その結果、印刷すると文字化けや余計なページ送りといったお問い合わせが増え、その度にPC側のBIOS(バイオス)の設定で、パラレル・インターフェイスのモードを変更して、プリンターとモードを合わせてくださいという回答を繰り返していました。
IEEE1284規格の標準であるECPモードに対応したモデルが出たのは、2005年末の 5577-D02/C02 や 5579-N02 でした。ただこの頃になると、パラレル・インターフェイスでの接続よりも、LAN 接続の方が多くなってきていました。
さて、パラレル・インターフェイス接続であれ、LAN接続であれ、ドット・プリンターを Windows 上のプリンター・セッション経由でAS/400と接続する場合は、AS/400から見れば、あくまでもプリンター・セッションがプリンターになります。その先に接続され たプリンターで発生した用紙ジャムや用紙切れ等のエラー情報は、プリンターから PC までは通知されますが、AS/400までには届きません。
AS/400からの印刷データの流れを見ると、プリンター・セッションまでのデータ送信は非常に高速に行われますが、それと比較してプリンター、特にインパクト・プリンターのデータ処理速度、つまり印刷速度は非常に遅いものです。例えば、漢字を 150字/秒の一定速度で印刷できるとしても、(実際には、印字ヘッドの加速/減速や用紙送りの時間も掛かります。)24 x 24(ビット/1文字) x 150 = 86.4k bps(ビット/秒)にしかなりません。
その結果、プリンター・セッションから見ると、AS/400からはどんどんデータが送られてくるのに、プリンターへは少しずつしかデータを送れないということになります。この処理速度の差を調整しているのが、Windows の「スプーラー」になります。スプーラーは、ちょうどダムのような働きをしているわけです。プリンター・ドライバーのプロパティにおいて、「詳細設定」画面の「印刷ドキュメントをスプールし、プログラムの印刷処理を高速に行う」が、デフォルトで選択されているはずですが、これがその設定です。
プリンター・ドライバーのプロパティの詳細設定 |
プリンターとの双方向通信が実質的にできて、お客様としては便利に使っていたということだと思いますが、私としては驚きました。
結局、その時は、WindowsXP対応のPCに変わることで、PC側の処理速度が高速になったが、プリンターの処理速度は変わらないので、Windows のスプーラーでその速度の差を調整しないと、印刷データが正しくプリンターに届きませんと回答したのですが、その結果、お客様は双方向通信では使えなくなったわけです。
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