始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年3月13日日曜日

連続用紙への印刷から、カット紙への印刷に移行する -第1回 基本の考え方-

ライン・プリンターやドット・プリンターを使って行なっている連続用紙への印刷を、レーザー・プリンターを使った、A4サイズ等のカット紙への印刷に移行するケースは多くあります。数回に分けて、その考え方や注意点、具体的な方法についてお話ししたいと思います。
カット紙へ移行しようと考える時の動機としては、次のようなメリットが考えられます。
1. ライン・プリンターやドット・プリンターの廃止による維持費の削減
2. 印字品質の向上
3. 印刷速度の向上
これらの内、最も多いのが、コスト削減を目指した"1."になります。特に、既にレーザー・プリンターや複合機を使用している場合には、それらに AS/400 からの印刷も集約することで、設置場所や運用コストの効率化が期待できます。

ただし、その際には、次の点も併せて考慮する必要があります。
1. コスト削減の効果を出すためには、アプリケーションの変更を伴わず、若しくは最小限で実現できること
2. 印刷結果が、それを使用するユーザーからも受け入れられるものであること

連続用紙は、用紙の左右に並んだ送り穴を、プリンターのトラクターのピンが一つ一つずつ引っ掛けて用紙を送りますので、印字位置の精度は非常に高くなっています。そのため、事前印刷された金額欄の罫線に、3桁ずつぴったりと数字を印刷するといった使い方ができます。
その一方、レーザー・プリンターや複合機では、カット紙はゴム・ローラーを使って、摩擦で送られています。そのため、用紙の表面状態が温度や湿度の影響を受けることや、ゴム・ローラー自体の経年変化によって、印字位置の精度については、プラス/マイナス2mm程度は仕様として許容範囲となっています。その結果、カット紙に対して事前印刷して使用するケースは、非常に稀です。
連続用紙の印刷をカット紙化するイメージ

そこで、先ずは、最もカット紙化し易い、事前印刷の無い連続用紙への印刷を、カット紙に移行するケースを対象にお話します。
初めに、前提条件を設けて、コスト・メリットを試算してみます。

<現行の印刷の前提条件>
- 現行のプリンター : 5400-L06 ライン・プリンター
- 印刷枚数 : 4,000枚/月(5400-L06 の想定月間印刷枚数の1/3)
<現行の年間のコスト(用紙代を除く)>
- プリンターの保守契約料金 : 223,200 円/年
- インク・リボン代 : 1.1 円/枚
223,200 + 1.1 x 4,000 x 12 = 276,000 円/年

<移行後の印刷の前提条件>
- カット紙に移行後のプリンター : InfoPrint1756J(印刷速度 : 35ページ/分)
<移行後の年間のコスト(用紙代を除く)>
- プリンターの保守契約料金 :19,440 円/年(サービス・パック5年の価格から算出)
- 消耗品代 : 4.5 円/枚
19,440 + 4.5 x 4,000 x 12 = 235,440 円/年

月間印刷枚数が4,000枚の場合は、移行すると、年間約40,000円 のコスト削減になることが分かります。
計算式を比較すると、1枚当たりの消耗品代は高くなりますが、年間保守契約料金が大幅に下がることでメリットが出ていることが分かると思います。

では、どのようにしたら、移行できるかを次回以降でお話します。

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