始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年12月23日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第20回 - Mapping Suite の画面 - 2 -

初めのステップは、対象となるスプールを MapDraw 上に表示させるための準備です。
OS/400 上で Mapping を稼動させるためには、次の設定が必要です。
- Mapping のコマンドを実行する 5250 端末の画面の"ホスト・コードページ"は、"939"か"1399"としてください。また、サイズも "27x132" に変更しておくと、後の、Mapping のスプールの処理の画面の横幅が、正しく表示されます。
5250 端末画面の通信 -> 構成の設定画面

- Mapping コマンドを実行するジョブの CCSID は、"5035" です。設定するには、例えば、"CHGJOB CCSID(5035)" コマンドを実行します。
なお、この組み合わせが必要なのは、あくまでも Mapping を実行する環境のみです。CCSID が "65535" であるお客様も多いと思いますが、それを変更する必要はありません。

OS/400 上に Mapping をインストールすると、MAP400 というライブラリーができます。Mapping 独自のものはその中に含まれますので、ライブラリー・リストに "MAP400" を追加します。設定するには、例えば、"ADDLIBLE MAP400" コマンドを実行します。
これによって、Mapping のコマンドを使用するための準備ができました。

Mapping 処理の対象となるスプールに対して帳票設計を行なうために、Windows 上で稼動する MapDraw を使用します。MapDraw 上でスプールを表示させるために、AS/400 上にあるスプールに対して、文字コードを EBCDIC からユニコードに変換する操作を行ないます。そのためには、先ず 5250 端末画面上で、"GO MAPPING" を実行して "Mapping メニュー" 画面を表示させます。
その中の "1. スプール・ファイルの処理"を選択します。次のような画面になりますので、対象のスプール・ファイルが存在するライブラリーや OUTQ を指定します。(ユーザーが分からなければ、"*ALL" を指定します。)
1. スプール・ファイルの処理の画面
この画面の例では、"DEMOLIB" というライブラリーの中の "DEMOOUT" という名前の OUTQ にあるスプールを全て表示させる設定となっています。
実行キーを押すと、次のような画面となります。
スプール・ファイルの処理の実行結果の画面
表示されている情報は、通常の OUTQ の画面と基本的に同じですが、選択項目の 2 行目のメニューが Mapping 独自のものとなっています。
ここでは、対象となるスプール "DEMO1" を使用しますので、"DEMO1" に対して "P"(PC への送信) を指定して実行キーを押します。
次のような画面が表示されます。
PC へのスプール転送を設定する画面
"PC へのスプール転送"というサブ・ウィンドウの中には、対象となるスプールの情報が表示されています。ここでは、次の値を指定します。
- 開始ページと終了ページ <- 帳票設計の際に参照する必要のあるページ範囲になります。ページ数が多くなるほど、MapDraw 上での改ページの反応が遅くなりますので、必要最小限の範囲を指定してください。
- 出力ファイル <- Windows 上で読み取るファイルになりますので、独自の拡張子 (*.pag) が付いています。ただ、中身はテキスト・ファイルと大きくは変わりません。ファイル名は必要に応じて書き換えてください。
- コードページ <- 日本語のスプールの場合は、半角カナ文字と半角英小文字の文字化けを防ぐために、半角カナ文字を使用している場合は "290"、そうでない場合には "1027" を指定します。
実行キーを押すと、次の画面でお分かりのように、IFS 上の "mapping" フォルダーの下に "DEMO1.pag" ファイルが生成されます。つまり、PC ではなく、PC からアクセス可能な IFS 上にファイルが生成されるということです。
生成された "DEMO1.pag" ファイル
以上で、スプールを MapDraw で表示するための準備が、できました。

2017年12月16日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第19回 - Mapping Suite の画面 - 1 -

今回のお話からは、実際の Mapping の画面をご紹介しようと思います。
Mapping は、本来はお客様のシステムの裏方として働くもので、表の画面に出てくることは通常はありません。出てくる機会があるとしたら、帳票の設計変更や追加、Mapping ROBOT(これは、後でご説明します。)の設定変更や追加を行なう場合くらいになります。

