始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2017年1月3日火曜日

ライン・プリンターの全て - 第23回 - 日本語ライン・プリンターを賢く使う-9

3. インク・リボン・ジャム
印刷中に、インク・リボンが正しく送られない状態が発生すると、操作パネルの液晶表示部に、"リボン ジャム リボンを直してください"というメッセージが表示されて、印刷が止まります。

インク・リボンのジャムで最も多い現象は、用紙厚設定レバーの値が小さ過ぎるため、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎて、インク・リボンが圧迫された状態、つまり、インク・リボンの走行にブレーキが掛かった状態となってしまっているケースです。
プリンターの印刷中は、プリンターがリボン送りローラーを回転させて、操作員から見て左から右へ一定の速度で、インク・リボンを送っています。しかし、印字ヘッドと用紙の間隔が狭すぎると、プリンターがどんなにリボン送りローラーを回転させても、インク・リボンを送ることができなくなってしまいます。
エラーとして検知されれば、操作員はすぐに気が付きますが、検知されないで印刷を続けていると、インク・リボンの同じ箇所を印字ヘッドが叩き続けることになります。その結果、印字がすぐに薄くなったり、極端な場合はインク・リボンが破れたりすることに、後で気が付くということも起き得ます。繰り返しになりますが、用紙厚設定レバーの設定には、くれぐれも細心の注意を払ってください。
5400-F10/L10のインク・リボン・カートリッジ

他の原因としては、同じインク・リボン・カートリッジに対して、詰め替えリボンの交換を10回以上繰り返しているケースがあります。
ライン・プリンターは印刷量が多いため、印刷用紙から大量の紙粉が発生して、プリンターの中や周囲を舞っています。
これは余談ですが、"5400-L10"を 10 台以上並べて印刷業務を行なっているお客様先で、私が作業していた時に、使用していたノート PC の画面に紙粉が積もってきたことに気づいたことがあります。その時は、それだけの紙粉を自分自身も吸い込んでいることに気づき、愕然としたことを覚えています。
この紙粉は、インク・リボンの表面にも付着し、それがリボン送りローラーの表面にも移って付着していきます。それと、リボン送りローラーの材質であるゴムの劣化の両方が原因となって、同じリボン送りローラーを使い続ける、即ちインク・リボン・カートリッジを使い続けると、リボン送りローラーの表面でインク・リボンがスリップし、正しく送れなくなるという現象が発生します。
そのため、経験的には、詰め替えリボンの交換は、1 つのインク・リボン・カートリッジに対して、10 回までとすることが、お勧めです。

稀に、カートリッジの中で、インク・リボンが倒れたような状態となり、それが原因となってカートリッジの中でインク・リボンが正しく折りたたまれずにジャムとなるという現象があります。
インク・リボン・カートリッジの蓋を開けて、リボン送りローラーを手で回してみると分かりますが、インク・リボンはカートリッジの内側で、自動的にきれいに折りたたまれていくものです。
それが何らかの阻害要因があると、きれいに折りたたまれなくなり、その結果、リボン送りに支障が出ることがあります。
5400-F06/L06のインク・リボン・カートリッジ
そうなったら、そのリボンの使用は諦めて、新しい詰め替えリボンに交換することになります。しかし、カートリッジ内部に収納されるべきインク・リボンを、カートリッジの外に出した状態で、カートリッジをプリンターにセットして印刷することで、最終的にカートリッジ内部にインク・リボンが正しく畳まれた状態を作るという荒業を聞いたことがあります。

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