始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年8月14日金曜日

HPT機能を使った印刷 - LAN直結印刷の基本 -

5577 や PAGES モードを持った PC 用のプリンターに印刷させる方法には、前回までお話したプリンター・セッション経由の印刷の他に、OS/400 の HPT(Host Print Transform, ホスト印刷変換)機能を使った方法があります。これは、プリンター・セッションで行なう文字コード変換(5577 系の場合は、EBCDIC -> S-JIS)と、制御コード変換(5577 系の場合は、SCS -> 5577形式)を、OS/400自体が行なうものです。そのため、かつてOS/400のバージョンが、V3R7 や V4 の頃には、HPT機能を使用して印刷させようとすると、他の業務系のアプリケーションの実行速度に影響が出るため、実使用に耐えないといったケースもありました。しかし今では、AS/400 自体の処理能力が大幅に向上した結果、最早そのような事例を聞くこともありません。そうなると、プリンター・セッション経由の印刷と比較して、PC の電源が入っていないと印刷できないといった制約が無い点で、この印刷方法を採用されるユーザーも多いようです。ここで、先ず HPT機能を使った印刷の特徴や注意点を整理すると次のようになります。
  • リモートOUTQを使う方式と、デバイス・タイプに"3812"を指定して装置記述を作り、そのOUTQを使う方式の2種類があります。
  • プリンター・セッション経由の印刷と違って、どちらの方式でも自動構成ではありませんから、リモートOUTQや装置記述は手動で作る必要がありますし、ライターも初めは手動で起動する必要があります。
  • 前者の方式の原理は"LPR印刷"になりますので、エラーも含めたプリンターの状態は、OS/400 側に送信されず、単にスプールを印刷データに変換して、プリンターに送信するだけになります。
  • その際、設定によっては印刷部数の指定は可能ですが、ページ範囲の指定はできません。(IBM のサイトにあるツールを導入すると可能になるようですが、IBM による保証が無いことと、ツール自体が古いものなので、OS/400 の最近のバージョンでも使用可能かは、私もテストしたことが無い点にご注意ください。)
  • 後者の方式では、現在の多くのプリンターの LAN カードが持っている SNMP(Simple Network Management Protocol) というプロトコルを使って、OS/400 はプリンターの状態を把握します。その結果、プリンターの電源Off、用紙切れ、用紙ジャムといったエラー状態が OS/400 上にメッセージとして表示されます。ただし、"メッセージ応答"としての、ページ範囲を指定した再印刷はできません。これは、スプールがプリンターの制御コマンドを使った印刷データに変換されると、OS/400 はページの境目を認識できなくなるからです。つまり、ページ範囲を指定した再印刷が可能なのは、SCS形式のスプール・データを(変換せずに)直結されたプリンターで印刷する場合だけということを意味しています。
  • スプール・データの中の文字に外字があった場合、プリンター・セッション経由の印刷では、その PC に保管されている Windows外字のイメージをプリンターに送信して印刷します。しかし、HPT 機能を使った印刷では、OS/400 上の外字イメージを使用します。"OS/400 上の外字イメージ"とは、OS/400上で稼働する"CGU(Character Generation Utility)"という外字作成ツールを使って、外字用の文字コードに対して登録する、24x24ドットと、32x32ドットのドット・パターンです。24x24ドットのパターンは、5577 系のプリンターに印刷する場合、32x32ドットのパターンは PAGES モードのプリンターに印刷する場合に使用します。外字を使用するお客様の場合は、必ず24x24ドットのパターンは作成しますが、32x32ドットのパターンまでは作成していない場合がほとんどです。32x32ドット・パターンは、初めから作ることももちろんできますが、24x24ドット・パターンを元に変換するメニューが、"CGU"に用意されていますので、これを使っていったん作成し、その後、ドットの構成を修正して、より品質の良い外字のドット・パターンにすることができます。
次回以降で、OUTQを設定する具体的な方法をご説明していきます。

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