始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年9月22日木曜日

ライン・プリンターの全て - 第10回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-2

プリンターがネットワークに接続できたら、同じネットワークに繋がっている PC でブラウザーを起動します。(ブラウザーの種類は何でも構いません。)

1. 起動したら、アドレス欄に、5400 プリンターに設定した IPアドレスを入力して、読み込みを行ないます。次の画面が表示されますが、この画面は、5400 プリンターが持っている、所謂ホームページで、操作パネルの液晶ディスプレイに表示されているメッセージや、各種のランプの点灯状態を表わしています。(ここでは、接続先の AS/400 の設定前であるため、"ホストシステム ト セツゾクサレテイマセン"というメッセージが表示されていることが分かります。)
そのため、プリンターの設置場所に行かなくても、PC から、操作パネルの状態を確認したり、設定を変更することができます。しかし、ホームページですから、次のような限界はあります。

5400 Web ページ

  • 画面のスイッチを押すことはできません。つまり、遠隔操作は行なえません。
  • 最新の状態を表示させるには、PC のキーボードの F5 キーを押すなどして、再読み込みを行なう必要があります。
2. 左サイドのメニューの中の"アクセス・モード"の"管理者"をクリックすると、管理者としてアクセスするための、ユーザー ID とパスワードの入力を求められます。それらの工場出荷値は、プリンターのマニュアルに記載されています。入力すると、"アクセス・モード"は"ユーザー"に変わり、初期設定の変更を行うことができるようになります。(表示と権限が逆のように見えますので、ご注意ください。)
ユーザーIDとパスワードの入力画面
3. 左サイドのメニューの中の"プリンター設定"をクリックすると、その子供のメニューが表示されますので、その中の"-Telnet5250"をクリックします。
プリンター設定->Telnet5250を選択
4. 表示される"Telnet5250設定"の画面の上半分では、操作パネルではスイッチを使って設定する設定の内、SCS コマンドの処理に関するメニューと同じものが、表示されます。
SCS 設定メニュー









 5. 同じ画面の下半分に、これから設定を行なう"Telnet5250"設定のメニューが表示されます。注意点は次のとおりです。
  • 接続先の AS/400 は 2 台登録できます。しかし、実際に使用するには、どちらか 1 台を選択します。
  • 接続先の AS/400 を登録するには、ホスト名か IPアドレスで指定します。ホスト名で指定するには、DNS(ドメイン・ネーム・サーバー)の IPアドレスも併せて登録します。
  • "デバイス名"には、AS/400 上に自動構成される印刷装置の装置記述名(そのまま OUTQ 名になります)を指定します。
  • 他の設定値は、そのままとし、変更しないでください。
設定値を入力したら、画面下にある"送信"ボタンを押します。

Telnet5250 設定メニュー
6. "送信"ボタンを押すと、"プリンター・リセット"画面が表示されます。"プリンターを再起動する"が選択された状態のまま、"送信"ボタンを押すと、その PC から、設定情報がプリンターに送信されて書き込まれ、それを有効にするために、プリンターを再起動します。
プリンター・リセット画面





7. 再起動すると、IPアドレスやホスト名で指定した AS/400 に接続に行き、設定したデバイス名の装置記述ができます。その結果、プリンターの操作パネルの液晶ディスプレイには、"ホストシステム ト セツゾクサレテイマセン"ではなく、"インサツチュウダン"が表示されるはずです。
操作パネルの"印刷"スイッチを押せば、いつでも印刷可能です。




2016年9月11日日曜日

ライン・プリンターの全て - 第9回- 日本語ライン・プリンターの初期設定-1

新しく購入したライン・プリンターを使える状態にするのは、次の手順で行ないます。
先ず、運送用に貼られた各部の固定テープを剥がした後、インク・リボンや用紙をセットし、電源ケーブルを取り付けます。
この時、高速モデルの"5400-F10"の場合は、電源に注意が必要です。電源スイッチを入れると、プリンターは自己診断テストを行いますが、それに合わせて、操作パネルの液晶表示部に表示される数字が、カウント・アップされていきます。しかし、途中で"マシンチェック"というエラー・メッセージが表示されたら、電源に原因がある可能性が非常に高いと思ってください。
5400_L10の電源条件(マニュアル抜粋)
"5400-F10"や"5400-L10"は、ライン・プリンターの全て - 第7回- 日本語ライン・プリンターの歴史-7 でお話したように、高速で印刷するために、印字ヘッドを 2 組持っています。電源は、通常の 100V 電源で、電源プラグもアース付きの 3 ピンのもので良く、他のモデルと同じなのですが、電流は 15A ぎりぎりまで使用することがあります。そのため、電源が蛸足配線になっていて、他の電気機器と共有していると、電圧が低下して正しく稼動できなくなるというわけです。
同じ原因で、初めの起動は完了しても、印刷中に不可解な現象が現れることもあります。

