「コンバージド・モード」とは、IBM 社内では全く日本独自の製品だった「5550シリーズ」から、ワールド・ワイド標準製品である「PS/2シリーズ」を元に日本語対応した「PS/55シリーズ」に切り替わる際に、両方のシステムの規格が異なるパラレル・インターフェイスどちらにも接続できるようにした、プリンターのインターフェイスの規格です。(「コンバージド」は、converged、即ち「統合した」という意味の単語です。)
コンバージド・インターフェイスと「レベルE機能」という言葉には密接な関係があります。
5550 時代や、その後の Windows のドライバー印刷では、インパクト・プリンターの場合、縦24 ドット(24 ビット = 3バイト)の幅の、横 1 行に相当するイメージ・データが送られてきて、プリンターは各ドットのオン/オフに応じて印刷するだけです。そのため、送信されたデータに問題があって、一部のビットのオン/オフが反転したとしても、そのドット(点)の白黒が逆転するだけですから、印刷結果全体には、大きな影響は与えないと判断されていました。しかし、PS/55時代のJ-DOSと呼ばれていたOSからの印刷では、文字データは、Shift-JIS形式の文字コードで送られるので、データ送信の問題によって、文字コードの一部の値に誤りが発生すると、全く他の文字コードになる、つまり全く違った文字を印刷することになり、これは避けなければならないことと考えられました。
そこで、ECC(Error Checking and Correction)、具体的には、プリンターにはデータを3回送信する、受信したプリンターは、3回のデータの内、少なくとも 2 回のデータが一致していれば、正しいデータと判断して印刷するという方式を組み込みました。これが「レベルE機能」と呼ばれるものです。データ量としては3倍になってしまいますが、印刷結果を保証するために考え出された方式です。
また、コンバージド・インターフェイスの機能を活用して、プリンターとシステム間の双方向通信も行っていました。3477等の、所謂「ダム端末(オンライン端末専用機)」や、PS/55上の5250PC(ホット・キーでDOS画面と5250端末画面を切り替えられました。)とパラレル・インターフェイスで接続したプリンターで、用紙切れや用紙ジャム等のプリンターのエラーが発生すると、それはプリンター側から端末を通じてAS/400まで伝わり、"MSGWT"となってユーザーにエラー通知されたものです。
同様に、初めてプリンターを接続した時には、直結型のプリンターを接続した場合と同様に、端末を通じてでも、デバイス(プリンター)として、AS/400上で「自動構成」されました。
5400エミュレーターを取り付けた様子 |
その後、コンバージド・インターフェイスが復活したのが、「5400エミュレーター」です。5400エミュレーターについては、いずれ詳しくお話しますが、5577系のドット・プリンターをAS/400とTelnet5250EでLAN直結するために作られたオプション製品です。これは、プリンターのパラレル・インターフェイスに取り付けるものですが、AS/400にプリンターの状態を通知するために、「コンバージド・インターフェイス」が活用されました。
これらのことは、AS/400直結型プリンターの場合と同様な、プリンターとAS/400間での双方向通信が実現していたということを表しています。
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