始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2016年8月20日土曜日

ライン・プリンターの全て - 第6回- 日本語ライン・プリンターの歴史-6

AS/400用ライン・プリンターの標準機として、"5400-006"が1998年に発表され、更に、2年後の2000年には、LAN 接続用のオプションも発表されて、当時の IBM ライン・プリンターは磐石の地位を築いたように思えましたが、やはり世の中に"競合"は常にあるものです。互換機メーカーから同じクラスのライン・プリンターが発表され、そのモデルでは、プリンターの左側面に、印刷済みの用紙を取り出せる扉が付いていました。
保守も含めて必要な設置スペース
ライン・プリンターでは、一度に大量のページを印刷することが多くあります。印刷が終了すると、通常は、操作パネルで、印刷中断状態にしてから"改ページ"ボタンを押して、印刷した最終のページの下側のミシン目で用紙を破れるように紙送りします。

印刷済みの用紙は、プリンター内部の後ろ側に落としますので、それを回収するには、後ろの扉を開けないとなりません。それは、プリンターの後ろ側には予め、扉を開けるためのスペースを空けておかないとならないことを意味します。マニュアルにも左のような図で説明してあるのですが、実際にはそのような空きスペースの余裕が無いお客様が多く、プリンターの後ろは壁に付けて設置したいというご要望は、古くからありました。



 その点で、プリンターの左側面や右側面に扉があれば、背面を壁に付けて設置しても、横から印刷済みの用紙を取り出すことができます。
左側の扉を開けた様子
 そこで、急遽、2002年に、左側に扉を付けた"5400-S06"という、"5400-006"の派生モデルを発表しました。
この"5400-S06"では、3種類のインターフェイス、パラレル、Twinax、LAN を標準装備していたのも大きな特徴です。


2002年は、ライン・プリンターの当たり年で、新製品が、他に 2 種類発表されています。
低速モデルの"5407-001/011"の後継製品である、"5400-L02"と、高速モデルの"5427-001"の後継製品である、"5400-L10"です。
先に発表された"5400-L10"は、後にバージョン・アップも行われて、"5400-L02"、"5400-L06"、"5400-L10"は、共通となる仕様を多く持つようになりました。その共通の仕様とは、次の 8 点です。
  1. LAN とパラレル・インターフェイスが標準("L10"モデルは、Twinax 接続も標準)
  2. Telnet5250E で必要な、外字の保存可能な文字数は、4,370 文字(5400-S06は、4,370文字、5400-006 の LAN オプションでは1,152 文字)
  3. JIS第3、JIS第4標準の文字を内蔵し、CCSID1399(バージョン1)に対応
  4. 内蔵フォントの書体は、IBM 明朝体のセットの他に、平成明朝体のセットも選択可能
  5. Web ページにより、操作パネルの液晶表示を PC 上で表示、初期設定を PC から変更可能(← 訂正 : L10モデルでは、後継のF10モデルから実装)
  6. バーコード・コマンドによるバーコードを印刷する行のみ、ドットを間引かない通常速モードで印刷することによって、高速モード、超高速モードでも読み取り精度の低下なくバーコード印刷が可能
  7. バーコードの種類は、元々ある6種類の他、郵便番号、CODE128、QRコード(5577モードのみ)
  8. SCS コマンド以外に、文字データのようにして、バーコードや文字拡大を指定可能な、テキスト・コマンドの採用(バーコードの印刷方法 - 第2回 コマンドを使う、もう一別の方法 -を併せてお読みください。)
5400-L02外観
<"5400-L02"プリンターの主な仕様>
- 印刷速度 : 150 行/分(通常速モード)
                  205 行/分(高速モード、横方向1/3ドット間引き)
                  225 行/分(超高速モード、横方向2/3ドット間引き)
- 想定月間平均印刷枚数 : 6,000枚(15x11 インチ・サイズ用紙)
- 複写枚数 : オリジナル + 8 枚(コピー強化モード、厚さ 0.5mm まで)
- 対応コマンド : SCSコマンド、テキスト・コマンド(Telnet5250E、Twinax)
                      5577コマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)、
                      ESC/Pコマンド (LPR、パラレル・インターフェイス)
- 内蔵日本語フォント : IBM 明朝体、平成明朝体、新旧JIS規格選択
- 英小文字と半角カナの共存印刷 : 可
- バーコード・コマンド : 対応(8 種類、SCS、テキスト・コマンド、5577 モード)
- 販売期間 : 2002年 - 2009年

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