5400エミュレーターII は、前々回の IBM 小型レーザー・プリンターの今まで -第14回- "PAGES"-8 でご紹介した "Infoprint 13x6J" シリーズ 3モデルを発表した後の、2006年10月に発表されました。
5400エミュレーターII 外観 |
5400エミュレーターIIについては、既に LAN 直結で双方向通信する印刷方式"Telnet5250E" - 第5回 - でご紹介していますので、ここでは簡単な概要のみお話ししたいと思います。
初代 5400 エミュレーターは、 5400 シリーズ・ライン・プリンターと同様に、5577 系のドット・プリンターをTelnet5250E を使って、AS/400 と直接 LAN 接続して使用したいというお客様のご要望に基づいて製品化されたものです。その後、ドット・プリンターでできるのなら、PAGES のレーザー・プリンターでも、Telnet5250E 接続にできるはずというお客様の声に押されて、初期設定によって、レーザー・プリンターも選択できるようになった 5400 エミュレーターII ができました。
技術的な要素の他には営業政策的な意味もあったと思いますが、初代 5400エミュレーターからの移行(改造)はできず、5400エミュレーターII は、別製品として発表されました。
5400エミュレーターII の開発に当たって、一つの山は、プリンターと接続するパラレル・インターフェイスの規格が、ドット・プリンターとレーザー・プリンターでは異なる点にありました。
5400エミュレーターでは、ドット・プリンターに AS/400 からの印刷データを送信するだけでなく、逆に、プリンターから、印刷中とか、用紙切れや用紙ジャムといったエラー状態、といった情報を把握して AS/400 に送信するために、パラレル・インターフェイスの規格の中でも、コンバージド・モードという、正にこの目的にぴったりのインターフェイスの規格を使用していました。(ちょうど、ドット・プリンターをダム端末、即ち、端末専用機に接続する場合と同じです。)
ところが、当時のレーザー・プリンターには既にコンバージド・モードはありません。そのため、5400エミュレーターII では、パラレル・インターフェイスとして標準の IEEE1284 規格に合わせたインターフェイスで分かる範囲で、プリンターの状態を把握することになりました。
その結果、5400エミュレーターII の初期設定を行なう Web ページの画面では、初めにドット・プリンターに接続するのか、レーザー・プリンターに接続するのかを選択するようになっていました。それによって、インターフェイスの規格が変わり、内部で処理するマイクロコードが全く異なってくるからです。
5400エミュレーターII の機能 |
お客様のご要望に合わせて機能を拡張し、対応機種を増やしてきた 5400エミュレーターII ですが、いくつかの制約はありました。
- "Infoprint13x6J" の後継シリーズである "Infoprint17x6J"シリーズでは、パラレル・インターフェイスがハーフ・ピッチ・サイズで小型であったため、5400エミュレーターII を取り付けるためには、付属の変換アダプターが必要でした。その結果、取り付けると 5400エミュレーターII 自体の重さで下に傾いてしまい、接続が不安定になるという現象が発生しました。
- 更にその後に発表された "InfoPrint SP 8200 モデルN50" は、50ページ/分という PAGES モードを持ったレーザー・プリンターでは最高速のモデルでしたが、パラレル・インターフェイスが無かったため、5400エミュレーターII を使用できませんでした。
- レーザー・プリンターは受信バッファーのメモリー・サイズが大きいため、プリンター側では印刷データをたくさん溜められます。受信済みの印刷データを印刷するのは、プリンターの責任という考え方でできていますので、プリンターの電源を切られない限り、用紙ジャムや用紙切れ等のエラーが発生しても、印刷完了するまでは、メモリーから印刷データが消されることはありません。その結果、5400エミュレーターII 経由の印刷では、ページ数が少ないスプールの場合、印刷データは、一瞬でプリンター側に溜められますので、5250 端末の OUTQ の画面での、スプールの取り消しや保留が効かないということが発生します。また、取り消しできたとしても、想定以上の多くのページ数を印刷した後になってしまうということになります。この点は、受信バッファーの小さいドット・プリンターと異なる点で、如何ともしがたい点です。
- 5400エミュレーターII の価格が、レーザー・プリンター本体並みと揶揄されるくらいになってしまいました。これは開発費用の影響もありますが、一方ではレーザー・プリンターの低価格化がかなり進んだという面もあるかと思います。(初代の 5587-G01 の価格や速度と、Infoprint1000J シリーズのそれを比較すると 20年という歳月を考えさせられます。)