先ず初めに、帳票設計を行なうケースを想定して、どのように行なっていくか、画面と一緒にご紹介していきます。
帳票設計を行なう流れは、大まかには次のとおりです。
1. 帳票設計を行なうツールである "MapDraw" は、Windows 上で稼動します。MapDraw上に、対象となるスプールを表示させるために、AS/400 上の Mapping メニューを使ってスプールを PC 上で表示させるための変換を行ないます。
Mapping メイン画面の中のスプールを変換するためのメニュー"1"

2. 既存の帳票に合わせた設計とする場合には、既存の帳票のスキャン・イメージを画像データのオーバーレイとして、MapDraw の画面に貼り付けます。全く新規に設計する必要がある場合には、いきなり MapDraw 上で罫線や固定文字を配置させていっても良いのですが、予め、Excel や PowerPoint 等の罫線や文字を編集しやすいソフトウェア上で設計して、その画面イメージを MapDraw に貼り付けても良いかと思います。

3. MapDraw 上に表示したスプール・データを使って、データを表示させるための配置やフォントのサイズ、種類を指定していきます。MapDraw のプレビューの機能を使って設計した結果を確認していきますが、正確な画面表示は、倍率を 100% とした場合になることにご注意ください。
設計後の MapDraw プレビュー画面

4. 設計を確認できたら、プロジェクトの生成を行います。これによって、AS/400 側の IFS の特定のフォルダーにプロジェクト・ファイルが保存されます。設計で使用したフォントも同時に、IFS の特定のフォルダーに保存されます。AS/400 上の Mapping が PDF ファイルや PCL 形式の印刷データを生成するために、このフォルダーにあるフォント・イメージを使用します。

5. 保存されたプロジェクト・ファイルは、AS/400 上の Mapping メニューを使って、オブジェクトに変換します。
MapDraw プロジェクトをオブジェクトに変換するためのメニュー"2"

以上で準備は完了です。AS/400 上の Mapping のコマンドを使って PDF ファイルを生成して設計に問題が残っていないかを確認します。
問題ないことが確認できたら、新しい帳票が出力できるように、CL や ROBOT の設定に反映します。
次回からは、各ステップを少し詳しくお話しします。

2017年12月9日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第18回 - Mapping Suite とは- 8 -

"Mapping Suite" の導入のために掛かる費用には、他に、導入や研修等の SE によるサービス作業費用があります。
研修を受けていただくのは、通常、お客様の情報システム部の方になりますが、システムの保守や開発を外部の SIer に委託されているような場合には、SIer の方が中心となります。
Mapping を導入するということは、お客様の情報システムの基礎となっている AS/400 上での処理を、従来のものから Mapping を使った処理に変えることを意味しています。そのため、情報システムの開発や保守を担当されている方に、Mapping のことを十分に理解していただく必要があります。また、ユーザーが使用する帳票を追加したり、変更する役目は、通常は情報システム部の方が担っているケースが多いことも、研修を受講していただく理由の一つです。私たちは、そのような業務を実際に担当されている方に受講していただくようにお願いしています。
そして、研修を受講していただくことは、前回お話しした SWMA をご契約いただくことの前提条件でもあります。
ただ、人事異動によって受講された方が別の部門に異動されてしまったり、帳票の修正や新規の設計の機会が少ないため、受講内容を忘れてしまったりするケースがあることは、難しい課題となっています。

導入・研修サービスは、のべ3日間のコースが標準となっています。
先ず、AS/400 へ Mapping のプログラムのインストールを行ないますが、これは私たちが行い、約 2 時間程度の作業となっています。

