始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年6月11日日曜日

IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第14回- "PAGES"-8

2003年は、WindowsXP がリリースされた年です。この年、IBM は、小型レーザー・プリンターのシリーズとして、"Infoprint 1000 シリーズ"を発表しました。
Infoprint 1332
MFPオプション付き Infoprint 1352
これらの製品は、Lexmark 社製品から OEM 提供を受けたものと思われます。社内開発を断念し OEM 製品による製品シリーズの拡充に切り替えたと考えられ、個人的には残念だったことを覚えています。
国内向け製品も同じ方針に合わせて、日本版という意味で、"Infoprint 1000J シリーズ"と銘打って、A3 サイズ対応で、印刷速度の異なる 3 モデルを、同じ年に発表しています。
この時から、それまでの 4 桁のマシン・タイプと 3 桁のモデル名の他に、各モデルに対応する "Infoprint 1316J" とか "Infoprint 1356J"といった名前が付くようになりました。その結果、この 3 モデルの概要は、次のようになります。

モデル名 型式         印刷速度  最大用紙サイズ
1356J     5596-3M6  32 枚/分  A3
1336J     5596-3M4  28 枚/分  A3
1316J     5596-3M2  22 枚/分  A3

標準モデルでは、PAGES に対応していません。標準で対応しているのは、"RPCS" モードとあることから、リコー社からの OEM 製品であることが分かります。
付属のプリンター管理ツールにも、"Infoprint Navigator" とか "Infoprint Administrator" というように、"Infoprint" の名前が付けられています。
標準では、リコー社独自のプリンター制御言語 "RPDL" にも対応していますが、Windows からの印刷では、"RPCS" モードがお勧めとなっています。"RPCS" モードは、主にイメージ・データとして印刷データを生成し、解像度も 1,200DPI と高くなっている点では、"5589-L36" の時の専用モードと類似の位置づけ、考え方の印刷データ形式と言えると思います。
Infoprint13X6J 標準とフル・オプション付き

では、PAGES はどうなったのでしょうか ? PAGES モードは、遅れてオプションとして発表され、PAGES オプション付きのキッティング・モデルとしてのみ、提供されることになりました。
キッティング・モデルには、発注用に "M" の代わりに "P"が付いた型式(例えば、5596-3P6)が付けられましたが、このことにより、次のような制約が発生しました。

- 標準モデルを購入後、PAGES オプションが必要になっても後付けができない。
- 購入した製品に、PAGES オプションが付いているかは、プリンターの構成情報を印刷しないと分からない。つまり、"5596-3M6" というプリンターに、PAGES オプションが"キッティング"されているので、プリンターに貼られているシールには、"5596-3M6" としか記載されていないということです。

その結果、特約店やお客様では混乱が発生したことがあることは、否めません。

また、標準モデルでは、オプションも含めると、次のようなに多くの種類の印刷データ形式に対応していて、受信した印刷データを自動認識することもできました。
- RPCS
- RPDL
- PostScript3
- ESC/P
- PR201H
しかし、PAGES に対しては少し冷たく、自動認識できないことがありました。そのため、Windows からの "RPCS" モードを使った印刷と、PCOMM プリンター・セッションからの "PAGES" モードでの PDT 印刷が、1 台のプリンターに対して混在する場合、問題が発生することが、少なくありませんでした。その対策に関しては、次回、お話します。
 

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