始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年6月3日水曜日

プリンターへのデータの流れ - 電気的なインターフェイスについて

今の業務用のプリンターは、ほとんどがLAN(しかもイーサネット)接続となっていますが、それまでPCとの接続は、パラレル・インターフェイスが標準でした。(なお、プリンターの接続方法によっても、文字化けが起きることがあります。)
パラレル・インターフェイスと良く間違えられるのが、「シリアル・インターフェイス」です。
シリアル・インターフェイスは、プリンターではなく、主にモデムや測定器との接続に使用されました。シリアル・インターフェイスの規格として、「RS232C」や「RS422」という言葉を覚えていらっしゃる方もあるか思います。
「シリアル」という言葉には「順番に」という意味がありますが、正にデータを1ビットずつ順番に送信する方式です。「1車線」の道路を自動車が同じ方向に1台ずつ、順番に走って行くイメージです。RS232CやRS422の時代は、ケーブルを長くすることができるが、データ送信は遅いと認識されていましたが、今や、送信のタイミングが非常に速くなったため、HDDとの接続や、皆様お馴染みのUSBもシリアル・インターフェイスの仲間です。
「パラレル」には「並行に」という意味があります。8ビットのデータを並行して送信しますので、シリアル・インターフェイスよりも高速にデータ送信できます。そのため、プリンターの接続に標準的に使用されました。道路で言えば8車線の道路を8台の自動車が並んで走って行くイメージです。ただ、8ビットのデータを並べて送信できるようにタイミングを合わせる必要があること、またケーブルが長くなるとちょうどアンテナのようになってしまって、電気的なノイズを拾ってしまうことから、5577用等のケーブルは「5m」が最長で、これ以上長いケーブルは保証できませんと回答したものです。
パラレル・インターフェイスを使う機器として、PCとプリンターの間に「プリンター切り替え器」や「バーコード・ジェネレーター」というものが、市販されていました。前者は1台のプリンターを複数のPCで共有するためのもので、ダイヤルで切り替える手動式のものや、自動切換えのものがありました。後者は、専用のバーコード用コマンドを文字データとして印刷データに埋め込んでおくと、コマンドに応じたバーコードのイメージを作って、プリンターにバーコードをイメージとして送信するものです。

しかし、パラレル・インターフェイスの規格、初めは「セントロニクス」、その後は「IEEE1284 ECPモード」等は、どれも細かい部分まで厳密なものではなかったため、信号のタイミングやプラス・マイナスの規格がメーカー間で微妙に異なっていました。その結果、純正ケーブル以外のケーブルや、切り替え器を使用すると、「PCとプリンターの電源を入れる順序が決まっている」とか「連続用紙の印刷では途中で余計な改ページが発生する」とか「ゴミのような文字を初めに印刷する」といった不具合が発生しました。
比較的最近に多かったのは、USBパラレル変換ケーブルを使って接続すると、上記のような問題が発生するという報告です。5577や5400の現行モデルでは、LAN接続が標準で可能なのですが、それらの古いモデルや5573プリンターでは、PCとはパラレル・インターフェイスでしか接続できません。WindowsXPの時代はPCにもパラレル・インターフェイスが付属していたので問題にならなかったのですが、WindowsXPの保守が終了し、Windows7のPCへの置き換えが始めると、既存のプリンターと接続するために、USBパラレル変換ケーブルが使われるようになり、その結果、上記のような報告が増えたという訳です。
とは言うものの、Windows7以降でも、プリンター・ドライバーのプロパティの「ポート」に、シリアル・ポート用の「COM1」、パラレル・ポート用の「LPT1」が標準で用意されているのは、少し皮肉な感じがします。

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