その次に、プリンターの初期設定を行ないます。
自己診断テストが完了すると、しばらくして液晶表示部に"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージが表示されます。これは、プリンターのIPアドレス等、AS/400 と接続するために必要な設定が行なわれていないことと、LAN ケーブルが接続されていないことが原因です。
そこで、LAN ケーブルの接続は後回しにして、先に必要な初期設定を開始します。AS/400 とTelnet5250E で接続するために最低限必要な設定は、次のとおりです。
  • プリンター自身のIPアドレス
  • デフォルト・ゲートウェイ・アドレス
  • サブネット・マスク
  • 接続先の AS/400 の IPアドレス
  • デバイス名(AS/400 上のプリンターの装置記述名、OUTQ 名にもなります。)
操作パネルのスイッチと液晶表示部のメッセージ例
これらの値を全て操作パネルのスイッチを使って設定するようにマニュアルに書かれていますが、もう少し簡単な方法があります。
それは、次の方法です。上の 3 点の値を設定したら、LAN ケーブルを接続します。そして、同じネットワークに繋がっている PC のブラウザーからプリンターの Web ページにアクセスして、PC から設定します。
具体的には、次の手順でネットワーク接続用の設定を操作パネルで行ないます。
  1. 初期設定スイッチを押します。->液晶表示部に"初期設定 初期設定キーでスタート"というメッセージが表示されます。(実際の表示はカタカナです。)
  2. "TCP/IP 入力キーでスタート"というメッセージが表示されるまで、初期設定スイッチを繰り返し押し、表示されたら入力スイッチを押します。(間違えて行き過ぎた場合には、"改行"スイッチを押すと、前のメニューに戻ります。)
  3. 通常、プリンターのIPアドレスは固定アドレスと思いますので、"IPアドレス 入力キーで設定"というメッセージが表示されるまで、初期設定キーを繰り返し押します。表示されたら、入力キーを押します。
  4. 工場出荷値の IPアドレス"192.168.1.4"が液晶表示部の 1 行目に表示されます。そこで、微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押して、2行目に"CLEAR"か、"BACKSPACE"を表示させます。前者を指定して入力スイッチを押すと、1 行目の IPアドレスはクリアされてブランクになります。後者は入力スイッチを押す度に、右から1 桁ずつ値が消えます。
  5. 微調↑スイッチか微調↓スイッチを繰り返し押していくと、"1"から"0"までの数字と、ピリオド"."が順番に表示されますので、必要な値が表示されたら入力スイッチを押して、値を確定します。数字を 3 桁確定すると、自動的にピリオド"."が表示されますので、入力スイッチを押すだけで済みます。
  6. 最後の桁の数字まで確定できたら、"RETURN"を選択して入力スイッチを押すと、"IPアドレス 入力キーで設定"というメニューに戻ります。そこで、初期設定スイッチを押して、次のメニュー"サブネット・マスク 入力キーで設定"というメニューを表示させます。
  7. 入力スイッチを押して、後は、4 から 6 の手順を行ないます。その次のメニューは、"デフォルト ゲートウェイ 入力キーで設定"ですから、これも同じ手順で設定します。
  8. 以上の 3 点が設定されればプリンターは、LAN に接続できますので、最後に印刷取消スイッチを押します。これによって設定値がプリンター内部の不揮発性のメモリーに書き込まれ、プリンターは自動的に再起動状態になります。
再起動後もまだ、"ホスト・システムと接続されていません"というメッセージは表示されますが、同じ LAN に接続された PC からはアクセス可能になりますので、この後は、PC を使って初期設定を続けます。次回は、PC からプリンターの Webページにアクセスして初期設定を行なう方法をお話します。

2016年9月3日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第8回- 日本語ライン・プリンターの歴史-8

"5400-L06"が発表されてから 3 年後の 2006 年に、その後継機であり、2016 年の現在も販売中の"5400-F06"が発表されました。中速機のシリーズでは久し振りに筐体が変わりました。特に、上面に平らな部分ができたので、5327 以来、久し振りに、印刷後の用紙を置くことができるようになりました。
"5400-F06"は、それまでの、"5400-006"、"5400-S06"、"5400-L06"と比較して、次の点が異なります。
  1. カバーが全て金属製となったためか、印刷中の音が、明らかに小さくなりました。
  2. 印刷後の用紙を取り出すための扉が、左側の他に右側にも付きました。そのため、左右どちらの部屋の隅にも置くことができます。
  3. Twinax 接続のオプションが無くなりました。
  4. Telnet5250E と LPR の自動切換えモードを選択できるようになりました。これによって、AS/400 からの印刷と、Windows PC からの LAN 経由の印刷が混在する時に、プリンターの初期設定を変更して再起動を待つ必要が無くなりました。
  5. 印刷速度が、10% 以上、速くなりました。
  6. 印刷速度を落とさずに、印刷用のピンの押す力(印字圧)を強めるモードが、コピー強化モードに加わりました。用紙の厚さに対応して、印字圧調整レバーが、"1" よりも大きな値にセットされると、自動的にこのコピー強化モードとなり、操作パネルの"コピー強化"ランプが点灯します。
逆に、用紙表面の汚れを防ぐ"リボンつなぎ目スキップ機能"に対応したインク・リボンやインク・リボン・カートリッジは、従来と共通となっています。
5400-F06 外観

<"5400-F06"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 410 行/分(通常速モード)
                  570 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  680 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 12,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- インターフェイス(標準) : LAN、パラレル
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択(5577モード)
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2006 年 -

2007 年は、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンになった年ですが、その 2 年後、2009 年に、"5400-L02"は"5400-F02"に、"5400-L10"は"5400-F10"にモデル・チェンジしています。大きな変更はありませんが、LAN カードの機能の共通化を生かして
  • "5400-F02"、"5400-F10"共通に、Telnet5250E と LPR の自動切換えに対応しました。
  • "5400-F10"では、"5400-L10"では間に合わなかった"プリンターWebページ"が、追加されました。
それぞれのモデルが、2016 年現在、現行モデルとして販売中です。

これで、2016 年現在まで戻ってきましたので、次回からは、ライン・プリンターの使い方をお話ししたいと思います。