始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年3月5日土曜日

LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第5回 -

ライン・プリンターに始まって、ドット・プリンターに広がった"Telnet5250E"ですが、次にはレーザー・プリンターにも対応して欲しいというご要望が出てきました。レーザー・プリンターの場合、次のような印刷の制御にも対応しないとなりません。
- 給紙トレイ(用紙サイズ)の指定
- 用紙方向(縦長/横長)の指定
- 縮小率の指定
- 印刷開始位置(上と左の余白)指定
PAGES モードを持ったレーザー・プリンターの場合は、1つの給紙トレイに対して、これらの値をセットで操作パネル上で初期設定しておけば、印刷の度に給紙トレイを選択することで、希望通りの印刷はできます。
しかし、AS/400 からの印刷では、毎回手動で設定を変更するという方法は現実的ではなく、例えば、"プリンター・セッション経由の印刷 第2回 - PDFファイルの編集 -"の回でお話したように、これらの値のセットに対応した"OUTQ"を選択するという方式の方が望まれます。
そのために、レーザー・プリンターにも対応した"5400エミュレーターII"では、初めに2つのデバイスが登録できるようになりました。
つまり、5400エミュレーターIIが持っている設定用の"Webページ"上で、給紙トレイや用紙方向などの上記の値をプル・ダウン・メニューやラジオ・ボタンを使って指定し、1つの"デバイス"として登録させると、その設定に応じて印刷できる OUTQ が、OS/400 上に自動構成されるという仕組みです。この"デバイス"というセットが、初めは2つでしたがその後3つまで登録できるようになりました。
これは、1台の5400エミュレーターIIにおいて、3つまでの"Telnet5250E"のセッションをOS/400 との間で張っているということを意味しています。
デバイス設定の画面
プリンター・セッション経由の印刷や、HPT機能を使った印刷では、PAGESのコマンドを理解して、ユーザーが自分でPDFやWSCSTを編集する必要がありましたが、5400エミュレーターIIでは、Webページ上で簡単に設定できますので、PAGESのコマンドを理解する必要はありません。5400エミュレーターIIの中で、設定に応じたPAGESコマンドを印刷データに付加してプリンターに送信している訳です。
ただ、少し難しいのは、余白の値の設定方法です。元の PAGES コマンドでは、1/1440インチ単位の値を16進数で指定することになっていますので、この画面でもその値を入力する必要があります。例えば、10mmに設定したい場合には、次のような計算になります。
10 / 25.4 = 0.3937 インチ -> 0.3937 x 1440 = 567 (567/1440インチ) -> 567を16進数に変換 -> 237
10ではなく、237をセットすることで、余白の値は10mmになります。

5400エミュレーターIIがレーザー・プリンター向けに発行するコマンドは、PAGES になりますので、対応するレーザー・プリンターは、PAGES モードを持ち、なおかつパラレル・インターフェイスを持ったモデルになります。InfoPrint1000J シリーズの初代のモデルである InfoPrint13xx シリーズでは良かったのですが、次の世代の InfoPrint17xx シリーズになると、パラレル・インターフェイスの形状がハーフ・ピッチ36ピンと呼ばれる小型のものになりました。その結果、5400エミュレーターIIを取り付けるには、プリンターに付属のハーフ・ピッチ/フル・ピッチ変換アダプターを介することになるのですが、そうすると、5400エミュレーターII自体の重みによって少し垂れ下がったような状態となり、接触不良を起こす場合が出てきたのは、残念なことでした。また、その後は、パラレル・インターフェイス自体が時代遅れとなったのか、PAGES モードを持った高速モデル SP8200 ではパラレル・インターフェイスが無いため、5400エミュレーターIIは使用できないことになったのも、時代の流れとは言え、寂しいものでした。


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