始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年11月22日日曜日

バーコードの印刷方法 - 第2回 コマンドを使う、もう一別の方法 -

前回お話した"APW"のバーコード・パラメーターを使う方法は、対応できるプリンターの種類や接続方法の条件がありました。また、毎ページ同じ場所のデータを、毎ページ同じ場所に印刷するには良いのですが、それらがページ毎に変化する場合には、対応できません。
そこで、プログラミングが必要となる、手間の掛かる方法ですが、それらの制限を緩和できる方法を、今回はお話します。

1. "5400プリンター拡張コマンド(テキスト・コマンド)"を使用する
このコマンドの仕様は、下記のサイトで公開されています。
http://www.ricoh.co.jp/pps/download/manual/lineimpact/pages_command.html
考え方としては、通常のデータでは無いような3文字("!#%"か"!@&")の後に、「バーコード印刷」「バーコード設定」のコマンドを「文字データ」として、印刷データの中に組み込むと、プリンターがそれらを、文字ではなくコマンドと解釈してバーコードのイメージを生成して印刷するというものです。
インパクト・プリンターでのバーコード印刷サンプル
特徴は、次のとおりです。
- コマンドの構造が簡単であること
- コマンドを文字として入力しますので、スプールを表示した時に、そのまま文字として表示されることにより、後で確認し易いこと
- バーコードの他に、文字拡大、OCR-B フォント指定も指定できること

一方、注意点は
- 使用可能なプリンターは、5400 シリーズのライン・プリンター(モデル006、S06を除く)と、5400エミュレーターIIを使ってTelnet5250E接続した 5577 系とPAGES対応のプリンターになること

- 5400 プリンターや 5400 エミュレーターII の初期設定で、先頭の3文字を設定すること
- コマンドを記述した場所の影響で2行に跨ってしまうと、コマンドの中に「CR+LF」(復帰+改行)が含まれてしまうことになりますので、避けた方が良いこと(次の2つの方法にも共通)
- コマンドと言っても、印刷されない文字データという扱いですから、1ページの中の印刷する文字の無いところに配置すること(次の2つの方法にも共通)
- 特にバーコードを印刷するためのコマンドは、その後、改行することで実行されますから、最後に必ずLF(改行)を送信すること(次の2つの方法にも共通)

です。

2. "//LA// コマンド"を使用する
5557シリーズと、5577-H05/G05 プリンター単体の場合は、5557拡張制御コマンド"//n// コマンド"を使用できます。
バーコード用のコマンドは、下記のサイトで公開されています。
http://www.ricoh.co.jp/pps/download/pdf/5577g05h05_command_enlargement.pdf
http://www.ricoh.co.jp/pps/download/pdf/5577g05h05_command_notes.pdf
コマンドの考え方や使い方は、「1」のコマンドのものとさほど変わりません。
注意点も
- 使用可能なプリンターは、5557 シリーズと、5577 シリーズでも"H05""G05"モデルののドット・プリンターになること
- プリンターの初期設定で「プリンター・タイプ」を「5557モード」に変更すること
- コマンドの中に、何バイトのコマンドかを示す「カウント」を指定しますが、コマンド全体が2行に跨ることは避けること
です。

3. "キャラクター・モード"を使用する
"キャラクター・モード"は、IBM ブランド時代から、ドット・プリンターでも、PAGES モードのレーザー・プリンターでもサポートしてきた機能なので、上記の2つの方法よりも使用可能なプリンターの種類は多くなります。プリンターが解釈できるコマンドを、文字データとしてプリンターに送信するという基本的な考え方は同じで、異なる点は
- 先頭に付加する文字列は、”&$%$"か、"$?!#"の4文字であること
- プリンターが、コマンドやデータとして解釈する部分はその後に続く何バイトかを、4文字の後に2バイトの16進数で追加します。(2文字が1バイトです。この4文字は数に含めません。)
対応機種や実際のコーディングのサンプルは、下記のサイトで公開されています。
http://www.ricoh.co.jp/pps/support/techinfo/character_mode_jp.html
注意点は
- プリンターの初期設定で、先頭の4文字を設定する必要があること
- ライン・プリンターの5400シリーズでは、"5577モード"で使用する場合であっても、キャラクター・モードはサポートしていないこと
(従って、QRコード用のコマンドは、"5577モード"で持っていますが、下で述べる"透過モード"を使わないと、AS/400 からは送信できないということになります。)
他は、上の2つの方法と同様です。


以上の3つの方法は、文字データとして、PC 用のプリンターのコマンドをAS/400から送信し、プリンターの機能としてコマンドとして解釈し、処理する方法です。
そのため、プリンターのモデルによる制約がありますが、もう一つ別の方法として、16進コードで、PC 用のプリンターのコマンドを送信する"透過モード"という方法があります。
こちらの方が、PCOMM のプリンター・セッションの機能として、印刷データの中に16進コードで含まれたプリンター用のコマンドを、プリンターに対してコマンドとして送信する方式なので、プリンターのモデルやメーカーの制約は少なくなります。
しかし、16進で記述することになりますので、文字データして記述するよりも、ハードルは高くなると思います。
この方法に関しても、下記のサイトで詳しい情報を公開しています。
http://www.ricoh.co.jp/pps/support/techinfo/transparent_mode_jp.html

考え方は、キャラクター・モードと似たところがあって、先頭に"03"、そして送信するコマンドのバイト数を付加して、AS/400から送信すると、プリンター・セッションでは、"03"を外し、バイト数の値で指定された長さのコマンドをプリンターに送信するというものです。
従って、あくまでもプリンター・セッション経由、PDT印刷が前提となります。

どの方法にしても、プログラミングのスキルが必要になりますし、実際に印刷しながらの調整は必要になりますので、もっと効率の良い簡単な方法はないのか ? という疑問も出てきます。
そこで、次回は画面上でバーコードを大きさや場所を簡単に指定できるソリューションをご紹介します。