"2. 貨物受取書"や、"3. 発店控(入力票)"に使用できます。
"貨物受取書"欄を追加してオーバーレイが完成した画面

手順"1"で引いた、仕切り用の2本の罫線は、不要であれば、設計完了後に削除します。折り線として、点線にすることも可能です。

次回では、"Map F"側の画面に切り替えて、スプール・データの中のデータの配置(Mapping)を行ないます。