残りの、2.5 日で研修を行います。
研修内容は 2 つに分かれています。
一つは、MapDraw を使った帳票設計の研修です。お客様に Mapping の処理の対象としたい帳票を選んでいただき、それを設計するにはどうしたら良いかというテーマで、実習を行なっていただきます。受講される方には、PC をご用意いただき、MapDraw をインストールした後、設定するところから始めます。
対象となるスプールを MapDraw の画面に読み込み、帳票イメージを画面に貼り付けて、実際に帳票設計していきます。プレビュー機能を使って、想定どおりの帳票を設計できたことを確認したら、AS/400 上に取り込みます。その後は、Mapping のコマンドを使って、対象スプールのデータが入った帳票の PDF ファイルができることを確認します。MapDraw のプレビューで確認したイメージのとおりの PDF ファイルが生成できると、達成感を感じられます。
Mapping 処理の流れ - PDF生成と印刷
もう一つは、AS/400 上へ Mapping の処理をどのようにしたら組み込めるかという研修です。アプリケーションから生成されたスプールに対して、Mapping の処理を行い、最終的に必要なアウトプットを得るまで、自動的に処理が進むように組み込む必要があります。
例えば、PDF ファイルを生成して、ファイル・サーバーに保存するようにする場合、細かい話ですが、ファイル名の命名規則をどうするか、ファイル保存先のフォルダーはどのような規則に基づいて振り分けるかという点にまで、配慮しておく必要があるかと思います。研修では、Mapping のコマンドや ROBOT を使って、どのようにしたら実現できるかをガイドします。お客様の要件の全てを Mapping の機能でカバーできない場合には、お客様のご要望に応じて、そのギャップを埋めるためのサンプル・プログラムをご提供する場合もありました。
ともあれ、私たちは、お客様が Mapping を導入して良かったと思っていただけるように、また、Mapping をできるだけ活用していただけるようにサポートを行なっています。

また、これは、別オプションですが、帳票設計を有償で受託することも行なっています。MapDraw を使って設計する帳票の数が多いが、サービス・インまでの時間に間に合わないとか、お客様内の人員が足りないといった場合に、設計作業を私たちに委託される場合があります。手前味噌ですが、私たちは帳票設計に慣れていますので、初心者であるお客様が設計されるよりも、短時間で高品質のものを設計する自負があります。

2017年12月2日土曜日

AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第17回 - Mapping Suite とは- 7 -

通常のソフトウェアと同様に、"Mapping Suite"にはライセンス契約の他に、SWMA(SoftWare Maintenance Agreement) と呼んでいる、所謂、保守契約があります。
SWMA は、ライセンス契約と一緒に契約することで、初年度は無償になります。2年目からは、基本的にライセンス料金の 20% が掛かります。
なお、無償の初年度の期間は固定です。つまり、初めのライセンス契約の後に、オプション・ライセンスを追加したり、処理数のグレード・アップを行なった場合に、それらに応じた無償保証期間が改めて発生することは、ありません。

5年間に必要な費用と処理数の関係の例
SWMA による保守の内容は、お客様のお問い合わせに対する対応と、修正プログラムの無償提供です。
前者のためには、問い合わせ専用のメール・アドレスが設けてありますが、Mapping の導入や研修の中で、お客様と直接のコミュニケーションができますので、実際には、その延長のような形で、電話やメールで直接お問い合わせをいただいたり、回答したりしています。

後者の修正プログラムが必要になるようなケースは、今までほとんど無いと言って良いほどですが、それでも、細かいレベルでのバージョン・アップは次のような方式で続いています。
つまり、2008年に発表した時のバージョン6において修正が必要になった場合には、現行のバージョン7に対して修正を行なって、お客様にご提供しています。ただし、その修正を適用しても、プログラムの機能としては、バージョン6のレベルのままということになります。もし、その機会にバージョン7の機能を使用できるようにするには、差額料金をお願いすることになりますが、その金額には予め決まったルールは無く、個別の見積りになっています。
ちなみに、バージョン7の追加機能については、AS/400 プリンティングに求められるソリューション 第13回 - Mapping Suite とは- 3 - でお話ししていますが、一般的なケースとしては、次の2点に絞られるかと思います。
1. セキュリティ設定した PDF ファイルの生成
2. PDF ファイル生成のための帳票設計において、太字、斜体、下線の設定が有効になる

SWMA のお話に戻りますが、SWMAは、お客様から 1ヶ月以上前の通知があれば解約することは可能です。解約されても、もちろん Mapping 自体を使用し続けることは可能ですが、お問い合わせをいただいても回答することはできなくなります。また、解約後に改めて契約するには、契約の空白期間の料金と、割増料金を併せた金額が追加で必要になりますので、契約は継続していただくよう、お願いしています。