"電子写真"という言葉どおり、電子を使う"写真"ですから、初期の複写機では、写真と同じように光の当たった場所は白く、光の当たらない場所は黒くなりました。
具体的には、原稿に光を当てて、その反射光を感光ドラムに当てます。
そうすると、原稿の中でも光が吸収される黒い部分(文字)は、感光ドラムに光が届きません。
逆に、光が反射する、原稿の白い部分は反射した光が感光ドラムに当たります。
感光ドラムは、予め、帯電といって、表面に均等に電子が並んでいる状態にあります。
光の当たった部分は導体となるので、電子が流れて無くなります。
光の当たらなかった電子が残っている部分にトナーが付着して、それを紙に転写します。
最後はトナーを熱と圧力で紙に定着させます。
この現像方法は、写真と同じように光の当たった部分が白くなるので、"正規現像"と呼びます。
全面に、黒にトナーが付着した紙に対して、欲しいイメージの部分だけを残すように、光がトナーを掃いて白くしていくイメージを思い描いていただければ、良いと思います。
一方、その逆に、光が当たって箇所にトナーを付ける現像方法もあり、これを"反転現像"と呼びます。白い紙に、光が欲しいイメージを黒く描いていくイメージを思い描いていただければ良いと思います。今のレーザー・プリンターはこちらの方式になっています。
前回お話した、180DPI のレーザー・プリンター"5569-R01"は、正規現像を使ったレーザー・プリンターでした。
トナーの掃き残しを防ぐために、レーザー光は、次の図のように多少重なった状態になるように、感光体の上に、白くすべきパターンを描いていきます。
当時、レーザー・プリンターの解像度の主流は、240DPI か 300DPI なのですが、これらの解像度のドットの大きさに比べて、180DPI のドットの大きさは大きくなりますから、どうしてもドットの間隔は大きめになります。
しかも、ドットがくっきりと表現されるため、ドット間の隙間が目立つ文字となってしまったことを、よく覚えています。
正規現像のドット・パターン |
逆に反転現像であれば、レーザー光の重なった部分が、黒になりますので、隙間が目立つことはありません。
そのため、レーザー・プリンターでは反転現像が採用されているのだと思います。
同様に、インパクト・プリンターであれば、インクの滲みもあって、ドットの間は目立ちにくくなっています。
反転現像のドット・パターン |
前回もお話しましたが、元は外字の印刷に配慮して、別の言い方で言えば、24 ドット・プリンターとの互換性を守るために、この解像度を選択したわけですが、実際に、メイン・フレームのデータを 3270PC 経由で印刷することを考えると、外字の印刷を求められることは無いと言い切って良いと思います。そう考えると、解像度は 240DPI や300DPI とする選択もあり得たのではないかと、今になって思います。
AS/400 の世界では、外字を使用することは前提条件として配慮することは必須ですが、メイン・フレームの世界は、その点が異なっているようです。
その後、"5550"シリーズも、"PS/2" を日本語化した"PS/55"シリーズに変化していくのに合わせて、レーザー・プリンターも製品ライン・アップの一つとして正式に開発することになりました。
開発のリーダーには、US のボルダーからレーザー・プリンター開発経験者を招聘し、その下に私も加わりました。ところが、思わぬ事情から、製品発表まで予想外の時間が掛かることになってしまったのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