始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年3月22日日曜日

文字コードの話 - 文字化けはなぜ起きるか?

基礎を掘り下げて考えて行くと、大きなテーマの一つとして「文字コード」に行きつきます。
AS/400に限らず、どんなコンピューターの世界では、情報を正しく伝えるという基礎中の基礎と言える目的を実現するために、様々な仕組みが考え出されました。
その中でも、文字コードは大きな要素となっていますので、これを正しく理解しておく必要があると思います。
IBMのAS/400や大型のメインフレームでは、文字コードは、EBCDIC(エビシディック)と呼ばれる文字コード体系で決まっています。一方で、Windowsの世界では、文字コードはShift-JIS(シフトジス)や、Unicode(ユニコード)で、文字コードが決まっています。
この両者の違いが、文字化けの原因と言ってもよいのではないでしょうか?
そもそもコンピューターの世界は、英数文字だけで始まったわけで、そのため文字コードもSBCS(Single Byte Character Set)だけでした。しかもアルファベットも大文字だけでした。
そこへ、少しでも日本語を表現するために、カタカナだったら文字数が限られていてSBCSの範囲に収まると考えられて、空いている文字コードにカタカナが当てはめられました。
しかし、同時にその文字コードにアルファベットの小文字も当てはめられたのが、混乱の原因になってしまったと言えます。
これでは、カタカナとアルファベットの小文字は、共存できないということになります。
下の左側の表は、小文字を追加しただけの13219というIDの古い文字セット(ただし、漢字やひらがなのためのDBCS(Double Byte Character Set)も含んでいます)です。例えば"A"の文字コードは"C1"、"9"のコードは"F9"と読みます。
右側の表は、左の表の空いている文字コードに、カタカナを当てはめた"5035"という文字セットです。これによって半角カタカナと小文字は共存できるようになります。
そして、元々小文字を持ったセットに対してカタカナを追加したので「英小文字拡張」という呼び方をします。これの逆(カタカナが先で、後から空いた場所に小文字を追加した文字セットを「カナ拡張」と呼び、IDは"5026"になります。)
次回へ続く
英語小文字を追加したCCSID13219
空いた場所に半角カタカナを追加したCCSID5035

2015年3月16日月曜日

AS/400からの印刷 ~基礎編-8~

「投資対効果」の内、「投資」は、帳票ソリューションのライセンス料金や、その保守費用が該当します。また、併せてレーザー・プリンターや複合機を新規に購入する場合には、それらの費用も含まれます。
一方、「効果」には何が考えられるでしょうか?
  • プリンターの維持費。保守料金を比較すると、インパクト方式のプリンターよりもレーザー・プリンターや複合機の方が一般的に安価です。逆に、トナー代は、インク・リボン代よりも通常は高価です。
  • 用紙の費用。事前印刷のある複写伝票よりも、A4サイズの普通紙の方が圧倒的に安価です。また、前者は在庫を切らすことがないように発注の管理が重要ですから、そのための人件費やスペース代は普通紙の場合よりも費用が掛かっているはずです。
  • その他、請求書等のPDF化によって、郵送からメール送信やFAX送信に切り替えれば、印刷代、封入の手間、郵送費を削減できます。また、副次的な効果として、人出作業が無くなることによって、封入のミスや送り間違い等の人為的なミスを無くすことが可能になります。
  • また、バインダーに綴じて保管していた伝票の写しを、PDF化によって電子保存するように変更すれば、スペースの削減だけでなく、後の検索の手間が大幅に削減できます。
カット紙化を考える際に、課題になるのが、カラー対応です。複写伝票の事前印刷(罫線や固定文字)は、色付きで印刷されていて、しかも伝票の種類で色が決まっているケースが多いようです。その伝票がカット紙化される場合に、罫線や固定文字も「黒」で印刷されると、それまでよりも伝票が見辛くなったという、現場のユーザーからのクレームの元になりかねません。
一方、カット紙の印刷では、コスト面だけではなく、プリンターの印字位置の精度の仕様からも、カット紙に「事前印刷する」というのは、現実的ではありません。
かと言って、白紙にカラー印刷する時のトナー代を考えると、二の足を踏まれる方も多いと思います。そこで、中間的な解決策としては、次の方法が考えられると思います。
  • 色付きの用紙にモノクロ印刷する。->カット紙自体に、元の伝票の印刷と似た色の用紙を使用します。この場合、何種類かの用紙を1台のプリンターで印刷するには、用紙トレイと用紙の色の関係を、管理する必要が出てきます。
  • 罫線のみ、角印のみカラー印刷する。->カラーの面積が少なければ、トナー代の上昇分も少ないと考えれば、如何でしょうか?
どのような方法を採るにしても、基本は、運用を変更して印刷量を減らすことが、効果の最大化に繋がるのは、間違いないと言えます。

2015年3月1日日曜日

AS/400からの印刷 ~基礎編-7~

いわゆる「帳票ソリューション」を使った出力は、2000年ころを境に増えてきた方法と思います。その主な特徴は、以下のようになります。
  1. プリンターに対する制約が、ほとんど無い。Windowsドライバーを持つプリンターなら印刷可能です。
  2. 印刷だけではなく、PDF化が可能となるため、メール送信、FAX送信、電子保管など多くの出力方式が使えるようになります。
  3. 帳票設計の機能によって、帳票の表現力が圧倒的に向上します。例えば、文字や罫線の配置も、行や桁の制限が無くなり、自由になります。また、カラー出力は、これ以外には不可能と言って良いでしょう。
帳票ソリューションは、大きく分けると、Windowsサーバー上で稼働するタイプと、AS/400上で稼働するタイプの2種類に分かれます。
前者は、AS/400上のスプールをWindowsサーバーに受信する -> 設計しておいた帳票フォーマットと重ね合わせる -> Winodwsドライバーを使って印刷する、若しくはPDF生成するという処理の流れになります。このタイプは製品の種類が多いのですが、AS/400のユーザーの多くはWindowsサーバーを立てることを好まない方が多いように思います。
一方、後者は、帳票設計はWindowsの上で行いますが、それを使った印刷やPDF化は、AS/400上で実行します。当ブログの右サイドのリンク先にあるMapping Suiteは、このタイプです。
それぞれのタイプの得失は、次のように考えられます。
  • 単にサーバーを別に立てるかどうか以外に、後者は、ユーザーが持っているRPGやCLのスキルを活用できます。
  • PDF生成等の処理に、前者はWindowsサーバーのCPUを使用しますが、後者はAS/400のCPUを使用します。負荷の分散という観点から考えると、前者が有利と言えます。
また、AS/400と直結プリンターの印刷や、プリンター・セッション経由の印刷と比べると、PDFにしてもWindowsドライバーを使った印刷にしても、データ・サイズは大きくなります。そのため、これらのタイプの出力に切り替える時には、ある程度、ネットワーク容量に配慮する必要はあると思います。
帳票ソリューションの導入には、費用が掛かりますので、次回では、その投資対効果の考え方についてお話しします。