1文字をデザインするだけでも多額の費用が発生することをお話しましたが、それへの対策の一つが「平成書体」と聞いています。つまり、IBMも含めたコンピューター・メーカーが独自にフォントの開発を行うのを止め、共通のフォントを開発することで費用負担を減らすという狙いで「平成フォント協議会」(当時、流行っていたテレビ番組名をもじってそのように呼んでいましたが、正式な名前かどうかは分かりません。)を結成したと聞いた覚えがあります。
IBM書体と平成書体の違い-1 |
IBM書体と平成書体の違い-2 |
平成書体は、Windowsのフォントに標準として採用されたことから、印刷結果の「互換性」を考えるとどちらの書体を使って印刷するかという判断が迫られることになります。つまり、Windows以前の時代からの印刷結果との互換性を重視するのであれば、「IBM書体」を選択することになりますし、PC画面の文字との互換性を重視するのであれば、「平成書体」を選択することになります。
【余談】
Windows以前のIBM 5550シリーズやPS/55では、画面の文字は、プリンターの内蔵フォントと同様に、コンピューター本体の中にあるディスプレイ用のカードに搭載されたメモリー内の内蔵フォントを使って表示されていました。その方式を大きく変えたのが、DOS/Vです。DOS/Vでは「ソフト・フォント」と言って、DOS/V自体がデータとしてフォント・イメージを持っていて、画面にそれを表示させていました。それ以来、Windowsでもフォントはソフト・フォントを使用するようになっています。
プリンターの内蔵フォントは、前々回ご紹介したような 24 x 24 個の升目を埋めるようにして設計されていて、このようなフォントを「ラスター・フォント」と呼びます。一方、Windowsで使用しているフォントは、大きさをポイント数で指定して自由に変えられるようになっていますが、このようなフォントを「アウトライン・フォント」と呼びます。画面の文字がラスター・フォントからアウトライン・フォントに変わっていった背景には、CPUの処理能力の急速な発達があります。アウトライン・フォントはCPUが計算して、ポイント数に合わせた大きさの文字の形を計算して表示しているのです。
因みに、「1 ポイント」は文字の高さを表し、「1/72インチ」(1インチ = 25.4mm)を意味しています。
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